魔法科高校で龍は生きる   作:ドンマッシュ

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どうも、ドンマッシュです。

本日4話目です。これで終了となります。
今話は原作入学編においても見どころの一つだと思っています。ぜひ楽しんでください。

それでは、どうぞ。


1‐4 急襲

「いい加減にしてください! 深雪さんはお兄さんと帰るって言ってるでしょう! 別にあなた達を邪魔者扱いしてるんじゃないんですから、一緒に帰りたかったらついてくれば良いんですよ!どうして二人を引き裂こうとするんですか!」

 

 そう啖呵を切ったのは、達也たちの中で一番大人しい性格と誰もが思っていた美月だった。

 ここに至るまでの経緯は、実に想像の付きやすい単純なものだ。深雪を待っていた達也たち二科生に対し、ついてきた一科生の面々が難癖をつけてきた、というものだ。ちなみにその一科生の矢面に立っているのは食堂でも真っ先に口を出してきた森崎駿という生徒であり、一科生の集団のリーダー格でもあった。

 最初は思わぬ人物からの反撃にたじろぐ森崎だったが、落ち着きを取り戻したのか、あるいはますますヒートアップしたのか、これ見よがしに大きく溜息を吐いてから反論を始めた。

 

「良いかい、君達? ここ第一高校は、完全なる実力主義だ。そして君達二科生は試験によって、僕ら一科生よりも実力が劣ると判断された。それはつまり、君達の存在自体が僕らより劣るということに他ならない。少しは身の程を弁えたらどうだい?」

「俺達は司波さんと、二科生には理解できないレベルの話がしたいんだ!」

「そうよ! 少し時間を貸していただくだけなんだから、二科生は大人しくすっこんでなさい!」

「ハン! そういうのは自治活動の中でやれよ。ちゃんと時間がとってあるだろうが」

「相談だったら予め本人の許可を取ってからにしたら?高校生にもなってそんなこともできないの?」

 

 猛反発をする森崎のクラスメイトと、それに正論でもって、挑発をするような発言を返す二科生たち。森崎も、一科と二科の差など気にせず主張を返す二科生たちに次第に苛立ちを深めながら輪の中心に入っていく。一方深雪は…

 

「み、美月ったら引き裂くだなんて…い、一体何を勘違いしているんでしょうね!?」

「深雪…なぜおまえが焦っているんだ?」

「あ、焦ってなどおりませんことよ!?」

「なぜ疑問形?あと、語尾がおかしなことになっているぞ?」

 

一人でトリップしていた。

 

 そして、言い争いの中で決定的な一言が放たれた。

 

「同じ新入生同士じゃないですか。あなたたちブルームが、今の時点で一体どれだけ優れているというんですかっ?」

「これはまずいな…」

 

「だったら教えてやる!」

 

 消化しきれていなかった怒りを加え、森崎は自らの価値を確認するために愛用の特化型CADを抜いた。

 

「二科生風情がぁ!」

 

そう吠えながらCADを操作し魔法を放とうとする。流石にこれはまずいと判断した達也がどう対処しようか決めかねていたその時、ガキンッ!と鈍い金属音が聞こえる。見ると、そこには警棒を振りぬいた姿勢をとっているエリカがいた。

 

「この距離なら直接動いたほうが速いのよねぇ、一科生さん?」

 

挑発的な笑みを浮かべながらそう告げた。彼女は今自己加速術式を用いて森崎の前に現れ、CADのみを正確に弾き飛ばした。流石は千葉家の者だな、と達也が感心していると…

 

「ブルームがウィードに劣るわけあるかぁぁぁぁぁああ!!」

「舐めるんじゃないわよ!」

 

と一科生が触発され、次々と自らのCADに手をかけていく。彼らにとって一科生であることは最大の誇りであり、二科生は自分たちの全てにおいて劣っている存在だ、という固定観念にとらわれてしまったが故の行動だった。その時、

 

「皆落ち着いて!!」

「ほのか、ダメ!」

 

一人の一科の女生徒が誰よりも早く魔法を発動しようとしていた。友達と思われる生徒が止めようとするも間に合わず、もうすぐ魔法が発動されようとしたその時、少女の手元の術式がバキンッ!とはじけた。

 

「きゃっ」

「ほのか!」

 

魔法を発動しようとした生徒が軽く吹き飛び、それを友達が支えていた。そして

 

「止めなさい!自衛目的以外の魔法の使用は校則違反の前に犯罪よ!」

「風紀委員の渡辺摩利だ!全員その場を動くな!」

 

そこには生徒会長の七草真由美、そして風紀委員長の渡辺摩利。第一高校の三巨頭と呼ばれる三人のうち、二人がそこにいた。

 

「君たちは1‐Aと1‐Eの生徒か。事情を聴く。そのまま付いてきなさい。」

 

そう言って全員を連れて行こうとした。しかしここで予期せぬことが起きる。

 

新入生とはいえ、一科生が優秀であることは事実。そしてその中には実技が得意な者や勉学の方が得意な者も当然存在する。しかしいかに優秀な生徒でも精神的に未熟な彼らは突発的な状況に即座に対応できるものばかりではない。

 

それ故に起きてしまった。

 

先ほど魔法を発動しようとした生徒の中で一人。

中途半端に攻撃魔法を完成させて。

それを狙いを定めず発動してしまった。

 

「や、やば!ってうわぁ!」

 

そうして放たれた魔法は誰も予期しない結果を迎える。

「な!?」

「おい、やめろ!」

制止の声も間に合わず。

その場の誰にも当たらず。そのまま校舎玄関まで向かっていき。

 

 

一人の男子生徒に直撃したのだ。

 

バン!と音を放ち、その生徒の腕に直撃した。煙がまっていたがすぐに晴れ、そこにいたのは…

 

 

右腕の制服は破れ、その下の皮膚から血を流している。長身痩躯の生徒だった。

 

 

「摩利!ここをお願い!」

「ああ!いいか!全員一歩たりとも動くな!身じろぎ一つでも拘束対象とする!」

 

真由美は慌てて玄関へ向かい、摩利はより視線を鋭くし生徒たちを見張っている。一方その場にいた一年生たちは全員が顔を青ざめさせており、特に魔法を放った生徒は今にも泣きそうであった。

 

「お兄様…」

「ああ、かなりまずいな…」

 

深雪がすぐ傍の達也に話しかけるも、達也も険しい表情を崩せない。それだけまずい状況なのだ。

 

(対人への魔法攻撃使用、加えて直撃しケガまでしている。これは放った生徒は退学、この場にいた俺たちは停学または退学の処分が妥当となってしまった。さっきまでの状況ならまだごまかしが効いたかもしれないが、これでは…)

 

そう、けが人が出てしまったことが最大の問題だった。その生徒の動き次第で自分たちの命運が変わってしまう。

 

(何があっても深雪…お前だけは守ってみせる)

 

人知れず、心の中で決意する達也であった。

 

一方の真由美は直撃した生徒のもとへたどり着いた。

 

「き、君!大丈夫!?悪いけどちょっと腕を見せて!」

 

そう言ってだらんと下ろしていた蓮司の腕を注意を払いながら確認する。

 

「骨は…折れてないみたいね。でも腕のけがの範囲が広いわ。早く医務室に…」

 

 

「オイ」

 

 

そこで、それまで静かだった怪我人の少年が声を出した。あまりにもドスの効いた声に思わず真由美は黙ってしまう。

 

「こいつは一体何冗談だ…?魔法を安易に使ってはいけないことも知らないやつがこの学校に通ってやがるのか…?」

 

そう言い放ち、それまで俯いていた顔上げる。その瞬間、真由美は慄いた。その少年が放つあまりのプレッシャーに、臨戦態勢に入ったその姿に、そして圧倒的な殺意にまみれた獣の瞳に。

 

(なに…これ…こんな威圧を放つ人がいるの…?これは、獣だなんて表現すら生ぬるい…まるで怪物じゃない!?)

 

そう困惑している間に、蓮司は腕のケガもお構いなしに集団に向かって歩き始める。蓮司が離れた後、少しして我に返った真由美は慌てて追いかけた。

 

しばし歩いて蓮司は集団のもとへたどり着いた。そこにはCADを構えた上級生と思われる生徒と、この騒動の中心であろう生徒たちの集団があった。制服を見る限り、一科生と二科生が入り混じっており、おおよその状況判断はできた。

 

(一科生と二科生の対立、そのプライドのために魔法を発動し、この女どもに止められたが、それでも魔法が発動した、そんなところか…)

 

そこまで確認し、蓮司は言い放つ。

 

「それで…どいつだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シニタイノハ?

 




はい、というわけで第4話でした。いかがでしたでしょうか?
校門前での一科と二科の対立。それによって関係のないものが巻き込まれる。これはちょっとやりたかったことです。魔法を安易に使ってはいけない、そうするとどんなことが起こりうるか、ということを表現してみたかったのです。
因みに攻撃魔法を放った生徒の名前は知りません。A組の誰かです。この話においてそこはあまり重要ではないので。
あと、真由美さんや摩利さん、達也君なら対応できたのでは?と思う方もいるかもしれませんが...魔法をはあった生徒は実技は上位の方で、真由美さん摩利さんは集団全体に、達也君は先輩たちに注意が行っていたため対応できなかった、ということにしました。彼らも若く、万能ではないということですね。
そして最後の蓮司君...はい、ぶち切れモードです。ここまで怒った理由は後々判明します。

さて、本日はここまでとなります。次回はまた後日の投稿となりますので、気になった方は是非読んでみてください。
それでは、ありがとうございました。また第5話で。
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