ルーブル美術館
嘗てはフランス王宮が利用しあらゆる美術品が保管されている世界最大級の
美術館である。
外観は昨夜にいたガルニエ宮と同様に精緻で絢爛だが、朝日に煌めく建物は
桁違いに広く大きく、窓から見える館内もゴージャスである。
「では打ち合わせ通りポルト・デ・リオンから入館しまして観客に
気づかれませんように突入します。」
キンジとダイアナ、ポーナは中に入ると観光客に混じりながら辺りを
見回していた。
そして3時間後・・・キンジはある人影を見て・・・大きく目を見開いたのだ。
「!」
「どうしたのですかご主人様?」
「どうしたの?キンジ???」
2人がそう聞いた先にあったのは・・・お行儀よくジャンパー・スカートの
制服を着ていそいそとノートにメモを取っていた小柄な少女・・・カツエが
そこにいたのだ。
「情報通りだな、どうする?あいつをふんじばるか?」
「・・・いえ、先ずは彼女の動向を伺う為に放っておきましょう。上手く行けば
彼女たちレギメント・ヘクセの武器庫が突き止められましょう。」
「そうだね、もしかしたらメーヤさんもそこにいるかもしれないしね。」
ポーナはそう言いながら戦いに必要な事である拠点襲撃を想定した計画を
考えていた。
「・・・分かった、先ずは奴を監視するぞ。動くのはそれからだ。」
キンジの言葉に全員はこくりと頷きながら行動を開始した・
次のローマ美術のホールに尾けている中カツエは其処でも先生の講義を聞いて
熱心にノートを取っていた。
「勉強・・・してるな。」
「ええ、意外ですね。」
「うん・・・中国のランパオで聞いた口調とは全然違うね。」
3人共互いにカツエの行動に驚いているがどうも手際が他の生徒よりも悪いのが見えた。
皆がメモを書き終えて記念写真を撮ったりしているのに対してカツエだけは
あせあせと美術品の説明文を書き写していた。
更に言えば奥から勢いよくやってきた中国人観光客団体に気づかなかった
カツエは・・・どん!と押し退けられて筆記用具を床に散らばるが誰も助けようとしなかったがためにキンジは独りぼっちなんだなと思いながら見ている中ポーナは写真を撮ったのであろう制服から学校を調べていると答えを見てポーナが
こう言った。
「キンジ分かったよ、あれはストラスブールのフォレ・ノワール女学院の制服だって。」
「聞いたことがあります、通学制で教育レベルだけではなく学費も高くて
有名ですが同時に内部に寮が幾つかあるらしいですので恐らくは
レギメント・ヘクセも関わっている人間がいるかもしれません。」
その後先生の訓示を出した後に如何やら生徒たちはパリで
ショッピングしようかと言う話の中でカツエは懐からマルボロを出して
口に咥えると生徒たちの中に入る人影が見えた。
黒いフードが付いた服を着ているようで見た目も性別も分からなく
させているのが見てとれる中・・・ダイアナはキンジとポーナに向けて
こう言った。
「あの人間、カツエに何かを手渡していました。」
「「!!」」
キンジ達がそれを聞いて目を見開いていると暫くしてカツエは・・・右手に
握ってあるそれを見て其の儘・・・去って行くのが見えた。
「如何やら何か指令書か何かを貰ったようですね?」
「うん、あいつライター何て持ってなかったもんね。」
「・・・追うぞ。」
キンジの言葉にダイアナとポーナは了解と答えて向かって行った。
カツエが向かったのは排気ガスの臭いが充満する地下駐車場の中でカツエは
懐からライターを取り出すとライターの下側が外れて何かの・・・指令書であろう紙を取り出しているのが見えた。
するとカツエは居並ぶ観光バスの向こうにアルカーキ色の乗り物に乗ったのだ。
「あれって・・・まさか。」
「嘘でしょ・・・あれまだあるの!」
「あれはナチス・ドイツの量産型オートバイ・・・『ケッテンクラート』!」
ダイアナがそう言って目の前にアルバイクを見ていた。
前輪はバイク
後輪には2軌道のキャタピラが付いているという奇抜的な見た目のバイクが
そこにあった。
流石にここは欧州、最もナチス・ドイツの被害が深刻であったこのエリアで
斜め鉤十字はないであろうが『ケッテン・クラート』の外装には赤地に白盾、
その中には荒ぶる黒猫が描かれていた。
そしてカツエはゴーグル付きのハーフ・ヘルメットを付けると其の儘
出て行くのが見えたのでキンジ達は追う為の足を持っていないのかと思っているとダイアナはキンジに向けてこう言った。
「あれの速度は最大50㌔前後、ですから車ではなくこちらもバイクで
行きます。タンデムシートモデルのバイクを一つ譲渡しましょう、それで
追います!」
そう言うとキンジ達は向こうに行った。
「これか?」
「はい、わがMI6にて製造された『トライアングル』です。」
そう言って目の前にアルバイクを見た。
前輪のバイクの車輪は通常通りであるが後輪部分は車輪が2つあったのだ。
「これのタンデムシートは特殊です、後ろにエンジンがありますので
これで追います。」
そう言って3人は準備を始めた。
次回は・・・何でしょう?