「リンク・スタート!」
約束の時間を迎え、ナーブギアを被った和人は妖精の世界へと意識を飛ばす。遂に目標である世界樹に辿り着き、
「おやまあ、随分と重役出勤じゃねぇの」
「どう?アスナとはゆっくり、話せた?」
部屋から出たキリトに声を掛けたのは、仮面越しに不敵な笑みを浮かべる道化師と象徴である
「ああ、これ以上無いくらいに話せたよ。ありがとな……本当はお前たちを、巻き込んじゃいけないのに…俺が頼んだせいで…」
「バカね」
「ば、バカ?なんでだよっ!?」
唐突に放たれた『バカ』という単語に反応したキリトが、困惑した表情と共に問いを投げ掛ける。その単語を放ったであろうミトは、真っ直ぐと彼を見据え、優しい笑みを見せる
「アスナは貴方の恋人である前に、私の親友よ。付き合いで言えば、私の方が長いのよ?だから、きっと…貴方が頼まなくても、私も同じことを頼んだわ」
「ミト……お前…」
「勘違いしないでよね。私はアスナを助けたいだけなんだから」
「ロト、ユイちゃんよ。あれがツンデレって言うんよ」
「おやまあ」
「わたし、知ってます!こう言う時はツンデレ乙って言えばいいんですよねっ!」
「うんうん、ユイちゃんは物知りだねぇ……」
「「子どもに何を教えてんだっ!!おめぇはっ!!!」」
自分の発言が恥ずかしかったのか、僅かに照れた表情のミトがツンデレの模範的返答をする姿に、息子と義姪に余計な知識を吹き込むソウテンの頭上にミトが御約束を放ち、キリトも蹴りを放つ
「ぐもっ!?」
「おやまあ、相変わらずだねぇ」
「こう言うのをお約束って言うんですよ。ロトくん」
「まーたアホな事してる……」
「ホントに変わらないね……お兄ちゃんも、テンくんも…」
集合場所に落下したソウテンの後を追うように、一階へ降りたキリトの視界に
彼女達の周囲には、「三時のおやつ」であるディアベル手製のバームクーヘンを囲む仲間たちの姿があり、決戦前だとは思えない何時も通りの光景があった
「さすがはベルさん」
「全くです、SAOの時と変わらない味です」
「気に入ってもらえて嬉しいよ。まだまだ、沢山あるからな」
「さすがはディアベルさん。伊達にバームクーヘン業者を名乗ってないですね」
「シリカ。俺は騎士だ、バームクーヘン業者じゃないぞ」
「うむ!私が提供したバナナが美味だな!そうは思わんかね?同士グリスよ」
「おうよっ!やっぱバナナと言えば、オッさんだな!」
「ふむ……武器の手入れはこのくらいか」
「……さてと行きますか。《グランドクエスト》を攻略しに」
道化師は、槍を肩に担ぎ、不敵に笑い、その”蒼き衣”を棚引かせる。《
「この上にママがいますっ!パパっ!」
「なにっ!」
「アスナがこの上に……」
「ほう、この上にあのフラミンゴの居る鳥籠があるんか」
「リーダー。フラミンゴじゃない、居るのはアスナさん」
「おやまあ、そうなんか」
「気は確かですか?リーダー」
「仕方ないよ。だって、リーダーさんだし」
「アホだな、やっぱ」
「テン。お前はホントに可哀想な頭だな」
「うむ、本当に可哀想だ」
「略して可哀ソウテンか。まさにピッタリだな」
「おいコラ、誰も覚えてない造語を復活させんじゃねぇよ」
誰も覚えてない懐かしい悪口の復活に苛立つソウテンであったが、キリトとミトは馬鹿騒ぎに参加せずに空高くまで聳え立つ《世界樹》を見据えていた
「ロト……ユイちゃんの言ってることは本当なの?」
「ホントだよ。この上にアスナさんの反応を感じる、プレイヤーIDも間違いないよ」
「真っ直ぐですっ!パパっ!」
「グリスっ!かち上げてくれっ!」
「あいよっ!」
キリトに呼び掛けられ、グリスはハンマーで、彼をかち上げる。翅を大きく広げ、急上昇していくキリトを追随するようにミトも同様の方法で、大切な人が待つ場所へと上昇を続ける
「お兄ちゃん!ミトさん!気をつけてっ!すぐに障壁があるよ!!」
「それでも助けなきゃいけないのっ!私はアスナを守るって約束したんだからっ!」
「何としても進まなきゃいけないんだっ!例え、障壁に阻まれようがっ!」
「やれやれ、落ち着きなよ。おめぇさんたち」
障壁に迫る直前、ミトとキリトの眼前に“蒼き衣”が棚引く。その笑みを前に、彼等は翅から、力をゆっくりと、抜いていく
「ロト、ユイちゃん。ちょいと力を貸してくれねぇか?」
「Por supuesto.」
「でも、何をするんですか?テンにぃ」
ユイからの問いに、彼は、御決まりの不敵な笑みを浮かべる
「なーに、ちょいと試したいことがあるんよ」
中央都市《アルン》世界樹上部
「今のはっ!」
椅子に座り、過ぎゆく時を待っていたアスナは勢いよく立ち上がり、鳥籠の端まで走り出す
気の所為かもしれないが、確かに彼女の耳に何か響いた
『ママっ!ユイはっ!わたしは、ここにいるよっ!』
『おろ?これって通じてるの?アスナー、僕もいるんよー』
「キリトくん……ミト……みんな…。お願い……届いて…」
彼女は、その
同刻 世界樹障壁前
「届いたでしょうか……わたしの声…」
「届いたよ。子どもの声を聞き逃す親なんて、いないからねぇ」
「ロトくん……」
上空の世界樹を見詰める自分の声が届いたかを心配するユイに、ロトはかつての経験から得た情報を語りながら、自分の両親に視線を向ける。その横顔に、僅かに頬を染めたユイが熱っぽい視線を送る
「ユイっ!?なんだ、その視線はっ!お前に恋愛はまだ早いぞっ!パパは許さないからなっ!」
「………これからはパパと一緒に釣りしてあげません」
「いやぁぁぁぁ!娘が反抗期にぃぃぃ!!」
「あと、お洗濯物も別にしてください」
「……………」
「おやまあ、真っ白だ」
「燃え尽きてるわね」
「おろ?人間って白くなるんか?」
刹那、空から銀色に輝く何かが降って来る。其れを視界に捉えたミトが両手を広げると、ゆっくりと手の中に収まった
「……カード?でも何の…」
「ふむ…こいつは…」
「えっ?テンには分かるの?」
「ああ…間違いねぇ。こいつは……シンクロモンスターのレアカードだっ!」
「マジでかっ!!」
「違うに決まってんでしょうがっ!こんのバカコンビっ!!!」
「「ぐもっ!?」」
銀色のカードをカードゲームのレアカードと勘違いする
「これは…システム管理用アクセス・コードです!!」
「おやまあ、あながちレアカードっていうとーさんの答えも間違いじゃないみたいだねぇ」
「嘘でしょ!?」
「テンのアホみたいな発想が肯定される日が来るなんてっ!!!」
「シバくよ?おめぇさんたち」
ソウテンの馬鹿げた発想が実は的を射た答えであった事実に、ミトとキリトが戦慄を見せる。その様子に不服である当の本人は真顔で、瞳の奥が笑っていない笑みを見せる
「ただ、これを使ってゲーム内からシステムにアクセスするには、対応するコンソールが必要です」
「ふむ、つまりはデュエルディスク的なのが必要な訳か」
「なるほどな、分かりやすいな。つまりはカードリーダー的なのが必要ってことだ」
「アンタらは、一旦デュエルから頭を離しなさい」
「取り敢えずは下のドームから入りますか、そいじゃ」
急降下し、リーファ達が待つ根本に急降下していく。その事に気付いた全員が上空を見上げ、降下するソウテン、ミト、キリトの三人を迎える
「覚悟はいいか?おめぇさんたち」
「今更じゃねぇか」
「全くです。我々を誰だと思っているんです?泣く子も笑う、最強のギルド《
「愚問」
「妖精王とかいうのに、あたしの歌を聞かせてやりますっ!」
「ならば、俺はバームクーヘンを振る舞ってやろう!騎士としてなっ!」
「お前の中の騎士像可笑しくないか?ディアベル」
「うむ、可笑しいな。敵に振る舞うのはバナナだっ!」
「コーバッツ?そういう話じゃないのよ、今は」
「言っとくけど、あたしとフィリアも協力するからね?お兄ちゃん」
「関係無いはナシだからね」
目の前の階段を登ると、アルン市街区の最上部が現れる。妖精の騎士を象った彫像が護るように煌びやかな装飾が目立つ石造りの扉が、聳え立つ
「テン」
「ん?どしたんよ、キリト」
「改めて、聞くけどこのゲームをどう思う?」
キリトが問いを投げ掛けると同時に、石像の一体が動き出し、兜の奥の両目が青白く光る
『未だ天の高みを知らぬ者よ、王の城へ致らんと欲するか』
低音の声が響き、最終クエストの挑戦意志を質す為の《YES》《NO》が表示される。キリトは迷う素振りも見せずに、《YES》を選択する
『さればそなたが背の双翼の、天翔に足ることを示すがよい』
轟音が響き、重い扉がゆっくりと開いていく。そして、《蒼の道化師》と《黒の剣士》は不敵に笑う
「「死んでもいいゲームなんて、
グランドクエストに挑む《彩りの道化》の前に立ちはだかる未だかつてない強敵!最終決戦は目前だ!
NEXTヒント 気合い注入!
一周年記念!もう一度読みたい再編集話は?
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