ロト「おやまあ、初めてだ。緊張するなぁ」
「う〜む………どうしたもんか……」
ある日の昼下がり。ギルドホームでソファに寝転がり、何かを考え込む小さな影が一つ。何を隠そう、彼こそはソウテンとミトの息子であるロトだ
「どうかしたんですか?ロトくん」
「ぷぷ〜ん」
「悩みとは無縁なロトさまがお悩みとは珍しいです」
頭を掻き、悩んでいるロトに声を掛けたのはガールフレンドのユイとエストレージャ、その足元で小刻みに震えるのは愛犬のプルーだ
「今日って勤労感謝?とか言う祝日らしいんよ、それに昨日はいい夫婦の日って言う語呂合わせの記念日だったらしくてね。ここは日頃の感謝を込めて、とーさんとかーさんを労ってあげたいと僕は思うんよ」
「立派です!ロトくん!ユイもお手伝いしたいです!ママに感謝を伝えたいので!あっ、ついでにパパにも」
「微力ならお手伝いさせていただきます。テンさまは我がマスターの御兄弟、言わばもう一人のマスターですので」
「ぷぷ〜ん」
両親に日頃の感謝を伝えたいと語るロトの優しい心に感銘を受けたユイ、エストレージャは自分たちも身内に感謝を伝える為に助力を申し出る。その間もプルーは相も変わらずに震えているのは言わずもがなだ
「Gracias。持つべきモノは優しくて美人さんなガールフレンドだねぇ」
「そ、そんな……美人だなんて……えへへ……」
「………なるほど、これが照れという感情……興味深いです…」
「おやまあ、どしたんよ?顔が赤いよ」
「「ナンデモアリマセン」」
唐突に放たれたロトからの「美人さん」という言葉にユイは湯気が出そうな勢いで顔を紅潮させ、エストレージャも顔を伏せてはいるがその頬は赤く染まっている
「ぷ〜ん」
「おやまあ、プルー。お前も手伝ってくれるんか?流石は我が家の愛犬だねぇ」
足元で震える愛犬を抱き上げ、笑い掛けるロト。その姿は父と瓜二つながらも、幼さが残る故に、胡散臭い雰囲気は皆無である
「取り敢えず、贈り物をするにはどうしたらいいかを聞きに行こう」
「という事なんよ。アマツとリズはなんか良いアイデアない?」
「ふむ……ロト坊が珍しく尋ねきたかと思えば、理由はそういうことか」
ギルドメンバーの中でも比較的に常識人と呼べるアマツに相談する為、工房に足を運んだロトが状況説明をすれば、彼は納得したように頷く
「くぅ〜……泣かせてくれるじゃないの!ホントに迷子が取り柄のバカリーダーの息子なの?アンタは。その優しい気持ちだけで家が一軒建つわ」
「建つわけないだろう。何を言っているんだ?貴様は」
その会話を聞いていたのだろう、工房奥から顔を見せたリズベットは彼の優しさに感動し、満足そうに頷きながらも、不在の道化師を貶す事を忘れない
「うっさい、バカアマツ。それはさておきよ、先ずは自分がもらって嬉しいモノは何かを考えることから始めてみると良いわよ」
「ふむ…逆転の発想か、悪くはない。リズにしては良い考えだ」
「そうでしょ、そうでしょ………ん?あたしにしてはってなによっ!!」
「そのままの意味だ。貴様は毎度毎度、いい加減な事を口走る節がある……然しだ、今回に限っては良いアイデアだったから褒め----ぐもっ!?」
アマツの顔面にリズベットの右フックが決まる。しかしながら、彼女の怒りは収まっていない
「殴るわよっ!」
「「「いや既に殴ってるよ!!」」」
興奮冷め切らないリズベットが拳を握り締める姿にロトたちが突っ込みを放つ
「ヘル子の代わりに夕飯作ってやるというのはどうだ?二人は家族団欒が好きらしいからな」
「確かに事あるごとに炬燵で鍋を囲みたがるわよね」
「なるほど……参考になったよー。そいじゃあ、ちょいと買い出しに行くとしますかね」
二人の意見を参考に夕飯を作ることにしたロトはユイたちと共に街に繰り出す。立ち並ぶ店は何度も母と訪れたこともある馴染みの店である
「おっ、ロトの坊主じゃないか。今日はべっぴんさんを二人も連れてるじゃねぇか。お前もやるねぇ」
「おじさん、冷やかしはやめてよ。いつものお肉をくださいな」
先ず最初にロトが足を運んだのは馴染みの肉屋、筋骨隆々な店主に臆する素振りも見せない彼は軽口を叩きながらも、慣れた口調で注文する
「はっはっはっ、すまねぇな。お前がミトの嬢ちゃん以外といるのが珍しいからよ、揶揄っちまった。ほいよ、何時もの肉だ。そういや、八百屋が珍しい野菜を仕入れたらしいぜ」
「そうなんか、そいつはありがたい。ちょいと行ってみるね」
肉屋に別れを告げ、斜め前の八百屋に足を運ぶ。色鮮やかな野菜が並ぶ店内を歩いていると、奥から足音が聞こえる
「こんにちは」
「あらあらまあまあ、ミトちゃんのとこのロトくん。今日はおつかい?偉いわね」
「珍しい野菜が手に入ったって聞いたんだけど」
店奥から姿を見せた緑色のツインテールが特徴的な女性店主と会話するロト。普通に会話をする様子から、彼女とは親しい間柄のようだ
「珍しい野菜………もしかして、アレかしら?このネギ!」
「ネギかぁ〜鍋には必須だよねー」
「すみません!クッキーはありますか?」
「ユイさま、八百屋にクッキーはありません」
「クッキーならあるわよ〜、ネギクッキーが」
「あるんですかっ!?」
ユイの的外れな注文に対し、冷静に突っ込みを放つエストレージャであったが即座に耳に飛び込んだ驚きの情報に彼女はらしくない声量で驚きを見せる
「あとは出汁かぁ……う〜ん、何が良いかな?」
「我がマスター並びにテンさまはピーナッツバターが好物なので、それをベースにするのがベストかと思われます」
「闇鍋とかが良いです!パパがよくやってます!」
「ユイさま?闇鍋は危険です。素人のアレンジは浅はかというものです」
「なるほどです。確かに下手なアレンジを加えたクッキーも味にムラが出ちゃいますからね」
「ユイはクッキーが大好きだねぇ」
「ロトくんも同じくらいに好きですよ」
「そいつはどーも」
「私もロトさまをお慕いしてますよ。分かりやすく言うと、マスター・フィリアがグリスさまをお慕いするくらいにです」
「………ありがと」
普段、母以外からの異性に褒められ慣れていないロトはガールフレンドたちからの突然の告白に対し、頬をほんのりと染めながら、外方を向く
「おやまあ、こいつは珍しい組み合わせだ。どしたんよ?我が息子」
「両手に花じゃないの。ロトは本当にモテるわね、何処かの迷子と違って」
「おやまあ、とーさんにかーさん」
帰路に着いていたロトたちを背後から呼び止めたのは、ソウテンとミト。唐突な両親の登場に彼は足を止めた
「うんうん……おろ?なんか今、迷子とか言わなかった?ねぇ?ちょっと?ミトさん?」
「気のせいよ」
迷子扱いに敏感なソウテンが反応を示すも、ミトは柔らかい笑みで気の所為だと告げる
「とーさん、かーさん。何時もご苦労さま、今日は僕たちが料理を作るよ」
「あら、ロトたちが?嬉しいわ。そうだわ、今日を勤労感謝の日改め愛息子記念日にしましょう」
「ミトさんや、毎度のことだけど早まるんじゃないよ」
「そうね、取り乱したわ」
「ユイもママにごちそうします!ついでにパパにも!」
「うんうん、ユイちゃんはキリトには勿体無いくらいの優しい娘さんだな」
「んだとゴラァ!!」
「ぐもっ!?てめぇ!どっから沸いた!!」
「喧嘩なら混ぜろやゴラァ!!!」
「「何時の間に脱ぎやがった!!!ゴリラァァ!!!」」
直ぐに何時もの戯れの喧嘩を始めるバカトリオ。先程までは三人しかいなかった空間が一気に騒がしさを増していき、次第に何時もの見慣れた風景が広がっていく
「やっぱり賑やかが一番だねぇ」
「ですね」
「今日もアルヴヘイムはにほんばれです!」
気温の変化故に体調を崩し気味ですが生きております。これからも頑張りますので、御声援のほどよろしくお願い致します
もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…
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ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
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キリトとアスナが司会の正規の雰囲気