「なぁなぁ、ツッキー」
森の中を彷徨い歩く、ツキシロを背後から呼び掛けるのは迷子の原因である道化師。能天気な声は、幼なさを感じさせるが彼の実年齢は10代後半である
「あ〜……生クリームたっぷりのケーキが食いてェ……」
「ツッキー。後ろ見てみ」
「だが断る」
迷子紐に巻きつけられたソウテンはショートケーキの着ぐるみを着込み、自分の方を見る様に促すがツキシロは振り返ろうともしない。余談だがショートケーキの色はピーナッツバター色で、生クリームは微塵も関係ない
「なぁ、シノンのねーさんはおめぇさんの正体を知らねぇんだよな?」
「ああ、スコードロンを組んでる事は言ってるが、俺が《
「…………本当なら、彼奴には俺みたいな世界で生きて欲しくはねぇさ。でもなぁ……言っても聞かねぇんよ」
幼馴染に素性を明かさず、秘密を抱える自分とは異なり、全てを曝け出し、本音で語り合える対等な関係を築いているソウテンが羨ましく見えた。ミトの事を話す彼の表情は象徴とも呼べる不敵な笑みとは正反対の穏やかな笑みが浮かび、彼の中で彼女の存在が如何なるモノであるかを物語っている
「変わったな……お前」
「まあ、色々とあったからな。帰る場所と待っててくれる奴等が居る……もうあの頃とは違うんよ」
ツキシロの知る彼は、飢えた獣の様に視界に映る全てに怒りをぶつけ、暴れ回り、通り道には何も残らない程に、世界を嫌っていた。然し、目の前に居る彼は嬉しそうに笑っていた、あの頃からは想像も出来ない程に穏やかで優しい表情、何がきっかけかは分からないが其れが彼の言う《彩り》なのだろう、とツキシロは悟った
「見つけたぞっ!」
「見つけたわよっ!」
「…………おろ?」
「んあ……?」
スキャン端末を片手に移動していたソウテン、ツキシロの両名の行手を遮る様に声が響き渡る。例によって能天気に首を傾げる道化師につられ、ツキシロは前方に視界を動かす
「パプリカちゃんを泣かす敵めっ!覚悟しろっ!」
「今日こそは私を食べてもらうわよっ!!!」
その人物基ピーマンとパプリカの狙いはソウテンらしいが、当の本人は身に覚えが無い様子で首を傾げている
「知り合いか?」
「いんやピーマンに知り合いはおらんよ。俺、ピーマン嫌いだし」
「酷い!酷いわ!アナタにピーマンの何が分かるのっ!?」
「またパプリカちゃんを泣かしたなっ!?覚悟しろぉぉぉぉ!!!」
「「ゔぇっ!?」」
ソウテンの一言に気付いたパプリカが泣き出したのが引き金となり、日本刀片手に追いかけるピーマンから全速力で逃亡を図る二人は、森の奥に全力疾走する
「あっ、ようやくですかぁ〜。ご苦労さまでしたぁ〜………ずぅぅぅっと、待ってたんですよぉ〜?」
森の最奥、逃げたというよりも誘い込まれたソウテンを待ち構えていたのは、フードをすっぽりと被った男。その特徴的な口調とマントの下から覗く鎖帷子から彼が何者であるかは明白、モルテは其処に佇んでいた
「パプリカとピーマンも、テメェらと同じ生き残りか」
戯けたソウテンではなく、素の天哉としての口調で問う姿で、彼の中でモルテが如何なる存在なのかは明白。その目線の先には彼を守る様に緑髪の男性プレイヤーと金髪の女性プレイヤーが控えている
「末端ですけどねぇ。パピコにピースって言いましてね、俺の直属なんですよ」
「アンタに恨みはないが……あん時に受けた痛みは忘れてねェ」
「今も鮮明に覚えてる……私たちの同胞を串刺しにしていく血塗られた姿を………ああ、見たいわ。アナタのその仮面の下が醜く歪む姿を………」
「…………狂ってやがる」
漸く捻り出した感情、ソウテンを見る視線にツキシロは表情を歪ませる。今までに出会った事のないタイプに対し、素直な感情が自然と口に出ていた
「さてと道化師さん。俺たちはアンタに【3狩リア】を申し込ませてもらいます」
「【3狩リア】だとっ!?」
「なんだそれ……」
「ハジケリストが考案したとされる3対3のバトルロイヤルだ、その歴史は中世古代にあると言われる程に由緒正しい」
「聞いたことねぇけどっ!?」
聞いた事もない勝負形式にツキシロは突っ込みを放つも、ソウテンは冷静だった。バトルの歴史を解説し、表情は真剣そのものだ
「おんやぁ〜?二人しかいないみたいですねぇ〜……どうします?メンバーを揃える時間くらいは差し上げますよぉ?まぁ、急拵えの人との連携が合うとは思いませんけどねぇ」
「くそっ………今からキッドか、クイックを呼びに行っても良いが時間が…………って!何やってんだ!?お前はっ!!!」
三人目が居ない事を理解していながら、【3狩リア】を提案したモルテに苛立つツキシロ。自分の子分たちに連絡を取るか否かを迷いながら、ちらっと隣に視線を向け、思わず突っ込みを放つ
「なんだ、見て分からねぇんか?これだから尻野朗は」
「誰が尻野朗だっ!?地面に落書きなんかしやがって!状況を理解してんのかっ!!!」
「してるに決まってんじゃねぇの。三人目が必要なんだろ?だから、こうやって魔法陣を描いてんだよ……えっと呪文は……ポッポルンガ・プピリット・パロ……あっ、これは違う」
「ポルンガっ!?」
魔導書を片手に願い玉の龍を呼び出す呪文を口にしながら、首を横に振り、次のページに視線を落とす
「あっ…これか。えっと先ずはお供えにバームクーヘン、仮面、騎士のブロマイドを供えて………ピーリカピリララ・ポポリナ・ペーペルト!!!」
「ニチアサで聞いたことあるヤツっ!!!」
日曜日の朝に流れていそうな魔法少女的な呪文を唱えた瞬間、魔法陣が光を放つ。供物は明らかに可笑しいがソウテンの中で頼りになると判断された人物が光の中から姿を見せる
「問おう………君が俺のマスターか?」
その人物、ディアベルが優しく微笑む。紺色を基調とした装備に
「………………チェンジ!!!」
「呼び出しといてなんだコラァ!!!」
「チームワークもへったくれもねぇ!!!」
荒野の3狩リア!軍配はどちらにあがる?
NEXTヒント お茶漬け食いてぇ!!!
もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…
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ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
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キリトとアスナが司会の正規の雰囲気