【未完】人間界に召喚されたったwwwwwww 作:烏何故なくの
斜面に着地したジョージの全身を衝撃が駆け巡った。
痛みに悶える暇も無く、ジョージの体が重力に従い後ろへ倒れ込む。両手の塞がっている状態では受け身を取ることも出来ない。
ジョージの体は斜面を滑り降り、乱立していた堀立小屋の一つにぶつかってようやく止まった。
「ジョージさっ……!? 生きてます!??」
「なんとか…」
足から這い上がってくる衝撃と痺れを足に力を入れてかき消す。
アガリーが結界の核と言っていた建造物からだいぶ遠ざかってしまった。
その上敵は未だ健在なのだ。いつ追撃が来てもおかしくはない。立ち止まっている暇はない。そう考え、ジョージは足を運ぶ。
「ふーっ、ふーっ。……大丈夫です。行きましょう」
「は? いやちょっと」
「大丈夫ですから」
呼吸を整え、斜面に手を掛ける。傾斜が大きく、通常の方法では登れそうにない。
頼り切りで心苦しいが、アガリーの術でどうにか登れないだろうかと思案する。
「アガリーさん、さっきの馬は…」
もう一回出せるんでしょうか、と言葉が続くよりも速く、地面から飛び出たアガリーのカエルがジョージを飲み込んだ。
カエルの口から頭だけ飛び出た状態で呆気に取られるジョージの前で、アガリーが仁王立ちする。
「大丈夫な訳ないでしょバカなんですか?」
「え、あの」
怖い。
シンプルに怖い。
今までにないアガリーの怒気に、思わずジョージはたじろぐ。
「自分を客観的に見るとか出来ないんですかあの天使みたいなヤツはアタシ達を追って来ずに反転して元いた場所に戻っていきました分かったらじっとしといて下さい応急処置するので!!!!!」
あまりの剣幕にジョージには心なしかアガリーの体が三割増で大きく見えた。
いつもふらふらと底を見せないアガリーの怒りに、思わず動けなくなる。
そんなジョージの頬に手を当て、アガリーはブツブツと呪文を唱えはじめると、体の痛みが徐々に引いていく。
「………まずはお礼が先でしたね。ジョージさんのおかげで生き延びれました」
「あ、いえこちらこそ…」
「…さっきの馬はまた出せます。その気になれば直ぐに結界の核は破壊しに行ける。…今は情報を集めましょう」
アガシオン、とアガリーが呟くと先程見たネイビーブルーの狼が現れる。
先程一つと違うのは、口に一体の怪物を咥えていた事だ。
アガリーは狼が乱雑に床に投げ捨てた怪物の側にしゃがみ込むと、後ろポケットからナイフを取り出した。
ぶちぶちと聞きなれない音を立てながら解体されていく肉の塊。
辺りに得体の知れない粘液が飛び散り、すえたような匂いが漂い出す。
数秒の後、バラバラになった肉塊の内部を覗き込んで、アガリーは納得したような声を出す。
「ふ、む…。なるほど。コイツらは取り込んだ魂に染み付いた生前の動きを模倣してるだけ、見たいですね。だから動きが変に人間的で規則的…」
「…つまりあいつらは、ゾンビのような存在という解釈でいいんでしょうか」
ジョージの質問にアガリーが頷きを返す。
「おおよそそんな感じでしょう。………でも、それだけだと此方を襲ってくる事に説明がつかない。何かの意思が植え付けられてる」
ジョージは今まで自分を襲ってきた人モドキを思い返す。
確かに、全ての怪物が同じ様な気配を放っていた様に思う。
それは敵意というには凶悪で、しかし殺意というには粘っこく、悪意というには何処か切実で。言うなれば———。
「食欲...」
「恐らくそれですね。目に入った者に喰らいつくようプログラミングされてる」
捕食が目的にしては些かおかしな、非効率的な点もありますがね———とアガリーは付け加える。
「…凄いですね」
思わずジョージは称賛の言葉を口に出していた。
それは人モドキにではなく、アガリーの手際の良さに対してだ。
このような異常事態に置いても動揺せずに思考を回し続ける。行動が早い。
感情的になり、無鉄砲に突っ走ろうとしていた自分とは大違いだ。
少なくともジョージはこの異界に取り込まれて動揺の連続だった。
「別に大した事じゃあないです。こうした事態には慣れてるので。…強いて言うなら考察と洞察が怪物から生き残るコツ、と言いますか」
「…」
冷静そうな口調とは裏腹にアガリーの口はニマニマと波打っている。
存外に褒められ慣れてないらしい。器用にも満面の笑みを浮かべながら、平時と変わらない声を出している。
ジョージの視線に気づいたのか、アガリーは何度も咳払いをする。
「……作戦を言います。一度攻め込んで直ぐに引き返す。行動がパターン化されてるならあの肉天使は直ぐには追ってこない筈です。何度も攻めて、肉天使の守りが薄い所を探す。………アタシにはちょーっとした、秘密兵器がありましてね…」
■■
115:1
なんだこれは…
http://www.pic../
116:名無しの悪魔
?????????
117:名無しの悪魔
クソコラか?
118:名無しの悪魔
親方! 空からマネキンいっぱい!
…これ、何が起こってるの?
119:名無しの悪魔
進撃の巨人の92話で見たやつ
120:1の嫁
あー? これ見た事あるな?
121:1の嫁
アレだろ 明星騎士団の秘密兵器
人形に魔力を流して対象のコピーをいっぱい作るヤツ
121:1
あ〜〜〜〜っ!!アガ
122:1
この前人間界に潜入任務中の明星騎士団に会った事がある
ジョージと親しい仲だったから、おそらくジョージを助けにきたんだと思う
123:名無しの悪魔
途中で書き込み切れてて草
124:名無しの悪魔
イッチに個人名をネット上に書き込まない理性があったことに驚き
125:名無しの悪魔
ネット上に個人名書かれかける潜入任務中のアガ(仮)さん
126:名無しの悪魔
脳波を使って掲示板に書き込みしてるとうっかりいらない情報まで出力しちゃう、あるあるすぎる
127:名無しの悪魔
明星騎士団ってルシファー様をヨシヨシナデナデする係の人達だろ〜〜〜〜?
秘密兵器とか持ってんの?
128:名無しの悪魔
まあ赤ちゃんモードのあの方止める為には秘密兵器の一つや二ついるだろう
129:名無しの悪魔
ルシファー様を守る精鋭部隊だゾ
地獄最強の「明けの明星」に護衛なんて要らないって? それは…そうなんですが…
130:名無しの悪魔
ネット上で明星騎士団の事を乳母さん達って呼ぶ風潮ほんま好き
131:名無しの悪魔
マジでなんで出来たんだっけ明星騎士団
132:名無しの悪魔
あの方に護衛とかいらんだろマジで
133:名無しの悪魔
それなりに政治が出来て命令に忠実な悪魔の中でもマトモよりのやつが集められた部隊だぞ
だからいつも俺らのやらかしの後処理をやらせられる
不憫
134:名無しの悪魔
>>127
幼児退行したあの方から俺らを守ってくれとるんやで
135:名無しの悪魔
いいですよねオギャルシファー様
硝子玉のような透き通った声に濁音つけながら全力駄々こねするのほんと可愛い 推せる
136:名無しの悪魔
>>130
良いわけあるか
137:名無しの悪魔
>>127
あの駄々見て可愛いって言えるのは猛者
138:名無しの悪魔
>>127
駄々こね(嵐)(竜巻)(ハリケーン)
139:名無しの悪魔
地獄最強の肉体スペックそのままで幼児退行されたらそれはもう災害なんよ
140:名無しの悪魔
「明けの明星」の名前は伊達でもなんでもないからな
141:名無しの悪魔
まあ俺らみたいな頭ポンどものリーダーを何年もやってたら何かしら患うよな…
□□
「行きますよ」
アガリーの言葉に頷きを返し、ジョージは半透明の精霊馬の背に跨った。
ケルピーが四肢に力を入れる。蹄が空を掴み、彼は矢のように結界の核に向かって駆け出した。
空を移動しながらアガリーが懐から一つの人形を宙へ放り投げた。マネキン、あるいはデッサン人形に近い。
人形は数度回転した後、重力に逆らい空中で動きを止めた。
人形は瞬く間に巨大化していく。一秒とかからずに、人形はアガリーと瓜二つの姿になった。
アガリーの分身がさらに人形を宙に放り投げる。分身はドンドンと増えていく。
結界の核を包む掘立小屋が見えてくると同時に、肉天使が翼をはためかせているのが見える。
「行け」
アガリーが指を振ると、分身は精霊馬のように宙を走り肉天使に一直線に向かっていく。
それに合わせて肉天使は手に持った鉄塊を無造作に投げつける。
頭部を破壊された人形は、肉の通っていない滑らかな断面図を覗かせながら地面へと落下していく。
しかし肉天使が撃退できたのは一体のみ。人形達は仲間の残骸を意にも介さず、死体を漁るハゲタカのように肉天使を分解していく。
肉天使の分解を終えた人形達は、新しい餌を求めるように堀立小屋へと集り出した。
そのの細い腕からは想像も出来ない力で掘立小屋の壁を引きちぎっていく。
壁が剥がれるのと同図に、中から大量の人モドキの波が這い出てきた。
人モドキの触手の波に人形達が飲まれていく。
触手の波の中から、何匹か此方へ飛び上がってくる。
「ふむ、むやみに突っ込まずに正解でしたね」
アガリーは表情を崩さずに人差し指を上に上げる。
人形の一体が垂直に跳び上がり、人モドキに組み付き頭を捻じ切った。
その後も人モドキの跳躍攻撃は続いたが、アガリーは指を指揮棒のように振り、完璧に人モドキの抵抗を捌き切る。
人モドキは殲滅され、もはや勝利は目前に思えた。
(……いやいや、冷静になれ、俺。…気を緩めるな、思考を止めるな。アガリーさんだって万能じゃないんだ。観察と洞察を怠るな...)
ここは人知を超えた異常な空間なのだ。アガリーといえど、無敵ではない。何かの間違いが起こってからでは遅い。
そもそも、あの肉天使がここにはいるはずなのだ。
ジョージはそう自分に言い聞かせ、空中から戦場を見渡す。万が一がないように。
そうして戦場を見渡して数分。
一瞬、ほんの一瞬であったが…一匹の人モドキとジョージの目があった。
「……?」
ジョージの背筋に得体の知れない怖気が走る。
なんとなく、見覚えがある目だったのだ。
しかし誰だったのか思い出せない。
人モドキの肥大化した頭部には髪も生えていない。タコのような膨らみに人の顔が張り付いているだけなのだ。
髪の毛や服装といった特徴が当てにならない。
ただ、ギラギラとした瞳がジョージの脳にこびりついていた。
ジョージの怖気をかき消すように、地面から轟音が鳴った。
ジョージの人生で今まで体験した事もないような、ダイナマイトを50個一斉に爆発させたような爆音。
そして震度。
ガラクタで出来た街が、そこら中に撒き散らされた人モドキの残骸と共に崩れてぐしゃぐしゃになっていく。
「なんだ....!?」
「先程地面が傾いた時と、同じ事が起こっているようですね。ただし凄まじい勢いで」
確かに、斜めになっていた地面が平らになってきている。
幸いな事に、振動は空中にいる精霊馬まで届くことはない。
「これは…、何が……」
「…!! アガリーさん、あれ!」
ジョージの目の先で、掘り立て小屋が完全に崩れていく。
そしてその中から、異様なギラつきを放つダイアモンド状の物体が露出した。
「結界の核です! あれさえ壊せればだっし———」
アガリーの言葉が言い終わらない内に、角材が飛んでくる。
肉天使だ。
露出した結界の核の上に浮遊し、自らが守護者だと誇示しているように翼をはためかせている。
精霊馬は身を捩り角材を躱す。
あの肉天使がいる限り、結界の核には近づけない。
ジョージは手に持ったパイプへ力を込め、肉天使に意識を集中させる。
肉天使は近くの廃材から道路標識を引き抜き、投擲の構えに入る。
肉天使の投擲に合わせ、また爆音と震動が辺りを襲った。
そしてジョージの体に、手足がちぎれるほどの衝撃が走った。
「が、あ……?」
ジョージは空中で現状を確認する。
あたりには先程の振動で粉微塵になったガラクタが、ジョージと一緒に宙を舞っている。
(地面が、跳ねた……?)
そうとしか形容が出来なかった。
勢いよく跳ね上がってきた地面が、精霊馬ごと二人をカチ上げた。
ジョージは空中で身を捩る。
すぐそばに足を青紫色に染め血を吹いているアガリーと、力なく手足を伸ばしている精霊馬が目に入った。
(う、動けっ……! このままだと、アガリーさんが地面に叩きつけられて死ぬ……!)
ジョージは腕の力だけでアガリーを精霊馬の方に投げ飛ばす。
精霊馬はアガリーがぶつかってきた衝撃で意識を取り戻したのか、アガリーを背に乗せた体制のまま空中で静止した。
(よ、良し…!)
ジョージはそのまま落下し、地面に頭から叩きつけられた。
「く“っ……っっ………!!」
ジョージの口の中でゴキャリ、と異音がした。衝撃で歯か顎かが折れたのだろうと推測する。
頭部が裂けたようで血が止まらない。目に流れた血が入りこみ、視界が赤く染まる。
「あ、ああ”ーっ。くそっ……」
ジョージは悪態をつきながら立ち上がる。
視界がふらつくが、まだ歩ける事を確認しアガリーの無事を確認しようと当たりを見回す。
アガリーよりも早く、何かを投げたような肉天使の姿が目に入った。
(あ? …なんだ?)
肩の辺りがやけに熱い。
手を当ててみると、何か硬い物がそこにある。
数秒ほど立って、中ほどで折れたサバイバルナイフが自分の肩に突き刺さっているのにジョージは気づいた。
「———あぁ“ああああぁああぁぁ!!」
ジョージの絶叫を意にも介さず、肉天使が再び投擲のフォームに入る。
(何処かに、身を隠さなければ…!!)
ジョージは太ももに力を込め、足を動かす。
このままではなぶり殺されるのは目に見えていた。
そうしてゆっくりと、赤児のような速度で動くジョージの足を、ブヨブヨとした物が包んだ。
無理矢理足の動きを止められ、ジョージは転びそうになった。
下を見る。
人モドキだった。倒壊していく建物に巻き込まれ、地面に埋まっていたのだ。
人モドキがこちらを見る。ギラついた光とジョージの目が合う。
ジョージはその目に覚えがあった。その狂気に覚えがあった。
「アンディ・スコークスリ…!」
あの廃ホテルで怪物を召喚した男が、人モドキとしてこちらを見つめている。
人モドキは生前の動きを模倣しているだけだとアガリーは言っていたが、アンディの目には明らかな悪意が顔を覗かせていた。
■□
異界の端。ガラクタで作られた地面の下で、リラは龍の奇行を見守っていた。
何をするべきか分からず、リラはジェシカに助けを求める。
「……ジェシカ。あいつ、どうしよう。」
『今の妾じゃ無理。ポチじゃあの巨体を殺しきれんし』
とりあえず張られている結界を壊す方向で、とジェシカ。
その言葉に答え、ポチは背に乗せたリラを落とさないようにゆっくりと上昇していく。
その瞬間だった。
ダイナマイトを50個一斉に爆発させたような爆音が、リラの鼓膜を叩きまくった。
爆音の音源をリラの目は捉えていた。
突如として人モドキを飲み込みまくっていた龍が、猛然と異界の地面へ頭突きをしたのだ。
無理矢理に傾いていた斜面が平らに戻され、その衝撃で地面を構成していたゴミが空へと突き上げられていく。
「う、うわ…!」
ポチはなんとかゴミの散弾を躱そうとするが、うまく避けられない。
ポチはそもそも雷である。普段の速度で動けば、リラはその負担に耐えられない。
ポチはそもそもジェシカの猟犬である。加減をしながら動くなど、した事がない。リラに負担のかからない速度で動くという事が、ポチにとってはかなりの負担であった。
そして避けきれなかったゴミの一つ、コンクリートブロックがリラの頭部に迫る。
『ファイトぉ!!』
回避は不可能な軌道で迫るコンクリートブロックとリラの間に、ジェシカの入ったバッグが割り込んだ。
『いっぱぁっつ!』
バッグの中のジェシカは霧に変えた体を総動員し、バッグを膨らませクッションにする。
コンクリート片を受け止めるには少々頼りないクッションは、しかし膨らんだタイミングが良かったのだろう。
膨らんだクッションに横から押される形でコンクリートブロックは軌道を変え、リラの斜め上へと飛んでいった。
しかしその衝撃により、年季の入ったバッグの紐は切れる。
「ジェシカっ!?」
リラが肩からぶら下げていたバッグはずり落ち、無情にも地面へと落ちていく。
リラが手を伸ばすが僅かに遅く、バッグはどんどんと小さくなっていった。
「ありがとう、ポチちゃん」
ゴミの散弾が止まった後、リラは地面へと降下しジェシカを探す事にした。
ポチからは降りている。辺りには人モドキが徘徊している以上、リラはの背に跨っている間はポチは全力を発揮出来ない。
リラは年齢に見合った短い足で、異界を探索する事を選んだ。
「どうもぉおおおっっ!!」
「とくばいだよぉっ」
バリっ。ガシャン。
雷の猟犬に対し、時折現れる人モドキはあまりに無力だった。
ポチは現れた二人の人モドキを炭へと変え、リラの元へと戻る。
(気持ち、悪い……)
強力な仲間が居るとはいえ、命を常に狙われている感覚はリラの精神に負荷をかけ続けていた。
命のあるように思える存在が炭になっていく匂いも気分が悪い。
(…ジェシカがいないと、こんなに怖いんだ……)
どんな事態でも平常運転で言葉を投げかけてくる友人に、安心していた事を自覚する。
ポチは強いが話し合い手にはなれない。ストレスは発散できず、リラの内側に溜まっていく。
「……?」
鬱鬱と異界を彷徨っていたリラの目に、カラフルな小石が目に入った。
近づくとそれは石のように無骨に削れておらず、丁寧にキャラクターの形に形成されている事が分かった。
「グミだ」
そういえば、ジェシカが出かける前にグミを食べていた事を思い出す。
リラは辺りを見渡す。遠くない位置に、もう一つグミが置かれていた。
間違いなく、ジェシカの置いた目印だろう。
「ジェシカって、こんなに機転が利くんだ…」
なんとなくポチから圧力を感じた為、口を閉じてリラはグミを追うことにした。
『—n———r』
「あっ!?」
グミの目印を追いかけて数分。
リラの脳内にジェシカの声が響いた。先程までのようなスムーズな声では無い。
ジェシカと炎の中で契約を交わした時のような、ノイズがかかった音だ。
「確か、ジェシカと距離が離れてるほどノイズがかかるんだよね…?」
一度ジェシカに、このテレパシーの説明を聞いた事がある。
テレパシーが届く範囲は5mくらいらしい。すぐ近くに、バッグは落ちている筈だ。
「……多分、この中だよね」
リラはすぐ近くに建っていた、掘り立て小屋の中に足を踏み入れる。
グミの目印は等間隔に落とされて、一直線にジェシカの元まで続いていた。
もし落下しながらグミを地面に落としたとしたら、こうはならない。
(多分、人モドキに拾われちゃったんだよね)
ジェシカの話では、人モドキは生前の行動を模倣しているという。
落ちたバッグを拾って持って帰る者がいてもおかしくは無い、とリラは推測する。
『田かラ——ナ』
またジェシカの声が聞こえた。今度は先程より鮮明に。
「待っててね…! すぐ行くから!」
『大臣丈夫だが来』
呼びかけるとしっかりと返事が返ってきた。
ノイズ混じりで意図は汲めないが、大体の位置は察しがついた。
リラは不出来な家の中を走り、ジェシカのいるであろう部屋の扉を開く。
『だいじョョョウウウ部だから』
『来るなリラ 妾は大丈夫だから』
その部屋は、おそらくリビングを模しているらしかった。
大きなテーブルの周りに椅子の代わりになりそうなゴミが並んでいる。
部屋の隅に帽子置きのような物が置かれており、バッグはそこに掛けてあった。
一体の人モドキが、その帽子置きの前に立っていた。
ゆっくりとした動きで、人モドキがリラを見る。
リラと目が合う。目が合ってしまった。
「………かあさん?」
人モドキ:生前の感情を模倣している。目の前に殺したい程憎い相手がいれば悪意を放ちながら殺しにかかるし、娘のバッグが落ちていたら拾って家に持って帰る。
心身の不調などで更新が大変遅れた事を謝罪します…。
完結させられる自身がなくなってきており、活動報告にプロットを公開ております。