「あっ、始まった。ねーさん」
「いよいよだね」
此処は《ALO》空中都市イグドラシルシティの一画。言わずと知れた《
モニターに映し出された《MMOストリーム》を見るために集まったのは、GGOの最強者決定バトルロイヤル《第3回BoB》の観戦という目的もある
「それにしても、キリトはなんでまたALOからコンバートしてまでこの大会に出ようって思ったのかしら?」
「それがね、なんだかおかしなバイトを引き受けたみたいなの。VRMMOの、っていうか《ザ・シード連結体》の現状をリサーチする、みたいな。GGOは唯一《通貨還元システム》があるゲームだからって」
「ふぅん………にしても、今日は静かね。あのバカたちは居ないの?」
キリトのコンバート理由をアスナから聞き、リズベットは周囲を見渡し、違和感を感じていた。何時もならば、鍋を囲み騒ぎ合う見慣れた姿が影も形もないのだ
「なんか、テンちゃんも別件で忙しいみたいだよ。パパからの頼み事とか言ってたけど…」
「フィリアのパパさん……天満おじさん絡み?嫌な予感しかしない……」
このギルドホームの持ち主の妹であるフィリアの呟き、その中に出てきた人物を知るリーファは苦笑する
「シリカは仕事だったわよね」
「あっ、シリカさんです」
「「………えっ?」」
ロトの隣でモニターを見ていたユイが声を上げた。吊られるように視線を動かしたアスナたちの視界は捉えた
『じゃあ、今日も!』
『せ〜のっ!』
『『がんバレット☆』
司会役の見知った一人のアイドル娘。相方であろうウサ耳帽子少女と撃ち抜くポーズを決める
「「「いや、何してんのォォォォォォ!?お前ェェェ!!!」」」
まさかの登場に誰もがモニターの向こう側に突っ込みを放つ。そして、画面はフィールドに切り替わり、更に誰かを映す
『………おろ?これ、カメラか?』
『あら、ホント。アスナー?見てるー?』
『ロトー』
「おやまあ、ちっさいとーさんとちっさいかーさんだ」
(わ、わたしの親友が可愛い……!!!)
画面から手を振るソウテンとミト。身形は違うが息子であるロトと親友であるアスナは彼等に気付き、片方は呑気に、もう片方は悶える
「……………いや、何してんのよっ!?」
「見ないと思ったら、テンちゃん。あんなに可愛いことになってたんだ」
「ミトさんに至っては……「バカね」とか言いそうな雰囲気が出てる……」
「あっ、そういやよ。アマツからリズに伝言があったぜ」
「伝言……?」
「別件で留守にする、その間の客はお前に任せた……だってよ」
「…………人の意見ガン無視かいっ!!!あんの要件人間っ!!!」
クラインから伝わったアマツの伝言、人の迷惑も考えない要件にリズベットは持っていたワイングラスを床に叩き付ける
「リズ?八つ当たりは駄目よ」
「大人気ないよ?リズ」
「あれ?今なんかグリスくんが……ぐもっ!?」
「グリスさんっ!?きゃー!素敵!特にうなじが痺れるぅぅぅぅ!!!」
「なにっ!グーくんが出ているのかっ!レコンくん!今すぐに録画だ!4K画質だ!」
「いきなりなんですかっ!?というか仕事しましょうよ!?あっ、お邪魔します」
モニターにグリスが映し出された瞬間、リーファを吹っ飛ばし、「素敵な筋肉」という幟を掲げ、「バナナしか勝たん」の文字が目立つ法被を着用し、「バナナが主食」と書かれた鉢巻を身につけているフィリアとサクヤがモニターに齧り付く。一方で、レコンは律儀に挨拶を返す
「何すんのよっ!迷子トレジャーハンター!」
「迷子言うな!カナヅチ脳筋!!!」
「いいか、レンコンくん。私の愛弟はな」
「急に昔語りっ!?というかレコンです!」
唐突に始まる賑やかなやり取り、暫くすると次第にギルドホームは《
「うむ?見なさい、クラディールくん。コーバッツくんとディアベルくんだ」
「なんと、仕事をサボってゲームとはイケませんなぁ……ねぇ?アスナ様」
「クラディール?出口はあっちよ」
「帰れとっ!?」
同僚の痴態を笑うクラディールは、アスナに同意を求めるが彼女は帰るように促し、出口を教える
「シグルド!目玉焼きにはソースだと何度も教えただろう!レコンくん!ヤツをタイコちゃんとカルゴちゃんのとこに連れて行け!」
「やめろ!」
「んまぁ!シグさまよ!」
「いやぁァァァ!シグさまァァ!」
「ひぃぃぃぃ!何でいるんだぁぁぁぁ!」
「はっはっはっは、愉快愉快」
タイコちゃんとカルゴちゃんから逃げ惑うシグルド。その様子を見ながら、シルフ領名物風乞いダンスを踊っている
「………今なんかアマツが映ったわね」
「きっくんもいました……」
「あっ、ヒイロもいた」
「全員参加してるのっ!?」
姿が見えなかった全員が画面に映り、アスナは突っ込みを放つ
「あらぁ、銃って射程が広いのねぇ」
「そうね、《ALO》にある射程がある武器は弓くらいだし。その射程もあんまりなのよぇ…」
「あらぁ、でもテンちゃんの槍は広いわよ?」
「アイツは論外よ」
「あっ、この人。強そうだよ」
画面を指差すフィリアの方に視線を向けると、彼女はショットガンを持ったペイルライダーというプレイヤーを指差していた
刹那、そのプレイヤーは倒れ、体から青白い光が迸り始める
「……………」
「アンタ……指からビームでも出んの?」
「フィリア。面会には行くからね」
「えっ!?なんで!?わたしが犯人なんっ!?」
「フィリアちゃん」
「アスナ!聞いて!リーファとリズが酷いんよっ!」
「自首しましょう」
「お前もかぃぃぃぃ!!!」
犯人呼ばわりされるフィリアの突っ込みが響き渡る。すると、倒れたプレイヤーの側に何かが映り込む
黒いマント、仮面、まるで誰かを彷彿とさせるその出立ちは実に不気味、そして、銃を構え、ペイルライダーに発砲する
「………うわぁ、大逆転」
「ちょっと待って……なんか可笑しい」
驚くリズの隣で、フィリアが待ったを掛ける。その時だった、ペイルライダーは、両ひざが崩れ落ち、体を右に傾け倒れ、まるで何かを訴えるように左手で胸を掴む。ヘルメット越しに見えたかの表情は死に逝く者達が見せる表情、死を恐れるものそのものである。やがて、ノイズを思わせる不規則な光に包まれ消滅し、《DISCONNECTION》が浮かび上がる
「俺と、この銃の、真の名は、《死銃》……《デス・ガン》だ」
冷たく無機質な声
「俺はいつか、貴様らの前にも、現れる。この銃で、本物の死を、もたらす。俺には、その力がある」
怪しく光る、黒き銃
「忘れるな。
死銃は笑う。道化師の不敵な笑み、死神の妖艶な笑み、剣士の孤高な笑み、その孰れとも異なる
「イッツ・ショウ・タイム」
その言葉に《ALO》組以外、つまりは《
「う……嘘だろ……あいつ……まさか……」
「そのまさかと考えるべきでしょうな……噂が本当ならばですが……」
「間違いない……断言します……アスナ様。奴は《
「「《
聞き慣れない名を反覆させ、首を傾げるフィリアとリーファ。他の《ALO》組も同様の反応を見せる
「まさかまた、あの惨劇を繰り返すつもりなのっ!?」
「まさかだけど……パパが頼んだ仕事って……」
「フィリアちゃん!わたしはキリトくんの依頼主と連絡を取るから!アナタはお父さんに連絡をお願い!もしかしたら、テンくん達が《GGO》にコンバートしてる理由も其れかもしれない!」
「う、うん!分かった!」
「マスター。私はユイさまとロトさまとGGO関連のことを調べます」
「お願い!エスちゃん!」
そして、真相を聞きだすた為にアスナとリーファは其々の依頼主に会いに向かう
兄に依頼を出した人物、父親と会合した琴音。彼女が聞かされた依頼内容とは……?
NEXTヒント お兄ちゃん子はパパっ子でもある
もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…
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ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
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キリトとアスナが司会の正規の雰囲気