「………もぐもぐ、昼飯といえば安定のピーナッツバターサンドだな。このクセになる感じが病みつきだ」
「クセになるというか中毒よね?私、テンがピーナッツバター以外の何かを食べてるのを見たことないわよ」
和人の脱ぼっち騒動から数日。食堂で好物に舌鼓を打つ天哉に深澄が鍋焼きうどんを啜りながら、突っ込みを放つ
「何を言う、深澄さん。タコスとチリコンカン、パエリアにガスパチョなんかも食べるぞ?俺は。その全部にピーナッツバターを掛けるのは当たり前だが」
「味の暴力よね?明らかに。味覚の押し売りはやめなさい」
常に頬張っている好物以外の好きな料理を挙げていく天哉だが、最終的には
「高良先生。先日、御相談した件なんですけど……」
「うむ!構わんぞ!他ならない結城くんからの頼みだからな!既に西田校長にも話は通している」
「ありがとうございます!ユウキ。こちらは高良先生、テンくんたちの担任の先生よ」
『は、はじめまして!紺野木綿季です!』
食堂で日替わり定食を突いていた高良、彼に話し掛ける明日奈の肩には《通信プローブ》と呼ばれる物体が乗っており、其処から紺野木綿季基ユウキの声が響く
「はじめましてではないよ。私も《ALO》のユーザーでな、君とは攻略ギルドの時に僅かではあるが顔を合わせている」
『そ、そうなんですかっ!?』
木綿季の自己紹介を聞き、高良が自分も《ALO》のプレイヤーである事を明かせば、食い付く様に彼女は声を挙げる
「私のクラスは少し特殊な環境でな。年齢を問わずに教えているのだ」
「テンくんにミト、キリトくんたちが生徒なんだよ」
『道化師さんたちの先生なんですかぁ』
「先生らしい授業をしてもらった記憶はねぇけどな」
自分のクラス環境を教える高良の話に耳を傾けながら、其処に所属する生徒たちが天哉たちである事を明日奈が教えれば、木綿季は感心したように呟く。すると、話を聞いていた天哉が苦笑気味にため息を吐く
「テンくん、それに深澄も。お昼食べてたの?」
「ここのピーナッツバターサンドは絶品だからな」
「年中問わずに鍋焼きうどんが食べられるのはここくらいしかないのよ。はじめましてと言っておいた方がいい?紺野さん。兎沢深澄です」
「俺は蒼井天哉、気軽にテンって呼んでくれ」
『紺野木綿季だよ!よろしくねっ!』
天哉と深澄が自己紹介すれば、木綿季も元気の良い声で返事を返す。彼女が病を患っているなど、誰が信じよう……されど、揺るがない真実なのである
「目玉が喋ってる。妖怪の類い?」
「彩葉くん、あれはメカトロニクスという技術で生まれた《通信プローブ》ですよ。スグちゃんみたいに意味不明な解釈をするものではありませんよ」
教室に向かおうと歩みを進めていると、廊下でカードゲームに身を投じていた彩葉と菊丸が明日奈の肩にある《通信プローブ》に気付く
「あら、彩葉に菊丸じゃない。何の話をしてるの?」
「深澄さん。明日奈さんの肩に見慣れない機械がある、妖怪だと思う」
「僕は其れを否定していました」
見慣れない物は妖怪だと決め付ける彩葉、其れをやんわりと否定する菊丸。天哉と和人、純平のように一瞬で殴り合いに発展しないのは、彼等の方が精神年齢が高いということは火を見るよりも明らかである
「彩葉くん、菊丸くん。こちらは紺野木綿季さん」
『こんにちは!』
「聞いた名前」
「なるほど……把握しました。《絶剣》さんですね。僕は緑川菊丸、こちらは親友の緋泉彩葉くんです」
「ども…」
丁寧に自己紹介する菊丸に対し、彩葉は淡白な返事を返しながら、天哉の背後からひょっこりと顔を覗かせる
「すまんな、木綿季っち。彩葉はちょいと警戒心が強いんよ。気を悪くしないでくれ」
『ううん!大丈夫だよっ!仲良くしてくれると嬉しいな』
「………がんばる」
誰彼構わずに生意気な言動を取りがちな彩葉であるが、実は初対面の人間には警戒心が強く、天哉の背後に纏わりつくことがある。簡単に言えば人見知りなのだ
「む……閃子にテンの字たちか。始業前に教室に戻るとは珍しいな」
「茉人は今日も里香の弁当?いやぁ、物好きだね」
「慣れるとクセになる。唐揚げにジャムをつける感性だけは理解に苦しむがな」
教室に入ると迎えたのは弁当に舌鼓を打つ茉人。彼は最近、里香の手製弁当を食しており、食堂に足を運ぶ機会が極端に減少しているのだ
「はぁ?ジャムの悪口を言うんじゃないわよ!良い?ジャムはね、何にでも合うように作られてる万能調味料なのよ!」
「いんやそれはピーナッツバターだ」
「違う、焼き鳥のタレ」
「いえ、ターメリックです」
「バカめっ!辣油に決まってんだろ!」
「バナナに勝るもんがあるかっ!!」
「全くだ!」
「バームクーヘンよりも美味い食べ物があるはずないだろ」
「やれやれ……これだから、食を知らないバカたちは困りますね…。一番はチーズケーキに決まってるでしょう!!これ正論っ!!」
「「「んなわけあるかっ!!マイクバカ!!」」」
「ぐもっ!?アイドルのあたしを殴るとか何を考えてるんですかっ!シバきますよっ!バカどもっ!!!」
里香のジャム談義から始まった好物問題は何時もの騒動に発展し、始業ベルが鳴り響くにも関わらず、例によって殴り合いを始める
『あ、アスナ……』
「大丈夫だよ。そろそろ……」
「ふざけ過ぎだ……このバカどもっ!!!」
「天誅っ!!!」
「「「「ぐもっ!?」」」」
初めて見る光景に木綿季が心配気味に声を出せば、明日奈が彼女を諭す。何がそろそろなんだろう?と疑問に思いながら、喧嘩を見守っているとプラスチック包丁が降り注ぎ、ハリセンが勢いある音を立てる
「騒がしいクラスでごめんね……何時もはもう少しちゃんとしてるんだけど…」
『楽しいクラスだと思うよ?ボクは好きだな……みんなで騒いで、楽しんで………きっと、この人たちはいつまで経っても今と変わらない当たり前を彩っていくんじゃないかなって思うもん』
騒がしくも楽しく、生徒と教師の垣根を超えた絆で繋がれた彼等を前に木綿季は不思議と目が離せなかった
「ユウキ………でもね、テンくんたちは今でこそは日常を彩る道化だけど……少し前までは違ったんだよ」
『そうなの?』
知らないからこその無知、明日奈の昔を懐かしむ表情に木綿季は首を傾げた
「そうね……明日奈の言う通り。私たちは社会からあぶれたカラーギャング……今だって、其れは変わらないけど…前よりはずっと日々に満ち足りた満足感を感じてるわ。紺野さんが仲間たちと色々な世界を旅したように、私たちも《
そう言って笑う深澄の笑顔が、木綿季の中で今は会えない亡き親友の姿と重なる。楽しく笑い、共に過ごす時間が当たり前のように感じていた親友、その彼女の笑顔と深澄の笑顔が重なって見えたのは必然かはたまた偶然かは分からないが木綿季は前者であると思わずにはいられなかった
「其れでは授業を始める!今日はバナナの歴史についてだ!」
「前回の範囲ガン無視すんなやっ!!」
「全くだ!今日は俺の騎士学だろ!」
「おめぇさんも範囲ガン無視だろうがっ!!」
「はっはっはっ!愉快だな!相変わらず!しかーし!そんなことでは単位はやらんぞっ!」
高笑いと共に姿を見せたのは、痩せこけた頬が特徴的な男性。見覚えのある姿に天哉たちの苛立ちが表情に現れる
「なんだ、蔵田か」
「油汚れ並みにしつこいわね」
「出口はあっちだぞ」
「歯が黄ばんでる」
「剃り残しがありますよ?ああ、よく見たら眉毛でした」
「やっぱり嫌いだ!お前らなんかっ!」
矢継ぎ早に放たれる罵倒の嵐に、涙ぐむ蔵田は自分が彼等を嫌いである事を再確認し、走り去っていく
「では、私の河童の歴史で手を打ちましょう!」
「「「校長もいたんかいっ!!!」」」
「ホントに騒がしくてごめん……」
『あはは……楽しいクラス……なのかな?これはこれで…』
日は流れ、ギルド間の顔合わせに集まった面々。然し!宴と聞いて、奴らが黙っているわけがない!バーベキューならぬバーカキュー大会が幕を上げる!!
NEXTヒント バーカキュー
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もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…
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ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
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キリトとアスナが司会の正規の雰囲気