魔法科高校で龍は生きる   作:ドンマッシュ

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お待たせしました。ドンマッシュです。

いよいよ今話、タイトルの通り蓮司と達也の戦いが始まります!皆さんをわくわくさせられたらとても嬉しいです!

それではどうぞ!

※注意!!
今作品の戦闘は、魔法科高校の劣等生の設定を僅かでも壊す恐れがあります。そこはご容赦ください。


1‐10 蓮司VS達也(前編)

「蓮司君、魔法師に魔法の詮索するのがマナー違反なのは十分承知している。その上で聞かせてもらいたい。一体何をしたんだ?」

「敢えてタブーを破るその姿勢、嫌いじゃないっすよ先輩」

 

摩利の質問に対し、そう返す蓮司。魔法師は簡単に手の内を明かすわけにはいかないとは思うが、これは別に教えてもいいだろうと蓮司は判断した。話すつもりの蓮司の姿を、全員が注視した。

 

「つってもただ話すんじゃ面白くない」

 

そう言って蓮司は達也を指名する。

 

「つーわけで敢えて聞こうか達也。お前には俺が何をしたように見えた?」

「…正直根拠はない。どうやったかも分からない。それでも答えていいというなら…」

 

一度目をつむり、間を開け、そして満を持して答えた。

 

「俺にはお前が手足にサイオンを集めているように見えた。集めたサイオンを鎧のようにまとい相手の魔法を防御し、直接敵に触れることなく相手の体内にサイオンの塊をぶつけ、戦闘不能にした」

「正解だ。流石にいい眼を持ってるな。」

 

その回答に満足そうにする蓮司。そして周囲は信じられないといった表情をする。

想子。それは認識や思考結果を記録する情報素子である。人間の体内には想子が保有されており、それを消費し魔法師は魔法を使用する。これは俗に「魔法力」とも呼ばれ、これが多いほど大規模な魔法を使用することも可能である(実際には魔法演算領域など、その他の要因も関係しているため、イコールの関係ではないが)。

つまりサイオンは魔法を使うためのエネルギーのようなものだ。にもかかわらず、目の前のこの男はサイオンを消費して魔法を使うのではなく、サイオンそのものを活用して戦闘手段とした。しかもCADを介さず、直接だ。

皆が驚がくする中、改めて蓮司は想子を拳に集中させる。それは青白く光りながらも、一切の淀みを見せない。

 

「俺はサイオンコントロールが得意でな。この程度なら、CADを使わなくてもできる。そんでこれを応用すれば…」

 

そう言って手のひらをあずさの方へ向けた。すると…

 

サイオンの塊が手の形を形成しそのまま伸びて、あずさの頭をなでた。

 

「ひぃいいぃいやあああぁぁぁ!?な、な、ええ!?」

「こんな風に直接触れることもできる」

 

そんな蓮司はいたずらが成功したようで少し楽しそうだった。そしてこの場の全員が蓮司の実力を再確認した。実技試験1位。それはまぐれではなく、正しく評価されたものだった。これほどのサイオン量を誇り、ここまで微細なコントロールをCADを用いず行える。ならば実技試験は彼にとって容易いものだったのだろう。

 

(評価を改めなくてはな、蓮司。お前は本当にすごい奴だった)

 

達也は純粋に尊敬の念を抱いていた。自分にできるかどうかはともかく、自分には思いつかなかった新たな戦法を目にすることができた。未知との遭遇。それは研究者気質の達也には強い興味の対象なのだ。

 

「驚いたわ、そんな戦い方があるなんて…」

「ああ、特にCADが使えない緊急時には最適な手法だ。正直、彼ほどできる気はしないが…」

「加えてあの体術。戦闘訓練を怠っていない証拠だ。自らの強みを活かす方法をよく理解している。」

 

三巨頭がそれぞれ蓮司を褒めるそんな中で摩利は少し不安そうに尋ねた。

 

「ところで蓮司君、先ほど生徒会室で話していたことは…」

「すんません、頭に血が上りすぎてました。あれは取り消します。お騒がせしてすみません。」

 

蓮司は先程の「風紀委員は断る」発言を撤回し、謝罪した。元々この模擬戦は達也の実力を見るためのものだったが、それを蓮司が横取りした形だ。流石に非があると感じた蓮司は素直に謝罪することにした。

 

「それならいい。まったく君ときたら…」

「ていうか結局達也君の模擬戦はどうするの?はんぞーくん」

「…すみません、今は戦える状態ではありません」

 

服部は申し訳なさそうにそう答えた。正直、蓮司の一撃を食らってから今まで自力で立ててはいない。十文字に肩を借りている状態だ。そんな状態では、とてもではないが達也の相手はできないと判断した。

 

「なら…」

 

そこで蓮司は達也を指差し、

 

「一戦やらねえか、達也?はんぞー先輩に代わって俺が見てやるよ」

 

戦いを申し込んだ。周りが僅かに固まる中、達也はそれに答える。

 

「冗談はよしてくれ。あんな戦いを見せたやつに俺が勝てるわけないだろう」

「別に勝つ必要なんてねえだろ。要は先輩たちに実力を見せればいいわけだ」

「だが…」

「それとも深雪の目の曇り具合は正しかったのか?あいつは身内贔屓に現を抜かすような間抜けだったと?」

 

そこで蓮司は達也を挑発した。はっきり言って、発言の中身は分かりやすすぎる挑発だ。だがあえてそれをすることで達也を揺さぶる。深雪を愚か者状態にして放置するのかと、あえて言いきった。当然そんなことを言われれば…

 

「…お前は本当に人の発言に対して嫌なところをついてくるな。目ざといにも程がある」

「誉め言葉にしといてやるよ。…で?返答は?」

「いいだろう。お前の口車に乗ってやる」

 

達也が黙っているわけがない。ここに、未知の戦いが始まろうとしていた。

 

 

「ルールは先程と同じだ。続行不可能となった時点で試合終了とする。」

 

それぞれが配置につき、構える。ギャラリーは先程よりも盛り上がっている様子だった。

 

「ねえ、どっちが勝つと思う、リンちゃん?」

「単純に考えるならやはり龍童君かと。あのサイオンの鎧の前では大抵の魔法は意味をなさない可能性があります。達也君が突破できる可能性は低いのでは?」

「なるほどねえ。深雪さんはどう思う?」

「お兄様です。お兄様は負けません、絶対に。私は信じています」

「聞くまでもなかったわね…」

 

それぞれが勝敗の予想をする中、蓮司と達也はそれぞれのことを考えていた。

 

(蓮司の先ほどの戦い、身のこなし…荒くはあったが鍛え上げたものだ。奴に対して俺がどこまで予想を裏切れるか…勝敗はそこにかかっている。)

(特化型CADをいくつも身に着けてる。状況に応じて使う魔法を変えるなら汎用型を使うのが普通だが、恐らくそれじゃ遅く俺に対応できない。…だが狙いが読めねえな)

 

そうして考えている間に準備が整ったと判断し、摩利が合図をする。

 

「双方とも準備はいいな?それでは…」

 

摩利が手を挙げる。同時に両者の目が鋭さを増す。

 

「はじめ!!」

 

今、戦いの火ぶたは切って落とされた。

 

蓮司は瞬時にサイオンを拳に集中させ、そこから拳を伸ばして達也に殴りかかった。

 

(さあ、まずはどう出る達)

 

そこまで考え、同時に驚がくした。拳を放ったその先には…達也の姿は既になかった。

 

(…は!?いないだと!?)

 

ここで蓮司は初めて動揺した。一切の油断はしていない。むしろ今の攻撃手段は蓮司の持つ手段の中で最も使い慣れており、それなりにスピードのあるものだった。しかし達也はそれを遥かに上回る速度で目の前から消えたのだ。

 

(糞!どこだ!)

 

そして焦る思考は次への判断を鈍らせる。その間にも達也の魔法は完成していた。

 

気付けば達也は蓮司の後ろに回り込んでいた。そして達也は右手に構えたCADより魔法を放つ。放たれた魔法は蓮司の意識を揺さぶった。

 

「が!?」

 

突然の予想だにしない攻撃は確実に蓮司に隙を与え、達也にチャンスをもたらした。次の攻撃に移ろうとする達也。しかしここで今度は達也が驚かされることになる。

 

「があぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

蓮司が雄たけびを上げると同時に、蓮司の全身からサイオンの嵐が吹き荒れた。それに押され強制的に距離を取らされる達也。蓮司は先程拳にサイオンを集めたように、全身にサイオンをまとい、それを衝撃波のように解き放った。敵がどこにいるかを判断できないならば、周囲全てに攻撃すればいいという、なんとも荒業である。

 

(あいつのスピードは何だ?まさか一瞬で背後を取られるとはな…だがさっきの魔法、明確な隙があったにも関わらず、俺の意識を刈り取るまでにはいかなかった。恐らく、魔法は直接的な脅威ではない)

(距離を離されたか。なんて出鱈目なサイオンの嵐だ。あんな回避技を持っているとはな…だがそんなものが蓮司の本気とは思えない。)

 

互いに次の手を考える。そして先に動いたのはまたしても蓮司だった。蓮司は先程まで吹き荒れていたサイオンを、今度は自身の手足のみに集中させた。達也はそれを見て、すぐさまもう一度先ほどと同じように魔法を放つ。

しかし蓮司はそれよりもはるかに早く動き、今度は達也の背後を取った。

 

(背中を取るのはお前の専売特許じゃねえ!)

 

そうして拳を放とうとする蓮司。対する達也はこちらを見てすらいない。今度こそ一撃を食らわせようとする蓮司。

 

それに対し達也は。

 

先程魔法を放ったままの右手のCADは動かさず。

 

 

左手に持ったCADを蓮司の姿を見ずに向け(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)魔法を放った(・・・・・・)

 

 

瞬間、蓮司の拳に集まっていたサイオンははじけ飛んだ。

 

「は!?」

 

またしても驚がくに包まれる。そして達也は蓮司の服の袖をつかみ、背負い投げの要領で地面にたたきつける。

 

「がっ…!」

 

苦悶の声を上げる蓮司だが、ここで足に集めたサイオンの脚力を活かし、もう一度距離を取る。そして蓮司はさらに思考を加速させる。

 

(複数デバイスの同時操作だと!?そんなもん普通魔法が相互作用を起こして発動できなくなるのがオチだろうが!)

 

だが蓮司にとって驚くべきところはそれだけではない。

 

(さっきの魔法。俺の記憶違いじゃなけりゃ…術式解体か。圧縮したサイオンの塊をぶつけ対象の術式を弾き飛ばす対抗魔法)

 

そこまで思考が進み、はじかれた自分の手を改めて確認する。

 

(サイオンの塊だから、直接の術式でなくても弾き飛ばせたってっことか。たく、俺もまだまだだな。こいつ、技巧派かと思ったらとんでもないパワーファイターじゃねえか)

 

一方、達也も同様に思考を加速させた。

 

(今のでも仕留めきれなかったか。地面に当てる瞬間、背中からサイオンの鎧が出ていた。そんな緊急回避技もできるとはな…予想に反して、器用な奴だ)

 

戦いは、まだ終わらない。

 

 




はい、というわけで第10話でした。いかがでしたでしょうか。

蓮司君は確かに強者ですが万能ではありません。それにまだ15歳の高校生なので、まだ精神的には子供なんです。未知の相手に、最初から最後まで冷静では戦えません。蓮司君は「未熟な強者」なんです。
そして披露された達也君の実力。正直、どこまで手の内を曝すかは迷いましたが。術式解体までならこの場に集まった生徒たちに見せても問題ないだろうと判断し、披露することにしました。
あとさらっと流れていますが、お互いの評価が逆転しています。

蓮司から見た達也 技巧派→パワーファイター
達也から見た蓮司 力技主体→繊細派

こういうのは書いてて楽しいです。

さて次回、後編第11話に移ります。決着はどう着くのでしょうか。予想もしてみると楽しいかもしれないですね。

では次、第11話でお会いしましょう。それでは!
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