蒼の道化師は笑う。   作:田中滅

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はーい、二話目です!荒野に解き放たれるは迷子と鍋奉行ちゃん!果たして、彼等は何を見る?


第二弾 見た目は道化師、頭脳は迷子!その名は道化師(クラウン)

「んじゃあ、菊丸。手はず通りによろしく」

 

「致し方ありませんね…依頼を受けたのであれば、これは仕事。故に不詳、この緑川菊丸が全力でサポート致しましょう」

 

依頼から一週間後、《ファミリア》に天哉は居た。ナーブギアを片手に彼が会話するのは、サポート役を担当する菊丸だ

隣には深澄が座り、彼女はナーブギアの後継機であるアミスフィアを手にしている

 

「テン。アミスフィアがあるのに、どうしてナーブギアを持ってるの?」

 

深澄の疑問は最もだ、《ザ・シード》の力で発展を遂げたVRMMOは《アミスフィア》を主な使用ハードに推奨している。第一世代である《ナーブギア》は回収され、現在は天哉以外には和人しか所持していない

 

「なーに、心配しなさんな。コイツには、脳を焼き切る力なんかねぇよ」

 

「それでも……《ナーブギア》なのよ?怖くないの?私たちをあの世界に招き入れた元凶……私は今でも、《ナーブギア》の名前を聞く度に恐怖を覚えるわ」

 

「確かに……怖くないって、言えば嘘になる。其れでも、俺が《蒼の道化師(ソウテン)》で在り続ける限り、《ナーブギア(コイツ)》を手放す訳にはいかねぇんよ。俺が《ナーブギア(コイツ)》を手放す時、其れは全ての罪が許されて、《蒼の道化師(ソウテン)》が役目を終えた時……だから、今は何があっても《ナーブギア》を手放さない……それにだ、俺には何があっても深澄たちが居るしな」

 

「ふふっ、そうね。愛してるわよ?私の道化師さん」

 

「俺もだ」

 

抱き合い、見つめ合い、ゆっくりと近付く二人の距離。やがて、溶け合うように口と口が触れ合う……

 

「ごほん!ごほん!」

 

「「…………!」」

 

「仲睦まじいのは、構いませんが……時と場所を弁えていただけませんかね」

 

「「め、面目ない……」」

 

重なり合い掛けた唇を離し、飛び退いた二人の視線の先には苦笑する菊丸の姿がある。軽いため気を吐きながらも、注意を促す彼に謝罪を述べる

 

「此方側の情報収集には、純平さんと彩葉くんが動いてくれています」

 

entendido(了解)、そっちは任せた」

 

「それじゃあ、行ってくるわね」

 

《ナーブギア》と《アミスフィア》を被り、新たな世界に旅立つ天哉と深澄

 

「「リンク・スタート!」」

 

魔法の言葉を唱え、旅立つ兄貴分と姉貴分に菊丸は敬礼をする

 

「御武運を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………おろ?」

 

意識を覚醒させ、周囲の景色を見回す小柄な少年。彼は何時もより遥かに低い目線に違和感を覚え、口癖を放つ

 

「…………私、縮んでる?」

 

「うーむ……どうも、そうみたいだねぇ。おろ……?」

 

隣から聞こえた幼さを感じさせる声、視線を動かすと赤い艶が目立つ茶髪の少女が佇んでいた。ウェーブがかった髪、小柄な見た目、薄紫のパーカーを着用した彼女、まさかとは思いながらも、声を掛ける

 

「ミト………?」

 

「えっ……テン?ウソっ!?テンも縮んでるじゃない!?」

 

「おやまあ、ホントだ」

 

茶髪の少女基ミトは声を掛けてきた小柄な少年が恋人のソウテンだと知り、驚愕する。当の本人は何時もと変わらない呑気な口調で、けらけらと笑う

 

「トレードマークの仮面があるから一瞬で分かったけど……無かったら、目つきの悪い子どもにしか見えないわね」

 

「言うねぇ?しっかし、ミトも随分とイメチェンしたじゃねぇか。まるで怪しい組織に所属して、毒薬の研究をしていたけど、お姉さんが亡くなって、組織から抜け出す時に毒薬を呑んだら、体が縮んでしまった女科学者みたいだ」

 

「や、やけに具体的ね…」

 

「な、なんじゃこりゃぁぁぁぁ!!!」

 

ミトの姿をある筈もない設定を交え詳細に語り出すソウテンに対し、呆れたような苦笑をミトは浮かべる。刹那、聞き覚えのある叫び声が耳に入る

 

「不味い、不味いぞ!こんな姿をアイツらに見られたら……!」

 

「おやまあ、キリトならぬキリコか。おめぇさんに女装趣味があったとは知らなんだ」

 

「やっぱり、パーツが女顔だと其方に引っ張られるだけあって、余計に可愛いく見えるのね。………癪に触るわ」

 

騒ぐ中性的な容姿の美少女?を前に、ソウテンとミトは彼がキリトである事に気付き、声を掛ける

 

(…………なんか、小さい迷子と鍋女がいるっ!!!)

 

目の前というよりも目線の下に立つソウテン、ミトの姿にキリトは処理が追い付かないながらも驚きを見せる

 

「テン、それにミト……お前らが、なんでこのゲームにいるんだ」

 

「成り行きだ。キリトは何故におるんよ」

 

「成り行きだ」

 

「ちゃんと説明しなきゃダメでしょ」

 

「ふぁい…」

 

ミトが両頬を引っ張り、返事をするソウテン。その姿は普段とは異なり、愛らしさに溢れている

 

「お姉さん、運がいい!そのアバター、F1300番系でしょ!始めたばっかりかい?なら、アカウントごと売らない?2メガクレジットは出すよ!」

 

「売る気はないよ、コンバートなんでな。其れに俺は男だ」

 

「「「えぇーーーーーっ‼︎」」」

 

長い黒髪を翻し、去りゆくキリトの残した言葉に周りのプレイヤーが驚愕する。何人かは彼を本気で女性だと思っていたようで、地面を殴りつけ、血涙を流している

 

「「「「「くそぉぉぉぉ!!!」」」」」

 

「おろ?目の前が真っ暗だ、もう夜かにゃ?」

 

「テンは知らなくていい世界よ。だから見ちゃダメ」

 

「そんな世界があるのか、そいつは知らなんだ」

 

「アホなことしてないで、さっさと行くぞ」

 

「「はーい!キリコせんせー」」

 

「キリコじゃねぇし、先生でもねぇ!!!」

 

夫婦漫才を繰り広げるソウテンとミトを引き連れ、足早に去るキリト。その姿は園児を引率する保母にしか見えないが、彼は男である

 

「…………おろ?ここはどこだ」

 

「迷子になったわね。キリトとも逸れたわ」

 

「うーむ……キリトめ。迷子になるとは、けしからん」

 

「テン?迷子はテンの方よ」

 

「迷子じゃない、いいか?俺は迷子じゃない。迷子って言うヤツが迷子だ」

 

「じゃあ、やっぱり迷子ね。さて、これからどうしましょうか?迷子くん」

 

「おいコラ、鍋ロリ。迷子くんとか呼ぶな」

 

出会った頃の懐かしいやり取りを再現させる二人、その姿を見かけた二人組のプレイヤーが近寄ってくる

 

「どうかした?もしかして、誰かと逸れた?」

 

「んむ?随分とちっせぇな、見た感じ……初心者か」

 

幼子をあやすように優しく笑いかける女性、シノンと小柄なアバター姿を見詰め問う青年、ツキシロ。彼等は如何やら、二人を子どもだと勘違いしているようで、その表情は穏やかである

 

「あっ!見つけたぞ!何を迷子になってんだ!」

 

「誰が迷子だ、パスタ女子」

 

「女子じゃねぇ!迷子ショタ!!!」

 

「やめなさい!バカコンビ!!」

 

突如、現れたキリトと言い合いを始めるソウテン。彼等の頭に跳躍からの拳骨を繰り出すミト、その構図は保母と園児を彷彿とさせる。しかしながら、忘れてはならない。キリトは男である

 

「えっと………お姉さんかしら?私はシノンよ。それから、こっちは」

 

「ツキシロだ、人は俺を尻神様と呼ぶ。お前たちにも教えてやろう、この魅惑の尻……シノケツのみりょ----………」

 

「小さい子に何を吹きこもうとしてんのよ」

 

見た目が子どもなソウテンとミトを相手に尻談義を始めようとするツキシロの脳天に銃剣が突き刺さり、彼は物言わぬ屍と化す

 

「良かったら、案内するわ。ああ……この変態は気にしないでちょうだいね。後で荒野のど真ん中に捨てておくから」

 

(おやまあ、こりゃあ怒ったミトの千倍は怖いにゃあ………)

 

(こわっ!?えっ、なに!?アスナの一兆倍は怖いんですけど!!!)

 

(なるほど……あの人は、シノンって子の私にとってのテンみたいな人なのね)

 

シノンの姿に怒り狂う其々の恋人を思い浮かべるソウテンとキリト。倒れるツキシロを見ながら、彼がシノンにとっての何なのかを思案するのであった




シノン、ツキシロという変わり者コンビに出会ったソウテンくんとミトちゃん、そして保母のキリコさん。果たして彼等は荒野の果てに何を見るのか?

NEXTヒント 俺は男だぁ!!

もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…

  • ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
  • キリトとアスナが司会の正規の雰囲気
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