「馬鹿息子。お前、銃とかに興味あるか?」
「あん?唐突に何を言ってんの?」
集合時間まで暇を持て余していた天哉は、父の天満に呼び出され、定食屋でカツ丼を掻っ込んでいた。そして、切り出された唐突な話題に首を傾げる
「実はな、最近VRMMOでの犯罪が多発してやがる。バーチャルスペース関連犯罪と言うらしいが、お前も知っての通り、俺はエリートだが機械には疎い」
「疎いというか致命的に駄目だろ。昔、IHコンロにぶちギレてたし」
「舐めんなよ?電気ポットくらいなら使える」
親子というよりも兄弟のような近しいやり取りの言い合いをする天哉と天満。その姿は長年に渡り、疎遠になっていたとは思えない微笑ましい光景だ
「アンタが警察とか世も末だな」
「揚げ足を取るんじゃねぇよ。でだ、本題を話す」
「箸を向けんな、行儀が悪ぃ」
箸を向け、本題を切り出す天満の手を引っ叩たきながらも天哉は彼の話に耳を傾ける
「お前、俺の下に就く気はあるか?」
「………………おろ?どういう意味だ、そりゃ」
「その間抜けな驚き癖は変わらねぇな。まあ、簡単に言うとだな。ああいう犯罪は俺たちの管轄の外側で起こりうる事が多い、かと言って見過ごす事は出来ねぇ。そこでだ、《
天哉の驚く姿に、天満は笑みを浮かべた後に事の詳細を語り始めた
「やってたというか現在進行形でやってんよ。琴音とか和人の妹も一緒に」
「あ?琴音が一緒なのは聞いてねぇぞ。まぁ、んなことよりも重要なのはこっからだ。近々、SAO事件並びにALO事件にも引けを取らないデカい
「手掛かりとかは?」
「あるかバカ」
「警察辞めちまえ、アンタ」
食い気味の即答に天哉は顳顬をひくひくさせ、暴言を放つ。其れでも本心ではない事を理解している天満は息子と同じ不敵な笑みを見せる
「ただ一つ、俺たちが掴んでいるのは……そのヤマに関わっているのがSAOで名を馳せた殺人者ギルドのメンバーだってことだ」
「殺人者ギルド………ふぅん、なるほどねぇ?《
「………お前、
「やっぱり、警察辞めちまえ。馬鹿親父」
「さてと……どうしたもんか」
場所は変わって、ALO内の南国島でソウテンはビーチパラソルの下で寝転がっていた
脳裏に浮かぶのは、父から出された指示と共に調査を行うメンバーの人選。幾ら、《
「テン?どうかした?」
「父さんの思考レベルが絶賛上昇中だね。何か考え事?」
彼の顔を覗き込む様に、水着姿のミトと彼女の頭の上に乗るロトが姿を見せる
「まあ、俺にも考え事くらいあるさ……にしてもミト。おめぇさん、随分と攻めた水着だな」
「あら?お嫌い?」
「いやまぁ………嫌いではないけど……」
ミトの着用している紫色のセパレートビキニは、彼女の魅力を最大限に引き出しており、ソウテンはその姿に鼻血を抑えるのに精一杯である。其れもその筈、
「ん〜〜〜〜!メイリンさ〜〜〜ん!素敵だ〜〜!!!」
「あらぁ、ありがとうございます。クラインさん」
「あいつ、メイリンさんが来る前はあたしたちを見てたわよね?」
「乳ですか?やっぱり、乳なんですかっ!?格差社会反対っ!!!」
「シリカが荒れてる」
「そっとしておいてあげましょうね?ヒイロくん。女性は時に恐ろしいんです、みんながみんなスグちゃんみたいにおバカではないんですよ」
「そうそう、剣道一筋なあたしは、勉強はダメダメで…………って!!誰がおバカよっ!!!」
「今日もノリツッコミのキレが冴えてますね」
「だから嬉しくないんだけどっ!!」
メイリンを褒め称えるクラインに苛立つリズベットの隣では「巨乳反対」と書かれたプラカードを掲げながら騒ぐシリカ、恋人の変わり様に無表情ながらも引いた感じのヒイロ、親友を慰めながらも幼馴染を弄ることを忘れないヴェルデ、弄りに難色を示すリーファ。何時もの風景が折角の景色を台無しにしていた
「それにしてもリズさん。残念でしたねぇ?」
「な、何がよ…」
「アマツさんが来られない事がですよ」
「はぁ!?べ、別にあんな変人!来なくていいわよっ!」
「それにしては気合いが入ってたように思いますけど?」
「シリカ……アンタ、ちょっと顔貸しなさい」
「高いですよ?あたしは」
「シリカちゃん…そう言う意味の貸すじゃないのよ」
「アスナ……今更、何を言っても無駄よ。可愛かったあのシリカは旅に出たのよ」
「そっか、居ないんだね。あの頃のシリカちゃんは……」
「何故にあたしは哀れみの視線を向けられてるんでしょうか」
可愛かった妹分のシリカは遠い昔、今の彼女はアイドルという皮を被った馬鹿である
「ようこそ、シリカ。おめぇさんも立派なハジケリストだ」
「なんでしょう、すごく嫌です」
《ハジケリスト》即ち、馬鹿と断定されたシリカは軽蔑するような眼差しを向けるも、周りは同意するように頷いていた
「あれ?同意されてる?」
「諦めろ、おめぇさんもハジケリストだ」
「すっごい不服ですっ!!!」
「みなさ〜ん!クエストに行きますよ〜!」
シリカの叫び虚しく、彼女は《ハジケリスト》に任命される。そしてクエスト開始時間となり、波打ち際で騒ぐアスナ達をクラインが呼び寄せる
「「はーい!」」
「うへへ……」
「マスター。奴の頭にフォークを」
「俺からはナイフを」
「俺からは焼き鳥の串を」
「僕からはフォークスプーンを」
「俺からは硬めの渋柿を」
「お前ら……クラインには容赦ねぇな…」
「「人の恋人に鼻の下伸ばすヤツに慈悲なしっ!!」」
久方ぶりに合流したエギルは変わり映えしないクラインの扱いにため息を吐き、彼に向き直る。刹那、彼は恐怖を覚え、顔を青ざめさせる
「クラインさぁん?私、浮気は許さないと言いませんでしたぁ?」
「ご、誤解です!メイリンさん!メイリンさんに比べたら、ミトたちなんざ、まだまだ魅力不足な小娘っすよ!美しいメイリンさんには敵いませんよ!」
「ウフフ、ありがとう」
((すっごい腹立つ………このヒゲっ!!))
メイリンが怒りを見せた瞬間、即座にスピード土下座を繰り出すクライン。彼の口から放たれる自分達を差別する発言に女性陣は怒りを募らせ、その不満が爆発するのはまた別の話だ
「そう言えば、テン。結局のところ……スグは泳げるようになったのか?」
「おろ?知らんけど?」
「そうか、知らないか………ん?ちょっと待て、なんで知らないんだ?」
「だってずっとスイッチしてたからな」
「アホかぁっ!!」
「ぐもっ!?」
まさかの衝撃的発言に、キリトの右アッパーがソウテンに命中。彼は御決まりの叫び声をあげ、海の中に吹っ飛んでいく
「何すんだコラァ!ぼっちっ!」
「誰がぼっちだっ!この迷子めっ!」
「喧嘩なら混ぜろやゴラァ!!!」
「「やかましいわっ!!!ゴリラァァ!!!」」
グリスまでもが混じり、即座に殴り合いの喧嘩を始めるバカトリオ。最早、見慣れ過ぎてしまい風景の一部と化した光景に誰もが目も暮れない
「うぅ……不安だなぁ……」
「大丈夫よ。リーファ」
「み、ミトさん。もしかして、直ぐに泳げる必勝法とかあるんですか?」
「えっ?ないわよ?強いて言えば、ガッツがあれば大丈夫よ!」
「ミト。気合いで乗り越えられないこともあるのよ?」
「………そうなの?」
(私の親友って……こんなにバカだったかなぁ?)
真顔で聞き返すミトに対し、アスナは心中で親友の変わり様に頭を抱えていた
「はぁ……仕方ないですね。スグちゃん、ダンジョンに行く時は僕が手を繋いでおいてあげますから、絶対に離さないでくださいよ」
「きっくん……うん!」
「「どぅぇきてる〜」」
「離せ!ユイ!パパは今すぐにヴェルデを叩き斬る!」
「嫌いになりますよ」
「ふぐうっ!?」
不安を抱くリーファを安心させようと、ヴェルデが提案すると彼女は嬉しそうに笑う。その様子を巻き舌で揶揄うソウテン達の背後では剣片手に暴れるキリトをユイが反抗期という名の言葉で無力化していた
「さてと……派手に行くぜっ!野郎ども!」
「「了解!リーダー!!」」
決まり文句で、一瞬の内に普段の騒がしさから、空気が一変。《ALO》に名を轟かす最強ギルド《
「魔法剣士の仮面!リーファ!これ一度やってみたかったんだぁ〜♪」
「狩人の仮面!フィリア!ん〜!しっくり来るぅ〜!」
「なぁ、テン?まさかだけど……これ以上は増えないよな?」
「はっはっはっ、そんな訳なかろう?これ以上に誰が増えるって言うんよ」
「だよなー」
「テン、キリト?それを人はフラグと呼ぶのよ」
更なる仲間加入のフラグが建築される中、ソウテン達はクジラが現れるというクエストを受注する為に座標ポイントに移動し、空中で制止しつつ、周囲を見回す
「おやまあ、見渡す限りの海だな」
「当たり前でしょ?海なんだから」
「おやまあ、綺麗だねぇ」
「はい!綺麗です!」
「美しいです」
座標ポイントを見渡すソウテン、キリト、フィリアの頭上でロトとユイ、エストレージャが歓喜の感想を述べる
「………光ってる」
「おや、本当ですね」
「なら、あそこじゃねぇか?」
「行ってみる価値はありそうね〜」
「それじゃあ、《ウォーターブレッシング》の魔法を掛けるわね。ミト」
「任せて、最近は補助魔法もバッチリよ」
二人の
「おろ?なんか見えてきた」
「お宝ちゃんの気配……!!」
「おい、あそこに誰かいねぇか?」
「ホントだわ。人……クエストNPCかしら?」
「海の中で困ってる人……つまり!人魚!マーメイドのお嬢さ〜〜〜ん!今このクラインが参りますよ〜〜〜!」
「…………テン。あのバカはどうにかならないか?」
「無理だね」
海の中、クエストNPCという些細な情報から相手が人魚だと決め付けたクラインはいの一番に泳いでいく
「何かお困りですか?お嬢さ………んっ!?」
待ち受けていたのは、美女!ではなく老人だった。予想と違う出来事にクラインは固まっており、その背後に降り立つソウテン達は隣から感じる黒い気配に冷や汗を掻いていた
「どうしたの?おじいさん」
一人だけ、気配に疎いヒイロはNPCに話し掛ける。するとクエスト発生の《YES》《NO》が表示され、迷いなく《YES》を選択すると老人が口を開く
「おお、地上の妖精たちよ。この老いぼれを助けてくれるのかい?」
そう問いかけ、クエスト内容を語り出す老人。しかし、リーファは彼の名に違和感を覚え、表情を僅かに顰める
「スグちゃん。どうかしましたか?」
「何か気になることがあるの?」
「あっ……いや、あのおじいちゃんの名前…ちょっと気になって」
「ふむ……《Nerakk》ですか。確かに気になりますね」
老人の名に違和感を感じるリーファとヴェルデ、その間にも話は継続しており、取り替えしてほしい物が巨大な真珠と知った瞬間にフィリアとリズベットの瞳が輝きを見せる
「「でかっ…!」」
「フィーとリズは後方でアスナとリーファの護衛決定な」
「「何故っ!?」」
「ネコババの前科があるからに決まってるじゃないですか。リズさんは売り飛ばしてましたし」
「「ぐっ……!」」
過去の前科を掘り返され、明後日の方向に目を背けるフィリアとリズベット。その間もヒイロは老人の話に耳を傾け、話終わると背後を振り返る
「なんか探し物系クエストみたい」
「なら前衛の指揮は水中である程度の動きが出来る私に任せて」
「おやまあ、意外にやる気だねぇ。ミト」
「当たり前よ。ユイちゃんが見たことないのよ?なら、ロトも見たことない筈でしょ」
「なるほど、納得だ」
神殿の中に入り、老人の探し物を探す為にキリトを先頭にダンジョンを探索する。余談だが
「おい、キリトよぉ。リーファちゃんを心配してやらなくていいのか?」
「分かってるけど……こういうパーティで組んでると、接し方に迷うんだよ」
「やれやれ、相変わらずのぼっちだな。兄貴は妹の面倒を見るのが当たり前なのを知らんのか?おめぇさんは」
「その妹と迷子紐で縛られてるヤツにだけは言われたくない」
「「迷子じゃない………おろ?」」
「「ん……?」」
その時だった、双子らしいハモり口調で口癖を放った後、ソウテンとフィリアが姿を消した。何事かと思い、キリトが覗き込むと彼の腕を掴んだソウテンに引き摺り込まれ、フィリアも近くに居たクラインを引き摺り込む
その先に待ち受けていたのは、渦巻く水の罠。流されそうになるが何とか、四人は這い上がる
「見えてる落とし穴に落ちるか?普通……」
「さすがはリーダー。伊達に可哀ソウテンと呼ばれてない」
「アレで攻略組の三大ギルドが一つのリーダーとサブリーダーなのよね……」
「最初はカッコよかったんですけどね………」
矢継ぎ早に放たれる呆れた眼差しと罵倒にミトとフィリア、アスナとリーファは乾き笑いを浮かべる
「パパ!」
「父さん!」
「マスター・フィリア!」
「「「後ろです!!」」」
娘たちが叫ぶ。刹那、落とし穴から水飛沫を巻き上げながらモンスターが姿を現す
「あれは…………クジラ?」
「どう見ても違うだろ!バカテンっ!!!兎に角!戦闘用意っ!グリス!タゲ取りを頼む!」
「仕方ねぇな!オラオラ!こっちだぜ!魚野郎っ!!」
「テン!それにみんなは側面から攻撃だ!」
「あいよっ!悪いけど、ミトはアスナとリーファを頼む!」
「はいはい……リーファ、無理しないでね?」
「う、うん……」
水棲型モンスターを相手に水が苦手なリーファを気遣い、彼女を護るようにミトへソウテンが指示を飛ばす
魔法を詠唱しながらも、折角の特訓が無駄になった事をリーファは後悔していた。しかし、泳げない自分では足手纏いにしかならない。故に支援に徹していたが、彼女の瞳に幼馴染の姿が映る
『でもさ…遠いよ、あたしには遠すぎる…。この先、VRはもっともっと発展を遂げる…でも、あたしは…その先を見れない…だって、あたしには遠すぎるもん…』
『………確かに遠いです。僕もあの二人の背中を目印に、今まで必死に遠い道のりを歩みました。でも、そうじゃなかった。自分の歩幅で良いんですよ。大丈夫、スグちゃんが追い付けない時は、僕が手を引きます。スグちゃんが迷った時は、僕が手を取ります。だから、泣かないでください。君に泣き顔は似合わない』
あの日、《ALO》に浮遊城が現れた日。リーファは決めた。自分の隣を歩いてくれる幼馴染を、世界中の誰よりも自分を見てくれる彼を、大好きな兄と同じくらいに大好きな想い人に釣り合う女性になろうと彼女は決めた。故に、自然と彼女は動いていた
「「リーファちゃん!?」」
モンスターを目掛け、特攻を掛けるリーファ。刹那、モンスターが動いた。体を回転させ、渦潮を発生させると周囲を巻き込む水の竜巻を作り上げ、リーファを呑み込んでいく
「わわっ!!ああああっ!!!」
「リーファさん!リーダーさん!リーファさんがっ!」
「くっ……!グリス!俺をあそこまで吹っ飛ばせるか!?」
「無理だ!立つのもままならねぇ状況で人を飛ばすなんざっ!」
「僕に任せてくださいっ!キリトさんっ!」
「おいっ!ヴェルデ!待てっ!」
万策尽きたと思われた瞬間、駆け出したヴェルデが竜巻の中に飛び込んだ。キリトが止めた時には既に彼は見えなくなり、その声は届いていなかった
「喰らいなさいっ!!!」
巻き上がる風を利用し、天井で方向を変えたヴェルデはレイピアをモンスターのウィークポイントに突き刺し、消滅させる。ポリゴンの欠片が散りゆく中で見たのは初めて出会った時と同じ彼の姿、手を差し出し、笑う幼馴染の姿だ
「全く……世話が妬けますよ」
「きっくん……また助けてくれたね」
「水に落ちる趣味があるんですか?スグちゃんは」
「あるかっ!」
「…………むむっ」
「いい加減に認めてやったら、どうなんよ?カズ」
「………とっくに認めてるよ。何せ、キク以上にスグを分かってるヤツはいないからな」
「そりゃあ良かった」
急死に一生を経た《
「はぁ……暫くはイカだの、タコだのは見たくないぜ…」
「あらぁ、今日はたこ焼きを作ろうと思っていたんですけど」
「タコは大好物なんですよ」
「お前………プライドないのか?」
「無駄ですよ…エギルさん。まぁ?ユイちゃん達は楽しかったみたいですから、良しとしましょう」
老人に真珠を渡すキリト、その様子を見ていたソウテンの表情が仮面の奥で歪む。ヴェルデも同様に眼鏡を、くいっと上げ、表情を顰めている
「リーダー。お気付きですよね?」
「ああ、このクエストはちょいと不自然だ。あのジイさんを襲った盗賊……そんなんが存在するとは思えねぇ」
「………あっ!キリトくん!待って!」
その時、老人に真珠が渡り掛けた瞬間。アスナが駆け出し、真珠を取り上げ、天から降り注ぐ海中の光に照らす
「これ……真珠じゃなくて、タマゴよっ!!」
「た、タマゴ!?」
「なるほど、合点がいった。あのジイさん……ブラフかましやがった訳だ。クエスト名《深海の略奪者》ってのは俺たちを指してたんだ」
「なにっ!?ジジイ!コラァ!騙しやがったなっ!!!」
「さぁ……早くそれを渡すのだ。渡さぬとあらば……仕方ないのう」
歩み寄る老人はその意志がない事を確認すると、姿を変貌させる。髭は畝り、無数の触手へと姿を変え、その顔は巨大な烏賊へと変わる
「《クラーケン》!?北欧神話の海の魔物っ!!!」
「いつの間に《ALO》にイカが実装されたんだ?」
「気を付けろ!ローラーとかで塗りたくって来るぞ!」
「いやシューターかもしれねぇ!」
「そこのバカトリオ。ホントに黙れ」
「「あい……」」
最大級の怪物《クラーケン》を前にボケを繰り出すバカトリオをミトが威圧感を放った声で黙らせ《クラーケン》に視線を向ける
『礼を言うぞ、妖精たちよ。我を阻む結界からタマゴを持ち出してくれたこと……さぁ、其れを我に渡せ』
「生憎だけど、手に入れたお宝ちゃんを「はい、どうぞ」って渡すほどに甘くないのよねぇ?私。……何故って?トレジャーハンターだからよ!行くよっ!」
《クラーケン》相手にトレジャーハンターのプライド故に啖呵を切るフィリア、彼女に続くようにソウテン達も武器を構える
『ならば、深海の藻屑となるが良いっ!!!』
その言葉と同時に放たれた攻撃は明らかに神殿内のモンスターを凌駕する圧倒的な力を持ち、明確な殺意が見えた。ダメージを与える事も出来ず、ソウテン達は吹き飛ばされる
「父さん!あのイカみたいなやつ!ステータスが高すぎる!」
「ロトくんの言う通りです!新生アインクラッドのボスを凌駕してます!」
「無理かにゃ……これは」
引き際を悟り、諦めた時だった。今にも自分達を飲み込もうとするソウテン達の前に一振りの槍が飛来し、《クラーケン》が動きを止める
『久しいな?古き宿敵よ。相変わらず、悪巧みがやめられないようだな』
突如、飛来した巨人が《クラーケン》に呼び掛ける
『そう言う貴様こそ!いつまで、アース神族の手先に甘んじているつもりだ!海の王の名が泣くぞ!』
『ワタシは海の王である事に満足しているのさ。そして、此処は私の庭、そうと知りつつ戦いを望むか?深淵の王』
『今日は貴様に免じ、手を引こう……宿敵よ。しかし、我は諦めぬぞ。巫女を我が手に収め、忌々しい神共に一泡吹かせる……その時まで…!』
そう言い残し、《クラーケン》は深淵の底に消えていく
『そのタマゴはいずれ全ての海と空を支配する御方の物、新たな御室に移さねばならぬ故。返してもらうぞ』
謎の巨人が手を翳すと、アスナの手の中にあったタマゴが消え、ソウテン達の前にはクエストクリアを意味する《Congratulations‼︎》の文字が表示される
「これでクリアかよ?」
「なんか呆気ねぇな、消化不良だぜ」
「あたし……おじさんとタコの会話、全然理解できなかったわよ…」
『今はそれで良い。さっ、其方らの国まで送ってやろう……妖精達よ』
「送る?どうやって?」
「大砲とかですか?」
首を傾げるヒイロとシリカ。刹那、《
茜色に染まる空、夕暮れ時の海原に一頭の鯨が跳ねる。その背には《
(きっくん……大好きだよ)
そして、彼女は恋をした。大好きな幼馴染に、優しい笑顔の彼に、彼女は恋をした
《GGO》、其れは生きるか死ぬかを全面的に押し出したサバイバルゲーム。そして、その世界に赤き装甲を纏いて、駆け抜けし、獣あり、その者……
NEXTヒント 冥界の女神
もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…
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ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
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キリトとアスナが司会の正規の雰囲気