今回、あまり進展がありません。細かく話を区切るとこういう話も出てきてしまいます。
基本的に直接蓮司君に関係のない部分は端折らせてもらいます。なので、初見の方はよく分からないところもあるかもしれません。
それでは、どうぞ!
※さっき間違って中途半端に投稿してしまいました。すみません!
有志同盟所属の生徒たちが放送室を占拠するという騒動のあった翌日。全校生徒の半数が講堂に集まっていた。それは本日行われる、生徒会と有志同盟の討論会に参加するためだ。思った以上に暇人が多かったことに呆れる蓮司だった。
「出来レースにも程があんだろ。無駄以外の何でもないじゃねえか…」
「だが開催したことにも意義がある。それに、真由美は本気だ。本気でこの差別の問題を解決しようと真剣になっている」
「上の立場の人間はご苦労なこった。ところで…」
そこまで言って蓮司は周囲を見る。蓮司のすぐ傍には、会話の相手だった摩利をはじめ、達也、深雪、服部、鈴音、あずさ、十文字と、実力者が集まっていた。
「何で俺を取り囲むようにいるんすか。暑苦しい」
「昨日の暴走を覚えていてそんなことを言っているのか君は!?確かに風紀委員に勧誘したときにフォローをするとは言った!だが昨日のようなことを早々起こさせるわけにもいかんだろう!」
「あれは奴らの主張が気にくわなかっただけですよ…つーか、だったらそもそもここに俺を呼ばなきゃいいだろうに…」
そこまで話すと、今度は十文字が話し始める。
「いや、ここに生徒が集中する以上、何かあった時にすぐ動けるようにしておきたい。指示系統を確立するためにも、お前には今はここにいてもらう」
「まるで何が起きるか分かってるみたいっすねえ…」
そうぼやくと、十文字はそれ以上は喋らず、摩利は気まずそうに目を逸らした。
(ブランシュのことなら知ってんだけどな。…あと、奴らの目的を考えたら、ここにいるべきじゃねえし)
だがそれ以上は野暮と考え、何も言わなかった。そうしている間に討論会はスタートした。
だが結果は初めから分かっていた。有志同盟の主張は過程を無視して生徒会を一方的に悪者のとするもの。それに対して真由美が代表の生徒会の説明は現状を正しく述べたものである。討論会という名の完全な真由美の独壇場だった。
「帰っていいすか」
「駄目だ」
蓮司がため息をついていると、真由美が最後の締めに入った。それは、一科生と二科生の双方に潜在する差別意識の撤廃を目標としていること。そのためにまず、生徒会役員の選出についての制限の撤廃を公約とすることを挙げた。真由美が話を締め終わると、今度は大きな拍手が講堂に響き渡った。こうして討論会は終了となった。
(そろそろか…)
すると突然、行動に轟音が鳴り響き、武装集団が侵入してきた。しかしそこは予測していた蓮司だ。轟音の瞬間に魔法を発動させ、侵入してきた襲撃者に何もさせずに撃退していた。
もちろん、さんざん真由美や摩利にこれまで注意をされてきていたのでちゃんと手加減し、骨折程度に押さえている。とはいえ、あらぬ方向に折れ曲がっているため、見た目はかなりグロテスクだったが。
「手加減して、流血沙汰も起こさなかった。十分優しいだろ」
『…』
蓮司の周囲にいた全員が何とも言えない表情でいる中、蓮司は平然とそう言い放った。
そして、それぞれが事態の鎮圧化を図るため、行動を開始した。その途中で達也たちは、カウンセラーの小野遥から情報を聞き、図書館へ向かった。蓮司は直接襲撃されている広場へ向かった。
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時刻は襲撃の少し前に遡る。達也のクラスメートである、レオ、エリカ、そして美月は3人で集まっており、もうすぐ帰ろうとしたところだった。
「しかしよう、討論会ってなんか意味あんのか?差別の撤廃っていうけど、こういうのって大概ろくなことにならねえんだが」
「まああの生徒会長なら何とかするでしょ。ていうか、どう考えてもあの生徒会長が負けるとは思えないし」
「確かに、会長さんならどうにかできそうですよね」
3人はそれぞれ思い思いのことを話していた。しかしその時、美月はまた別のことを考えていた。
それは数日前に、剣道部の司甲という生徒にとあるサークルに誘われたことであった。内容としては、自身も抱える『眼』について悩む者たちが集まる者であり、そのサークルの活動で随分改善されたから一緒にどうか、というものだった。
ここで言う『眼』とは、正式名称『霊子放射光過敏症』と呼ばれる症状を持つ者の眼のことである。
『霊子放射光過敏症』。それは意識して霊子放射光を見えないようにすることができない知覚制御不完全症であり、「見え過ぎ病」とも俗称される。要するに、サイオンやプシオンといった情報体が見えすぎるのだ。今の時代で美月のように眼鏡をかける場合は、お洒落のための伊達眼鏡を除き、多くがこの症状を抑えるためのものである。
特に美月はその症状が際立って強く、眼鏡もその分強固なものになっている。その力ゆえに、美月は幼いころから苦労をしてきた記憶がある。
そんな中でそのようなサークルに誘われた。途中で達也が来て勧誘は中断されたが、もしあのまま誰も現れなかったらどうなっていただろうと何度も思う。意志の弱い自分は、きっと流されるままにそんな怪しげなサークルに入っていたかもしれない。
(そういう時、皆ならどうするだろう…)
美月の仲のいい友達は、気が強いものばかりだ。唯一気弱に思えるのはA組のほのかのみで、他の友達たちはそんなもの撥ね退けてしまうだろう。
(あの人ならどうするかな?)
ここで美月は、蓮司ならどうするだろうと考えた。
龍童蓮司。美月の友達の中でも、一際目立つ存在。初対面の時の印象はとても強いが、その後の抜けた感じや、食欲旺盛な姿を思い出すと、少し笑いが込み上げてきた。まるで大きな子供だからだ。
蓮司ならきっと他の皆と同様に、そんな勧誘を撥ね退けるだろう。いや、もしかしたら、勧誘してきた相手を捻り潰すかもしれない。「邪魔だ」と一言呟き、相手をきっと撃退するだろう。
(…うん、なんか考えるだけ無駄かも…)
そう美月は結論付けた。結果的に自分はそれを断ってここにいる。何より、長年苦しんだこの『眼』のことを、そんな簡単に解決されても困った。
「美月―!どうしたの?早く行こー」
考えに耽っていると、不意にエリカに呼ばれた。どうやら考え事をしながら立ち止まっていたらしい。エリカとレオは少し先を歩いていた。
「うん、今行くね」
そう言って二人のもとへ進もうとしたとき。
突然講堂の方から轟音が鳴り響いた。
「きゃああっ!」
「な、なに!?」
「おい、見ろ!校門の方!」
爆発音が鳴り響いたと同時に、校門から突然武装集団が侵入してきた。
「侵入者!?」
「くそ、何なんだよ!?」
「落ち着きなさい!あんたは美月の傍にいてあげなさい!あたしはあんたの分も含めてCAD持ってくるから!」
周りが混乱する中、エリカは真っ先に行動を開始していた。いくら自分に武術の心得があるからとはいえ、CADもないこの状況ではあまりに危険である。
少しすると、風紀委員の応戦も始まった。恐らく、最初から警戒していたのであろう。慌てふためく様子は見受けられなかった。
エリカが戻るまでの間、レオは美月を守ることに専念していた。
しかしそこへ、武装集団の1人が突撃してきた。レオが下手に動けば美月が危険にさらされる。しかし何もしなければ2人とも危ない。
どうする、とレオが少し考えた時だった。
「へえ、そんな男らしいこともできんだな、お前。ただのいびられ役じゃなかったってか」
そんな呑気な声が聞こえたかと思うと、目の前の襲撃者が吹き飛ばされていた。声のした方へ顔を向け、思わずレオは笑みが込み上げる。美月も同様に安心の笑顔を浮かべた。
「おせーぞ、帝王さんよ!」
「龍童君!」
「誰1人殺すなってうちの委員長に言われてたからな。文句があるならそっちに頼む」
相変わらず呑気な様子の蓮司だったが、その視線はしっかり敵を捕らえていた。
そして
「おい、生徒ども!今すぐこっちに後退しろ!巻き添え食って死んでも知らねーぞ!」
そう大声を上げると、その場の風紀委員も含めて、全員が蓮司の方へ向かってきた。突然の命令だったが、あの”恐怖の帝王”が発したものだ。しかも今は緊急事態。下手に逆らえば碌な目に合わないことは、多くの生徒が新歓の際に知っていた。
全員の避難は完了していない。それでも、後退してくれさえすればそれで十分だった。
蓮司が自身のCADを操作すると、一瞬で魔法陣が数多に形成され、侵入者たちに向かって行った。そしてもうすぐ侵入者たちに届こうとしたところで。
放たれた魔法弾が爆発し、その衝撃が侵入者たちを弾き飛ばした。爆発する方向は操作されていたようで、後方の避難中の生徒達には風が凪いだ程度で被害はなかった。
侵入者たちは地面に強く叩きつけられ気絶するか、壁に激突して戦闘不能となっていた。たった1つの魔法で敵は完全に鎮圧された。その光景に、ほとんどの生徒は唖然とする。
「俺は他の現場に行く。お前らはそこの風紀委員の指示に従って避難しとけ。まあ、やる気満々のやつは遊撃に参加するといい」
そう言い残し、その場から消えた。少ししてエリカが戻り、様子を聞いた際は悔しそうにしていた。そしてレオとエリカは遊撃に参加し、美月は避難指示に従って移動することとした。
その後、レオとエリカは達也と深雪と合流。敵の目的が図書館の魔法資料だと知りすぐさま行動を開始し、侵入していた賊を制圧した。
エリカはその場にいた壬生紗耶香と交戦し、見事撃退した。
一方、襲撃者の侵入を手引きした司甲は、風紀委員の辰巳鋼太郎と沢木碧に取り押さえられ、ブランシュによる襲撃はここに完全に終わりを告げることとなった。
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(すごかったな…)
美月は風紀委員の指示に従い避難する中で、先ほどの光景を思い出していた。異名を付けられるほどに有名な人物の魔法を、美月は初めてその『眼』で視たのだ。
(あんなに淀みのないサイオンの流れは初めて。あんなに…綺麗な光は初めて見た…)
美月が見惚れたのは魔法そのものではなく、魔法を使う際の蓮司のサイオンの光だった。どんなにサイオンをうまく扱う人でも、淀みが普通は出てしまう。だが彼にはそれがなかった。何よりも…
(人が魔法を放つときとかに、本当にたまにだったけど、私にはそれがイメージみたいに視えるときがあった。)
(龍童君が魔法を使ったとき…まるで…)
(まるで…龍のようなオーラだった…)
(あれは…何だったんだろう?)
美月の『眼』に映った不思議なイメージ。あれは何だったのか。その答えが出るのは、まだ先の話である。
はい、というわけで第16話でした。いかがでしたでしょうか。
今回の話の部分、入学編の中では結構重要な位置づけになるんですが、全力で省略いたしました。理由は蓮司君が興味がないからです。
なので襲撃犯や主導した生徒についてはあっさりとしたものになってしまいました。襲撃の部分を楽しみにしていた方、本当にすみません!
代わりと言っては何ですが、美月ちゃんと蓮司君の絡みをオリ展開として追加しました。これ実は、個別メッセージを以前いただきまして、美月についてリクエストを頂いたことから載せてみました。今回載せた以上、今後も継続していきたいなと思います。これで美月ちゃんがヒロインの可能性も出てきたか!?
それでは今回はここまでです。次回は17話となります。なお、次回は現在執筆途中ですが、シリアスになる予定です!楽しみにしていてください!
それでは次回、第17話でお会いしましょう。それでは!