蒼の道化師は笑う。   作:田中滅

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真面なタイトルは久しぶりだなぁ、中身はギャグ的な展開もあるんだが……なぬっ!?文字数が4000字だと!?偶に調子に乗ると長めになりますなぁ



第六の太刀 闇に潜む影と十四人の勇士

「なぁ、テン」

 

「おろ?なにかにゃ?キリト」

 

アルゴが帰り、依頼内容をミトたちに話し終え、バルコニーで寛いでいたソウテンは自分を呼ぶ親友の声に気付き、振り返る

 

「依頼の内容はアスナにも話したのか?」

 

「話してないけど?何故に?」

 

真剣な表情で投げかけられた問いに、ソウテンは何時もと変わらない口調で逆に問い掛け返す

 

「そうか。でも、アルゴの話を纏めると狙われてるのはアスナを連れて行った《絶剣》とそのギルドなんだろ?てことはだ、アスナにも話しておくのが筋なんじゃないのか?彼女だって……家族だ」

 

依頼内容、その内容は《絶剣》が所属するギルドに関係する。其れは即ち、現在進行形で《絶剣》と行動中のアスナにも関係している。然し、ソウテンは其れを彼女に伝えていないと答えた。流石に文句を言う訳ではないが、腑に落ちないキリトは兄弟であり親友であり相棒でもあるリーダーを睨み、自分の気持ちを素直にぶつる

 

兄弟(カズ)。俺だって、別にアスナを家族として認めてないワケじゃないんよ」

 

その気持ちを真摯に受け止めた道化師は仮面に触れ、素顔を晒し、代名詞でもある不敵な笑みとは異なる優しい笑みを浮かべた

 

「ミトに言われたんよ。《絶剣(彼女)》との出会いがアスナの中にある〝何か(・・)〟を変える切っ掛けになるかもしれないから、あの子には伝えないで欲しい……ってな」

 

「……〝何か(・・)〟…それってまさか……!」

 

含みのある言い方ではあるが、誰よりも彼との交流が深いキリトにはその言葉の意味が理解出来た。彼を悩ませ、狂わせ、変えてしまう切っ掛け、その〝何か(・・)〟の名を知っていた……否、忘れる筈がない、忘れたくても忘れられない

 

「不確定ではあるけどな……〝黒い衝動(・・・・)〟なんじゃねぇかと俺は思ってる。ミトも確信はしてねぇみたいだけどな」

 

「どうして……どうしてだよ…〝黒い衝動(アレ)〟は消えた筈だろ!ロトに同調したんだろ!?なのに!どうして!………すまん、取り乱した……でも、どうしてかを知りたいんだ」

 

黒い衝動(・・・・)〟、遂に口にされたその闇が大切な人(アスナ)の中にもあると知り、キリトは目付きが変わり、気付いた時にはソウテンの胸ぐら掴んでいたが即座に我に返ると素直に謝罪した

 

「はぁ………〝黒い衝動(・・・・)〟は俺個人に関わるモノじゃない。人には誰にも触れてほしくなかったり、言えない秘密がある。〝黒い衝動(アレ)〟はそんな弱い気持ちに付け込み、世界を黒一色に塗り潰す……言わば、一種の自我を持った闇の心みたいなもんだ。アスナは誰よりも真面目な分、その気持ちを何処に吐き出せばいいのかを解らないんだと思う。コイツはアスナが自分で答えを見つけなきゃいけない、俺たちは見守ってやろうや……」

 

「ああ……」

 

納得したキリトが落ちた事を確認し、ギルドホームの中に戻り、寝落ちするまでの時間を怠惰に過ごす為に寝転がっていると扉が開く音が耳に入る。気にせずに目を閉じていると、頭上に柔らかくも優しい感触が触れた

 

「おろ?次は嫁さんの方か?心配性だねぇ?我がギルドのアスナ大好きコンビは」

 

「そういうテンも私が来るのを分かった上で寝落ちしようとしてたんじゃないの?そうやって、人を試すのは悪いクセよ?自覚しなさい」

 

「なはは……面目ない」

 

その声の主であるミトはソウテンの頭を膝枕しながら、彼の悪いクセを咎める。先程までの真剣な雰囲気から一変し、二人の静かな時間がゆっくりと流れる

 

「ねぇ、テンの中に〝黒い衝動(・・・・)〟が生まれた切っ掛けって、お義父さんが原因だったのよね?確か」

 

「オヤジだけが原因とは言えんよ。オフクロの死や用意されたレール、色々と複雑に絡み合った結果が〝黒い衝動(・・・・)〟なんよ。怒りに全部任せれば、楽だし、何も考えずに暴れるだけでよかった。でもな、ミトを見つけた日から、黒しかなかった世界に()が点いた。おめぇさんの笑顔を見る度に次はどうすれば笑ってくれるかを考えるようになった。そして、あの雪の日にオヤジと再会した日に、見たんだ……誰にも見えない角度で優しく笑った父親としてのオヤジをな」

 

始まりは単純、好きな人が出来たから彼女の笑顔を見る為に変わり始めた自分。楽しいこと、辛いことを乗り越え、仲間たちと彼女と紡いだ先に待っていたのは、二度と見られないと思っていた息子の帰還を静かに祝福した父親の優しい笑顔、其れを境にソウテンの中に残留していた〝黒い衝動(・・・・)〟は完全に消え去った。息子であるロトがその化身である事は理解しているが今は彼も自我を持ち、自分で歩む術を知っている、故に〝黒い衝動(・・・・)〟とは別の存在であると断言可能だ

 

「さーてと………明日の依頼もあるし、今日は寝るかな。どうだ?ロトも交えて、偶には川の字で寝るなんてのも中々に乙じゃないか?ミトさんや」

 

「あら、それは素敵な提案ね?道化師さん。是非ともお願いしたいわ」

 

「わーい!とーさんとかーさんと寝れるんか?そいつは踏んだり蹴ったりだね!流石はとーさん!」

 

体を伸ばしながら、立ち上がったソウテンが手を差し出すとミトは優しく笑い、提案を受け入れる。それを聞いていたロトがピクシーサイズから少年の姿に戻ると無邪気に喜びながら、ソウテンの背中に飛び付いた

 

「息子よ、そいつを言うんなら至れり尽くせりの間違いじゃね?」

 

「あり?そうだっけ?まぁ、細かいことは気にしなさんな」

 

「男の子って……見習って欲しくない所が父親に似るのよねぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと………依頼内容は伝えた通りだ。ボス攻略ギルドは《絶剣》基ユウキのギルド、《スリーピング・ナイツ》をカモにしてる。時間帯的にアスナと《スリーピング・ナイツ(ユウキたち)》はダンジョンに潜ってる頃合いだ。負けたとしてもアスナのことだから、ミーティングを五分で終えた後に三十分での復帰作業を提案するのは目に見えてる……だから、俺たちはその間を、攻略ギルドの奴らがアスナたちに接触する瞬間を狙う」

 

翌日の《彩りの道化(カラーズ・クラウン)》ギルドホーム。壁に掛けられたホワイトボードを前に依頼内容と作戦を語る道化師に、メンバー全員が真剣な眼差しで彼に注目する

 

「時間帯的には今し方、リーダーが提示した復帰作業のミーティングを行っている頃合いでしょう……然し、攻略ギルドを相手に喧嘩を売るですか……相変わらず、リーダーの考えには驚かされますねぇ」

 

「アスナさんを囮にするの?前にもあったよね、誰かを囮にギルドを引っ張り出す作戦をしたことが……なんかデジャブ」

 

「あたしとヒイロの思い出だね!あの時のオバサンは元気かな?なんだっけ…グロリア?」

 

「ロザリアだよ。そうか、確かにあの時と同じだ…シリカが触手系モンスターに逆さ吊りにされた時と」

 

冷静に状況を分析するヴェルデ、その隣に座っていたヒイロが前にも似た体験をしたと口にするとシリカが自分との思い出である事を教えれば、彼も何かを思い出し、手を叩き、自分に寄り添う彼女に意地の悪い事を言い放つ

 

「ひ、ヒイロ!?忘れて!それは忘れて!お願いだから!というかアイドルは触手なんかに逆さ吊りにされないもん!」

 

「逆さ吊り云々にアイドルは関係ないと思うが?マイク娘」

 

突然の一言に、顔を真っ赤にしたシリカがぽこぽこという音が響きそうなくらいの強さのパンチでヒイロの胸を叩く。それを見ていたアマツは真面な突っ込みを放つ

 

「リズ……今日からは正式にメンバーだ。ほらよ」

 

「その言葉を待ってたわ。アスナの為なら、あたしは道化になる……だから、絶対にぶっ潰すわ」

 

正式な加入、其れは証である仮面を与えられるという意味。手にした仮面を冠り、彼女は拳を握り締める

 

「異名はどうなるの?職人だと職人に被るよ?」

 

「ピンク頭で良くね?頭がピンクだしよ」

 

「いや怪力女の方が良いだろ、メイスを振り回すからな」

 

「エプロンはどうかにゃ?ほら、エプロンしてるし」

 

「ぼったくりに一票ですね、僕は」

 

「……………ふふっ」

 

「「「ぐもっ!?」」」

 

矢継ぎ早に放たれる異名という名の悪口の嵐に、微笑んだ後にリズベットはソウテン達の頭上に鉄拳を振り下ろす。然し、その怒りは収まっていない

 

「殴るわよっ!」

 

「「「いや既に殴ってるし!!!」」」

 

「あたしは鍛治師………鍛治師の仮面!リズベットよ!」

 

「既にキャッチフレーズを考えてたのね」

 

「やりますね。まぁ、あたしはアイドルとしてのキャッチフレーズを即席で考えられますけどね!えっ?今のキャッチフレーズですか?アナタと一緒に今日もレッツアイカツ!完全無欠の美少女アイドル!シリカ!ですね!」

 

「自信満々なシリカ。グッジョブ」

 

「ありがとぉ〜!ヒイロ〜!」

 

誰に聞かれた訳でもないにも関わらず、勝手に自信満々というよりも自意識過剰極まりないキャッチフレーズを披露するシリカをヒイロだけは賞賛し、猫の如き身軽さで飛び付いた彼女の頭を優しく撫でる

 

「さてと……派手に行くぜっ!野郎ども!」

 

「「了解!リーダー!!」」

 

決まり文句で、一瞬の内に普段の騒がしさから、空気が一変。《ALO》に名を轟かす最強ギルド《彩りの道化(カラーズ・クラウン)》が足踏みを揃え、装備を普段着から戦闘用に切り替え、ギルドホームを飛び出す。行く先は第27層ダンジョンボス部屋前、AGI最大速度で走り抜ける姿は正に異端。道行く者が、その姿を視界に捉える頃には既に誰もいない

 

「悪いな………ここは通行止めだ」

 

「最初に言っとくが電子マネーまたはローン払いも受け付けてねぇよ?」

 

「ここから先に行きたいなら、私たち(・・)(プライド)を刈り取ってからにしてもらえるとありがたいわ」

 

多勢に無勢、一瞬の諦めが生まれ掛けたアスナの背に響いたのは頼りになる三人組(恋人と親友たち)の声。一人目は“二対の剣()”を引き抜き、二人目は“蒼き衣(コート)”を棚引かせ、そして三人目は“紫色の尻尾(ポニーテール)”を揺らす

 

「「「派手に………ゴーカイに行くぜっ!!」」」

 

(来てくれたんだね………Gracias、家族たち。やっぱり、みんなは最高の仲間だよ)




攻略ギルドと刃を交えるアスナたちの前に現れた道化師一味、その背は誰よりも頼もしく、誰よりも勇ましい。アスナの背に響くはあの言葉、背中を押され、彼女は走り出す

NEXTヒント 何処までも

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もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…

  • ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
  • キリトとアスナが司会の正規の雰囲気
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