週2,3話と言いましたが、最初の方なので連投することに決めました。
今話は入学式です。もう少し原作キャラが登場します。
それでは、どうぞ。
入学式の会場に着いた蓮司は席を探す。しかし一通り見回して
「はぁ~~~~…だる…」
早速ため息をついていた。それも盛大に。
見回して分かったが、席は前側と後側できれいに分かれていた。前は一科生、後は二科生。いっそ清々しいほどに二分されていた。
「たかが成績で何をそんなにいきってんだか…これだから魔法科高校なんてのは…」
しかしそう言っている間に続々生徒が入ってきたため、大体真ん中あたりの席を見つけ、座った。だからと言って周囲と何か話をするわけでもない。普通の生徒なら交流を深める意味合いも兼ねて何かしら会話を弾ませるものだが、生憎と彼は普通ではなかった。
「寝るか…」
そう口にして眠ることを決めた。そしてそれから僅かな時間の後、彼は熟睡を始めた。会場の明かりがちょうど薄暗かったことも後押ししたせいもあった。
そして規定の時間となり入学式が始まったが、彼は一切起きることはなった。ほとんどの生徒がくぎ付けとなった主席入学者である司波深雪の代表挨拶においても。
「ちょっと君、さすがに起きてないとまずいんじゃないの?」
「無理だね、これだけの歓声の中でも起きないならどうしようもないよ。ある意味のスターさ」
女生徒が隣でそんなことも話していたが、蓮司はそれでも起きることはなかった。
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―…ぇ、ねぇ、ねってば!いい加減起きてよ!!」
「んあ…?」
呼び起されて、蓮司はようやく目を覚ました。寝ぼけ眼で声のした先を見る。
目の前には二人の少女がいた。一人はルビーのような光沢のある赤毛が特徴的な、いかにも怒ってます、という雰囲気が漂っている。もう一人は眼鏡をかけた女子にしては高身長であり、やれやれと呆れたような雰囲気である。
「どうした、何かあったか?」
そう言うと二人はそれぞれの雰囲気をますます強くした。
「何かあったか、じゃないよ!?隣の席に座った時から寝てたし、最初はそっとしといたけどまさか入学式の間まったく起きないなんて思わなかったもん!」
「前日夜更かしでもしていたのかい?あれだけの歓声の中でも眠り続けるなんて」
そう言われて状況を理解した。どうやら自分は最初から最後まで眠りこけていたらしいと。蓮司はこの儀式に一切の興味がなかったからある意味仕方ないのかもしれない。少しでも意識が向いていれば変化があった時に起きたはずだからだ。
「悪いな、塵ほども関心が湧かなかったんだ」
「それを言い切る君もすごいね!?」
赤毛の少女は大げさに驚いたが、きっと本心なのだろう。嫌味な感じはしなかった。
「んで爆睡してた俺を起こしてたのか。悪かったな、手間をかけた。」
蓮司は素直に謝罪した。自分に非があるときは素直に謝ることにしていた。
「はい、どういたしまして。それより早く移動しよう?もう皆行っちゃったよ」
「この後何かあるわけではないけれどね。自分のクラスを把握しておかねば明日笑いものにされてしまうさ」
そう言って眼鏡の女子は髪をサラリと払った後、眼鏡に指先を当ててポーズのようなものをとった。一見するとまるで役者のような素振りだったが…
(こいつ、この感じは…)
蓮司はその違和感に気づいた。
「あ~~、これはね…」
「認識阻害の類か。だから敢えて自分を大げさに表現することでそれ押さえている、と」
赤毛の生徒が説明しようとし、先に蓮司がそう呟くと、二人は驚いた顔をした。
「すごいな。初対面で、しかも一度見ただけで見抜かれるとは思わなかった」
「生憎と、そういった感覚的なものは敏感な方でな。ところでそろそろ移動したほうがいいって話だったか」
そう言うと二人は落ち着きを取り戻したようだった。
「そうだね、そろそろ行こう」
二人とともに移動をし始める。と、そこで
「そういえば自己紹介してなかったね」
と、赤毛の女子が振り返る。同時に眼鏡の女子も振り返る。
「私は明智英美、よろしくね!」
「僕は里美スバルだ。以後、よろしく頼むよ」
「龍童蓮司だ。まあよろしく」
そう言葉を交わし式場を後にした。
「二人とも、クラスはどうだった?私はB!」
「僕はDだったね、エイミィと別れてしまったか。龍童君はどうだい?」
「Bだ」
「やた!知り合いが一人でもいるといいね!」
そんな話をしながら廊下を歩いていると、目の前に集団ができつつあった。一方は4人組で、その中には今朝見た男子生徒がいた。
(あいつはあの時の…)
そう思ったがそれ以上かかわろうとはしなかった。それはもう一方の集団も関係していた。その集団はある女生徒を中心にできており、その生徒の後ろには堅苦しそうな男子生徒が控えていた。直感的に、面倒そうだと蓮司は判断したのだ。
「俺はもう行く。あれは面倒そうだ」
「あ、そう?それじゃ、また明日ね!」
「それでは、龍童君、また」
「ああ、じゃあな」
そう言ってその集団から離れ、帰路に着いた。
(はてさて、何が起こるのやら…)
野生の感ともいうべきか。蓮司は何かが起こる気がしてならなかった。
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「会長!それではこの後の予定が…」
「事前にアポを取っていたわけではありませんし、明日以降でも問題ありません。それでは深雪さん、また明日ね」
「はい、よろしくお願いします」
そう言って生徒会長、七草真由美は踵を返した。実際にアポを取っていたわけではないのでここで引くことに何の問題もなかった。むしろ人だかりができ、深雪の兄である司波達也にまで悪口や陰口が出ることは避けたかった。それでは彼女の掲げる目標にたどり着けないからだ。
(それに…面白い子もいたしね)
そう、真由美は見逃していなかった。自分たちのもとに集団が出来始めたのを確認すると、すぐさま踵を返してその場を去っていった、長身痩躯の少年を。
(彼が龍童蓮司君。入学試験は実技面では主席だった子。そして…筆記試験を途中で解くことを止めるという予想外の行動をとった生徒)
そう、真由美は蓮司の成績を把握しており、その異常な点数ゆえによく覚えていた。筆記試験は途中からすべて白紙であり、明らかに途中でさぼっている内容だった。しかも解いた問題は全て正解。そして実技面ではあの深雪を抜いてトップだったのだ。もし筆記試験も真面目にすべて回答していたら、主席は彼だった可能性がある。
(達也君といい、今年は本当に面白い子たちが入学してくれたわ)
これからを楽しみにしながら、真由美は生徒会室に戻るのだった。
(あいつはあの時の…)
一方、人だかりの中心にいた達也も蓮司の存在を把握していた。だからと言ってこちらから会話を仕掛けたりはしなかったものの、今朝の出来事が頭から離れなかった。
「達也君、どうしたの?」
「お兄様?」
達也の様子がおかしいことに気づいた、友達となった千葉エリカと深雪が声をかける。達也の視線は誰もいないはずの廊下に向けられていたため、不思議に思ったのだ。
「いや、少し気になるやつがいてな」
「お兄様が、ですか?それは一体どんな女子だったのですか…?」
深雪が絶対零度の笑顔をまとい始めたため、達也はなだめ始める。
「待て深雪、女子生徒ではない、男子生徒だ。今朝深雪と別れた後に見かけたんだ。」
「でもそれだけじゃ、何もおかしなことはなかったのでは?」
達也の答えに、同じく友達となった柴田美月がさらに疑問を投げかける。
「確かにな、まあ雰囲気が独特だったというのか、なんとなく忘れられない印象だった。ぶつかってきた他生徒にドスの利いた声で話していたからな」
「うわ、それだけ聞いたら第一印象最悪じゃない」
「まあ、ここにいないやつについて話しても仕方がない。そろそろ帰ろう」
そう言って、今度こそ全員帰り支度を始めた。
(お前は一体何者なんだ…)
しかし達也の中からその存在が消えることはなかった。
はい、お読みいただきありがとうございました。
というわけで、今話ではエイミィとスバルが関わりました。
最初にかかわるのが誰か色々考えたのですが、ほかの生徒さんは自動的に物語にも関わってくるので、比較的絡みの薄そうなメンバーを選びました。B組にしたのもそれが理由です。
そして真由美さんにより語られた蓮司君の入試成績。彼は筆記試験を途中でやめました。理由は後日語られるでしょう。
さてさて、達也君たちとの関りはいつ頃になるのでしょうか。気長にお待ちください。
この後また投稿します。それでは次話で会いましょう。