魔法科高校で龍は生きる   作:ドンマッシュ

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こんばんは、ドンマッシュです。

投稿してから驚きました。たくさんの方に読んでいただき、しおりをつけてもらい、さらには評価をしてくださる方々がいてくれる。投稿する側としては、こんなにうれしく励みになることはないです。ありがとうございます!

それでは第5話です。どうぞ


1‐5 強者

「それで…どいつだ?」

 

シニタイノハ?

 

目の前に現れた人物がそう言い放った瞬間、その場に留まっていた生徒たちは圧倒的なプレッシャーに包み込まれた。ある者は涙目になり、またある者は立っていることすらままならない。達也もとっさに深雪をかばい前に出たが、その威圧感は計り知れないでいた。同時に達也は自身に起きた異変に気付く。

 

(心拍が上がっている。呼吸も浅く汗が止まらない…。まさか俺は…恐怖しているのか?)

 

それは本来ありえないことであった。達也は過去に受けた魔法実験の影響で、ただ一つのものを残して「激情」を無くしている。故に多少「怖がる」ことはあっても「恐怖」に支配されることはない。その達也が本能で恐怖を感じている。それだけ目の前の少年の存在が圧倒的なのか、それとも別の要因があるのかは定かではないが…

 

(このままではまずい…)

 

たとえ自分たちが魔法を放っていなくても、この場にいる以上同罪になりかねない。加えて先ほどの発言は冗談では済まされない雰囲気を醸し出していた。

 

打開策が見つからないまま黙っていると、目の前にいる人物が一人の生徒を指さし、一言呟いた。

 

「なるほど…てめぇか」

 

蓮司は自身に誤って攻撃した人物を正確に見抜いていた。一方、指定された人物は恐怖のあまりへたり込み、体を震わせながら涙を流している。そんなこともお構いなしに、蓮司はその生徒のもとへ一歩ずつ歩みを進めた。今の蓮司はまるで死神だった。そこへ

 

「待ってくれ、そこから先は認められない。」

 

風紀委員長の摩利が立ちふさがった。彼女も冷や汗を流してはいるが直接プレッシャーを当てられていないこと、そして自身の力を把握していたからこそ、前へ踏み出した。

 

「どけ」

「いや、ダメだ。君が何をするつもりかは察しが付くからこそ認められない。それよりも君は怪我の治療が先だ」

「こんなもん、唾液でもつけとけばそのうち治る。それよりもそいつを八つ裂きにしないと俺の気が収まらん」

「どこの民間療法だ!?そんなに血だって出してそんなもので治るはずがないだろう!」

「こんなもんどうだっていい。俺はそこの魔法師気取りの糞野郎を排除しなきゃならん」

 

二人の会話は一方通行で進展がない。それ以上に今の話で蓮司が何をするつもりか分かった分、なおさら恐怖が場を支配する。その言葉は誇張ではなく、本気だったからだ。

 

(どうする…)

達也はこの瞬間も頭をフル回転させ、打開策を探した。そして…

 

(これが一番か…)

達也はそのまま歩き出し、

 

「すまない」

「ん…?」

 

苦肉の策を出した。

 

「彼らに魔法を見せてほしいと言ったのは俺なんだ」

「お兄様!?」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「…はぁ??」

 

数秒の沈黙の後、蓮司の頭は無限に湧き出る疑問符に支配された。周囲の者も、摩利や駆け寄ってきた真由美も含めて困惑している。

 

「何言ってやがる、お前」

「森崎一門のクイックドローは有名でな。後学のためにぜひ見せてほしいと頼んだんだ。それも、真に迫る形で見たかったから実戦形式でな」

「そこの赤髪の女生徒が警棒を構えてんのもそれが原因だってのか」

「ああ。近接戦闘においては魔法の発動と魔法体術のどちらが勝るかも知りたくてな。エリカにはその相手役になってもらったんだ」

「じゃあその他にCADを構えてるやつらは?特にあそこのお下げの女生徒はあと数瞬で魔法を発動するところだったんだぞ」

 

そう言い、その生徒の方を見る。女生徒はすでに涙を流しており、友達と見られる人物が慰めている。

 

「あまりにも真に迫りすぎたから焦ってしまったんだろう。目の前でクラスメートが傷つきかければ慌ててしまうだろうし。それに彼女が放とうとしたのはただの閃光魔法、目くらましだ。人体に害はまったくない」

「自分の言ってることが理解できているか?それは魔法の発動前の術式を見て、何の魔法を発動しようとしているか分かるということだぞ」

「分析は得意なんだ」

「へぇ…」

 

そこまで話し、蓮司の表情が少し柔らかいものとなる。そこを見逃さず、深雪も蓮司の前に出る。

 

「本当にちょっとした行き違いだったんです。ですがそのせいであなたをはじめ、生徒会長や風紀委員長にまでご迷惑をお掛けしてしまいました。本当に申し訳ありません。この場にいる者を代表して謝罪いたします。」

 

そう言い、深々と頭を下げる。そこへ更なる助け舟が出される。

 

「生徒同士で魔法を教えあうことが禁止されているわけではありませんが、魔法の行使には様々な制限があります。それまでは控えた方がいいでしょうね。あなたたちには騒動を起こした罰として、明日までに一万文字以上の反省文の提出を命じます。」

 

生徒会長である真由美はそこまで言い、今度は蓮司の方を向く。

 

「あなたの言うことも最もであり、魔法は安易に使ってはいけません。しかしここはそれを学ぶ場でもあります。どうか私に免じて許してもらえませんか?」

 

そして風紀委員長の摩利も同様に蓮司の方を向く。

「私からもお願いする。学内の騒動の責任の所在は風紀委員にもある。今後取り締まりをより徹底することを約束する。ここは溜飲を下げてもらいたい」

 

上級生二人、1年生の学年主席、さらには弱い立場にある二科生が謝罪をした。その光景を見た蓮司は

(面白れぇな、こいつ…)

 

先ほどまでの怒りはなく、目の前の存在に興味が引かれていた。だからと言って全ての怒りが収まったわけでなかったが…

 

(後は俺次第か…)

 

そう、この場が収まるかは後は蓮司次第だ。先ほどの怒りをぶり返し、もう一度詰問する権利も蓮司にはあったが…

 

「はあぁぁぁぁ~~~~~~~~~…」

 

盛大にため息をつき、左手でCADの操作を始める蓮司。周囲が何をするつもりかと僅かに警戒を始めたが…

 

その後の光景に全員が息をのむ。魔法が発動し、右腕が淡い緑光に包まれたかと思うと、数十秒ほど経った頃には完全に怪我が治っていた。通常、どんな回復魔法も連続してかけ続けなければ傷を治せず、しかもそれは数日を要する。それを目の前の人物はわずかな時間で治して見せたのだ。そして徐に右腕を見せて、

 

「怪我なんかしなかった。制服はさっき走ってたら引っかけて盛大に破けてな、新しいのを買わないとな。」

 

そう言ってのけた。そして

「だが騒動の原因はお前なんだろ?だったら明日飯でも奢れ。言っとくが俺は常人の5倍は食うぞ」

 

そう挑発的な笑みを浮かべながら達也に話しかける。それを受けて達也は、

「常識的な量にしてくれよ?小遣いがなくなったら困る」

「だったら猶更だ。財布の中身がなくなるまで食ってやるよ」

 

そんな会話をしている場はすでに先ほどまでの重苦しいものはなくなり、少しずつ和やかなものとなっていた。そして一科生のもとへ振り向き、

 

「何見てやがる、俺が誰と会話しようがどうだっていいだろうが。さっさと失せろ。あと反省文がんばれ」

そう言い放ち、帰るよう促した。生徒たちは気まずい雰囲気のままだったが徐々に帰り、やがて騒動は落ち着いた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「こんなもんでいいすか」

 

蓮司は真由美たちの方を振り向きそう呼びかける。真由美たちも安心した表情を浮かべていた。

 

「ええ、本当にごめんなさいね。本来ならあんなことをした生徒は退学なのだけれど…」

「君はそのまま抹殺しかねなかったからな…そちらを押さえるのに必死だったぞ」

 

そんな言葉を交わし、二人はそこで校舎へ戻っていった。そこでもう一度振り向き、

「そういえば君たちの名前を聞いていなかったな」

 

蓮司と達也へ、摩利は改めて尋ねた。

「1-E 司波達也です」

「1-B 龍童蓮司」

「ありがとう、そしてよく覚えておくよ」

 

そう言い残し、今度こそ戻っていった。

 




はい、ということで第5話でした。いかがでしたでしょうか。

今話の結末は原作と同じですが、過程は多少オリジナルにできたかなと思います。個人的には、ここは書いてて楽しかっです。
達也君が感じた恐怖。本来なら深雪が直接的に関わっていないのでそこまで激情にかられることはないのですが、達也君は蓮司君に何かを感じていました。果たして何なんでしょうね。
そして蓮司君の実力の一端が見れました。回復魔法って本来そこまで便利ではないようですね。九校戦編の渡辺先輩の治療の様子を見たら、自然回復よりは早く治せる程度と解釈しています。なので連続でかけることもなく、その場で完治した蓮司君は純粋にすごいんです。もっとも、自分の体だったから、ということもあります。

さて、ここまでお読みいただいた皆さん。一つ決めかねていることがあります。


ヒロイン、誰にしようかな...

正直かなり迷っています。皆さんは誰が好みでしょうか。ちなみに私は光井ほのかちゃんが好きです。友達ポジションはエイミィがいいですね。

では次回、第6話でお会いしましょう。ありがとうございました。
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