蒼の道化師は笑う。   作:田中滅

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あれ?真面目なタイトルが……まぁ、いいかー。こっちの方がこの作品らしいし


第十弾 膝枕は正義!アナタも一晩如何です?

「…………テン。いよいよね」

 

モニターで他のブロックの決勝戦を見ていたソウテンに、ミトが呼び掛ける。この時間、この場にいるという事は勝敗が決まったという事だ

 

「ああ、ちょいと行ってくる。ミトは終わったんか?」

 

「ええ、なんたって私は《紫の死喰い》よ。私に刈り取れない(プライド)は無いのを知ってるでしょ」

 

そう言って、微笑むミトであったが直ぐにその表情は微笑に変わる。その表情から察したソウテンは彼女の次の言葉を待つ

 

「でもね、相手が弱かった訳じゃないの。何せ、あのアマツが認める武器作成スキルを持つ銃職人(ガンスミス)。私たちの武器を用意した分、その性能も理解してる……強敵だったわ」

 

「そうか、よく頑張ったな。偉いぞ」

 

誇らしげに胸を張る可愛いさ爆発のミトの頭を数回ぽんぽんと撫で、対戦相手となる少年の隣に一歩を踏み出す

 

「「死んでもいいゲームなんて、(ぬる)過ぎるぜ」」

 

拳を突き合わせ、不敵な笑みを浮かべる二人の少年。昨日の敵は今日の友と言うが、今回は逆、昨日の友が今日の敵なのだ

其れも二人は互いを誰よりも理解し、熟知している兄弟であり相棒でもある

そして、彼等は決勝の地へと転送される為に光に包まれ、ロビーから姿を消した

 

「準備しないと………よし、これでバッチリね」

 

モニターを見上げる一人の幼女。その出立ちは「私の道化師さん」という幟を掲げ、「可愛い迷子くん」の文字が目立つ法被を着用し、「ラブリーテンちゃん」と書かれた鉢巻を身につけている。そう、誰あろうミトである。彼女のソウテンに対する想いが大爆発中である

 

((可愛いのに……変な子だっ!!!))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやまあ、何処だ?此処は。辺りが砂だらけで何も分からん。おろ?なんだ、これ……車輪?いや……ホイールか?あり?どっちも同じだっけ?う〜む……分からん!」

 

見慣れない景色に、きょろきょろと視線を右往左往させる小さな迷子。側から見れば、道に迷い、知らない土地を彷徨っているようにしか見えない。色々と仮説を立てるも、即座に考える事を放棄し、道なりに歩み出す。暫く進むと人影が視界に入り込む

 

「高速道路の上みたいだな」

 

「ほうほう、東京にある有名な橋に似てるな」

 

同じように転送されたキリトが地形の状況を説明すると、彼は脳裏に有名刑事ドラマの映画タイトルにもなった橋を思い浮かべる

 

「さてと………始めるか」

 

「今度は引き分けにはしねぇから、肝に銘じときな」

 

「言ってろ。俺が勝つっ!!!」

 

先に仕掛けたのは、キリト。得意のスピードを武器に剣を抜刀し、ソウテンに振り下ろす

然し、彼も負けてはない。即座に対応し、槍で受け止め、僅かに生じた隙を狙い、胸部装甲に仕込み銃を放つ

 

「吹っ飛べ!」

 

「お断りだっ!これでも喰らえっ!」

 

迫る銃弾を紙一重で交わし、キリトは地面に発砲する。刹那、砂塵が舞い上がり、彼の姿を隠すように辺りを包み込む

然し、その程度でソウテンが音を上げる筈などない。地形を利用し、橋の鉄柱を足場に跳躍。砂塵の影響下が存在しない空中に飛び出す

 

Apunta al corazón(狙うは心臓)

 

頭上に無数の鉄球が雨のように降り注ぎ、地面に落ちると同時に連鎖的に爆裂音を響かせるも、キリトは動じない。その理由は一つ。道化師が得意とする戦法を熟知しているからに他ならない

降り注ぐ雨に気を取られている隙に決め技を放つのが彼の得意技。故にキリトは鉄柱を足場に跳躍し、ソウテンの目の前に飛び出した

 

「お前の十八番は見抜いてるぜ……兄弟(テン)!」

 

「そうじゃあねぇと張り合いがねぇってもんさ……兄弟(カズ)!」

 

空高くで、槍と剣が交差する。火花を散らし、最大限の力を込めた二つの刃が衝突を見せる。片方は槍最上位ソードスキル《アルティメット・サイン》、もう片方は片手剣最上位ソードスキル《ノヴァ・アセンション》。二人の最強技が其々の装甲を貫いた

 

「「この勝負………俺の勝ちだ……」」

 

そう呟くと、二人は地面に落下し、事切れたように意識を手放す。同時に砕け散り、姿を消していく、彼等の遥か上空には《Draw》と浮かんでいた。これが後に《GGO大決戦ランキング》の一位を飾る『槍剣橋の戦い』である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『大熱戦のバレット・オブ・バレッツ予選トーナメントこれにて終了〜〜〜!』

 

『いやぁ、実に白熱した戦いだったね!私、ひやひやしちゃったよ〜〜!』

 

今日も今日とて、始まったシリカとレンこと《ロリットズ》の解説タイム。勝利者、脱落者、観戦者などが見守る中、彼女たちの声が響き渡る

 

『いよいよ始まる本戦に出場するのは予選を勝ち抜いた最強プレイヤーたち!果たして、勝利の栄光を掴み!プレイヤーの頂点に立つのは誰なのか!』

 

『でもでも、今日はみんな疲れたよね?だ・か・ら、本戦は明日に持ち越しにしま〜す!』

 

『えぇ〜〜〜っ!なんで?レンちゃん!』

 

本戦が見たくて仕方ないシリカは、レンは発言に驚きを見せる

 

『どーどー、落ち着いてよ。シリカちゃん。明日になれば、大熱戦!大熱狂の本戦が見れるんだから』

 

『う〜………分かった、我慢する。あっ、ポロリはある?』

 

『ないよっ!?ていうか、何をポロリする気っ!?』

 

『首』

 

『怖いわぁっ!!!』

 

『ぐもっ!?』

 

真顔で物騒な発言をするシリカにレンの愛銃にしてピンク色の塗装が施されたピーちゃんが振り下ろされ、彼女は御決まりの叫びを挙げ、倒れた

 

『じゃあ、明日も!』

 

『せ〜のっ!』

 

『『がんバレット☆』

 

御決まりの合言葉と共に撃ち抜くポーズを決めるロリットズ。試合を終えたソウテンは、その様子を見守りながら、ミトに膝枕されていた

 

「大丈夫?テン。痛いとこない?」

 

「大丈夫大丈夫。ミトに膝枕されたら、痛みなんか直ぐに吹っ飛んだ」

 

「あら、おそまつさまです」

 

テンの頭を優しく撫でながら、彼の言葉にミトは柔らかく笑う。荒廃した世界が舞台の世界で繰り広げられる素晴らしい風景、誰もが羨む風景にソウテンとミトは溶け込んでいた

 

「膝枕がなんだ。いいか?アスナを抱き枕した時の柔らかさに比べたら、ミトの膝枕なんか玉子が絡み切ってないカルボナーラと同じだ」

 

「プークスクス、超ウケるんですけど〜。えっ?なになに?張り合ってんの?わぁ〜おもしろ〜い」

 

「よしコラ、表に出ろ。迷子」

 

小馬鹿にした笑い方と煽り文句を放つソウテン、それに対してキリトはブラッキーブレイドを手に睨みを効かせる。ミトは恋人を膝枕出来るのが嬉しいのか、終始穏やかな笑みを浮かべている。実に微笑ましい姿である

 

「シノン。俺も決勝で疲れたから、枕してくれねぇか?出来れば、その誘惑という名の二つの国宝()ことシノケ----………」

 

「さっ、明日に備えて準備しないと駄目ね。冷蔵庫には何があったかしら……買い物に行かなきゃ」

 

「あっ、シノンちゃん。膝枕成らぬ脚枕してくれねぇかな?その絶対領域(バレットライン)で---………」

 

「えっと、確か今日は卵の特売日だったわね」

 

「シノン、シノン。おれちゃん疲れて動けねぇからさ、ちょっとだけ付き合ってくれるか?その魅惑のへそで枕をして----………」

 

「あっ、チョコミントアイス買いだめしとかないと」

 

「シノン。わきについて、どう思う?俺は常々、CHAOS(カオス)、だと思ってる。どうだ?一度、わき枕をしてみると---………」

 

「さっ、明日は勝つわよー」

 

ログアウト準備を進めながら、現実での行動について考えるシノン。その隣に次々と湧く変態たちに銃剣を突き刺し、彼女は仮想世界を後にした




天哉と深澄は天満と落ち合う為に彼を呼び出す。そして、阿来と蔵田が死銃の情報を手に姿を現す。一方で勘助は……

NEXTヒント 満たされぬ欲

もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…

  • ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
  • キリトとアスナが司会の正規の雰囲気
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