蒼の道化師は笑う。   作:田中滅

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はい、タイトルから卑猥なことを想像した人は直ぐに名乗り出てください。ミトさんから、伝言がありますから


第十一弾 いけませんっ!そんなことっ!生クリームを直喰いだなんてっ!

「すまん、待たせたな。人生という道に迷ってな」

 

例によって、軽い声色と悪びれもない様子で姿を見せる天満。掻っ込んでいたピーナッツバターライスを机に置き、天哉はジト目を向ける

 

「ウソ吐くな。どうせまた、八次会とか訳のわからん飲み会をしてたんだろ」

 

「八次会?舐めんなよ?今回は十次会だ」

 

「酒瓶で頭殴るよ?アンタ」

 

前回の反省すら見受けられず、更なる痴態を晒す父に真顔で突っ込みを放つ。最早、エリート意識の欠片など微塵も存在しない

 

「お義父さん。今日の写真は何ですか?」

 

恋人と義父の阿呆なやり取りを気にせず、深澄は普通に彼が持参したであろう写真に興味を寄せる。すると、天満はコートの内ポケットから二枚の写真を取り出す

 

「……………なにこれ」

 

「これはな、大事にしてたマラカスを無くして涙目のお前と其れを見て、お兄ちゃん可哀想と慰める琴音だ。懐か---ぐもっ!?」

 

「同じボケをやんなっ!」

 

「いただきますね、この写真」

 

「深澄さん?何を当たり前のように受け取ってんの?」

 

恒例と化したやり取りが行われる横で、深澄は写真を懐に仕舞い込む

 

「ユーモアを知らんのか?お前は。いいか?リピートアフターミー、ユーモア」

 

「目に酒を注ぐぞ。馬鹿オヤジ」

 

「深澄さん。大変だな、アンタも。こんなバカが相手だと」

 

「慣れました」

 

「すいませーん!店員さん!其処のダサいコートを着た初老の頭からスピリタスぶちまけてくださーい!」

 

自分を棚に上げ、天哉と恋人関係にある深澄に同情する天満。一方で店員に呼び掛ける天哉は黒い笑みを浮かべている

 

「さて……本題に移るか。怪しいヤツは見つけたか?」

 

咥えていた煙草を蒸し、天満が本題を切り出す。その目付きは真剣さが滲み出ており、巫山戯た態度は影すら見られない

 

「その件だけど、俺と深澄は《GGO》内で何人かのプレイヤーと交流を持った。一人は親父も知ってる和人だ」

 

「カズ?どんだけ、ゲーム好きなんだぁ?アイツは。そういうの翠にそっくりだぜ」

 

「まあ、カズはどうでもいいんよ。何人かのプレイヤーの中で、怪しい動きを見せたのは三人だ」

 

「三人……だいぶ絞ったな」

 

三本の指を立て、天哉も真剣な表情を浮かべる。彼が《GGO》で知り合ったプレイヤーは友人の和人を除くと数人に絞られる。その中でも、その観察眼が捉えたのは三人、試合後の阿来に依頼した人数と合致する

 

「テーン!頼まれていた資料だ」

 

其処へ、依頼内容を記した資料を手にした阿来と蔵田が姿を見せる

 

Gracias(ありがとう)、ベルさん。序でに蔵田も」

 

「呼び捨てにするな。ジャリガキ」

 

阿来に礼を述べ、自分をオマケ扱いする天哉に蔵田は鼻で笑ってみせる

 

「蔵田ァ……久しぶりだな」

 

「蒼井警部補……今は警部でしたな。貴方も相変わらずで何よりです」

 

「ねぇ?テン」

 

恨めしい物を見るかのような視線を向け、蔵田に呼び掛ける天満。そのやり取りに違和感を覚えた深澄は隣に居た天哉に問い掛ける

 

「おろ?」

 

「蔵田………先生はお義父さんと知り合いなの?」

 

「ああー……うん、知り合い。なにせ、元刑事だしな…あのオッサン」

 

「えっ?刑事?ストーカーのくせに?」

 

「色々とあるんよ……複雑な事情が」

 

煮え切らない態度を見せる天哉に、踏み込めない領域を悟った深澄はそれ以上の言及をしようとはせず、資料に視線を落とす

 

「…………この人は知ってるわ。でも、この二人は見たことないわね……」

 

「深澄もよーく存じ上げてる奴等だよ、ソイツ等は。まぁ……ソイツ等を束ねてた奴の方が有名だろうけどな」

 

写真を見ていた深澄はその中の一人は知っていた。《GGO》で僅かではあるが会話を交わした人物だ、しかしながら後の二人には見覚えがない。だが、天哉の助言で彼女の表情が僅かに歪んだ

 

「………まさかだけど、“アイツ”の仲間?またあの悲劇を繰り返すつもりなの!?テン!ダメよっ!!!私は!もう……アナタに…」

 

「行かねぇよ。俺はここに……おめぇさんの隣に居る」

 

忘れたくても忘れられないあの悲劇、その中で一際目立っていた彼の姿。血に染まった仮面と槍、忘れたいのに忘れられないあの姿が過り、声を荒げる深澄の頭を優しく撫で、笑い掛ける

 

「其れに、俺は俺の犯した罪を忘れる気なんかねぇ。だから、死ぬ気で止めなきゃならん……死銃を止められるのは、俺たちだ(・・・・)

 

その瞳には優しさと罪悪感が共存していた。天哉自身が一番に痛感している傷みが、其処には存在していた

 

「テン……分かった、私も一緒に背負ってあげるわ。アナタの罪は私の罪、其れに私も一度は友達を、明日奈を見捨てようとした罪があるから」

 

「其れは……罪なんか?あん時は仕方なかっただろ、深澄も大変だったんだし」

 

彼女の言う罪、其れは《あのゲーム》が幕を上げ、誰もが死の恐怖に怯えた日に交わした一つの約束を反故しようとした事だ。だが、其れは天哉の言うように仕方のない事であるのも事実。其れでも、深澄は首を横に振る

 

「罪よ。明日奈の命と自分の命を天秤に賭けた、其れを罪だと言わないなら、何を罪だって言うの?結局、私は明日奈を守ることを拒否して、自分だけが楽になる道を選んだの。私が知ってる楽は、そういう楽じゃないのに、その時だけは何もしない楽を選ぼうとしたのよ。これは立派な罪よ。明日奈が許しても、私はあの日の自分を許さないわ」

 

「深澄は欲張りだな」

 

「あら、知らなかった?私って実はワガママな女なのよ。どう?惚れ直したでしょ」

 

「…………ホント、敵わんよ。深澄には」

 

妖艶さを感じさせる笑みで問う深澄に、天哉は肩を含め、両手を上げる。然し、その表情は少しではあるが吹っ切れたように穏やかであった 

 

((アイツ、後で焼き討ちにしてやろうか))

 

(天哉……深澄さんと仲良くやれよ。なぁ……音葉、見てるか?お前と俺のガキどもは、元気にやってるよ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁなぁ、総長」

 

「あん?なんだよ、桔花」

 

集会場所である廃工場。勘助に幼さが残る外見の少女が呼び掛ける

彼女の名は筒元桔花。絶対領域大好き銃職人(ガンスミス)のキッドの本来の姿だ

 

「あのソウテンちゃんとミトちゃん、其れにキリトちゃんだけどさぁ……何者なんだ?アタイ、ミトちゃんとドンパチしたけど、明らかに初心者の動きじゃなかったぜ?アレは」

 

「あっ、おれちゃんも思った。あのソウテンっておチビくんだけど、あの形ですんげぇブラフかますんだよ」

 

桔花の問いに同意するように、バイクを手入れするのは霧雨乱次郎。又の名はリッパー、ソウテンと激闘を繰り広げたおへそライダーである

 

「分かったら、苦労するかよ……でも、なんか懐かしさを感じるんだよなぁ……」

 

「「懐かしさ?」」

 

「ああ……でも…違う気もする……」

 

煮え切らない勘助の態度、桔花も乱次郎も「「コイツは何を言ってんだ?バカなの?」」的な視線を向けているが直ぐに彼の肩に手を置き、哀れみの視線に切り替える

 

「ごめん、総長。意味わかんねぇ、頭大丈夫か?」

 

「アタイもだ。病院行くか?総長」

 

「俺は正常だ」

 

「「………えっ?」」

 

「真顔をヤメろ」

 

気遣いという名の暴言からの真顔、勘助は息がピッタリな二人に顳顬をヒクつかせる

 

「本戦は満足出来ると良いがな……」

 

「総長。生クリームを直に食うのはヤメろ、胸焼けしそうだ」

 

「糖尿病になんぞ」

 

「あん?生クリームは直に食うもんだろ?アホか?お前等は」

 

「「そんな訳あるかぁ!!!」」

 

「ごあっ!?」

 

そして、来たるバレット・オブ・バレッツ本戦の日。其々の思惑が重なる中、彼等は其々の勝利を胸に、あの魔法の言葉を唱える

 

「「リンク・スタート!」」




遂に始まる本戦!その内容は………えっ?宝探し?いやいや!金色に輝く七つの球って、なんなんよっ!?

NEXTヒント チョコミント

もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…

  • ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
  • キリトとアスナが司会の正規の雰囲気
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