太い木の根を貫くかのような、螺旋状の階段。《アルン》へと続く道のりを、踏み締めながら、一歩一歩、着実にミトを筆頭に《
(階段と言えば、シンデレラ!!!今宵こそ私がシンデレラになるのよっ!!!)
「いやいやっ!なれないからっ!!」
(そして、この階段の上にはグリスさんが……いるっ!!!)
「いないよっ!!普通に一緒にいるじゃんっ!!!」
(パスタ一皿お届けに参ります)
「お兄ちゃんに至っては、シンデレラ微塵も関係ないっ!!!というか最初から関係ないよっ!」
(あたしは今日、シンデレラガールになるっ!総選挙トップの座は渡さないっ!)
「なんの話っ!?」
「ふざけ過ぎだ……このバカどもっ!!!」
「天誅っ!!!」
「「「「ぐもっ!?」」」」
階段を駆け上がりながら、ドレスを着込みシンデレラになりたがる
突っ込みを入れていたリーファも、この数日間で関係性を理解している為に最早、驚きも生まれず、制裁を受けた兄を放置し、行く手に見える一筋の光を目指す
「あれが………世界樹」
飛び出すと同時に、降り立ったのは、苔生したテラス。唐突な光に視界を慣らそうと、目を一度閉じた後、ミトは改めて、眼前に広がる美しい夜景を焼き付ける
石造りの建造物が、限りなく連なる積層都市。行き交うプレイヤーは、十種族の妖精が均等に入り混じり、その中心に聳え立つは目的地である世界樹の姿がある
「あそこに………いるんだな。アスナが」
「ママ………きっと迎えにいきます。だから、待っててくださいね」
「辛気くさい面しなさんな。まだ終着駅を決めるには早いよ?こっからが
「言われなくても分かってるよ……。だから、お前も気を抜くなよ」
「
ソウテンとキリトの瞳が交差し、蒼き道化師の笑みと黒き剣士の微笑がミト達の視界に焼き付く
「「ゴーカイに行くぜっ!野郎どもっ!!」」
『了解っ!!!』
リーダー、サブリーダーの高らかな宣言にミト達は其々の得物を突き上げ、士気を高める。その時、パイプオルガンから発せられるような音楽が鳴り響き、午前4時から週1の定期メンテナンスが行われるとのアナウンスが耳に入る
「士気を高めているとこ、悪いけど……今回はここまでね。続きは今日の午後3時からね」
「おやつの時間」
「ヒイロくん。おやつはインしてからにしましょう、ベルさんがバームクーヘンを焼いてくれますよ」
「任せろっ!という訳だ、コーバッツ!バナナをくれ」
「うむ、私が育てた新種をやろう。名付けて……スイルベーンバナナだ!」
「美味そうだなぁ!さすがはオッさんだぜっ!」
「グリスさんは本当にゴリラですね。バナナ以外に頭使えないんですか」
「うるせぇ、マイクバカ」
「やるなら相手になりますよっ!」
「上等だっ!」
最終決戦直前に、士気を高めたのも束の間に何時もの騒がしいやり取りを始める面々。其れでも、キリトだけは隣に立つソウテンに目線を動かす
「ああ、そうしようか……それでいいよな?お前たちも」
「構わねぇよ」
「…………私も」
キリトの提案に快く応じる、ソウテンとは正反対に、ミトだけは僅かに煮え切らない返事を返す。遠く離れた親友、彼女を想う度に、幾度も眠れない夜を過ごした
仮想世界に囚われる前、夕陽が照らす屋上で、二人で共に過ごした他愛もない時間
『深澄は強いなぁ……』
『そんなことないわ。私よりも強い人なんか、そこら辺に居るもの』
『ええっ!?深澄よりも強い人がいるのっ!?』
百面相のように、ころころと表情が変わる彼女。その姿に、ミトは何時からか、自分の想い人を重ねるようになっていた
しっかり者なのに頼りない一面があったり、肝心な時にやらかす彼女。二人だけの秘密の時間は次第に当たり前になっていった
仮想世界に囚われて、初めての夜。想い人や仲間たちに会えない寂しさを紛らわせてくれたのは、他ならない彼女の存在だった
『大丈夫だよ、ミトは私が守るから』
『其れは私の台詞よ。アスナの事は絶対に守ってみせる』
その約束を、一度は反故にしようとした時もあった。だが、其れは彼女に叶わない筈の
「アスナ。私が………ううん、私たちが助けるわ」
「リーファ。この後、少しだけ俺に付き合ってくれないか?」
「うん、構わないよ。でもどうしたの?急に」
「会わせたい人がいるんだ」
ミトが決意を固める隣で、キリトもまた決意を固める。妹と恋人を引き合わせる決意を
中央都市《アルン》世界樹上部
「やぁ、
鳥籠内部に幽閉されたアスナが遠く離れた親友を想い、物思いに耽っているとオベイロンが現れ、彼女に問う
「アナタなんかの奥さんになるくらいなら、パスタ馬鹿なぼっちくんと結婚して、湖が一望できる湖畔地帯にログハウスを買って、ちょっと癖のあるバカたちと面白可笑しく暮らす方がまだマシだわ。このロリコン!」
「あまり失礼なことを言うんじゃ----」
その問いに承諾する素振りも見せず、アスナは具体的な結婚観を語り、更にオベイロンに罵倒を浴びせる。しかしながら、彼も引かずに対抗しようとする
「失礼?女子高生を幽閉して、奥さんになるように迫ってる癖に何を言ってるのよ。其れに、それを悔いもせずに喜ぶなんて間違いなく変態よ!クラディール以上の変態だわっ!」
「………また来るっ!!」
罵倒に耐え切れなかったオベイロンは、鳥籠を後にした。だが、彼の傷付いた心は、やはり癒えない
(くそっ……!!アイツらに会ってから、碌なことがないっ!!どうなっているんだっ!最近の教育事情はっ!!)
(………キリトくん、ミト、みんな…私はここだよ)
埼玉県入間市ゲームセンター“ファミリア”
「ふぅむ……午後三時ねぇ。変に時間が出来ちまった」
被っていたナーブギアを外し、窓から見える雪景色に視界を奪われる。冷たい空気が頬を撫で、深々と世界を彩る銀色は、天哉に束の間の癒しを与える
「あっ、テンちゃん。おはよー」
世界に降り積もる淡い雪を、静かに見守っていると、耳元から能天気な声が聞こえ、視界を動かすとエプロン姿の琴音が佇んでいた
「んむ…おはようさん」
「今日の朝ご飯はピーナッツバターサンドだよ」
「そいつはありがてぇ」
琴音が用意した朝食に舌鼓を打ち、兄妹水入らずの時間を過ごす。騒がしい日々が続く毎日の中で、繰り返される何気ない光景ではあるが、この時間だけは琴音からすれば、大好きな兄を独り占めに出来る最高の瞬間である
「そう言えば、テンちゃん。学校とかはどうするの?」
「うーむ……確か、都立高の統廃合で空いた校舎を利用して、SAOから帰還した中高生向けの臨時学校みたいなんを作るらしくてなぁ。気は進まねぇが、其処に通う事になるかねぇ」
元来、学校にも真面に顔を出さない天哉からすれば気乗りしないが、此れは本来の有るべき姿。つまりは、
二年に渡り、殺伐とした世界に閉じ込められた者たちを管理するが故の策。心理面に於けるメンタルカウンセリングも行うと言われ、“黒い衝動”を抱えていた身としては、その提案に乗らざるを得なかった
「なんか……まるで監視してるみたいだね…。テンちゃんは、本当に其れで良いの?」
「良いも悪いもねぇさ。あの世界での事が、罪に問われねぇにしても、俺がした事に対する償いは“忘れない”ことだ。其れに、今の俺には“アイツら”がいるからねぇ」
「恵まれたんだね、ホントに」
取り返しのつかない過去、“あの日”を忘れない為に、“其れ”を、自分の業として、背負い、紡いできた筈の繋がりを一度は断ち切ろうともした。其れでも、彼等は天哉を探し出し、また同じように仲間に迎え入れた
「まあ、頼りになるか?と言われたら別だけどねぇ」
『んだとコラァ!!!』
「ぐもっ!?」
自分で言っておきながらも、否定にも似た答えに行き着いた天哉の顔面に四発の蹴りが叩き込まれる。盛大に吹き飛び、壁に減り込んだ彼を他所に、姿を見せたのは、深澄達であった
「琴音は今から時間ある?」
「大丈夫だよ」
「だったら、丁度良かったわ。今からちょいと付き合ってもらえる?」
そう告げる深澄の顔には、天哉がよく見せる不敵な笑みが浮かぶ
「見てください、あの顔。リーダーみたいですよ」
「悪い顔してる…」
「凶悪ヅラだな」
「シバくわよ、アンタら」
「「「すいません、調子こきました」」」
兄妹水入らずの時間が終わりを迎えた事は、残念であるが彼女の用事に付き合うと約束した手前、断る訳にもいかず、承諾した琴音は背後で未だに壁に減り込んだままの兄を指差す
「…………あとさ、いい加減にテンちゃんを助けてあげてくれない?」
『あっ!忘れてたっ!!!』
「「うぉぉぉぉぃい!!!」」
自力で復活した天哉と琴音に突っ込まれた後、深澄達は彼等を連れ、駅へと向かうのであった
病院に辿り着いた天哉たち、その病院には和人と直葉も居て…
NEXTヒント 見ろよ……綺麗な顔してんだろ?
一周年記念!もう一度読みたい再編集話は?
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