前回のクラウド・ボールについてですが、私が競技のルール等をちゃんと把握していなかったために、色々分かりにくくなってしまって大変申し訳ありません!一応修正完了しましたが、基本の展開は変わらないので!
それでは、どうぞ!
九校戦メンバー選出会議後、週明けの4時限目が終了した後に、九校戦発足式が開催された。メンバーはそれぞれ、選手用またはスタッフ用のユニフォームに着替え、式に臨んでいた。
「…だりぃ…」
代表メンバーの中にいる蓮司は非常に眠そうにしていた。成り行きでメンバーになったことや、元々こういった儀式の類に意味を見出しずらい性格をしていることも影響があった。入学式ですら全行程を睡眠に当てたほどだから、筋金入りであった。
「龍童君、ちゃんとしてください。全校生徒の前です」
「終わったらそうしてやるよ…ふあ…」
「はあ…」
目の前に徽章を持った深雪が現れ注意をしたものの、蓮司は全く聞く耳を持たなかった。これ以上何を言っても無意味と判断した深雪はため息をついた後、式を進行するため蓮司にも徽章を付けた。
(もういいか…)
そこで完全に集中が切れた蓮司は、しばしそのまま眠ることとした。幸いにもこれからまだ技術スタッフのプレゼンがなされるため、終了までにはまだ時間があった。こうして蓮司は立ったまま眠り続け、式が終わる絶妙なタイミングで起きることにした。
なお、起きることには成功したものの、居眠りをしていたことは真由美を含め数人に気付かれており、式の終了後に真由美より注意を受けることとなった。特に気にはしなかったが。
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発足式が終われば、校内は一気に九校戦のムードになった。深雪たち選手たちは遅い時間まで練習をしており、達也たち技術スタッフはそれぞれが担当する選手のCADの調整に時間を費やす。その他にも運動系の部活動に所属する生徒たちも、色々と手伝いに駆り出されていた。よってこの間、文科系の部活に所属する生徒たちは、活動している友を待つか、先に帰宅していた。
美月は文科系の部活所属者であり、前者の友を待っている方だった。そうして皆を待っていると、1人の生徒が目の前に現れた。
「美月か、ここで何やってんだよ?」
そう声をかけられたため、美月はその声のした方を向いた。そこには友達の1人である蓮司がいた。
「蓮司さん?えっと…今は練習中なんじゃ?」
「相手がいなくなったからな、これからはもう帰ることにした。暇だからな」
蓮司はあくびをしながらそう答えた。
蓮司も他の選手と同様にクラウド・ボールの練習をしていたが、身も蓋もない言い方をすると相手にならなかった。蓮司が実力を見せるために行われた練習試合で使われた『
唯一何度か、達也に頼まれ女子選手と何度か練習していたが、今日はそれもなかった。ちなみに相手はスバルをはじめとした女生徒たちで、『反射防壁』は達也の要望で使用せず、ひたすらラリーを続けた。蓮司にとっては特に面白くもなかったが、女子たちにとってはいい経験になっただろう。
よって今の蓮司は暇人である。そのためもう帰ろうとしたところで、美月に会ったということだ。
「相手がいないって…だめですよ蓮司さん。皆さんとちゃんと仲良くしないと。これからも練習が出来なくなっちゃいますよ」
「この間といい、お前の中の俺はどういう存在なんだよ…」
食堂のことといい今回といい、どうやら美月の中で蓮司は相当可哀想な存在という認識が強いようだ。どう話をつけようか考えていると…
校内から突然サイオンの流れを感じた。
突然のサイオンの感知に蓮司が怪訝な表情で視線を向けると、美月も同様の方向を見つめていた。そして不意に、美月が眼鏡をはずした。
「っ!!」
抑制効果のある眼鏡を突然外せば、当然増えるサイオンの情報量で痛みが走ってもおかしくない。案の定、美月は顔を歪め、痛みに耐えているようだった。
まもなく、蓮司は美月の視界を手で遮った。突然男子が自分に触れたことに美月は盛大に動揺した。
「れ、蓮司さん!?」
「いいから早く眼鏡かけろ。いきなり外せば痛みが続くぞ」
突然の接触に慌てふためいた美月だったが、自分を気遣ったものだと理解し、眼鏡をかけ直した。
「蓮司さん…今の、視えましたか?」
「生憎と、お前のように視ることなんざ出来ねえよ。ただ肌で感じただけだ」
美月は自分と同様の反応をした蓮司に問いかけた。だが蓮司は何かが視えたわけではなく、いつもと違うサイオンの流れを肌で感じていた。それにより、実験棟の一角で何かが行われていることを感じた。
「確認しに行くか…」
一応、蓮司は風紀委員でもあるため、何があったか確認しに行くことにした。
「わ、私も行きます!」
すると、美月も同行を求めてきた。蓮司としては特に断る理由もなかったため、ともに向かうことした。
強いサイオンを感じた実験棟に向かい、1つの実験室の前に2人は来ていた。
「ここか…」
「はい…ここに何かあります」
互いに確認して入室すると、1人の男子生徒がいた。そしてその生徒を中心に、青い光がうごめいていた。蓮司には馴染みのないものだったが、知識を探って1つの答えにたどり着いた。
(この感じ…精霊の類か…それを操ってる?古式魔法か何かか…)
「吉田君?」
蓮司が考えに耽っていると、美月が不意に呟いた。どうやら、目の前の男子生徒を知っているようだ。
「誰だ!!」
しかしこの呟きに過剰に反応したのは吉田と呼ばれた生徒だった。その声とともに、サイオンの奔流が2人を襲う。
「きゃあ!」
美月は悲鳴を上げて目を閉じ、蓮司は右手にサイオンを集め、2人の前に盾のように展開した。それによって特に被害はなかった。
「…ほう…いい度胸だ。反射的にとはいえ、風紀委員に不意打ちをかますとはな」
サイオンの波が止んだ頃、蓮司は静かに言葉を発した。だが、その視線は恐ろしいほどに鋭く、強い殺気を含んだものだった。それは目の前の存在を「敵」と認識したものだった。
その視線に、吉田と呼ばれた生徒は慄き、少しずつ後ずさるが、そもそも逃げ場などなかった。それに対し、蓮司は少しずつ近づきながら、伸ばしたままの右手に再度サイオンを集め始めた。
「とりあえず拘束させてもらおうか…話はそれからだ…」
今、吉田と呼ばれた男子生徒には、蓮司の一歩一歩が死神の足音のように聞こえていた。
そこで、美月が大きな声を出して蓮司を止めようとした。
「ま、待ってください蓮司さん!その人、クラスメートの吉田君なんです!」
「そうか、残念だったな、現行犯逮捕だ」
「た、確かに魔法放っちゃいましたけど!あれはどちらかというと私が声を出して邪魔しちゃったからだと思うので!大目に見てくれませんか!?」
「違反を見逃すのか?美月も意外とワルだな」
「ち、ち、違いますぅ!そうじゃなくてちゃんと話を聞いてみましょうってことです!というか蓮司さん、その右手で何をするつもりですか!?」
「ぐるぐる巻きにして拘束した後振り回して最後に地面に叩きつける」
「絶対だめですーーー!?」
美月は必死に蓮司の制服を掴んで後ろに引こうとするが、蓮司はびくともしない。しかも蓮司の言葉で恐ろしい光景が浮かんだのか、涙目になって必死に止めようとするもどうにもできないでいた。
この時、目の前に広がる光景に吉田は静かに思った。
(…僕は一体、何を見せられているんだろう…)
見方によってはただのいちゃつきにも見えるが、1人は殺気を放ち、もう1人は涙目で制止しようとしていては、さすがに無理があった。
こうしてこの攻防は、異変に気付いた達也が来るまで続いた。なお、達也がその光景を見たとき、真っ先に呆れた声が出たのは言うまでもない。
「お前たちは何をやっているんだ…」
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「なんかこうして街を回るのもしばらくぶりだな…」
休日。なんとなくすることもなかったため、蓮司は街に出ていた。
蓮司の休日は、基本寝て過ごすものである。そして眠ることに飽きると何かを食べる。怠惰という言葉がぴったりなものであった。
しかしこうして、たまに気まぐれで街に出かけることもある。理由は「なんとなく、そんな気分だから」である。そして街に繰り出す目的のほとんどは食べ歩きであった。
今も蓮司の片手には大量のドーナツが入った紙袋がある。途中の店で見つけ、新作もあったためなんとなく大量に買った。ちなみに店員の顔は引き攣っていた。
「まあ、すること特にねえんだけどな…あむ…結構イケんな」
食べ歩きをしながら特にすることもなく歩く蓮司。次は何を食べようかと考えながら、少し前の出来事を思い出していた。
あの日、吉田幹比古との一連の出来事は、達也が来たことで幕引きとなった。その中で吉田幹比古が古式魔法の使い手で修練をしていたことや、美月の瞳が古式魔法における『水晶眼』と呼ばれる、精霊を詳細に見分けることができる眼であることなど、興味深いこともいくつか知ることができた。
なお、蓮司と吉田は一応互いに自己紹介を済ませたものの、初対面が初対面だっただけに友達になれたかは微妙だった。
「魔法科高校も色んな奴がいるってことか…俺が言えたことじゃねえが…」
なんとなくいろいろと考えていたが、特に正解もないためそこでやめた。そして次の店を探そうとした時だった。
「じゃーからしつこいのぉ!お主らとなど遊ばんと何度も言っておるじゃろう!?」
「そう言わずにさー。いいじゃん君ら2人だけなんでしょ?見た感じこの辺慣れてなさそうだし、俺らが案内してやるって!」
「そーそー!楽しませてやるからさ!」
「無理。お断り」
何やら騒音が前方から聞こえた。そちらの方に視線を向けると2人の女子が男2人に絡まれている様子だった。
女子2人のうち1人は小柄だった。記憶にある中では雫に近い体型をしている。特徴的だったのは膝近くまでの伸ばした長髪と、その古風な話し方だろう。
もう1人の女子は短髪で、女子の中では比較的背の高い方だった。表情は無に近いものだったが、僅かに眉をしかめていることから、目の前の存在が相当鬱陶しいのだろう。
男たちの方はいかにも遊び慣れているといったような様子だった。嫌がられているにも関わらず何度も話しかけており、それに対する女子たちの反応すら楽しんでいるようだった。
そうこうしている間にも言い争いは続く。
「そ、そもそも確かに儂らは確かにここら辺の者じゃないが、今時分からなくなれば自分たちで調べる!」
「そんなのメンド―じゃん。だから俺らが案内してやるんだって」
「いらない、別に」
「照れてるの?かわいー!」
「…うざい」
男たちはどうにかしてその女子たちを同行させたいようだ。それに対していい加減苛立ちが募った小柄の女子が大きく言い放った。
「それに!今日は知り合いに会う約束もしとるんじゃ!待ち合わせの時間も過ぎてしもうたから急ぐんじゃ!」
「約束に遅刻するとかサイテーじゃんそいつ。あ、もしかしてその人も女の子?ならまとめて相手してやるからよ!」
どうやらその女子たちには待ち合わせをした存在がいるらしい。しかしそれすらネタになるのか、男たちは楽しそうだった。
(…見てるだけで面倒くせえな…)
もはや聞くだけ無駄だと判断した蓮司はそのまま通り過ぎようとした。すると小柄な女子は辺りをきょろきょろして…
蓮司の姿を見つけた。すると…
「あ、おーい!やっと見つけたのじゃ!どこにおったんじゃまったく!」
大きな声で蓮司に話しかけた。
はい、とうことで九校戦編第5話、通算24話目でした。いかがでしたでしょうか。
今話で幹比古君初登場!ですが、蓮司君との初対面はあまりいいものにはなりませんでしたね。美月ちゃんの制止があったおかげで達也君なんとか間に合いました。
そして後半ですが、完全なオリジナルです。その中で出てきた2人は果たして誰だろうなー(棒読み)
出した理由は次回にでもお話ししようかと思います。
それでは次回、第25話でお会いしましょう。それでは!