魔法科高校で龍は生きる   作:ドンマッシュ

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いつもありがとうございます。ドンマッシュです。

さて、前話に引き続き今回も趣味全開です。
個人的には書けて嬉しい内容にできました。やっぱり自分の好きな展開にできたり、好きなキャラとの絡みをできるととても楽しいです。

それでは、どうぞ!


1‐14 心のままに

校門前でほのか達3人をみかけた蓮司は、その行動の怪しさからその3人の後を追うことにした。そうしてしばらく経った頃、3人が追っていた男子生徒が急に走り出したかと思うと、バイクに乗った集団に取り囲まれていた。しかもその者たちはキャスト・ジャミングを使い始めた。

 

(なるほど、あいつらがそうなのか…)

 

その時、蓮司は襲撃者たちに魔法を使用する準備をしながら、入学二日目の校門前で騒動があった日の夜のことを思い出した。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

『そうそう、君に伝えなければならないことがいくつかあるんだ』

「…なんだよ」

『君の学校、浸食されてるんだよね』

「…どこにだ」

 

蓮司は視線を鋭くした。こういう話の切り出し方をするときは、大抵”裏”の話の時だった。蓮司は意識を切り替えた。

 

『組織名は<ブランシュ>。反魔法政治結社で、社会的差別の撤廃、真の平等を謡いながら、その実態は立派なテロ組織さ』

「反魔法だあ?そんなもんになんで魔法科高校の生徒が賛同する?寝ぼけてんのか?」

 

蓮司は本気で意味不明だった。魔法を学ぶ身でありながら、魔法を否定する。何がしたいのか本気で理解できなかった。

 

『言っただろ?奴らが提唱しているのは”真の平等”さ。そんな夢のような話があれば、君の学校にいる二科生という弱者たちは食いつかずにはいられない。所詮は弱い人間なのさ』

「………」

 

蓮司は黙っていたが、静かに怒っていた。彼は”平等”という言葉が心底嫌いだった。

 

『で、そのブランシュなんだけど、最近になって急速に君の学校の生徒を急速に取り込んでいる。その速度を考えるに、近々何かを仕掛けるかもしれない』

「……」

『加えて奴らは対魔法師用に、アンティナイトも仕入れているようでね。キャスト・ジャミングには気を付けるんだよ。意味ないかもだけどね』

 

そこまで話し、今度は蓮司へ忠告を入れる。

 

『くれぐれも勝手に始末しないでくれよ。君が嫌いなタイプの”人間”どもに違いはないけれど、下手に手を出せばこちらも動きにくくなる。我慢は大事でちゅよ、蓮司きゅん?』

「最後の最後におちょくるんじゃねえよ中古女!」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

そこまで思い出しながら、近くにあるごみ箱を蹴り飛ばした。その直前に、硬化魔法をゴミ箱にかけ、さらに加速魔法を蹴ると同時にかけた。結果、鉄にも匹敵する強度を誇るゴミ箱が音速に近い速度で吹っ飛んでいった。そんなものが当たればどうなるか…答えは目の前の現象だった。

 

ナイフを振りかぶった襲撃者の腕に当たり、その襲撃者の腕を吹き飛ばした。一瞬何が起きたか理解できなかったようだが、遅れてやってきた痛みと視界に自身の腕がないことから状況を理解し、叫び声をあげた。

 

「…へ、な?あ、ぎゃあああああああああああ!!!」

「悪いなおっさんよ。こいつら、うちの学校の生徒で、俺の知り合いなんだよ。手出し無用で頼む」

 

襲撃者の一人が叫び声をあげたところで、その者を回し蹴りの要領で蹴り飛ばし、壁に激突させ気絶させる。着地したところで後ろを確認し、声をかけた。

 

「ようお前ら。この間ぶりだな、相変わらず仲がいいようだな」

 

「蓮司さん!!!」

 

ほのかがそう叫んだ。遅れて、雫と英美も蓮司を確認する。

 

「れ、蓮司さん…?」

「蓮司君、何でここに…?」

「お前らの挙動が怪しかったからな。結果的に正解だった…まあ、あれだな。巡り合わせってやつだ」

 

そんな呑気なことを言いながら襲撃者の方へ振り向く。

 

「な、なんだこいつ!?」

「糞!早くキャスト・ジャミングの出力を上げろ!」

 

襲撃者たちはそう言い放ち、さらに強力なキャスト・ジャミングをかけた。当然近くにいたほのか達は強烈な痛みを覚え、倒れこむが…

 

「…で?他にやることねえのか?」

「な、効いていないだと!?ばかな、一体なぜ!?」

「たかが”人間”が放った妨害擬きが俺に聞くわけねえだろ」

 

そう言いながら、両手にサイオンを集め、目の前の人物に正拳突きを食らわせる。内臓破裂を起こすほどの強い衝撃に、吐血しながら倒れこむ。

 

「ひっ!?」

「後はてめえだ」

 

そう言いながら、最後の襲撃者の背後に瞬時に回り込み、両腕を掴む。そして…

 

「ま、待て、待ってくれ!」

「なんだ、腕が大事なのか?」

 

そこで襲撃者は蓮司の姿を視界に収め、愕然とした。

 

蓮司は嗤っていた。これ以上ないほどに。それを見た瞬間、自分の命運を悟った。

 

「まあ、命までは取らねえよ…腕はもらうがな、文字通り」

 

そう言って、肩関節をありえない方向に思い切りひねり回し、腕をもいだ。

「っっっっ!!??」

 

ありえないほどの痛みに白目を剝いて気絶した。そしてそいつを蹴り飛ばした。

 

こうして僅かな時間で鎮圧は完了した。その後、蓮司は美琴に連絡を入れた後、3人を担ぎその場を離れた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「…ん」

「…ここ、は…」

「ん~~~、まだ頭痛い気が…」

「よう、起きたかよ」

 

キャスト・ジャミングの影響で気絶していた3人を少し離れたところに移動させた後、3人は目を少しして目を覚ました。代表して雫が話しかける。

 

「…どうなったの?」

「敵の鎮圧は完了した。すでに通報済みだ、後は大人に任せるさ」

「そっか…」

 

そこまで話し、雫と英美がそろって頭を下げた。

 

「ありがとう蓮司さん。おかげで助かった」

「まさかあんな目に合うとはね~~、ホントにありがと」

「おう、まあ予想外なこともあったとはいえ、無闇な尾行は避けた方がいいな」

 

そこまで話し、ほのかの方を見た。その顔は少し青ざめており、今になって恐怖が蘇ってきたようだ。

 

「あ、その…蓮司さん、わ、わたし…」

 

どうも感情が整理できていないようだった。英美と雫もどう声を掛けたらよいか迷っているようだった。

 

「……」

 

蓮司はただ黙って次のほのかの言葉を待ったが、いつまで経っても次の言葉が出てこない。それも当然と言えた。魔法師とはいえほぼ一般人に近いほのかは、対人戦闘など経験がないはずだ。しかも先ほど、3人の中で真っ先に命を狙われたのだ。怖かったに決まっている。

 

(あ~~~、どうするか…)

 

蓮司はこういうときどう声をかけた良いか、そんな知識は持ち合わせてはいなかった。なんとか記憶を遡っていくと、不意に美琴の言葉を思い出した。

 

『君は自分には“心”がないと本気で思っているのかい?そんなことはないさ、君にだって”心”がちゃんとある。』

『つらい時にはつらいと言えばいいし、泣きたくなったら泣けばいいじゃないか。時には”心”に従ってみるのもいいものだよ』

 

“心”に従い感情を表す。かつてはバカにしていたことだが、今はそれが必要かもしれない。ほのかはきっと、心を整理できていないのだ。

 

そう判断した蓮司は、ほのかに目線を合わせ…そっと頭をなでた。

 

「……」

 

突然の蓮司の行動に驚くほのか。今までの彼の言動を思えば皮肉や静かな叱責があるものと思っていただけに、うまく反応が出来なかった。

 

「れ、蓮司さん…?」

「…怖かっただろ」

「……っ!」

「怖かったならそう言えばいい。苦しかったならそう言えばいい。それを感じることは何も悪いことじゃねえ」

「……」

「だから思ったことを言ってみろ。1つ1つ、ゆっくりと」

「……」

 

そう、まっすぐな瞳で言われ、心の中が1つ1つ整理されていく。

そうして少しずつ言葉が紡がれる

 

「…怖かった…」

「ああ」

「すごく頭が痛かった」

「ああ」

「…ナイフで刺されるかと思った」

「ああ」

「…本当に…本当に…死ぬかと思った!!」

「そうだな」

「怖かった!死にたくなかった!」

「…ああ」

「ごめんなさい、ご、ごめんなさい!!」

「…それはもういい」

「で、でも…嬉しかった…助かって、助けてくれて、蓮司さんが助けてくれて!」

「…そうか」

「ありがとう…ありがとうございます…!」

「おう、どういたしまして」

 

そこまで口にし、次第に涙が溢れ、感情のままに流れ始めた

 

「う…うぅ、ひぐ、うええええん!うああぁぁあああ!!」

 

ついには大声をあげて泣き出すほのか。蓮司は雫に視線を送り、その意図を察した雫はほのかの傍に寄り、そっと抱きしめる。

 

「…なんだ、そんな男前なこともできるんだ、蓮司君」

「…うるせえよ」

 

それからしばらくの間、ほのかの泣き声が続いていた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「ごめんなさい…」

「…まあ、思ったことを言えって言ったのは俺だしな、気にするな」

 

泣き止んだほのかは、今度は顔を真っ赤にしてすごく恥ずかしそうだった。同年代の男子に慰められたのだ。年頃の女子たるもの、男子と至近距離でいたこと、その男子の目の前で恥も外聞もなく号泣したとなれば、恥ずかしさが込み上げてもおかしくはなかった。

 

「それに、危険な目にあったとはいえ、おかげで1人黒判定の奴もいたからな…」

「え?」

「いや、なんでもねえよ」

 

独り言は誤魔化し、蓮司は3人に改めて話しかけた。

 

「それよりお前らも今日は早く帰れ。キャスト・ジャミングなんて真正面から食らったんだ、疲れがまだあんだろ」

「うん、ぶっちゃけまだちょっとダルい感じはあるなぁ」

「ゆっくり休め、そんでまた明日な」

 

蓮司はそう言って3人を駅まで送った。あのまま放置することは危険と判断した蓮司は、駅まで送ることにしたのだ。

 

「それじゃあね、蓮司君!」

「またね、蓮司さん」

「蓮司さん…本当にありがとうございました!」

「おう、じゃあな」

 

そう締めくくり、蓮司は3人と別れた。

 

 

蓮司が帰宅した直後、連絡が届く。本当なら出たくはないが、今はそんなことを言っている場合ではない。蓮司は連絡に素直に応じた。

 

『やあやあ蓮司君。ヒーローになった気分はどうだい?しかもちゃっかり女体を堪能するなんて、君もなかなか隅に置けないねえ』

「うるせえ毎回毎回うぜえ入り方するんじゃねえよ」

 

連絡主はいつもの如く霊峰美琴。襲撃者を撃退した後に連絡を入れ、頼んだ奴らの回収と情報収集を頼んだ。そのためにわざわざ殺さなかったのだ。

偉かったなと、蓮司は少しだけ自画自賛していた。

 

『まあ君が特に意味のない優越感に浸っているのを見るのも飽きたし、すぐに話に入ろうか』

 

そう言って話を再開する。

 

『まず彼女たちがつけていた生徒に関連してだけど、司甲には義理の兄の司一がいるんだけどさ、これがブランシュ日本支部の表裏のリーダーみたいだね』

「身内にんなもん抱えるとかまじかよ…」

『司はその兄に洗脳されているみたいだね。魔法科高校に入学したのもその兄の指示さ。そして徐々に浸食していった』

「数年越しの計画だったわけか…で?」

『近々具体的に行動を起こすらしい。狙いは魔法理論の情報さ。それを売ろうとしているんだよ』

「…思った以上に下らねえな。そのブランシュも、それに汚染されたやつらも…。俺がこの世で最も嫌いなタイプの人間だ」

 

蓮司に殺気が現れ始める。それを美琴は制止した。

 

『だから殺気を押さえ給えよ君…。そんなものより性欲に貢いだ方が遥かに生産的だ』

 

彼女からまたいつものようなセクハラ発言が出るが、今はそれがほんの僅かにありがたかった。

 

『とにかく気を付けたまえよ。それとあまり血をまき散らさないでくれ、掃除が面倒だ。それじゃあね』

 

そう最後に締めくくり、通信が終わった。

 

蓮司はその場から離れ、窓から空を眺めた。

 

「”平等”、”差別の撤廃”…いつだって阿保がいるもんだ…」

 

 

 




はい、というわけで第14話でした。いかがでしたでしょうか。

戦闘描写ってやっぱり難しいですね...今回は蓮司君の残酷さも出していきたいなと思い書いていました。学校内の彼はほんとに人を殺さないようにしているんです。しかし相手はテロリスト、しかも学校外で誰の指示も受けていなかったため、こんなことになりました。皆さんはこんな蓮司君どうでしょうか?ちなみに基本スタンスは変えませんのでそのつもりで。
そしてほのかちゃん。ヒロイン未定とか言っときながら、なんかヒロインやってんなぁと思いましたが、カップリングの確定ではございません。前回のあとがきで載せましたが、物語は始まったばかりです。

さて、今回はここまでです。
いつもたくさんの方に見ていただき、本当にありがとうございます!メッセージや感想にもお返事をしていきますので、よろしくお願いします。

それでは次回、第15話でお会いしましょう。それでは!

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