蒼の道化師は笑う。   作:田中滅

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お待たせしました!自分からの遅いホワイトデー!心してお読みなさい


第二十弾 怒りの風、その名は怒髪テン!!!

「こほん……それで?俺を呼び出した理由はなんだ?テン」

 

軽く咳払いした後、ディアベルは身嗜みを整えると自分を呼び出した人物基ソウテンに問う

 

「相手が【3狩リア】を御所望でな。ちょいと力を貸してくれんか?ベルさん」

 

その問いに対し、何時もの不適な笑みで助力を求める小さな道化師に軽くため息を吐きながらも、ディアベルは首を左右に捻る

 

「他ならないリーダーからの御指名だ…俺の騎士道を見せてやるっ!」

 

Gracias(ありがとう)。そんな訳だ、ウチの三人目はディアベルに決まった。異論はねぇよな?モルテ」

 

快諾したディアベルに礼を述べ、ソウテンは前方のモルテに声を掛ける。すると彼は不敵とは言い難い狡猾な笑みを浮かべていた

 

「構いませんよ、誰でも。勝つのは俺たちですからねぇ」

 

「言うじゃねぇの……だったら出し惜しみは無しだ。派手に行くぜっ!!」

 

「了解!リーダー!!」

 

「荒れるぜっ!止めてみなっ!!!」

 

先に仕掛けたのはソウテンたち、走り出した三人は其々の前方に佇むプレイヤーを目指す

 

「芸がありませんねぇ。また空中ですかぁ?」

 

「ざんね〜ん。正解は〜」

 

「なっ……!き、消え--ぐわっ!?」

 

けらけらと笑う仮面の道化師は、何の前触れも無く姿を消した。周囲を見回していたモルテは自らの足元に違和感を感じるも、時既に遅し。気付いた時には地中に引き摺り込まれていた

 

「これぞ!満を持して復活した!ハジケ奥義・生首クッキング!!」

 

「モルテさん!よくもモルテさんを!」

 

「おっと、オタクの相手は俺だぜ?」

 

生首と化したモルテ救出に向かうピースの前にツキシロと機械狼が立ち塞がる。SAO 帰還者(サバイバー)であるソウテン、ディアベルの実力は何度も垣間見たが彼は違う。この荒野を駆け巡り、荒々しく生きる獣、今までに対峙した事のない部類だ

 

「アンタもハジケ奥義とかふざけた技を使うのかァ?」

 

「はんっ。生憎だが俺はハジケリストとか言うヤツじゃねぇ。その代わり………極楽に行かせてやるよっ!!!」

 

地を蹴り、走り出すツキシロの両手には二丁のリボルバーが握られている。彼の十八番である近接格闘(ガン=カタ)、リーチのある剣とは異なる対人戦闘に特化した立ち回りは、初心者(ニュービー)には荷が重く、蹴りが放たれたと思えば、次に拳、仮想とは思えない程に現実味のある痛みが襲う

 

「はぁはぁ………なんだって、それだけの力がありながら……邪魔をする!!!」

 

「分かりきった事を聞くんじゃねぇよ………誰も失わないために決まってんだろうがっ!!!」

 

「ソイツは!お前が味方してるその男は!《人殺し》だァ!何百人もの命を奪った殺戮者だっ!!!」

 

「………………何も知らねぇんだな、オタクは」

 

ピースの口から放たれた《殺戮者》という言葉、その言葉を聞いた瞬間。ツキシロは手を止め、哀れむように彼を見た

 

「ああ?知らねェ、知りたいも思わねェ……人殺しのことなんてァ!!!」

 

「知りたくないんじゃない、知ろうとしないだけだ。確かに、人の命を奪うのは許されない罪だ」

 

「だったら!分かるだろ?お前も!」

 

同意を求めるピースに対し、ツキシロは銃をガンホルダーに仕舞い、深く息を吐いた

 

「…………俺は大切な人を守るために人を殺めてしまった人を知っている。でも、彼女はその事を未だに後悔している………だからこそ、俺は信じた。アイツの言う自由に彩られた世界ってのを、バカみてぇな綺麗事を掲げるテンを信じてみたくなっちまった」

 

そう告げる、一匹の獣の瞳は優しさに溢れ、確かな信じる気持ちが溢れていた。彼の知る男は道化師と呼ぶには余りにも荒々しく、獰猛な獣と呼ばれても可笑しくない姿をしていた。だが久方振りに再会してみれば、何かを吹っ切ったように、仮面の奥に全てを仕舞い、巫山戯た態度の彼に最初は違和感を感じた。それでもツキシロの瞳に映る彼は誰よりも罪を感じ、誰よりも強くあろうとした。故に宿敵(ダチ)を彼は信じると決めた

 

「相棒!!!」

 

「ワォォォォン!!!」

 

刹那、ツキシロの目付きが変わる。彼の叫びに呼応し、機械狼が飛び、空を駆ける

 

「歩んだ道は獣道、その先に待つは己を満たす欲という名の勝利!高らかに雄叫び挙げて!我此処に至ると示す!!!これぞ!《赤狼(ヴォルフ)》の生き様だっ!!!」

 

機械狼が展開し、ツキシロを覆う紅き全身装甲に姿を変える。天高くを指差す姿、其れは正に獣。野生に解き放たれた獣そのものである

 

「なっ……《赤狼(ヴォルフ)》だとっ!?」

 

実しやかに噂される都市伝説、その実物が目の前に姿を見せた事に、ピースは両眼を見開く

 

「あばよ」

 

その言葉を最後に、ツキシロの叩き込んだ一発の拳が顔面を捉え、正に一撃必殺、重い拳はピースを一瞬でポリゴンの欠片に変えた

 

「ピース!!!モルテさん!ピースが!」

 

「あ?なんだ、思ったより使えないなぁ……」

 

「……………へ?今なんて……?」

 

ディアベルを相手にしていたパピコ、脱落したピースの名を呼び、仲間の脱落をモルテに知らせるが彼の予想外の言葉に耳を疑った

 

「使えないって言ったんだよ。全く、少しは腕が立つから直属にしてやったのに……よりにもよって、《SAO》もプレイした事のないヤツに負けるなんて………ホントに使えない道具だ」

 

「…………道具……?」

 

「道具」、その言葉で全てを理解した。彼にとってはピースも自分も仲間とは違う都合の良い使い捨ての道具であった事に。頬を伝う涙、其れが悔しさ故か、哀しみ故かは分からない。嘲笑うかの如く笑うモルテ、その手が真っ直ぐと言いなりにならないパピコに向けられようとした時、その“蒼き衣”は棚引いた

 

「その銃口を向ける相手………間違ってんぜ」

 

そう告げる彼、道化師の手に握られた槍。其れは荒野に存在しない筈の武器。しかしモルテは知っていた

 

「流石に深海よりも深い俺の懐も限界だ………潰してやるから、来いよ」

 

小柄な見た目は変化し、荒野に吹く風に棚引く“蒼き衣”。その姿を知っている、其れはある世界で名を馳せた仮面の道化師、彼は静かに其処に佇んでいた

 

「テンの姿が変わった…!?」

 

唯一人、その姿を知らないツキシロ。すると何処からか白乾児とお茶碗を取り出したディアベルが驚愕した様に両眼を見開く

 

「あの姿は!怒りが頂点に達したソウテン、怒髪テン!でも何故急に……もしや!!!さっきの白乾児をぶち込んだお茶漬けが原因かっ!!!」

 

「いや!お茶漬けですらねぇだろっ!?それっ!」

 




怒りを力に変える怒髪テン、その実力は如何に!そしてキリトとヴェルデは今何処に!!!

NEXTヒント 友情のツープラトン

もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…

  • ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
  • キリトとアスナが司会の正規の雰囲気
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