人間界に召喚されたったwwwwwww   作:烏何故なくの

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※別に完結ではありません


人間界に召喚されたったwwww(エピローグ)

目が覚めたジョージの視界に、最初に映ったのは真っ白な天井だった。

記憶が朧げなジョージはおもむろに辺りを見渡す。

清潔感溢れる部屋。

自分が寝かされている真っ白なベット。

自分が着ている見慣れない服。

 

「……病院?」

ジョージが呟いたと同時に部屋の扉が開く。

扉の外に立っていたのはリラだった。

 

「リ、ラ?」

「父さんッ!!」

ジョージは状況を把握できないまま、自分の胸に飛び込んで来た愛娘を受け止めるのだった。

 

リラ曰く、ジョージが倒れてしまったあと、リラも恐怖から気絶してしまったらしい。

その後、嵐が収まって救助に来た警察官に起こされたのだそうだ。

周りには焼け落ちたホテルの残骸があるばかりで、化け物は何処にもいなかったらしい。

 

とりあえずジョージは医者を呼ぶ事にした。

リラには数日分の食事の為の金銭を渡し、一旦帰ってもらう。

医者には軽度の全身打撲と腕の骨折と診断された。

自分の記憶では、もっと酷い怪我を負っていたはずだが、事実体の調子はそこまで悪くない。

 

「や、大丈夫か?奇跡的に軽傷らしいな」

ベットに戻ったジョージに、お見舞いに来てくれたらしい同僚が声をかける。

 

「2、3日後には退院できるらしい」

「おお、本当に奇跡的だな…。火事になって焼け落ちた建物の下から見つかって軽傷とか…。天使様でも来てくれたのか?」

「まさか」

ジョージは苦笑する。

実際にあそこでみたのは魔王の姿だ。

 

「いや、でもそうでもないと説明つかねえだろ。どんな確率だよ」

「まあ、そうだが………。話は変わるが、昨日の事件はどう言う扱いになったんだ?」

「廃ホテルの地下から銀の雨空の信者の焼死体が見つかってな。カルト信者が集団自決したんじゃねえかって言われてるな」

「……なるほど」

 

同僚が帰り、ジョージ一人になった病室の中。

ベットの上で昨日の化け物について考える。

結局アレは何だったのだろうか。

夢だと断言するには余りにもリアルだったし、現実だと断言するには余りにも現実離れしている。

あの悪魔は、何処に消えたのだろうか。

 

「……案外、本当に天使様が助けてくれたとかか?」

悪魔がいるなら天使もいてもおかしくはない。

いや、それは自分に都合の良すぎる考えだ。

そこまで考えた所でジョージは思考を打ち切った。

どれだけ思考を巡らせようと、今自分が出来る事は、体を休めて怪我を治す事だけだ。

 

 

 

□□

 

 

 

病室から帰宅したリラ。

彼女は机の上に買ってきたポテトチップスの山を置き、()()()()()()()()に声を掛ける。

 

「…とりあえず、父さんを治してくれた分の捧げ物持ってきたよ、ジェシカ」

 

「…はは」

リラの鞄から煙が溢れ出す。

小さな鞄の何処に入っていたのか分からないほどの煙が。

「はは」

煙がだんだんと形を成していく。

最初に足が。

次に腕が。

体が。顔が。

「ははっははははは!!!」

数秒と経たずに煙は女性の形を取った。

美しい女だった。

きらきらと輝くエメラルドの髪。

ひと目で高価だとわかる、絢爛なドレス。

手には黄金の杯が握られている。

女が口を開いた。

 

「わぁい妾ポテチ大好きやったぁ!!」

 

 

 

■■

 

 

 

612:1

妾大勝利〜〜〜〜〜〜〜イェ〜〜〜イ!!!!!

 

613:名無しの悪魔

まーだ言ってるよこいつ

 

614:名無しの悪魔

うざ

 

615:名無しの悪魔

カス

 

 

 

□□

 

 

 

「父さんを、助けてください、お願いします」

『……aaa?』

昨日、炎に包まれたホテルの中で。

リラの祈りを、化け物だけが聞いていた。

 

リラの言葉を聞くと化け物は少しの間、動きを止めた。

すると声が響いた。リラの脳内から直接溢れ出すような、ノイズのかかったような気持ち悪い声。

 

『は、ハ母はハハハはは!いいゾ、良いzO。助け手ヤロウ』

「え、は、なにこれ…」

『ただ市、だいしョ宇はもラッテいクがナ?』

 

(だいしョ宇?ーー代償?)

化け物はどうやら対価を求めているらしい事をリラは理解出来た。

 

「あげるわ」

リラは即座に答えた。

一瞬の躊躇いすらなかった。

 

「なんでもあなたにあげる」

命でさえリラには惜しくなかった。

どれだけの時間がかかろうと、この化け物の望むものを持ってくる決意があった。

 

 

 

 

「人間界のポテチうっま!うますぎて馬になった…」

「……」

 

あった。ので。

間抜け面を晒しながらポテトチップスを食べる悪魔に、リラはなんだか納得がいかないのだ。

 

 

 

■■

 

 

 

620:1

あの絶望的な状況から生還した妾の事褒めてくれる人〜〜〜〜!

あの状況下から契約者作って安定した魔力供給源ゲットした妾の事褒めてくれる人〜〜〜〜〜!

 

621:名無しの悪魔

いるわけねえだろ

 

622:名無しの悪魔

ぺっ

 

623:1の婚約者

は〜〜〜〜〜〜い!

 

624:名無しの悪魔

 

625:名無しの悪魔

いたわ

 

626:1の婚約者

生還してくれてありがとう

本当にありがとう

なんか貢ぐ?

 

627:1

いや別にいいよ…

 

628:名無しの悪魔

なんでこんなにイッチに対して好感度高いんだこいつ…

 

629:名無しの悪魔

やば

 

630:名無しの悪魔

そういえば契約者とはどうなったの?

 

631:1

普通に仕事内容に応じてお菓子とか貰ってる

 

632:名無しの悪魔

ふっつ〜〜〜〜

 

633:1の婚約者

体乗っ取ったりした方がいいんじゃない?

 

634:名無しの悪魔

お菓子ってなに貰ったの?

 

635:1

>>633

別に今んところそれするメリットないし

人間界では空気中の魔力濃度低いから契約者(魔力タンク)のことは大切にしたい

>>634

ポテチ貰った!

えるしっているか 本場のポテチは喋らないんだぞ

 

636:名無しの悪魔

マ?

 

637:名無しの悪魔

人間界のポテトチップスって喋らないんだ

 

638:名無しの悪魔

ザックーム配合されてないんだろうか

 

639:名無しの悪魔

喋らないポテチは食べてみたい

普通のはうるさくて食べる気がおきん

 

640:名無しの悪魔

むしろなんで地獄のポテチはザックーム入れてんだよ

 

641:名無しの悪魔

味がね…

 

642:名無しの悪魔

ザックームはうるさいしキモいがうまいんだよなぁ

うるさいけど…

 

 

 

□□

 

 

 

「ジェシカは、どうして人間界に来たの?」

「……さあ?」

「えっ」

昨日の事件。

結局アレは何で行われたのか、ジェシカに聞いてみるリラであったが。

 

「いや妾、召喚された直後にお前たちに会ったし。何で召喚されたとかは知らん……」

「ええ……。あなたがあの教団を牛耳ってた訳じゃないの…?」

思わず困惑の声が漏れるリラ。

 

「いや全然。確かに妾は悪魔だが、そんな全ての黒幕みたいに言われても、困る……」

「……ご、ごめん…?」

「第一妾だって被害者であるぞ」

 

つらつらと自分の苦労を語るジェシカ。

突然頭にショットガンをかまされて死ぬほどビビったのだの。

魔力切れそうで焦っていたのだの。

お前の父は多分人じゃないだの。

 

「な、妾だって大変だったんだぞ」

「…大変だったんだね」

「妾の事を憐れむ気持ちがあるならもうちょっと菓子の量を……な?」

「………まあ、いいけど」

 

わぁいわぁいと喚くジェシカを無視し、リラは自分の為に買ってきた弁当を開ける。

リラが思っていたより、この悪魔はとっつきやすいらしい。

 




「念話」:半径5m以内の相手の脳内にノイズ塗れのメッセージを伝えるクソ魔法。因みに呪文は音として発する事が大事なので「念話」を使って呪文を唱えても魔法は起こらない。
    


人と契約する→毎日安定して人間から悪魔に魔力が供給される。悪魔に頼み事をする際はそれにプラスして報酬を支払う必要がある。
人を食べる→悪魔が一度にそれなりの量の魔力を補充できる。
因みにゲットできる魔力の事を考えると契約した方が断然お得。

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