The past of the utopia's residents 作:parui
「フフフ············計画通りね」
燈台に灯る火に背中を照らされながら、窓から覗く満月を見る。
計画は順調だ。
中国で天人になれず、放浪してから数年たった今、私はここ日本にいる。
日本は古来からの神道とここ最近入ってきた仏教が覇権を争っている。
それを眺めているだけでも面白かったのだが、面白い人物を一人見つけてしまった。
豊聡耳神子だ。
彼女は仏教側だが、神道と仏教。両勢力を見ても彼女ほどの人物はいない。
そこで私は彼女に取り入り、道教を布教した。
一度は統治するのには適していない。と断られてしまったが、
その上で私が彼女に提案した内容はこうだ。
「民衆は仏教で支配し、徳の高い者や権力者達は道教で力を得てはどうか」
頭もよく、物事をよくわかっている神子は私の提案に乗った。
元より人の域を越えていた。
寧ろ越えるべくして生まれたような彼女は、今も着々と力を付けている。
それこそ恐ろしいほどの早さで。いつか大人物になるだろう。
それに徳の高い彼女は、
私達の前では自らを『偽政者』と称するほどにカリスマや演技力があり、
人民は彼女を信じきっている。
彼女を選んだことはミスではなかったのだ。
少し前から進めている計画の一部がある。
その内容を説明する前に述べなければならないことがある。
彼女が道教に惹かれた理由は『不老不死』だ。
彼女は大地や海は変わらず、人は死ぬことに不満を持っていたのだ。
私も彼女を不老不死にしようと思っていたので都合がよかった。
ただ、そのままなられてはあまり面白くない。
そこで私は、不老不死の研究をしていた彼女にこう勧めた。
『丹砂を飲めば、不老不死になるそうだ』
私が知っていて彼女が知らないこともある。
私はそれを使って騙すこともできる。
今回がそれだ。
研究途中であまり知識を持っていない彼女はそれを信じ、丹砂を飲んだ。
それが猛毒とも知らずに。
計算外があるとすれば、いつも彼女の傍にいる二人。
物部布都と彼女の妻蘇我屠自古、屠自古姫が飲んでいることだ。
まぁ、それはいい。
大した事態を招くようなことはないだろう。
話を戻そう。
彼女は今もなお、丹砂を飲み続けている。
これまでに飲んだ量を考えれば、もう助からないだろう。
尸解仙になることはもう、避けられない。
きっと、彼女は明日にでも「尸解仙になる」と、言い出すだろう。
そうなれば未来はどうなるか。それはわからない。
ただ、きっと面白いことになるだろう。
彼女も望み通り不老不死の体を手に入れることができるのだから悲しくはないだろう。
尸解仙にはなるが、不老不死になる。私は嘘は言っていないのだから。
全ては計画通り。
鼻唄を唄いながら、燈台の灯を消し、眠りに着く。
月明かりだけが私を照らしていた。
青娥回。
設定をまとめただけです。
それっぽいのがしたかった。
すぐ書いたので駄目ですが。