「此方が御部屋になります、男性様方が尻子玉の間、女性様方はローズヒップの間です。御用がありましたら、お尻を数回に渡り、叩いていただければ、馬鹿息子が参りますので…」
女将に案内され、辿り着いたのは言葉の一部分に尻を連想させる単語が用いられた名前の間。心の何処かで彼女は真面だと思っていたが故に、出鼻を挫く様に放たれた発言に深澄たちは呆れ顔を浮かべる
「何故に全てが尻という単語を用いてんの?親子揃っての尻フェチなの?」
沈黙を破ったのは、頭の中を酒に支配された名ばかりエリートを父に持つが故に大人の扱いには定評のある天哉。彼は毒舌を交え、女将を相手に突っ込んだ
「イヤですわ、お客様。ちょっとしたウェルカムジョークですよ、本当は燕子花の間と紫陽花の間です。因みに私は男性の腹筋フェチですの」
「おやまあ、スペインジョークですかにゃ?女将さんとは気が合いそうだ」
然し、全てが女将の仕組んだウェルカムジョークと知った途端に、まさかの味方に回った天哉は彼女と堅い握手を交わした
「ツキ……前々から言おうとは思ってたけど、アンタのお母さんって変よ」
「自覚はしてる……でもな、あのオバハンはこんなもんじゃねぇぞ。其れにだ、うちにはまだまだ厄介な奴等が二人もいる……」
彼を取り巻く環境を誰よりも深く知る詩乃からの呆れ果てた意見に、勘助は頷きながら、更なる身内の存在を口にする
「有紗さんにおじさまのことね…確かに、あの二人もキャラが濃いわ。まあでも、仕方ないんじゃない?アンタの身内なんだし」
「はんっ、あんな野蛮人と同じにすんじゃねぇよ。俺はやる時はやるのを詩乃も知ってんだろ」
「えぇ、知ってるわよ?普段はどうしようもないくらいに変態な事もね」
勘助以上にキャラが濃いと言われる二人、彼以上に常軌を逸した変態を想像し、天哉たちの顔は絶望の色が浮かぶ
「まっ!最近は実家にも滅多に帰らねぇから、顔も合わせてねぇけどなぁ〜!」
「ふぅ〜ん?私と顔を合わせるのが、そんなにイヤなんだネ?勘助は」
「げっ………!」
げらげらと笑っていた勘助は背後から聞こえた声に振り向き、瞬間的に何かを察知し、見たくないものを見たかの様な表情を浮かべ、その場から飛び退いた
「お姉ちゃんに会いたくないってのは、どういう意味かカナ?発言の有無自体では、殴るよ」
「いだだだだだっ!!こめかみがっ!!なにしやがる!有紗てめぇ!!」
にこにこと笑いながら、勘助の顳顬付近を鷲掴み基アイアンクローする褐色肌の美女。その彼女に、初対面にも関わらず、天哉たちは言葉の節々に妙な親近感を感じていた
「…………深澄さんや、気のせいかにゃ?あの喋り方に聞き覚えがあるんだけど」
「奇遇ね、テン。私も同じことを思ってたわ」
有紗と呼ばれた女性の口調に妙な親近感を感じた天哉が問えば、深澄も何か感じたらしく、同様の疑問を抱いていた
「何故かは分からないが彼女とは長年の友人の様な気がしてならない。純くん、私は彼女と知り合いだったのか?」
「知らねぇよ、アネキの知り合いに会ったことなんかねぇし」
そして、彼女と似た口調の友人がいる胡咲もまた何かを感じ、弟に問うが返ってきた答えは適当で、彼はバナナを口に咥えていた
「うん?純くん?ねぇ、キミって純くんって名前なの?」
「んあ?確かに俺は純平だけど?なんだ、アンタ?俺を知ってんのか?」
有紗は、純平の名を聞いた瞬間に勘助をアイアンクローした状態で彼に話しかける。胡咲は愛弟に近付く彼女を前に威圧感ある視線を向けているが今は割愛しておく
「そりゃあ知ってんだろ、おめぇさんは喋るゴリラだからな」
「ああ、知らない方がおかしいよな。なにせ、喋るゴリラだ」
「ゴリラが喋る……正に世にも奇妙。世は世紀末なの?」
「彩葉くんは辛辣ですねぇ。こういう場合は御世辞を言ってあげるのが本当の親切ですよ?ねぇ、純平さん」
「菊丸。其れは良く似てるけど、サルの置物だよ」
「ゴリラじゃねぇ!!人間だボケェ!!」
「「「「「えっ」」」」」
「真顔で驚いてんじゃねぇっ!!」
真顔で驚愕する天哉たちに純平の突っ込みが飛ぶ。その一連の流れるやり取りを見た途端、有紗は両手をぽんっと叩く
「やっぱり!キミたち、《
《
「おろ?オネーサンは《ALO》プレイヤーなんか?俺たちを知ってるってことは」
「ウン。キミたちもよぉ〜〜く知ってるプレイヤーだヨ。ねっ?
「アバターネームで呼ぶなやっ!!
天哉の問いに、悪戯めいた猫の如き笑い方を見せる有紗は、隣にいた勘助をアバターネームで呼ぶと彼は食ってかかる様に彼女を《アリシャ》と呼んだ
「「「………………アリシャ?」」」
刹那、空間が一気に凍りついた。やがて、全員の脳裏に浮かんだその名を持つ女性が目の前の女性と重なっていく
「「「まさか、アリシャ・ルー!?」」」
「そだヨー」
そう、彼女の名は白築有紗、又の名をアリシャ・ルー。《ALO》の
「くそっ……遂にバラしちまいやがった。おしゃべりも大概にしやがれ」
「バラしたのは勘助でしょー?お姉ちゃんは何もしてないヨ」
「何がお姉ちゃんだ、年子だろうが」
「年子でも一年は一年、私の方がお姉ちゃんだヨ。それにしても、サクヤちゃんとリアルで会う日が来るとは思わなかったヨ」
未だに食ってかかる勘助を咎めつつ、有紗は長年の友である胡咲に視線を向けた。ゲーム内では幾度も顔を合わせてきたが、現実の彼女との対面は今日が初、つまりは始まりと言っても過言ではない
「まさか、アリシャが…いや、有紗だったな。君が勘助くんのお姉さんだったとはな、世間は狭いな」
「そうだネ。弟の周りに変わった友達が居るのは理解してたけど、其れがサクヤちゃんたちだったなんて、私も驚いてるヨ」
「ネーサンは知ってたんか?アリシャさんのことを」
和やかに談笑する胡咲と有紗を見ながら、天哉は詩乃に疑問を投げかけた
「知ってたわ。というか、私に《ALO》を進めてきたのも有紗さんよ」
「そうだったの。てっきり、私はツッキーがやってるからだと思ってたわ」
「それもあるわね。勘助は私がいないと絶対に碌なことをしないから」
「確かにツッキーは阿呆だからな」
「うむ。あそこまでの馬鹿を俺は見たことがない」
「白築は頭イカれてからっな」
「テメェ等だけには言われたかねーよ、バカトリオ」
「「やんのかゴラァ!!アホオオカミ!!」」
「おぐっ!?何しやがる!バカトリオ!!」
勘助の顔面にバカトリオが飛び蹴りを放ち、殴り合いの喧嘩が始まる。最早、当たり前の光景を深澄は気にも止めようとしない
「じゃあ、温泉にでもゆっくりと浸かりましょうか」
「わぁ!あたし、温泉って初めてです!泳いでもいいですか?」
「ダメよ?圭子ちゃん」
「詩乃ちゃん、アタイが背中を流してやるぜ?特にふとももを重点的にな」
「桔花は内風呂に入りなさいね」
「コッヒー、こいつは中々にセクシーな展開だな?おじさんは興奮してるよ」
「フカはおじさんじゃないでしょ。親父臭くはあるけど」
バカルテットを放置し、深澄たちは大浴場に向けて歩き出すのであった
急激に下がる温度と寒波に震えてますが生きてます☆今年も残り僅かですけど、この作品をよろしくお願いしますね〜
もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…
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ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
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キリトとアスナが司会の正規の雰囲気