【未完】人間界に召喚されたったwwwwwww   作:烏何故なくの

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この話で「人間界に召喚されたったwwwwwww」は未完で終わろうと思っています。
応援してくださった皆様、大変に申し訳ないと思っています。
ですがこのまま不用意に連載のまま読者様に期待を持たせるのも申し訳なく、この話で未完だと宣言しておこうと思います。
この話を完結させられなかったのは明確に私の落度であり、次回作こそは完結させようと思います。


【緊急】邪龍討伐オフ会

 

「あああぁっ!!」

赤い空にエメラルドの髪を靡かせながら、狩りの魔神が吼えた。

風の手綱を握り、嵐を纏って敵に向かって突撃。

考えなどない力任せの一撃。当たり前だ、魔神には力がある。獲物の小細工をねじ伏せられる力がある。

 

口を開き、己の命を奪わんとする狩人に龍が吠えた。

トラックのような大きさの歯が魔神をすり潰さんと迫る。

 

「オオッ!!」

 

瞬間、加速。

弾丸と化したジェシカは龍の口内を貫き、引き裂き、肉塊に変える。

 

ジェシカは龍を完全に翻弄していた。

唸り声が空に響く度に嵐の戦車は龍の肉を抉る。

数分と立たず、龍の身体は白アリに食われた柱の様に無数の穴が空いていた。

 

龍も一番の脅威がジェシカである事に気がついてはいるようで、何度も鎌首をもたげなら狩りの魔神目掛けて突貫していく。

 

「ポチ」

 

その度に雷鳴が轟き、龍は地面に叩き落とされる。

周りに漂う肉の焼ける臭いが魔神と龍の埋められない実力差を表していた。

龍の白かった体表にはグロテスクな火傷跡が顔を覗かせ、ミミズのように腫れ上がっている。

そして地に付した龍の元へ、悪魔達がアリの様に群がる。

 

「ケヒャーッ!! 弱い者イジメは大好きだぜ———っ!!」

「死ねどす! 死ねどす!」

「おで、敵、ごろすうぅうぅ!!」

 

完全に遊び半分だった。

子供が虫の手足を千切って遊ぶように、悪魔達は残酷に、醜悪に弱点を剥いでいく。

槍が、爪が、大鉈が龍の体を地面に貼り付けていく。龍の体が不器用な子供が作った昆虫の標本のようにズダズダに引き裂かれる。

 

スレ民が龍を地面に縫い留めているのを見たジェシカは空から急降下。地面から頭を出す鉄の塊に両手を添えた。

 

「———うぉおおあおおおチェストおおおぉおおぉ!!」

 

ずるずると地面から引きずり出されるのは、50mもありそうな鉄塔だ。

異界の地面を構成する一部となっていたそれを、ジェシカは握力に物を言わせて引っ張り上げる。

鉄塔は轟音と共に全身を地面から引き上げられ、くたびれたその全体を外気に晒す。

 

「オラっ死ね!!」

 

ジェシカは言葉と共に全身を捻り、腕に力を貯める。

解放、のち轟音。

魔神の剛力でぶん投げられた鉄塔は、空気を切りながら鉄塔へ迫る。

 

「…………rooooooaaaoooooooorrrr!!」

 

ジェシカが投げた鉄塔の先端が、空中で裂ける。いや、正確ににいうならば口を開く。

魔力によって命を吹き込まれた鉄塔は産声を上げながらサメの様に身体をくねらせ、その顎を開く。

開かれた牙は断頭台の如く。性格無比かつ冷徹に、龍の喉笛を噛み砕いた。

 

「———!!!!!」

 

龍の口から漏れ出る、声にならない絶叫。

掠れた笛のような断末魔を流して龍の頭部らしき物がごとりと地へ叩きつけられる。

それはおそらく、どうしようもないくらいの死で。

 

「…………っ、とったど————っっっ!!!」

 

悪魔達にとっての、勝利の証だった。

 

 

 

「ガハハハ!!」

「あはあはあは」

「キェーっキェっキェっキェっ」

 

悍ましい笑い声を上げながら、異形の群勢は龍の死体を囲み踊り狂う。

お調子者の悪魔が数百人揃えば、そこはもう祭りの会場だ。

異界を構成する堀立小屋を売店代わりにし、商いを始める者や龍の死体の上で楽器を取り出し掻き鳴らす者。

龍の死体に喰いつく者や、仲違いを起こして殴り合いを始める者も現れた。

 

乱雑で、粗暴な悪魔の宴。

そこにふらふらと近づく、一人の少女がいた。

 

「……あ? なんだあいつ? 人間……?」

「イッチの契約者……じゃないよな……?」

 

売店から酒を貰い、酒を酌み交わしていた二人の悪魔が少女に気づく。

彼らは顔を見合わせると、下卑た笑みを浮かべ少女に笑いかけた。

 

「イッチの関係者じゃないなら殺しても大丈夫だよなぁ?」

「俺人間って食ったことねぇんだよなぁ! 楽しみだぜ〜〜〜!!」

 

そう声を上げ、少女に遅いかかった二人の悪魔。

鉄すら引き裂く鉤爪が、少女に襲いかかる。

 

「——あんたら、悪い人っスね?」

 

次の瞬間、彼らの腕が消し飛んだ。

ぐしゃぐしゃに捻れた二本の手が宙に舞う。

 

「あ……? え……?」

「い、ぃぎぁああぁあぁっ!!」

 

痛みに悶え、地面を這いつくばる悪魔達には目もくれず、少女——パルミラは歩を進める。

パルミラのサファイアの瞳には、一人の悪魔が映っていた。

宴の中心で指揮を取る、一際大きな声ではしゃいでいる悪魔。すなわちジェシカである。

 

「ボスっぽいの、見つけたっス」

 

パルミラはその場で深く深く踏み込み、ミサイルのような勢いで跳ねた。

ドゴンッッ!! と激しい爆音と共に地面が蜘蛛の巣状に陥没する。

パルミラは宙で拳を構え、一直線に突き出した。

 

「ん?」

 

ジェシカが首を傾けた時にはもう遅かった。

亜音速で突き出されるパルミラの拳は、ジェシカの左目に突き刺さった。

そしてそのままパルミラの小さい拳は眼球を破壊、貫通し、ジェシカはその脳みそを盛大にぶちまけた。

 

 

□□

 

 

56:名無しの天使

武装よし

人数よし

憂いはありません 

 

57:サリエル

よし、準備はいいな?

今から突如出現した異界に突入する。

必ず生きて帰るぞ!!!

 

58:名無しの天使

おおおおおぉおおおっっっ!!!

 

59:名無しの天使

我らに祝福が在らん事を!!

 

60:名無しの天使

すいません パルミラが独断先行しちゃいました

 

61:名無しの天使

おおおおおぉおおぉお!!!

 

62:名無しの天使

おおおぉおおおおお!!!

 

63:名無しの天使

>>60

は?

 

64:名無しの天使

は???

 

65:サリエル

おい

おい

ちょっと待て

 

66:名無しの天使

あの子少々お転婆でして………

 

67:名無しの天使

お転婆でしてじゃありませんが?

 

68:名無しの天使

だから私は今回の計画に家畜人間を連れていく事に反対したのですが???

どうするんですかこれ 

 

69:サリエル

……お前ら、全速力だ!!

あのスットコドッコイが何かする前にとっとと終わらせるぞ!!!

 

70:名無しの天使

了解!!

 

71:名無しの天使

了解!!

 

72:名無しの天使

了解!!

 

73:名無しの天使

了解!!

 

74:名無しの天使

了解!!

  

 

 

■■

 

 

「が、ぁぁぁぁぁああっっっ!!」

 

脳みそをかき混ぜられ、絶叫を上げながらも、ジェシカは自分を襲った下手人の姿を無事な右目で見据えた。

そして腕を伸ばし、パルミラの首をへし折ろうとする。

 

(コイツ……! 脳みそを潰されても、まだ動けるんスか……??)

 

これに驚いたのはパルミラだ。

頭を潰されようと活動を開始する生き物など彼女の知識には無かったのだ。

パルミラは驚きながら、自分の首に手を伸ばす二つの手を殴打で粉砕する。

ジェシカの手首から上が弾け飛び、手のひらが空を舞う。

 

「これでどう——へぶっっ」

 

攻撃の手段を奪ったと思い込んだパルミラの頬を、衝撃が襲った。

 

「なめ、んなぁあぁぁっっっっ!!!」

 

ジェシカはもげた手首から露出した骨でパルミラを殴り飛ばしたのだ。

思わずよろめくパルミラに、ジェシカのラッシュが叩き込まれる。

 

「おおおああぁあぁぁっっっ!!」

「こ、の……! いい加減に死ねっス!!」

 

ジェシカの拳を拳銃に例えるなら、パルミラの拳は大砲のそれだ。

一撃一撃の威力が違う。ジェシカの体は至る所を削り取られ、穴あきチーズのように痩せ細っていく。

しかし、ジェシカは止まらなかった。

腕がもげれば蹴りを。足がもげれば頭で。

全身を使って、パルミラを殴りつけてくる。

 

殴り負けたのはパルミラだ。

ジェシカに殴り飛ばされ、地面に激突する。

 

「く……!」

 

土煙の中、立ちあがろうとするパルミラは忘れていた。

ここが祭りの中心部、敵地の真ん中である事を。

 

「オラっ催眠!!」

「……!!?」

 

謎の掛け声と共に、パルミラの体が一瞬固まる。

ジェシカとパルミラの戦いを観戦していた悪魔の一人が、パルミラにちょっかいをかけたのだ。

その隙をつくように、舞妓風の衣装をきた女がドスを構え、パルミラに斬りかかる。

 

「死ねどすっっっっ!!」

 

舞妓の一閃をかろうじて回避するパルミラ。

パルミラの金色の髪が二、三本、宙を舞う。

返しの拳を舞妓に見舞おうとパルミラが拳を構えるが、

 

「おでぇえぇ、敵! 殺すっっ!」

 

フクロウ頭の巨漢がパルミラをショルダータックルで吹き飛ばす。

パルミラは受け身も取れずに地面を転がった。

 

「………貴様、家畜人間だな?」

 

倒れ伏したパルミラに向かって、ジェシカが声を掛ける。

 

「か、家畜……!」

「コイツがあの……!」

 

周りの悪魔がどよめくなか、パルミラは周囲を油断なく観察していた。

 

(………あのデカい緑髪に、フクロウ頭……コイツら、めっちゃ強い……!! それに他の奴らも厄介っス……。一人一人は大した事なくても、こんだけいれば……)

 

負ける。

パルミラの頭にその三文字が浮かび上がった。

 

そして。

パルミラは、笑った。

 

(………く、ふひひ……!! 楽しい、楽しいっス!! ドイツもコイツも頑丈で、壊し甲斐がある!!)

 

ケタケタ、ケタケタと笑うパルミラに、周囲の悪魔がたじろぐ。

パルミラは自分の命に価値など感じていない。そういう生き物だからだ。

パルミラの頭にあるのはどうやって相手を壊すか。それだけだ。

 

「さぁ、行くっスよ!! 簡単に壊れないで下さいね!!!」

 

 

■■

 

 

180:1の婚約者

保守

 

181:1の婚約者

保守

 

182:1の婚約者

保守

 

183:1の婚約者

……あれ、もしかして自分以外、全員オフ会行った?

 

184:1の婚約者

………。

 

185:1の婚約者

……。

 

186:1縺ョ蟀夂エ??

ワイも行くか……。

 

縲格d:r187縲?87??縺ョ蟀夂エ??

 

縲格d:r187e縲九??

縲格d:r188縲?88???

 

縲格d:r188e縲九??

縲格d:r189夂エ??

 

縲格d:r189e縲九?

縺ョ蟀夂エ??

 

 

[ただいま地獄にて大規模な魔力嵐が発生しました]

[掲示板の接続が不安定になっております……]

 

 

■■

 

 

「おぁぁぁあぁっっっ!!」

「はぁああああぁああっっ!」

 

パルミラの拳がジェシカの体に穴を空ける。

ジェシカが全身を使ってそれを迎え撃つ。

 

先程と同じ光景が戦場の真ん中で繰り返される。

ただ一つ違うのは、パルミラの気迫。

パルミラは、ジェシカの攻撃を殆どガードしていなかった。

 

「ははは! きひ、くひひひっ!」

 

悪魔よりも悪魔めいた声を上げながら、パルミラは拳の嵐をジェシカに見舞う。

最早ジェシカの体は半分程が血煙と化していた。

それでもなお、ジェシカは引かなかった。戦いを止めなかった。

 

狩りの魔神と家畜人間。

二人はゼロ距離でお互いの返り血を吸い込みながら、殴り合いを加速させた。

 

 

「はい、そこまで。人の嫁にあんまり酷いことしないでくれる?」

 

 

突如として、戦いの間に割り込んできた気の抜けた声。

それに気を取られた瞬間、パルミラの体が吹き飛んだ。

 

「……えっ?」

 

ジェシカの口から間抜けな声が漏れる。

気づけばジェシカは長身の男にお姫様抱っこをされていた。

痩せぎすで、猫背な男だった。

白髪の髪から、品のいい顔がジェシカに向けられている。

白と黒の囚人服を見に纏い、手には鎖が千切れた手錠がはめてあった。

 

「や、はじめまして。やっと会えたね。我が婚約者どの」

 

そう言って猫のように笑う男の顔に、ジェシカは見覚えがあった。

 

「………べ、ベルゼ、ブブ……?」

「おや、オレの事を知っているのかい! これは説明の手間が省けた!」

 

ベルゼブブ。

地獄最悪の爆弾魔にして、地獄唯一の囚人。

痴情のもつれから何人もの大悪魔を爆殺し、臓物と糞が飛び散る爆破現場で呵々大笑する「糞山の王」。

悪魔も恐れるシリアルキラー。

誰が呼んだか、地獄七大やべー奴の一角に数えられる存在である。

 

そんな男に抱き上げられ、あまつさえ婚約者と呼ばれる今の状況を理解し、ジェシカの頬を冷や汗がつたう。

 

「あ、あの……」

「愛しき我が婚約者よ。少々この場は小蠅が多い。少し待っていてくれ、すぐに奴らの羽音を止めて見せよう」

 

ベルゼブブがそう言った瞬間、赤い異界の空に光が走った。

天上の光。聖なる光。天使の現れる兆候である。

 

「……この異界の騒動はテメェが主犯か。ベルゼブブ」

「酷いなぁサリエル。オレはたまたまこの場に居合わせただけだせ?」

「信じられるか、このゴミが」

 

(ゲーっ、七大天使………!!)

 

天使の群勢の正面に立ち、ベルゼブブと舌戦を繰り広げるのは、大きな鎌を持った真っ白な男。

七大天使が一人、サリエルだ。

 

宿敵である天使の幹部に、超弩級の狂人。

ジェシカにとって関わり合いになりたくない奴らのハッピーセットである。

 

(……コイツらが争っているうちに、逃げるか……?)

 

そう思い、ジェシカは逃げてしまおうと後ろを振り返る。

拳を構えているパルミラと目が合った。

 

全門の七大天使、後門の家畜人間。隣にはベルゼブブである。

 

(た、助けて………!!!)

 

内心で冷や汗を垂らしながらジェシカは助けをこう。

パルミラの単純な物理攻撃と違い、天使の浄化の光やベルゼブブの蝿爆弾(フライボム)はジェシカを殺しうる。

 

ジェシカが悪魔のくせに天に祈り始めた瞬間の事だった。

突如異界に振動が走った。

 

「何だ、何が起こった!!」

「さ、サリエル様! 龍が、龍が……!!」

 

その言葉を聞いてジェシカは顔を上げる。

空を見れば、確かに先程殺した筈の龍が何事も無かったかのように空を漂っていた。

 

そ(・)れ(・)も(・)複(・)数(・)。

複数の龍は異界の地面に絡みつき、その巨体を持って悪魔達の足場を粉砕しようとしていた。

 

「な、なんだぁっ!? なぜ龍がここに!!」

「さっき倒した筈じゃねぇのかよアイツ!!」

 

突如現れた、巨大な肉塊。

自分達の身を脅かす第三勢力に、天使、悪魔の双方に混乱が広がる。

 

「狼狽えるなお前達!! ……悪魔が混乱している? この事態はテメェらの仕業じゃないのか?」

「だからそう言ってるじゃん? ……なぁ、サリエル。手を組まないか?」

「あ? 何寝言ほざいてるやがる」

「状況が分かっていないのはお前だ。あ(・)れ(・)は(・)不(・)味(・)い(・)。人間界が滅びるぜ?」

 

ベルゼブブが指を指すのは、下。

異界に浮かぶガラクタで出来た地面の底。

 

そこには、巨大な赤子がいた。

一つの街ほどに大きな、真っ白な赤ん坊がいた。

体に不釣り合いな大きさの頭部を持つ赤ん坊は、瞬き一つせずにサリエルを見ていた。

 

龍の体は、その赤ん坊の頭部から生えていた。

赤ん坊の頭から、何千、何万と生えていた。

 

「……おいおい、コリャどういう事だ?」

「オ(・)レ(・)達(・)が(・)龍(・)と(・)呼(・)ん(・)で(・)い(・)た(・)存(・)在(・)は(・)、(・)実(・)は(・)生(・)き(・)物(・)な(・)ど(・)で(・)は(・)な(・)く(・)巨(・)大(・)な(・)生(・)き(・)物(・)の(・)髪(・)の(・)毛(・)の(・)一(・)本(・)だ(・)っ(・)た(・)。……1のレスが遅いから心配して顕現してみれば、恐ろしいのがいるじゃないか。たまには直感に従ってみるものだね」

 

「な、何だあれはぁぁっっ!?」

「ひぇええっっ、お家帰るぅうっっ!!」

 

突如現れた怪物に、悪魔も天使も恐慌状態に陥る。

天使はともかく、悪魔は面白半分でここに現れた烏合の衆である。そうなるのも当然と言えた。

 

ただ一人、パルミラだけが赤ん坊をじっと見つめていた。

 

「………フェネキア?」

 

 

□□

 

 

パルミラがフェネキアについて覚えていることはそう多くない。

ただ、彼女がいつも自分に向けてきた食欲については覚えている。

殺意にも似た、ねばつっこい視線。

唾液を垂らしながら「大きく育つのよ」と囁くその顔。

それだけは、鮮明に覚えていた。

 

「フェネキア……?」

 

パルミラはポツリと言葉をこぼし、彼女にしては珍しく焦った顔を浮かべる。

 

フェネキア。

パルミラの故郷で暮らしていた家畜人間であり、パルミラとその家族を魔術の実験により人間界に飛ばした張本人である。

天使達の話によれば、「美食家」という二つ名を持った悪い人らしい。

確かにパルミラから見ても、彼女は少し変だったような気がする。

 

目の前で浮かぶ赤ん坊と思い出の中のフェネキアの容姿は全く違うが、その体から放たれる肌を刺すような食欲は一緒だ。

 

「フェネキア、だと……? あれがかの「美食家」とでも言うのか!?」

「そ、そうっス。あの食欲は間違いないっス」

 

パルミラの隣にいた緑髪の悪魔が、唾を飛ばしてパルミラに食ってかかる。

パルミラは揺さぶられながら、悪魔の質問に答えた。

 

「ん……つまり、龍を動かしているのは「美食家」? 龍は人を取り込む種族では無かった……? ……いや、むしろ龍が人の魂に入り込まれやすい存在だったと言う方が説明がつくな」

「……つまり、どういう事っすかね?」

「「美食家」はあの龍を殺そうと……恐らく捕食しようとして、返り討ちに遭ったのだ。そして龍はその怨念に取り憑かれた、と理解していればいい」

 

今まで殺し合っていた相手に教えをこうのは、パルミラとしても不本意ではあったが緑髪の悪魔は素直に教えてくれた。

新しい体験に困惑しながらも、パルミラは殺到してくる龍の群れを見据える。

 

「……ウチは飛べないっス。援護をお願いしてもいいですか?」

「この状況だ、文句は言わん」

 

緑髪の悪魔はパルミラを抱き抱え、ふわりと空中に浮き上がる。

 

「……名前は、何て言うんスか?」

「ジェシカだ。ジェシカ・スタンプ・バルバトス」

 

 

 




この後は、ベルゼブブを追って異界に顕現したルシファーがベルゼブブにぶん投げられ、龍の本体の口の中に放り込まれたり。
ルシファーが作った隙を突いて、パルミラがポチを身に纏って龍の本体の中にある、フェネキアの魂目掛けてライダーキックしたり。
何とかパルミラのライダーキックから逃れようとしたフェネキアの魂を、ベルゼブブの蝿爆弾が吹き飛ばしたり。
龍との戦いが終わってジェシカに求婚しようとするベルゼブブが、ブチギレたルシファーに半殺しにされて地獄に連れ帰られたり。
身体能力が高すぎて普通の人間相手だと一緒に遊べないパルミラが、ジェシカを友達としてロックオンしたり。
自分の無力を実感したリラがデビルサマナーを目指したり。
そんな話を想定しておりました。

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