混弾のキンジ   作:caose

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 その涙は・・・心を癒せるのか?


涙流して

 「『ブラド』、『イ・ウー』の№2はここにいるって本当?」

 アリアは理子に向けてそう聞くとアリアはこう続けた。

 「いたら逮捕しても構わないわよね?知っていると思うけどブラドは

あんた達と同じで一緒にママを冤罪で逮捕させた仇の一人でもあるんだからね。」

 そう言うが理子はこう答えた。

 「あー、それムリ。ブラドはここ何十年も『紅鳴館』に帰ったって言う

報告がないしあそこにいるには管理人さんと同居している

ハウスキーパーしかいないらしくてそもそも管理人さんも殆ど不在なもんだから

正体が掴めないって言うよりもその前にお前じゃブラドに勝とうなんて

無理に決まってるだろう?」

 「無理ですって!アタシの嫌いな言葉はね

『無理』、『面倒くさい』、『だるい』なのよ!!」

 「んなもん知った事ねえよ、戦いっていうのはな。勝った奴が正義、負ければ悪、それが自然のルールだ。人間はそれを知識と理性でカバーして今の世界を作るが結局アタシらは獣と変わらねえ。単に武器があるってだけで

本性はそんなもんなんだよ!アタシに負けた癖にブラドを逮捕だなんて

そんなもん一生かけても無理なんだよ!」

 「無理じゃないわ!」

 「無理だ!世の中な、無理って分かって初めて大人として前に進めるんだよ!!

成功する奴なんかそれでこそ天性の才能を最大限に

発揮できる奴だけなんだよ!!」

 「やってみないと分からないじゃない!」

 「やらなくても分かるわ!手前なんてブラドに手も足も出ずに負けるのが

目に見えてるっつうの!!」

 アリアと理子は言い争っているが確かに理子の方が言い分は正しい。

 無理と言うのは人間が持つ諦めでもあるがそれと同時に自身の限界を見極め

それを中心に出来ることを見つけてそれを学び進んでいくのが人間である。

 アリアの場合は未だ子供が意地を張って頑張っているように見えるが

それでは何時か自身の限界を見極めてしまった時に立ち直れなくなること必須だ。

 これ迄失敗などしたことすらなくたった一人で全てを成し遂げてしまった事から

自己中心的な発想をするようになったアリアが折れれば崩れ落ちるのが

目に見えている。

 そんな中に於いてキンジは話を変えようと思って理子に向けてこう聞いた。 

 「それで、お前は俺達に何を盗んで欲しいんだ?」

 そう聞いた。

 と言うよりもアリアの機嫌を良くさせるだけではなく対象が分からないと

何を盗れば良いのか皆目見当がつかないのだ。

 すると理子は声のトーンを1トーン下げてこう言った。

 「・・・理子のお母様がくれた、十字架」

 「あんたって本当どういう神経してるの!?」

 アリアは等々怒り狂って机に乗り上げて理子の胸倉掴もうとして・・・

天草によって腕を掴まれた。

 「落ち着いてくださいって言うのは無理かもしれませんので遠山君、

彼女をここから遠ざけてくれませんか?ここからは私が一対一で話し合って

見ます。」

 「・・・出来るのか?」

 「私は神父ですから。」

 「いい加減に放しなさいよこの神父擬き!?」

 「お前は少し落ち着け!!」

 「アンタは黙ってなさい!!」

 「むぐぐ!?」

 キンジはそう言ってアリアの両腕を抑えてジャンヌが両足を抑えて口を

松葉がポケットからハンカチを取り出して口に突っ込んで其の儘退室した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「スミマセン、後ハーブティーを2つ。」

 「かしこまりました、ご主人様。」

 天草はメイドに向けてそう言った後にメイドがケーキと一緒に持ってきたので

どうしてですかと聞くとメイドはこう答えた。

 「これは理子様のお友達にと思って私達が作ったので遠慮しなくて

食べてください。」

 お土産分のありますし何時もお世話になっているのでと言って立ち去って行くと天草は取敢えずはと言って理子に向けてこう聞いた。

 「峰さん、貴方は先ほど母親から貰ったと言っていますが貴方のご両親は?」

 「・・・2人とも理子8つだった時に。」

 「・・・そうでしたか。」

 「アリアが羨ましいよ、アクリル板越しでも・・・ほんの少しだとしても

会えるんだから。けど理子には誰もいない・・・たった一人なんだ。」

 そう言うと理子はこう続けた。

 「理子が取り返して欲しいって言った十字架は・・・

理子が5つの誕生日に貰った大切なものなんだ。それでこそ命の次に

大切なもだった・・・なのに・・・ブラドは私からそれを取り上げた・・・

悔しくって悔しくって堪らなかった・・・逃げ出した時だって本当なら

あの十字架も」

 理子は涙を流しながらそう言うと・・・天草は理子を優しく抱きしめて

こう言った。

 「へ・・・」

 「辛かったのですよね?」

 「・・・・・」

 「悔しかった、悲しかった、そして何よりも貴方は最初にあった時から

自分を隠しているような感じで笑っていました。」

 「・・・・・理子の事知らないくせに」

 「ええ知りませんよ、ですがこれだけは言えます。」

 「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「泣いてください。」

 「!!」

 「泣いて怒って笑って悲しんでそう言うのが人なんです、だから今だけは・・・本当の貴方に・・・自分であった時の貴方に戻っても誰も責めませんよ。」

 天草がそう言うと理子は静かにこう呟いた。

 「・・・お前ってアタシの事なんでもお見通しなんだな。」

 「神父ですから。」

 「答えになってねえよ・・・だったら一つ良いか?」

 「ハイ。」

 「・・・此の儘でいいから・・・此の儘で良いからさ・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「泣かせて・・・・」

 「良いですよ。」

 「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 理子はそれを聞いてまるで今まで我慢していた何かが壊れたかのように

泣き始めた。

 今まで一人の時でしか出なかった涙を誰かの前で流している。

 それはまるで・・・小さな幼子の様な感じであった。




 次回は少し時間を飛ばします。
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