蒼の道化師は笑う。   作:田中滅

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コラボが終わり、久方ぶりの本編!今宵はギャグマックスな学生生活を御覧に入れましょう


第二問 不正はバレずに行えばいい……という訳ではない

「深澄…頼みがある」

 

「イヤよ」

 

ある日の昼休み。食堂で昼食を取っていた深澄は何時になく真剣な表情の天哉からの頼みを食い気味に拒否する

 

「何かをしてくれとは言わん。俺はおめぇさんに隣に居て欲しいんよ」

 

「駄目よ。諦めなさい」

 

「そんな…答案を見せてくれるだけでいいんだぁぁぁぁ!!!

 

昼下がりの食堂に響き渡る天哉の叫び。深澄は彼に目も暮れずに昼食の鍋焼きうどんを啜っていた

 

「すまん、やるだけの事はやってみたがカンニング交渉は失敗した」

 

「テンも駄目だったか。俺も明日奈に頼んでみたが、返事の代わりに空手チョップされた」

 

「そうか……使えんぼっちだ」

 

「おいコラ、聞こえてるぞ。迷子」

 

天哉の呟きに和人が反応を示す横で、純平達はテーブルに手を置きながら、困った様に眉を顰める

 

「深澄の力を借りれねぇとなると…このままじゃ、全員が赤点になっちまうな」

 

「仕方ありません。今回は自力で突破しましょう」

 

「今から勉強するの?試験は明日なのに」

 

「ふっふっふっ、この僕を侮らないでもらいましょうか。伊達に「吏可楽流(リベラル)」の参謀をしていません……用はカンニングが出来ればいいんですよ」

 

不敵に笑う菊丸は懐に忍ばせていたノートを取り出し、その表情を天哉顔負けの凶悪面に変化させる

 

「なるほどな、自力のカンニングか」

 

「ありきたりな手段だけど、それしかないな」

 

「取り敢えず、コピー機で縮小するか」

 

菊丸からノートを預かり、食堂の脇にあるコピー機で限界ギリギリまでコピーし、テーブルに並べる

 

「う〜む……見える限界はこんくらいか」

 

「隠す場所を考えないとだな」

 

「なんだ、カンニングか。面白そうだな、俺も一枚噛ませてもらおう」

 

「あたしもアイカツで忙しくて、勉強まで手が回らないので参加させてください」

 

「………何故に、俺の周りはこんなんばっかりなんよ」

 

「良い質問だな。其れはお前が人生の迷子だからだ」

 

「んだとコラァ!!」

 

茉人、圭子の参加に自分の周りが異形な事を問う天哉へ和人が爽やかな笑顔で答えを返し、何時も通りの殴り合いが始まる

 

「でもよ、どうやって持ち込むんだ?普通に広げてたらバレちまうぞ」

 

「ご安心ください、抜かりはありません」

 

純平の問いに菊丸はトレードマークの眼鏡を、キラッと光らせる

 

パターン1(天哉の場合)「無難に筆箱だな」

 

パターン2(和人の場合)「んじゃ俺は飲み物ラベルにするかな」

 

パターン3(彩葉の場合)「団扇の裏」

 

パターン4(菊丸の場合)「僕は服の中ですかね」

 

パターン5(圭子の場合)「あたしはビラ配りで余ったチラシの裏にします」

 

パターン6(茉人の場合)「ならば、俺は扇子の裏にするか」

 

パターン7(純平の場合)「俺はワンナイで行くぜっ!」

 

「おやまあ、ワンナイとはこれまたリスキーだな」

 

ワンナイ、其れはOne nightつまり一夜漬け……の事ではなく腕内の事である。筋肉馬鹿である純平だからこそ、可能な手段である

 

「はぁ…自力で勉強って選択肢はないのね…」

 

「今更だよ……深澄…」

 

「アンタらも大変ね…」

 

盛大な溜め息を吐く深澄と明日奈に対し、里香は苦笑気味に同情していた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テスト当日。教室を静寂が支配し、天哉達は其々が持ち寄った縮小コピーを手に試験に望んでいた

 

「こほん、俺が試験の監督をするからには不正は認めないぞ。なにせ、騎士だからな!」

 

試験監督である阿来が爽やかな騎士的笑顔(ナイトスマイル)で不正行為は許さないと宣言するが、天哉達が諦める筈などなかった

 

「それじゃあ……先ずは筆箱をしまってくれ」

 

(おろぉっ!?)←天哉(脱落)

 

(ふんっ…馬鹿め。所詮はテン、頭の中が迷子な可哀想なヤツだ)

 

「それと飲食は禁止だからな。飲み物はしまえ、桐ヶ谷」

 

(な、なんだとぉぉぉ!!!)←和人(脱落)

 

早々に不正行為を潰される天哉と和人。二人は助けを求めるように菊丸達の方を見るが、彼等の眼は、友情とは何だろうと言いたくなるぐらいに冷やかであった

 

「……というか騎士学って何なんですか…聞いたことありません…」

 

「何でも鈴代先生のオリジナル授業らしい」

 

「絶対にあの人以外に需要ないよね…それ…」

 

「適当に埋めるしかない…ん?純平、どうした?」

 

騎士学という謎のテストに困惑する菊丸、彩葉、圭子に最低限は埋める事を進言する茉人は背後から呻き声にも似た声に気付き、純平の方を見る

 

「汗で滲んで文字が読めねぇ…!!」

 

「おめぇさん、バカだろ。やっぱり」

 

「仕方ない。所詮は純平だ」

 

相変わらずの純平に天哉、和人が突っ込みを放つ。やがて、試験開始から数十分が経過し、終了の時間が迫る

 

「だ、駄目だ……カンペを見ても全く分からん…

 

「ここは何時もみたいにチームプレイで行くか」

 

「なるほど、クリフト使うなですね」

 

「クリフトって誰?」

 

「クリフトはあの有名なゲームで魔王を相手に回復魔法を掛けてしまううっかり屋さんの事だよ。つまりはリーダーのようなアホだね」

 

「おいコラ、誰がクリフトだ」

 

「ならば、クリフト抜きで協力プレイという事にすればいい」

 

「おいコラ、クリフト蔑ろにすんな」

 

結局、《クリフト使うな》ではなく普通に協力という形に落ち着き、改めて答案用紙に向き直る

 

「あっ…」

 

刹那、服に仕込んでいた菊丸の縮小コピーが宙を舞う。誰もが気付くも、時は既に遅かった

 

「緑川…これは何だ?」

 

「えっと……我が家秘伝のカレーのレシピです…」

 

「ふぅん…其れで?実際のところは?」

 

「「カンニングペーパーです。センセー」」

 

「協力はどうしたんですかっ!?」

 

天哉達からの裏切りで、不正が露見した菊丸はテストを受ける資格を失い、不可となる

 

「しかし、出来が悪いな。其れでも誇り高き騎士か?お前たちは」

 

((騎士になった覚えはねぇ!!!))

 

阿来の問い掛けに答案と向き合いながら、天哉達は心中で突っ込みを放つ

 

「仕方ない。サービス問題だ、今から言う事を騎士風に訳すんだ」

 

((訳すのっ!?えっ、騎士学って言語学なの?))

 

「第一問、上半身にバナナを括り付けた男」

 

((意味わからんっ!!!誰かサービス問題の意味を教えてやれっ!!))

 

「第二問、仮面を付けた迷子」

 

((変な問題しか出ないっ!!授業中に何の話をしてたんよっ!!))

 

騎士とは何だ、と言いたくなる訳の分からない問題ばかり飛び出す事に天哉達は苛立ちを募らせる

 

「最期の一問…バームクーヘン」

 

「「完全にてめぇごとじゃねぇか!!バカクーヘン!!!」」

 

「ぐもっ!?教師を手を挙げるとは何事だぁ!このバカどもっ!!!」

 

「よし…こんな所ね…というか、現実でも相変わらずね…やっぱり…」

 

後日。深澄以外の全員は結局、不正が露見した為に不可となったのは言うまでもない。そして、阿来は生徒を相手に騒ぎを起こした為に教育実習の評価が二段階ほど下がったのは言わずもがなである




母親の命日、天哉は久方ぶりに墓参りに赴く。そこで再会したのは……

NEXTヒント あの日の真意

次回は少しだけシリアステイストな話を御送り致します

一周年記念!もう一度読みたい再編集話は?

  • 夜のバーカウンターwith ALO
  • テニスwith ALO
  • 闇鍋with ALO
  • 行列with 現実
  • ナイスハレンチwith 現実
  • カンニングwith 現実
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