桜才学園での生活   作:猫林13世

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また、終わらなかった……


お泊り 中編

 誰が何処で寝るのかを決める為に、私とウオミーでくじを作る事になったのだが、萩村と森さんがイマイチ信用出来ないと言う事で、くじはその二人が作る事になった。

 

「シノ会長もウオミー会長も、後輩から信用されてないんですね~」

 

「しょうがないよ。シノちゃんも魚見さんも普段の行いがね~」

 

「お前たちに言われたくないぞ!」

 

「そうですよ! コトミちゃんも七条さんもさほど変わらないじゃないですか!」

 

 

 だが改めて思うと、私の信用はコトミと同レベルなのか……なんだか悲しい気分になってきたぞ……

 

「出来ました。公平になるように引く順番はじゃんけんで決めましょう」

 

「わっかりました~」

 

「ちょっと待て。何故コトミまでくじを引こうとしてるんだ? お前は自分の部屋で寝ればいいだろ」

 

「え~! 私だってタカ兄に夜這いをかける権利……じゃなかった。みんなでワイワイする権利がほしいですよ」

 

「残念だけど、コトミちゃんの分のくじは作って無いわよ。大人しく自分の部屋で寝なさい」

 

 

 萩村の言葉に、コトミはがっくりと肩を落とした。まぁ本音が出た時点でコトミは津田の部屋に入れるわけにはいかなくなったのだがな。

 

「順番は、七条さん、天草さん、魚見会長、萩村さん、私ですね」

 

「森さんってじゃんけん弱かったんですね」

 

「はい……」

 

 

 まさかの一人負けをした森さんはションボリとした雰囲気を纏っている。まぁ勝負は時の運、負ける事もあれば勝てる時もあるだろう。

 

「それじゃあ早速……」

 

 

 この後、全員がくじを引き終わるまで開ける事はせずに、同時に結果を見たのだ。その結果……

 

「私はコトミちゃんの部屋だね~」

 

「おっ、アリア先輩ですか~。こりゃ夜が長くなりそうですね」

 

 

 コトミの部屋にはアリアが泊まる事になった。

 

「私はリビングだな」

 

「私もです」

 

「ちょっと待って、この二人相手に如何しろと?」

 

 

 リビングに泊まる事になったのは私とウオミーと萩村に決定。と言う事は……

 

「私が津田さんの部屋ですね」

 

 

 森さんが開いたくじには、『津田の部屋』と書かれていた。あれは萩村の字だな……

 

「それじゃあ森先輩は、タカ兄の部屋にご案内しますね。会長たちは少し待っててください。すぐに布団出しますので」

 

 

 コトミの宣言で、我々は各自寝泊まりする場所に移動する事になった。とりあえず、このテーブルをどかしておくとするか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 誰か一人がこの部屋で寝るそうなのだが、出来れば萩村か森さんが良いな……ボケないし襲ってくる心配もないだろうから……

 

『タッカ兄~今日の生贄が決まったよ~』

 

「くだらない事言ってないで入ってこい」

 

 

 コトミのアホ話に付き合ってるのも疲れるので、さっさと結果を知らせるように言う。コトミも心得ているのかそれ以上アホな事は言わずに部屋に入ってきた。

 

「じゃ~ん! タカ兄と夜を共にするのは森先輩で~す!」

 

「……何でお前はそういったくだらない表現ばかりするんだ」

 

 

 普通にこの部屋で寝るのは、で良いだろうに……そんな事ばかりに頭を使わずに、もっと役に立つ事に頭を使えと何度も言ってるのに……

 

「えっと……おじゃまします」

 

「どうぞ」

 

 

 森さんを部屋に招き入れ、コトミを追いやる。如何やら七条先輩がコトミの部屋に泊まるようだから……萩村、南無三。

 

「えっと、私は何処で寝ればいいのでしょうか?」

 

「今布団出しますね」

 

 

 普段使っていない布団を押し入れから引っ張り出し床に敷く。女性を床に寝かせるのは忍びないが、男が普段使ってるベッドを使うのは嫌だろうし、仕方ないか……

 

「もう寝ます? 寝るなら電気消しますが」

 

「いえ……まだ大丈夫です」

 

 

 森さんは何故か布団の上に正座している。何があったんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 じゃんけんで負けて一番最後、残ってたくじを引いたら、それが津田さんの部屋に泊まるくじだったのだ。私は津田さんが敷いてくれた布団の上に正座してただただ時が過ぎるのを待っている。

 

「なんだか下がやかましいですね」

 

「魚見会長と天草会長が一緒ですからね……」

 

「少し注意してきます」

 

 

 津田さんが部屋から出て行って、私は余計に所在の無さを覚えてしまった。よくよく考えると、異性の部屋に入ったのって初めてかもしれません……しかもそれが津田さんの部屋とは……

 

「本棚に入ってる本の殆どが参考書ですね……あとは小説とほんの少し漫画本がありますね」

 

 

 年頃の男子は、エッチな本を隠し持ってるとか聞きますけども、津田さんは如何やら持ってないようですね。もし魚見会長か天草会長、七条さんが津田さんの部屋に泊まる事になってたら、物色とかし始めたのでしょうね。

 

「如何かしました?」

 

「い、いえ……本棚に参考書がびっしりだったので感心していました」

 

「別にびっしりと言う感じではないんですが……まぁ気になる本があるなら読んでも良いですよ」

 

 

 津田さんは私の事を疑いもせずに机に向かい直しました。おそらくはまだ勉強を続けるのでしょう。

 

「そういえば、下が大人しくなったような……」

 

「ああ。騒がしかった二人には、強制的に寝てもらいました」

 

「なるほど……」

 

 

 私だったら出来ないような事でも、津田さんはする事が出来るのでしたね。私じゃあの二人を強制終了させる事は出来ませんし……

 

「今日は色々とスミマセンでした。いきなり押しかけて挙句に泊めていただく事になって、服まで貸していただいちゃって……」

 

「いえ、数の暴力……じゃなくて多数決で決まったんです。そこは仕方ないですし、台風も皆さんの所為じゃないですよ。泊まる事になったのは不可抗力です」

 

 

 津田さんの優しい言葉を聞いて、私は安心してしまったのかそのまま寝てしまいました。普段ならこんな時間に寝るなんてありえないのにな……




勝者は森さん、萩村には頑張ってもらいましょう……

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