魔法科高校で龍は生きる   作:ドンマッシュ

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ハーメルンよ、私は帰ってきた!



はい、ということでお久しぶりです。ドンマッシュです!

話の方向もまとまったので今日から投稿再開です。まあ内容が中々難しかったので、前みたいにほぼ毎日の投稿は出来ないかもですけど...

改めて皆さん、よろしくお願いします!

それでは、どうぞ!


2.九校戦編
2‐1 選考


国立魔法大学付属魔法科高校は全国で9つ存在する。教員となる魔法師の絶対数が圧倒的に不足しているため、現状これ以上増やすことが出来なかった。故に、在学中の魔法科高校生たちを可能な限り鍛え上げ、能力を底上げすることで将来的な人材不足を解消しようとしている。

その対策の1つとして、魔法科高校九校を学校単位で競争させ、生徒の競争心を煽ることだった。そのための最大の舞台が、もうすぐ訪れようとしていた。

 

それこそが、全国魔法科高校親善魔法競技大会。通称”九校戦”。

 

そこには毎年、全国から選りすぐりの魔法科高校生たちが集い、その若きプライドをかけて、栄光と挫折の物語を繰り広げる。

政府および魔法関係者、一般企業、海外からの観光客、そして研究者たちも注目を集める、魔法科高校生たちの晴れ舞台だ。

 

今年も、もうすぐ、その幕が上がる。

 

 

 

 

「辞退で!」

「させるわけないでしょうこの暴れん坊後輩!?」

 

 

 

その前に。魔法科第一高校生徒会室にて。

 

1年生にして、その冷徹ぶりから”恐怖の帝王”、”静かなる暴君”と呼ばれる龍童蓮司。

3年生にして第一高校の生徒会長、さらには十師族の一員である七草真由美。

 

この二人による、見方によってはしょうもない言い争いが勃発していた。

 

なぜこのようなことが起きたのか、それには少し時を遡る必要がある。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

7月上旬。第一高校の食堂にて。

 

「しばらくぶりに大所帯だねー」

「ここ最近中々忙しかったからね」

 

エイミィと鋼が言ったように、1つのテーブルに数人の生徒が集っていた。

A組からは、ほのかと雫の2人。B組からは、蓮司、エイミィ、鋼の3人。そしてE組より、エリカ、レオ、美月の3人。合計8人が集まっていた。なお、達也と深雪の2人は生徒会室にて昼食をとっているため、この場にはいなかった。

 

「入学早々あんなことに巻き込まれちゃあねえ…」

 

エリカがしみじみと呟いた。

“あんなこと”とは、ブランシュによる襲撃事件のことだ。入学して1か月も経たずに襲撃などを受ければ、しばらくの間落ち着かなかったのは当然だろう。

 

「最近で言えば、定期試験もありましたしね」

 

ほのかがそう答えると、ほとんどの者が大きく頷いた。そう、魔法科高校ではつい先日、1学期の定期試験が行われた。試験はある種の戦争であり、今ここに全員が元気に揃っているのは、その戦争を生き延びたからだ。

なお、蓮司は食べることに集中していた。ちなみにメニューは、最近できた”暴君定食”だ。とにかく量を追求したメニューである。なお、蓮司がこのメニューを残したことは一度もない。完食されるたびに量をさらに多くしているが、まだギブアップしたことはなかった。

 

その蓮司が、ほのかの発言を受け、答えた。

 

「あんなもん、ちょちょいとやりゃなんとかなんだろ。別に失敗したからって死ぬわけじゃあるまいし…」

「流石、主席は言うことが違うな!」

 

蓮司の回答に対し、レオが若干興奮気味に話した。

 

定期試験も入学試験と同様に実技試験と筆記試験が行われ、それらが合算され総合成績となる。試験結果の内訳は次の通りだ。

 

実技試験

1位 龍童蓮司 2位 司波深雪 3位 北山雫

 

筆記試験

1位 司波達也 2位 司波深雪 3位 龍童蓮司

 

総合成績

1位 龍童蓮司 2位 司波深雪 3位 光井ほのか

 

そう、今回の定期試験においても、蓮司は実技において主席の座を譲らなかった。筆記試験においては他の者に一歩劣ったものの、それでも3位。実技試験の方が比率の高いこの試験においては些細な差とも言え、結果、蓮司は総合でも主席となった。

ちなみに試験結果発表後、蓮司が深雪と会った際には

 

「次は負けませんからね」

 

と、深雪より静かな宣戦布告を受けた。彼女も一切の油断はなく、ベストを尽くした結果だった。以前真由美より蓮司の入試結果を聞いた時から密かな対抗心を燃やしていたが。定期試験の結果により、深雪の中で蓮司は完全なライバルとなった。なお達也は、そんな深雪の様子を温かく見守っていた。

 

「蓮司さんすごかったですね!」

「そうですね、勉強もできたのはビックリしました!」

「お前は俺を何だと思ってんだ美月…」

 

ほのかも美月も尊敬の眼差しを送っていたが、天然な美月は若干失礼なことを言っていた。蓮司がジト目で指摘すると速攻で目を逸らし、周りは苦笑していた。

 

「でもこうなると、今年の九校戦はかなり期待できるよ」

 

そんな中で、鋼がそう言い始めた。

 

そう、今回の定期試験はただ学内の成績を競うものではない。夏に控える九校戦の選考会も兼ねている。九校戦はいわば、魔法科高校生たちにとっての晴れ舞台であり、出場するだけでも将来の可能性が大きく広がるのだ。何よりも、他行の生徒と直接競う機会などそうそうないため、そういう意味でも己の力を試したくて仕方がない者たちにとっては、より気合の入る場なのだ。

 

「確かに1年生だけでもかなり期待できるよ」

「でも油断はできない。今年は三校に一条の御曹司が入ったらしいから」

「一条って十師族のか?確かにそりゃすげーな」

「でも一校だって三巨頭がいますし、優勝候補ですよね」

「いやいや~、バトル・ボードじゃ七校も油断できないよ!なんせ”海の七校”って異名が付くくらいだからね!」

「それなら…」

「やっぱり…」

 

そういった感じで、蓮司の目の前では九校戦の話で大盛り上がりだった。一方、食事を終えた蓮司はお茶を飲みながら、特に興味もなさそうに話を流していた。

 

だからこそ、不意に言葉が出たのだろう。

 

「あちー中でメンド―なのに出る奴らも大変だなあ…まあ遠くから頭の片隅くらいで思い出しとくよ…」

 

蓮司がそう告げた瞬間、全員が蓮司を見た。全員が疑問符を浮かべたような表情だった。当然、そんな視線を受ければ、蓮司とて困惑する。

 

「…なんだよ、出る奴らがんばれって言っただけじゃねーか。別に悪口でもなんでもねーだろ」

「いや、そうじゃなくてさ…」

 

蓮司の返答にエイミィが若干呆れながら答えた。

 

「君も出場するに決まってんじゃん、蓮司君?」

 

 

 

「…………………………は、な?」

 

蓮司は本気で困惑していた。

 

「…待て、ちょっと待とうか皆の衆。なぜ我がかような催しに出なければならんのじゃ」

「君こそ落ち着こうよ蓮司君」

 

蓮司の語尾がおかしい疑問に対して、鋼が冷静にツッコんだ。そしてその疑問に、ほのかと雫が答えた。

 

「九校戦の出場者は毎年1学期の定期試験の成績優秀者から選考されるんです」

「特に魔法競技の大会だから、実技試験の結果は最重要視される。実技でも総合でもトップの蓮司さんが選出されるのはもはや決定事項だよ」

 

追い打ちをかけるように二科生組が答える。

 

「それに蓮司さんは風紀委員の実績もありますし」

「ああ、実技が得意で魔法戦闘もこなせるしな」

「三巨頭からも実力を信頼されてるしね。2種目出場はも決定事項じゃないかな」

 

全員の返答に対し、蓮司はただ黙ったままだった。

 

そう、先に説明した通り、定期試験は九校戦の選考会も兼ねていた。深雪を超える結果を見せた蓮司が出場するのは明白な事実なのだ。

そんなことになっているとは全く知らなかった蓮司はただ唖然とするしかなかった。そしてそのまま昼休みは終了となった。午後の授業になっても蓮司はとてもおとなしく、周囲をかえって怖がらせていた。

 

そして放課後。蓮司は授業が終了すると同時に真っ先に生徒会室に向かった。ノックをし中に入ると、服部、深雪を除く生徒会メンバーと風紀委員長の摩利がいた。

 

「あら蓮司君。君がここに来るなんて珍しいわね。どうしたの?」

「会長。質問があります」

 

珍しく真面目な姿を見せる蓮司に全員が怪訝な表情になる。

 

「ええ、何かしら?」

 

そんな中で真由美は冷静に答えていた。確かに蓮司の今の姿に驚きはしたものの、そこは十師族、七草家の令嬢。多少の修羅場は幾度も潜り抜けており、その持ち前の対応力は流石のものだ。

 

「九校戦の出場選手はもう決まってんですか?」

「粗方はね。細かいところはまだ調整中だけど、もうほぼ決定したわ」

「その中には俺も含まれてんですか?」

「勿論!実技試験の成績もさることながら、まさか総合でもトップになるとは思ってもみなかったわ!」

「…」

「今年の選手層は本当に厚いわ~。こんなに選考が楽しいこともきっとそうそうないでしょうね」

「…ちなみに出場種目はもう決まって?」

「具体的にはまだ決まっていないわ。それぞれの得意な魔法などを教えてもらってこれから煮詰めていくわ」

「……俺は、2種目なんで?」

「上位者は基本2種目出場になるわね。君の場合は本当に悩むわ~。どの種目に出してもいい成績残せると思うもの」

「……」

「唯一難しそうなのはモノリス・コードかしら。あれはチームワークが求められるからねぇ」

 

そこまで話し、真由美は改めて蓮司を見た。

 

蓮司はにっこりと笑っていた。今までそんな笑顔は見たことがなかったため、生徒会室に集まった面々は驚き、固まった。

しかしここで、真由美は同時に嫌な予感を覚えた。

真由美はこれまでの蓮司を思い出していた。粗暴で、眠そうで、食欲旺盛で、怒りの沸点が低いものの己の信念をしっかり持っている。そして何より…面倒くさがりな面が目立っていたことを。

 

「ねえ蓮司君?今お姉さんと~~~~っても嫌な予感がしているの。だから単刀直入に聞くわ…ここへ来た用件は何?」

 

真由美も同様に笑顔を浮かべ、しかしどう頑張っても引き攣ったものになってしまう。それだけ、この嫌な予感が当たりそうなのだ。

 

対して疑問を投げかけられた蓮司もまた笑顔で返し…高らかに宣言した。

 

 

 

「辞退で!」

「させるわけないでしょうこの暴れん坊後輩!?」

 

 

 

話は冒頭に戻る。

 




はい、というわけで九校戦編第1話、通算20話目でした。いかがでしたでしょうか。

久々に遊ばせたくなりました。蓮司君の傍若無人さがうまく出てたでしょうか。嫌がった理由は次回には分かります。

しかしこの話をまとめて思ってこと...話進んでねえ!?こういうことしてるから展開が遅くなって端折り方に迷うんですよね(笑)でも楽しかったので後悔してません。

さて、今回はここまでとなります。

ここで1つ。以前ヒロインを誰にしようかなーって話になった時に、個別メッセージを頂いて参考にさせてもらいました。しかし、感想で頂いたこともあったんですが、そちらはいつの間にか消えていました。あまりハーメルンの仕組みを分かっていなかったんですが、そういったものは削除されてしまうみたいですね。なので、もしご意見等ありましたらメッセージの方へお願いします。全て拝見させていただきますので!

それでは次話でお会いしましょう。それでは!
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