転生したら、ロケット団の首領の娘でした。 作:とんぼがえり。
書く栄養にしています。
また誤字報告、大変助かっています。
気付けば9評価が100を超えていました。
自作品で緑色に染まるのを始めてみました。ちゃんと緑色になるんですね、都市伝説かと思っていました。
多くの方に高評価を頂き、ありがとうございます。
洞窟全体を揺るがす地響きに私、パープルは足を止める。
それに気付いたサイホーンは後ろを振り返り、レッドもまた私を見た。
私はモンスターボールを手に持って、旅の道連れに注意を促す。
「これは歯応えがありそうね」
オニドリルとスピアーをボールから出す。
言葉を交わさずとも、レッドもイーブイにヒトカゲ、ピカチュウにパラスと手持ちのポケモンを開け放った。
サイホーンは理科系っぽい男を背中から振り落とし、来るべき障害に備える。
徐々に振動が強くなってきた。
その先頭に見知った二人の人影、イエローとグリーンが慌てた様子で走って来た。
「あっ、お姉さん!」と飛びついて来たイエローの体を受け止める。
「おい、グリーン! あれはなんなんだよ!」
「そんな事を言ってる場合かよ! って、あれを食い止めるつもりか!? バカかよ!」
「実際、どれくらいの規模なんだ!?」
「何十っていう規模だよ! っていうか、なんでお前と一緒にパープルがいるんだよ!」
「成り行きだよ!」
レッドとグリーンの言い争いを他所に、イエローの頭をポンポンと撫でる。そして、洞窟の奥から来るポケモンの群を見て、まあ、ここに居るトレーナーが協力し合えば、無茶という程の事でもないか。と気楽に構えた。
「止めましょう」
「はあっ!? どんだけいると思っているんだ!?」
「あれだけの規模、他に巻き込まれる人が出ると大変なことになります」
止められるなら、此処で止めてしまった方が良い。私が対峙する選択を取ったことで、レッドとイエローも身構える。そんな二人の姿にグリーンも足を止めて、モンスターボールを構えた。
「イエローはピカチュウでズバットの迎撃、レッドは皆のフォローを。グリーンは……貴方は私と一緒に攻めましょう」
「おいおいおいおい、勝手に指揮を執ってんじゃねえよ」
「では、代わりに執ってみますか?」
「……チッ、遠慮しておくよ!」
グリーンとイエローも手持ちのポケモンを全員出した。
「あれ? そのピカチュウ……」とレッドが反応したが、もう目の前まで大量のポケモンが押し寄せている。
私は、一歩、前に出た。腰に右手を当て、指先までピンと伸ばした左手を口元に添える。
「オーッホッホッホッホッホッ! やってしまいなさい、レッドさん! グリーンさん!」
「なんで、さん付けなんだ?」
「急に高笑いをすんじゃねぇよ」
最前線はスピアーとオニドリル、迫り来るポケモン達を
その直ぐ後ろではイエローのピカチュウが
僅かな隙をレッドとグリーンのポケモンが逃さない。レッドはピカチュウ、グリーンはポッポとコラッタで動きを止めたズバット達を次々と叩き落とす。それを見て、イエローも三匹に倣うようにサンドを向かわせた。レッドのピカチュウの
イシツブテの相手には、グリーンのゼニガメが固定砲台となって応戦する。
サイホーンは寄って来た相手を、
「イエローのピカチュウ、全体をフォローする必要はありませんわ! レッドのピカチュウの威力なら一撃で倒しきれます! イーブイとパラスは足止めに徹してくださいまし! ヒトカゲとゼニガメの支援が来るのを待つのです、サイホーンが居る場所は通してもらっても構いませんわ! ……サイホーン、不満げにしない。貴方ならできると信じて任せているのです。グリーン、無茶はさせないでくださいませ。疲弊したら後ろへ、今は私達の数が減る方が困りますわ」
レッドは、目の前のポケモン達に対処するだけで周りを見る余裕はない。イエローに至ってはサンドに指示を出すだけで精一杯のようだ。グリーンは私が指示を出していることが不満なのか舌打ちを零す。
津波のような勢いで迫り来る野生のポケモン達を順調に倒し続ける。
この調子で行けば、大きな問題を起こす前に鎮圧できそうだ。
◆
オツキミ山の頂上付近、外から見えない窪みにて。
私、ブルーは大勢のピッピに囲まれて、なんだかよくわからない歓迎を受けている。
どうしてこうなったのか。それは自滅したピッピの怪我を
幾つかの木の実も用意してくれたけど、私では生で食べられないのでロコンとフシギダネに食べて貰った。
コイキングは、まあ、うん、水辺があったら出してあげる。
ピッピ達は何かを建築しているようで、開けた広場の中心で何かを建築していた。木の枝を組み込んで、お花や葉っぱで装飾する。
この窪地には植物が生えておらず、土が露出していて岩肌のようになっていた。円形の窪地は、まるで巨大な何かが降って来たかのようでもあり、もしかするとお星さまが降った後かもね、と思ったり、思わなかったり。
少しして、ロコンが私の右太腿に顎を乗せてきた、左脚にはフシギダネが身を寄せてくる。
二人ともお疲れ様。私は二匹の頭を撫でながら大きく欠伸をする。今日はもう先を急ぐ気分でもなくなってしまったので、このまま、ゆったり、まったり、こっくり、と。うつらうつらと舟を漕ぐ。今夜は此処をキャンプ地にして、明日の朝早くにでも出発するつもりだ。
旅の疲れのせいか、気付いた時には眠ってしまっていた。
「ピィッピー! ピィ―!」
目を覚ました時には周りの様子がちょっと慌ただしくて、まだ眠気の残る頭でゆっくりと腰を上げる。
「……殺気、立ってる? どうして?」
とりあえず、敵意を剥き出しにするピッピ達が向かう先へと駆け出した。
ロコンとフシギダネも寝起きなのか、眠たそうにしながらも私の跡を追いかけてきてくれる。
この窪みの端に戦列を組むように大勢のピッピ達が並ぶ中、その列に割り込んで先を見た。
幾つかの人影があった。胸に「R」の文字が刻まれた制服────、
「──ロケット団っ! どうしてここに!?」
ロケット団の団員がモンスターボールから次々にポケモンを出すのを見て、ピッピ達が全員、人差し指をロケット団の方へと向ける。
そして、ゆっくりと左右に
「ピッピ♪」
指の先から放たれる多種多様な攻撃技、
そこから
「くそっ! なにが来るかわからないのが、こんなにも厄介だとは!」
「ピッピの巣なんて、滅多なことじゃ見つからないぞ!」
「こんな一攫千金を見逃せるかよ! 一網打尽にしてやらあ!」
しかし、ロケット団達も怯まない。
それぞれが、それぞれのポケモンで真正面からピッピ達に襲い掛かる。
物量と物量の戦い。どちらも統率が取れているが、連携して作戦を駆使しているのはロケット団だ。陸と空からの波状攻撃、草の中に身を潜めたアーボが距離を詰めて、ピッピに跳び掛かる。押し込まれているのはピッピ達、弱ったピッピに向けて、片っ端からモンスターボールを投げつける。今はまだ他のピッピ達がモンスターボールを弾き返しているが、耐え切れなくなるのも時間の問題だ。
──これだけの人数、これだけの連携。何処かに指揮を執っている人間がいるはず。
そいつを倒せば、この状況も切り抜けられるかも知れない。左右に視線をやって、ジャリッという音が微かに聞こえた。
背後を振り返る。そこには、今にもモンスターボールを投げようとしていた男の姿、ロケット団の男を捉える。
「貴方はっ!?」
「おおっと、バレちゃあ仕方ねえ。……というか、どうして此処に人間が居るんだあ?」
まあ、いっか。と強面の男が飄々とした態度でラッタとゴルバットとドガースを繰り出した。
「三匹!?」
「俺達は悪党だぞ? 勝ち抜き戦だとか、入れ替え戦だとか、そんな行儀良い戦い方をする訳ねえだろ」
「……ッ! ロコン、フシギダネ! お願い!」
ロコンとフシギダネが一歩、前に出る。
ニビジムでパープルの戦いを見ていたから分かる。あれは私達よりも格上のポケモン、パープルのポケモンと同程度か、それ以上の実力を持っている。
勝算は薄い。でも、退けない。退く気はない。
「逃げても良いんだぜ? 俺達も小娘に興味なんかねぇからよ」
「退かない! だって、おじさん悪い人でしょ!?」
目の前の存在が悪い事をしようとしているなんて一目瞭然だ!
勇気を振り絞って、バトルに備えると、戦列から離れた一匹のピッピが私の前に出る。
このピッピは、コイキングを助ける為に手助けしてくれたピッピだ。
なんとなくわかる。
他のピッピ達は目の前の対処で忙しくて、助けに来るのは難しそうだ。
「……行ける?」
「ピッ!」
「あ、
「ピ~……」
ピッピは相手に向けて翳した人差し指を残念そうに戻す。
私はロケット団と対峙しながらポケモン図鑑を開いて、ピッピが使える技を確認する。
何処まで戦えるのか分からない。でも、やれることはやってやる。
「大人の戦いってやつを見せてやるよ」
ラッタとゴルバットが同時に襲い掛かってくる。
「ロコンはゴルバットに
「おせぇんだよ!」
ラッタの
「ピィッピ!」
大きく開いた口、その頬を横から割り込んだピッピが
ピッピが右に左と視線を動かし、
ラッタとゴルバットの意識がピッピに向けられる。
「フシギダネ、お願いッ!」
「チッ! 一旦、引きなッ!」
漸く体勢を立て直したフシギダネが二匹に向けて
しかし、間一髪のところでラッタとゴルバットは身を退いて、避ける。二匹はロケット団の男の前まで戻り、互いに体勢を立て直す。
数十秒程度の攻防、しかし、あまりにも忙しすぎる!
お互いに三匹、計六匹のバトル。処理すべき情報があまりにも多すぎる。目が足りなければ、口も足りない。
頬に伝う汗を拭い取り、集中力だけは切らさないようにロケット団の男を睨みつけた。
あの男、強い……!
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書く栄養にします。
・パープル&レッド:洞窟先発組
・グリーン&イエロー:洞窟後発組
・ブルー:登山組