「すまん、待たせちまったな。いやぁ…さっきまで二日酔いでよ〜」
軽い声色で、悪びれもない様子でカウンターバーに姿を見せる天満。掻っ込んでいたピーナッツバターライスを机に置き、天哉はジト目を向ける
「おいコラ、馬鹿親父。この時間まで二日酔いとか何次会までやったんだよ」
「八次会だ」
「頭から酒樽に突っ込まれたいんか?アンタは」
真顔で答える天満に対し、顳顬を引くつかせる。此れが自分の父の姿だと思うと嘆かわしいが、今までのエリート思考に隠されていた本来の姿が此れなのだろう
「そういや、深澄さん。どうしているんだ?」
「天哉くんにバイトしないか?と誘われまして」
「二人よりも一人の方が楽だからねぇ」
「なるほどな。んじゃあ、本題に入るか……先ずはコイツを見ろ」
刑事としてのスイッチが入った瞬間、鋭い目付きを見せる天満が、コートの内ポケットから二枚の写真を取り出す
「…………なにこれ」
「夜中にピーナッツバターサンドを食べて、音葉に怒られて泣きじゃくるお前と其れを見て、お兄ちゃんをいじめないで〜!と泣き喚く琴音だ。懐か---ぐもっ!?」
「真面目にやれっ!」
「小さいテン………お義父さん、この写真をください」
「深澄さん?何を娘さんをください的なノリで写真を要求してんの?」
真剣な雰囲気も束の間、息子と似通った掴みから入る会話術を披露する天満の顔面に天哉の蹴りが命中。その横で深澄は恋人の過去を知る手掛かりを手に入れようと必死だ
「悪い悪い、冗談はこっからだ」
「まだあんのかよっ!?」
「ああ、間違えた。冗談はここまでだ」
「どんな言い間違い!?」
(なんか、こういうテンを見るのは新鮮ね)
和人達と居る時よりも、ころころと表情を変える天哉の姿が新鮮だったのか、深澄は優しく微笑み、暖かい眼差しを向けている
「そいじゃあ、ちょいとコイツを見てくれ。右の男は11月9日、左の男は11月25日に亡くなった。死因は二人とも心不全、体に目立った外傷は見られず、事件性はない……というのが上の判断だ」
「…………オヤジ、この二人に接点又は共通点はあるんか?」
内ポケットに仕舞っていた本来の用件に関する写真を見せ、事の詳細を語り出す天満。彼の言葉尻に違和感を感じ、天哉が問いを投げ掛けると天満は不敵に笑う
「………察しがいいじゃねぇか。接点は知らんが、共通点ならあるぜ?前にお前には話したよな?VRMMOバーチャルスペース関連犯罪について」
「ああ、SAO事件並びにALO事件にも引けを取らないデカい
「これは、その
「思い出したわ。この右の人、《ゼクシード》って名前で、GGOではトップに位置するプレイヤーよ。確か、亡くなったと思われるこの日、《MMOストリーム》と言うネット放送局の番組に出演してた……でも、途中で回線落ちして、番組が中断したのよ」
「
「ああ、其れに妙なヤツの目撃情報も上がってる。其れがコイツだ」
そういうと天満は更に写真を取り出す。其処には荒い画質の画像を解像度限界まで処理したローブの男が映っていた
「問題の時刻に、この画像の人物が、モニターに向けて裁きを受けろ、死ねなどと叫んで銃を発砲した。で、その発砲直後に苦しみ出した《ゼクシード》は回線切断……どう思う?」
「…………まだ情報しかねぇから、何とも言えんが。俺の勘が正しいなら、オヤジの推測通りだろうな」
「このプレイヤーの名前は調べてあるんですか?」
「本名かどうかは不明だが、《シジュウ》または《デス・ガン》を名乗ったらしい。死の銃と書いて死銃という意味みてぇだ」
「それで?どうするよ」と、問い掛けながら笑う父に息子は不敵な笑みを浮かべ、恋人の頭を数回程ぽんぽんと撫で、口を開く
「
「朝田ぁ。悪いんだけどさ、金貸してくんない?ちょっと遊び過ぎて、帰りの電車賃が無くなっちゃったのよぉ」
「嫌よ。一人暮らし女子の財政事情も理解できない阿保に貸すお金は無いわ。さっさと失せなさい」
街の路地裏、典型的な不良少女からのカツアゲを突っぱねる眼鏡の少女。彼女の名は朝田詩乃、GGOでは、《シノン》と名乗る狙撃者の本来の姿だ
「ばぁん!」
刹那、手で銃を撃つ真似事をする不良少女。此れが関西は笑いの都である大阪であれば、倒れたり、対抗したりと様々な返し芸が炸裂するだろう。しかしながら、詩乃の反応は違った
「ゔっ………」
嗚咽にも似た声を出し、口を抑えるように立ち竦む彼女を取り囲むみ、鞄に手を伸ばす不良少女とその一派。だが、彼女の手が詩乃の鞄に届くことはなかった
「よぉ、久しぶりだな?遠藤。お前のとこのヘタレアニキは元気か?」
「なっ……あ、アンタは!」
嘲笑うような笑みを浮かべ、路地裏の入り口付近に佇んでいたのは銀髪の少年。赤い革ジャンを肩に羽織り、ぎらりと上顎から覗く犬歯は狼を彷彿とさせる
「つ、ツキ……」
「白築……!」
「ああ?」
「い、いや……白築……さん…。し、失礼しましたっ!!!」
その少年、勘助を見た瞬間に不良少女達は逃げるように去っていく。自慢ではないが、彼をこの街で知らない者は存在しない。其れが悪名なのか、将又、名声なのかは分からないが彼は街の顔なのだ
「詩乃……お前の啖呵はやっぱりスゲェな。ナイスケツ……あっ、間違えた。ナイスガッツだ」
「アンタ、後で頭に風穴開けるわ」
一気に夢から引き戻され、詩乃はびしっと指を差し、風穴宣言を繰り出す
「すまん、見事な尻だったんで本音が出ちまった。でもな、恥じる必要はねぇぞ。お前の魅惑のヒップラインは正に
尻熱弁を始める勘助の顔面に《シャイニングウィザード》を見舞い、物理的に黙らせると彼は腰掛け椅子のような体制で倒れ、その上に詩乃は腰を下ろす
「詩乃。これは座ってくれって意味じゃない」
「踏めばよかった?」
その冷めた視線は正に冥界の女神を彷彿とさせる、塵を見る目であったのは言うまでもない。此れが、最強スナイパーと最強番犬の普段の姿……然し、詩乃は知らない。自分の幼馴染が
(あ、アイツ……なんて羨ましい!!!朝田さんの尻に敷かれるなんて……!!!)
そして、その様子を見守る少年が居たことを彼女は知らない
その頃の
「おらー!!ピーマン食えやっーーー!!!」
「内緒でバイト良くない」
「お食べなさい、そして更にお食べなさい」
「むごっ!?むごごっ!!!」
正に地獄絵図、天井から吊るされた天哉を取り囲むように三人の馬鹿が彼の口にピーマンを押し込んでいた
(あ、危ねぇ〜!バイトの事を明日奈にだけしか話さなくて良かったぁぁぁぁ!!)
(………和人もなんか隠してるわね)
(お兄ちゃん……直ぐに顔に出るなぁ…)
(ああ……純平さんの上腕二頭筋が……セクシー……)
襲われる天哉を放置し、安堵する和人。その様子に気付いた深澄と直葉はジト目を向け、琴音は純平の筋肉に見惚れ、鼻血を出していたのであった
新たな依頼を受け、彩りの道化が降り立つは荒野の戦場。そして、この世界でも道化師は不敵な笑みを………あれ?俺、縮んでる!?
NEXTヒント 目が覚めたら、体が縮んでしまっていた件
もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…
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ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
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キリトとアスナが司会の正規の雰囲気