さて、前回は深雪ちゃんが大活躍でした。ここまで何人かの子たちに活躍してもらいましたが、そろそろヒロインの方向性を決めたいなと考えています。誰にしようかなぁ。
ちなみに今回のお話はそういったものは特に関係ありません。
それでは、どうぞ!
「深雪さん、本当にありがとう!」
「ああ。君が居なかったらどうなっていたか…正直、私たちでは彼を説得しきる自信はなかったな」
「いえ、私はそんな…」
先の話し合いが終わり蓮司が生徒会室を出た後、深雪は先輩たちより感謝を送られていた。深雪は少し照れくさそうにしていたが、それでも称賛は止まらなかった。
「なんと言いますか…龍童君にはああやって真正面から会話をした方がいいと思ったんです。下手な詭弁を使うのではなく、ちゃんと話せばしっかり聞いてくれる人ですから…」
「なるほど。確かにそうかもしれませんね」
「ええ、今後の参考にさせてもらうわ」
(深雪…)
そんな深雪の様子を、達也は静かに見守っていた。妹はこんなに大きく、そして強くなっていたのだと、今更ながら感慨深くなった。
「これは俺も気合を入れる必要があるな…」
達也は1人静かに、しかし力強く決意を固めるのだった。
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そしてそれから少し後。場所は部活連本部に移っていた。
「やあ蓮司君。やはり君も代表に選ばれたかい。よろしくね」
「スバルか…ひっっっじょ~~~に不本意だがな…」
「まあまあ。実力者を放っておく余裕なんてないということだね。運命さ」
蓮司の隣に座ったのは里美スバルだ。入学式以降、特に大きな接点はなかったが、エイミィを通して話すことは度々あった。
そうこう話していると全メンバーが揃ったため、九校戦メンバー選定会議が始まった。しかし冒頭から躓くこととなる。
理由は達也だった。九校戦のメンバーにこれまで二科生が選ばれた記録はない。なのになぜ二科生の達也がいるのか、ということだった。
それについては、真由美から説明があった。今回達也が会議にいる理由は、九校戦の技術スタッフとして選出したからだ。これについては、好意的な意見もあった。
しかし同時に、否定的な意見も続出した。それも明確な理由や論理的な理由ではなく、感情的で消極的な内容がほとんどだ。つまり要約すると、”誇り高い一科生と二科生が同じメンバーになることなどありえない”、というものだ。
進まない会議に、蓮司のいら立ちも募っていく。いい加減何か言ってやろうかと思った時だった。
「要するに、司波の能力が不透明な点が論点と認識した。ならば、実際に確かめればいいだろう」
十文字がこれまでの話をまとめた。彼もこの進まない会議にいい加減辟易していたのだろう。
「具体的にはどうする?」
「実際にCADを調整をさせればいい。何なら俺が実験台になっても構わない」
「いえ、彼を推薦したのは私です。実験台なら私が…」
会頭の十文字に続いて、会長の真由美まで調整の実験台に名乗り出た。これで反対派は強く言い出せなく出せなくなってしまった。そしてここで、更なる声が上がる。
「その実験体、俺がなってもいいぞ」
全員が声のした方向を見た。立候補したのは蓮司だった。
「いいのかい、蓮司君?CADの調整はユーザーとの信頼関係が大切だよ?」
「抜かせ。この中で達也以上に信用できる奴なんていねえよ」
蓮司ははっきりとそう言い切った。これには達也の加入に否定的な他の技術スタッフメンバーの視線は鋭くなるが…
「文句があんなら論理的な理由を述べてから言いやがれ。頭ごなしに否定してくる奴らなんざ眼中にねえんだよボケ」
蓮司は睨みを利かせて黙らせた。これには他の者たちも一旦黙るしかない。最近は鳴りを潜めているが、”恐怖の帝王”は健在だった。単純に高校生らしからぬ殺気が恐ろしかった。
「蓮司…抑えろ。これからチームメイトになるんだ。殺気を向けるな」
「龍童君、面白半分にそういうことをするのは止めてください」
達也と深雪がそれを抑えにかかった。その動きはスムーズであり、もはや慣れたものだった。
「はいはい、本気じゃねーよ別に」
蓮司はあっさり引き下がる。彼としても別に本気でどうにかしようと考えていたわけではない。ただ黙らせられればそれでよかった。
なお、蓮司と達也の関係性を知らない生徒は大いに驚いていた。一科生主席の生徒が二科生の生徒と仲良くし、しかも二科生の生徒が一科生を諫める姿など、誰も想像できなかっただろう。
一方、2人のことをよく知る生徒はこの時、同じことを考えていた。すなわち…
『蓮司のストッパーのためにも達也をメンバーにしなくては!』
ということだ。達也と蓮司、この2人のあずかり知らぬところで密かな団結が誕生していた。
その後、達也の調整には2年生の桐原が改めて立候補し、実際に調整を全員の前で行った。しかも完全マニュアル調整という高度な技術を披露し、桐原からも絶賛を受けたのだ。ここへ更にあずさと服部が強く達也を推薦し、十文字がそれを認めたことで、達也の技術スタッフ入りは決定となった。
ここで話が終われば、後はそれぞれ技術スタッフと選手でチームに分かれ、ミーティングが行われる予定だった。
そう。ここで終われば。
「会長!1つよろしいですか」
ここで、1人の2年生選手が名乗りを上げた。全員が、まだ達也のことで言うつもりなのかと少し身構えた。なお深雪の視線はこの時、恐ろしく鋭くなっていたが。
「ええ、何かしら」
「今回の選出について、もう1つ意見があります。そこの1年生についてです」
そう言って視線を向けた先には蓮司がいた。誰かも知らない上級生に突然指名された蓮司は、ちょっと展開を楽しみにしながら話を聞くことにした。
「俺になんか用かよ」
「…まずお前はその口の利き方を直せ。先輩に対して失礼だぞ」
「生憎と尊敬する相手は選んでるんでね。あんたに尊敬のポイントがないのが悪いんだよ」
「なんだと!」
蓮司は薄ら笑いを浮かべながら、敢えて挑発した。案の定、その2年生は簡単に激昂した。それを真由美が止めにかかった。
「やめなさい蓮司君!君は挑発しないと気が済まないの!?」
「面白そうだったんで。あんなのに反応する脆いプライドが悪いんすよ」
「まったく…それで、彼についての話とは?」
真由美がもう一度2年生選手に話を振った。先輩が間に入ったことで少し冷静になれたようだが、それでも視線は鋭いままだった。
「そいつの選手加入は反対です!この1年生の素行の悪さはここにいる生徒ならよく知っているはずです。いくら実力があろうと、こんな奴を代表に選んだら第一高校の品格が疑われます!」
それがその生徒の主張だった。これには少し反論しにくいところもあり、真由美はしばし黙ってしまった。
蓮司の成績が主席であることからも、その実力は確かなものだ。加えて普段から風紀委員として活動していることや、4月のブランシュ襲撃事件の動きを見れば、選手としての活躍を十分に認めることができる。
しかし同時に、蓮司は素行の悪さも目立っていた。先輩に対する態度は先程の通り敬う相手を選んでおり、しかもほとんどがその対象に入ってはいない。他の上級生からしたら、不快なことこの上ない。更には非常に短気で情緒不安定な面があり、それが原因で他行の生徒と揉め事などを起こす可能性は十分にあった。
さてどうしようかと、真由美が考えていると、
「ああ!思い出したぜあんた!新歓のときに、魔法の不適切使用で俺に捕まったやつだろ!」
蓮司は突然大声でそう告げた。するとその2年生は苦虫をつぶしたような顔で睨んできた。
「つまり逆恨みか?はっきり言ってあれはあんたが悪かったと思うけどなぁ…なんせ「二科生が風紀委員なんて調子に乗りやがって!」なんて言いながら達也を狙って攻撃魔法を使おうとしたところに遭遇しちゃったからなぁ。俺に見つかっちまったのが運の尽きだったな」
蓮司がそう告げると、達也に好意的な者たちは鋭い視線でその2年生を睨んだ。特に深雪の視線は絶対零度の冷たさだった。深雪は、新歓の時期に達也が何度も魔法攻撃を受けていたことは知っていた。自分が直接制裁を加えられないことに若干の苛立ちも覚えていたのだ。その敵(?)の1人が目の前にいるなど、許せるはずもなかった。
「う、うるさい!それは今関係ない!俺はお前の素行が第一高校にふさわしくないからと言っているんだ!実力があるからって調子に乗るな!」
「素行についてあんたに言われたかないね。こう見えて学年主席、先輩方からの信頼も厚いんでな。それに今回の選出は生徒会と話し合った末に決めたんだ。あんたが口を挟んだところでどうにもならねえさ」
「どうせうまくやり込んだんだろう!それに実力と試合はイコールじゃない、魔法ができるからって試合に勝てはしないぞ!」
「…なるほど、それは確かに一理ある」
ここまで話し、蓮司は少し考えるように黙り込んだ。そして考えがまとまったのか、改めて真由美の方へ向いた。ここで真由美も、蓮司が何を言いたいのかを理解した。
「会長さんよ。そこの先輩と試合させてくんないすか」
そう、実力が疑われているなら実際に見せればいい。先ほどの達也と同じ。それが蓮司の結論だった。
この回答に真由美は内心嬉しかった。面倒くさがりな面が目立つ蓮司であれば、先ほどの2年生の発言を逆手に取り、九校戦を辞退する可能性が高いと考えていた。しかし蓮司は試合をすると言った。つまり自分たちとの約束である「1種目しか出ない代わりに、出る種目は優勝する」という約束をちゃんと守ろうとしているのだ。よってその申し出を、真由美は快く受けた。
「いいでしょう。彼はクラウド・ボールに出場予定よ。蓮司君は何に出場させるかまだ決めていなかったけど、クラウド・ボールで試合をしましょう!」
こうして蓮司と、蓮司が名も知らぬ2年生との試合が決定した。
はい、というわけで九校戦編第3話、通算22話目でした。いかがでしたでしょうか。
ということで、蓮司君はクラウド・ボールに出場してもらうことになりました。
どの種目に出そうかと考えて、最終的に蓮司君の強みを活かすということで、スピード・シューティングとクラウド・ボールの2つに絞ってました。決め手は、魔法科の二次創作でクラウドに出たのってあんまり見たことないなあっと個人的に思ったので出てもらうことにしました。
さて、今回はここまでです。相変わらず話が進んでいません。九校戦が始まるまでにあと何話かな...というか九校戦編何話になるかな...ちょっと不安になりました。
それでは次回、またお会いしましょう。それでは!