「其れで、何処に行きたいの?」
優しい声色で問うシノンの目線の先には、ソウテンと手を繋ぐミトの姿があり、その背後ではキリトが黒い長髪を触りながら念仏のように何かを呟いている
「え〜っと、《旧居住区》エリアの《D-51》ポイントなんだけど……其処に、有名な
「驚いたわ、初心者なのに
「あはは………ご、ごめんなさい…」
「おやまあ、ミトが怒られてる」
「かなり珍しい光景だな」
「ああ、実に良い尻だ」
「おめぇさんはなんの話をしてんの?というか、いつの間に荒野から帰ってきたんよ」
娘に言い聞かせるように、やんわりとミトを叱るシノンの姿は母親を彷彿とさせ、普段は見ることのないしおらしい態度を見せるミトにソウテンとキリトは物珍しそうに見守る。一方で、荒野から自力で戻ってきたツキシロは相も変わらず、シノンの尻の話をしていた
「そうだ、忘れるとこだった。シノンのねーさん」
「ね、ねーさん?何かしら?えっと……ソウテンくん」
「ああ、テンでいいよ」
「分かったわ。それで?テンは、何が聞きたいの?」
「《総督府》って、とこもついでに教えてくんない?実は《BoB》に出るつもりなんよ」
「……………はい?ちょ、ちょっと待って!アナタたちが《BoB》に出るですって!?危ないわよ!子どもと初心者の女の子が参加するなんて……無謀だわ!」
冗談染みた様子もない普通の態度で、《BoB》に参加すると宣言するソウテン。彼等を子どもと女性だと誤解しているシノンは慌てて、《BoB》の危険さを伝えるも、彼は笑った。仮面から覗く瞳、そして口元には、まるで道化師の様な不敵な笑みが浮かんでいた
「
「例え、アナタが私たちの額に銃弾を撃ち込もうと止まるつもりはないわ」
「諦めてくれ、こういう奴らなんだよ。まぁ……俺も同じ穴の狢だけどな」
ソウテンに続き、ミトも耳に掛かる髪を指で触りながら、外見には削ぐわない妖艶な笑みを浮かべる。キリトも呆れ笑いを浮かべた後、微笑する
「はぁ……分かったわ。そっちにも案内してあげる。私とツキシロもエントリー予定だし」
「あ〜、俺パス。この後スコードロンでシノケツについての尻講義があるし----………」
彼等の覚悟が伝わったシノンは折れ、改めて案内役を承諾する。拒否の意を示すツキシロの脳天に銃剣を突き刺し、彼の体を鎖で拘束し、引き摺りながら目的地への案内を始める
暫く、歩いていると《D-51》ポイントに辿り着き、一軒の寂れた酒場が現れる
「お〜い、キッド〜!客連れてきたぜ〜!」
扉を開け、ツキシロが大声で呼び掛けると、奥のソファに掛けられた毛布がもぞもぞと動きを見せ、中からテンガロハットが特徴的な小柄なプレイヤーが姿を見せる
「………ん〜っ……く〜……むにゃむにゃ………んんっ……あり?
寝惚け眼を徐々に覚醒させ、ツキシロの姿に気付いたキッドと呼ばれたプレイヤーが、何かを言い掛けた瞬間、その顔面にコンバットナイフが突き刺さる
「ちょいとごめんよ。アンタがキッドさんでオーケーか?」
「ん……ああ、如何にもアタイがキッドだ。人はアタイを美脚評論家と呼ぶ……あっ、シノンちゃん!丁度良かった、新作のニーハイあるんだけど履かない?これなら、素敵な
「黙りなさい、変態銃職人。絶対領域と書いて、バレットラインと読むんじゃないわよ」
「そうだ。シノンの魅力は脚じゃない!尻だ!小柄ながら、発育!形!柔らかさ!感度!全てを兼ね備えた素晴らしい尻!其れがシノンの尻!シノケツだ!これを気にお前も尻---………」
「毎度毎度、尻だの、脚だの、うるさいわぁ!!!この変態コンビ!」
「「ず……ずび……ば…ぜ…ん…」」
額に銃剣を刺され、倒れ伏すツキシロとキッドの前に仁王立ちするシノンは肩に担ぎ、怒り狂う。その姿は正に冥界の女神と呼ぶに値する程の立ち姿である
((なんか……見覚えのあるやり取りなのは、気のせいだろうか……))
(シノンも大変ね。………というか、ああいうバカたちに囲まれる気持ちに同情してしまう私って……はぁ……大分、毒されたわねぇ……)
見覚えのある光景にソウテンとキリトは数回ほど首を捻り、ミトはシノンの気持ちが理解出来る自分に呆れていた
「其れで、おチビくんたちはアタイに何用かな?」
「アンタが前にプレイしていたVRMMOでフレ登録してたアマツからの紹介で、装備品を受け取りに来た。俺は、ソウテン。こっちの可愛らしい科学者っぽい見た目の女の子はミトだ」
「どうも、可愛らしい科学者です」
「で、この黒いのは女装癖のあるパスタ馬鹿ぼっちだ」
「どうも、女装癖の………って!何を言わせようとしてんだぁ!この迷子ショタピーナッツ!!!」
「んだとコラァ!やんのかっ!女装ぼっちパスタ!!!」
「喧嘩両成敗っ!!!」
「「ぐもっ!?」」
自己紹介から始まる罵り合い、彼等の頭に跳躍からの拳骨を繰り出すミト。その構図は保母と園児を彷彿とさせる。だが、お忘れでないだろうか?キリトは男である
((あの、ちっさいねーさん……怖っ!?))
(ミトって……絶対に私と同じで、周りに苦労が絶えないタイプだわ……)
「其れで、アマツから話は聞いてると思うけど。私たちの装備は準備できてる?キッドさん」
倒れるバカコンビを放置し、キッドに向き直ったミトは何食わぬ顔で本題に話題修正を図る
「あ、ああ……出来てるけど……その二人は生きてるのか?」
「大丈夫よ、この二人は害虫並みの生命力があるから」
「「誰が害虫だ!!!鍋ロリ!」」
「ほらね」
起き上がり、突っ込みを放つ二人を指差し、ミトは微笑した。余りの足早な展開にシノンはぽかーんと魂が抜けたように呆けている
「防具は知り合いに頼んで、オタクらのイメージカラーに合わせた物を用意した。で、武器だけど……」
防具を手渡すと、ストレージを操作し、キッドは筒状の金属棒、紫色の金属棒と金属製のワイヤー、水色の金属棒を取り出す
「先ず、これが《フォトンソード》をベースに創り上げた銃と剣を一つにした《ブラッキーブレイド》だ。これはキリトちゃんだ」
「銃と剣が一つ……な、なんて俺向きの武器なんだ。ふっ……どうだ?カッコいいか?」
「おお、見てみなよ。あれって馬じゃねぇんか?ミト」
「あら、ホント。あっちには汽車もあるわよ」
(見てすらいない………!!!)
《ブラッキーブレイド》を片手に決めるキリトであったが、ソウテンとミトの興味は外にある鉄馬と汽車に向いており、見向きもしていなかった
「で、この紫色の金属棒は打撃武器の《ガンズロッド》だ。打撃武器でありながら、折り畳むことで、銃に変形する優れ物だ。ミトちゃんのだ」
「変形……なかなか熱いわね。そういうのは大好きよ、私。あとこれで合体もあるとテンションが沸騰するわ」
「なら、コイツがもってこいだ。このサブ武器のワイヤーはここを押すとブーメランになる《フォトンブーメラン》。だが、本来の用途はこの《ガンズロッド》と組み合わせて……《ガンサイズ》にするんだ」
「合体きたァァァ!!!熱い!熱いわ!ああ!合体……なんて、良い響きなの…。誰かが言ったわ、合体……其れは気合いと気合いのぶつかり合いだって!そう!合体こそ最強!合体は更なる力を生む気合いの証!」
「おい、テン。アレはお前の管轄だろ?止めろよ」
「えっ?何故に?はしゃぎまわるミト、すげぇ可愛いじゃん」
(そうだった……コイツ、ミトにはすんげぇ甘いんだった……)
合体に付いて熱弁するミトの姿にソウテンは止める素振りも見せずに、その愛らしさを眼に焼き付ける
「で、最後がソウテンちゃんの武器な。其れがこの《メタリックロッド》だ。用途は打撃武器だが、中身が仕込み槍になってる。鞘になってる方のロッドは殺傷能力は低いが掌に隠し持てる小型銃になる」
「ほうほう、二つで一つか。中々に手の込んだ武器だ」
「あと、アマツちゃんから言われた「アイツは雨を降らせる」って言うのが、いまいち分からなかったけど、アタイ也の解釈で、こういう感じに火薬を詰めた鉄球を用意してみた。取り敢えずは200程、渡しておくけど、足りない時は言ってくれ」
「…………ふふっ」
((あっ、なんか悪いこと考えてる顔だ))
鉄球片手に不敵に笑う仮面の道化師、付き合いの長いミトとキリトは彼の心中を感じ取り、呆れ笑いを見せる
「あとシノンちゃん。ヘカートの整備終わらせといたよ」
「ありがと」
「いや、礼は良い。しかし、どうしてもと言うなら……このニーハイを履いてく----………」
「さぁ、行きましょうか」
「さてと………次はアンタだな。
「んじゃ仕上がったら、連絡してくれ。本戦前には取りに来る」
「へいへい、任せときなさいよ。なにせ、アタイは《GGO》最強スコードロン《
「期待してる」と言い残し、シノン達の後を追うツキシロ。その去りゆく背に軽くため息を吐き、キッドは微笑する
「ホントにシノンしか見えてないよなぁ。あ〜………アタイも、会いたくなったきたなぁ〜………ディアベルちゃんに」
キッド、男性向けの名前をしているが実は女性である事は余り知られていない。そして、意外にもALOにそのギルドありと銘打たれる最強ギルド《
《総督府》を訪れたソウテン達、その前に現れたのはシュピーゲルというプレイヤー。シノンの友人だと言うが………
NEXTヒント 箸渡しはいけません!
もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…
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ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
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キリトとアスナが司会の正規の雰囲気