蒼の道化師は笑う。   作:田中滅

141 / 206
祝一周年!今日、世に初めて道化師が生まれた日!祝え!祝うのだァァ!まぁ、そんなことはさておき久方振りの本編になります。投稿するなら今日って決めてたんですよ


第十三弾 死銃は笑う。

「何処だ……ここ」

 

《BoB》開始から三十分。現在、広大なフィールドを彷徨う影が一つ、誰あろう迷子の常習犯にして道化師(クラウン)の異名を持つ我等がソウテンである

 

「全く開始早々に迷子になるなんて、仕方ない奴等だ」

 

自分の事を棚に上げ、仲間たちへの不満を漏らす彼であるが本人は迷子である事を頑なに認めようとしない。手元の《サテライトスキャン端末》は二回のスキャンを終え、仲間たちは勿論ながら、シノン達やターゲット三名の居場所も記している

 

「見当たらん名前があるな……近くに居るのはミトか……えっと、あっちだな」

 

身近に居たミトの潜伏場所へ向かおうと、一歩を踏み出す。現れたのは崖、先には何も無い。そして、勢いよく飛び出したソウテンの体は宙に放り出されていた

 

「またかよぉぉぉ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みぃ〜つけたぁ〜」

 

廃ビルの中、身を隠していたミトは背後から聞こえた声に飛び退き、得物を構える。彼女の視線の先に佇むのは、フード付きマントを纏う男。彼が誰かは分からないが自分の中の何かが告げている、彼は危険であると

 

「何処の誰かは知らないけど…いたいけない幼女を弄ぶ趣味であるの?アナタ」

 

「あっはっは〜、つれないなぁ〜……忘れちゃいましたぁ?俺ですよー、俺……ミトさん」

 

「……………生きていたのね」

 

その男の様子から何かを感じ取ったミトは、絞り出すような声で言い放つ

 

「ええ、なんとか生きてますよ。まぁ?あの人に与えられた痛みは未だに消えませんけどねぇ」

 

「アナタは道を間違った、彼はその罰を与えただけよ」

 

「また、お得意の家族ごっこですかぁ〜。相変わらずですねぇ……反吐が出そうだ」

 

爽やかな態度から一変、彼の纏う空気は一瞬で殺気が溢れる殺伐とした雰囲気に切り替わる

 

「其処までにしようや……モルテ(・・・)。これ以上、ミトに近づいてみろ……容赦はせん」

 

身構えたミトが腰の《フォトンブーメラン》を投げようと手を掛けた時だった。彼は現れた、姿形は異なるが象徴(トレードマーク)の仮面から覗く鋭い眼光、青い革ジャンを風に靡かせ、彼は、ソウテンは其処に佇んでいた

 

「………おー怖い、流石のナイスタイミングですねぇ。さっすがは“リーダー(・・・・)”だ」

 

「今更だな………traidor(裏切り者)なお前に、そう呼ばれたくねぇよ。俺たちを騙し、裏切り、殺そうとまでしたたお前にな」

 

《モルテ》、そう呼ばれた男からの呼び方に対し、ソウテンの態度は冷ややかだった。仲間となった者たちを家族と呼ぶ彼からは想像もつかない態度、然し、その瞳が不敵な笑みを見せることはない

 

「俺とキバオウ、リンドは未だに後悔してる。お前たちみたいな奴等を仲間に引き入れた自分たちの見る眼の無さに」

 

「時効ですよぉ?あんなのは。其れに……アンタもウチで派手にやらかしてくれたじゃないですかぁ」

 

「そうだな、だからこそ後悔してるよ。目先の欲に囚われて、お前を見逃した自分に」

 

「後悔してる?今更、遅いんだよ……其れに終わってなんかない。寧ろ、始まりですよ……《蒼の道化師》」

 

吐き捨てるように告げるとモルテは姿を消す。風景に溶け込むように、周囲を探るがその位置は把握出来ない、《サテライトスキャン端末》に表示される彼の名前は既に遥か遠くになっていた

 

「テン。やっぱり、あれはモルテだったのね」

 

「信じたくないけどな。あんなヤツでも少しだけ一緒に鍋を囲んだ仲間……いや、だったヤツだ」

 

「となると残りの二人も……」

 

「ああ、キバオウのダンナとリンドパイセンに確認は取った。アバターに多少の違いはあるが、あの二人で間違いないみたいだ」

 

「奴等はまた繰り返そうとしているのね、あの日の惨劇を」

 

脳裏に浮かぶのは、《SAO》史上で最も犠牲者が出たある惨劇の日。その日を境に彼等は名乗りを上げ、《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》となった

救いがあるとすれば、ソウテンが最も対峙したくなかった相手であるもう一人の道化の不在にある

 

『テン。こちら、グリス』

 

「グリスか。何か進展はあったか?」

 

耳に装備したインカムから聞こえたのは、別行動中のグリス。彼からの通信に対し、ソウテンは冷静に対応する

 

『良いニュースと悪いニュースがある。どっちから聞きてぇ』

 

「…………悪いニュースから聞かせろ」

 

『了解、悪いニュースはペイルライダーってヤツが脱落したってことだ』

 

「脱落?それの何処が悪いニュースなのよ」

 

脱落、この大会に於いては当たり前であり不思議ではない事。然し、其れを悪いニュースと告げるグリスにミトは疑問を抱く

 

『話は最後まで聞け。ペイルライダーが脱落する直前に体がノイズみてぇになって、消えちまいやがった。ヴェルデが観戦席のシリカとベルさんに確認を取ったら、会場の中にペイルライダーは居ねえとよ』

 

「分かった。んで?良いニュースは?まぁ、其方も悪いニュースなんだろうけどな」

 

『流石に分かってやがるか……見つけたぜ、ターゲットはギリーマントの男。拳銃を使う今回の最重要人物だ。そっから見えるか?』

 

「ああ……見える。野朗供……目ェ逸らすな、焼き付けろ」

 

グループ状態の通信にしたインカムからソウテンは告げる。自分たちが倒すべき敵の姿を脳裏に刻みつけよと命令を与える

 

「俺と、この銃の、真の名は、《死銃》……《デス・ガン》だ」

 

冷たく無機質な声

 

「俺はいつか、貴様らの前にも、現れる。この銃で、本物の死を、もたらす。俺には、その力がある」

 

怪しく光る、黒き銃

 

「忘れるな。まだ(・・)終わってない(・・・・・・・)何も(・・)終わって(・・・・)いない(・・・)

 

死銃は笑う。道化師の不敵な笑み、死神の妖艶な笑み、剣士の孤高な笑み、その孰れとも異なる

 

「イッツ・ショウ・タイム」

 

あのデスゲームを、本当のデスゲームを変えようとした恐怖の決め台詞を添えた、邪悪な笑みを浮かべていた




誰もが戦慄する決め台詞、そしてALOにも同じように戦慄する者がいた。果たして、その先にあるのは……?

NEXTヒント 妹ちゃんとお父さん

もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…

  • ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
  • キリトとアスナが司会の正規の雰囲気
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。