「それでは!みんなの初顔合わせを祝して………」
「「「カンパーイ!」」」
一月末。新生アインクラッド第22層の湖畔エリアにある《
「もぐもぐ」
「ヒイロ!てめぇ!今、俺の肉食ったろ!」
「余所見をしてるグリスさんが悪い。食卓は戦場………なにこれ?なんか赤いんだけど…」
コンロの上でグリスが手塩にかけて育て上げた肉は気付いた時には隣で焼き鳥を頬張っていた小さな口の中に放り込まれており、怒り狂うグリスに無慈悲な食卓の定義を教えながら、ヒイロは目の前にある赤く染まったこの世のものには見えない地獄の串を発見する
「ん?ああ、すまん。其れは俺が味噌とニンニク、コチュジャンと胡麻油を混ぜ合わせたヤンニョムに辣油と豆板醬にブート・ジョロキア、キャロライナ・リーパーを加えることで更に辛味を感じさせる事に成功した最強の激辛ソース串焼きだ。どうだ?ヴェルデ」
「ええ、口の中が焼け爛れそうで汗と震えが止まりませんが美味です」
「きっくん!?変なものを食べちゃダメだよっ!!お兄ちゃんみたいに味覚再生エンジンがぶっ壊れるよ!!」
「なんだ、スグは反抗期か?お兄ちゃん複雑だぞ」
ヒイロの疑問に答えながらも、その串を食べたヴェルデに感想を求めるキリト。然し、予想以上の辛さを感じさせる串焼きに味の感想がかなりの危険度を訴えている幼馴染をリーファは涙目で説得し、流れで自分を侮辱されたキリトは不満を訴える
「おーい、おめぇさんたちー。見てみろよー、味覚破綻ぼっちが遂に妹にまで見限られてんぞー」
「兄妹揃っての迷子のバカに言われても何とも思わない」
騒ぎを聞き付け、焼き落花生を口に放り込むソウテンはキリトの醜態を見せようと仲間たちに呼び掛けるが、当の本人は彼の行き過ぎた迷子的な思考に呆れを示す
「「頭の中まで真っ黒なゲキダサヤローに言われても別に気にならない」」
然しながら、言われ慣れた嫌味などは二人には通じず、焼き落花生を食べる手を止めようともしない
「上等だコラァ!剣抜けっ!
「新しい呼び名を生成すんなっ!!リアルソロプレイヤー!!」
「そうだよっ!フレンドレス!!」
それではと言わんばかりに生み出された新たな呼び名にくわっと両眼を見開いたソウテンとフィリアは彼の孤独を交えた悪口を放つ
「うるせぇ!!だいたい!俺は友だちがいるんだよっ!!」
「「またまたぁ〜、あのキリトさんに友だちがいるわけないじゃないですかぁ〜」」
「訴えるぞ!そして勝つ!!」
友だちがいると言う反論に対し、声を揃えての否定を言い放つ双子に、キリトは御決まりの告訴宣言を言い放つ
「美味い!さすがは高い酒だ!待てよ?これにウィスキーとウォッカを混ぜれば……最強なんじゃないか?」
「あのなぁ……ディアベルちゃん……酒豪なのも構わねぇけど……少しは節度を弁えて、適度を覚えろよ」
光の速度で地上に落下しつつあるディアベルの醜態にキッドは呆れた眼差しを向け、ため息を吐く。高校時代からの付き合いで友だち以上恋人未満の関係性から先に進んだは良いが彼の言動は昔よりも遥かに常軌を逸している基馬鹿々しさを増している、その理由がソウテンたちとの出会いである事は火を見るよりもファイヤー!なのだが、これも彼の魅力なのだろうと割り切っている自分が事実だ
「いいか?キッド。俺はな、如何なる時も寝首を掻かれない為に人生を楽しむのをモットーにしているんだ……つまり!悩まずに生きるという意味だな。スワヒリ語でこれを
「なるほど。スペインのことわざにある
「違うよ、テンちゃん。どちらかと言うと
「ミトちゃん…ホントにあんのか?そんなことわざが」
「実在するのよね……まぁ、テンとフィーのことわざは明らかに今の状況で使うものじゃないわね」
「結局は間違ってんのかよっ!?」
何処で覚えたのかは不明だが外国の諺を口にするディアベル、それを聞いていたソウテンとフィリアがスペインの諺を口にするが今の状況では使うものではないことをミトが告げれば、キッドの叫びにも似た突っ込みが木霊する
「君が《絶剣》ユウキか。噂には聞いていたが随分と可愛らしいじゃないか……まぁ!我が愛弟のグーくんには負けるがな!」
「ごめんネ?この人、基本的に弟クン以外はミジンコみたいに思ってる様な人なんだヨ」
「えっと………領主さんなんだよね?二人は」
「うむ、シルフ領主のサクヤだ。そしてこの筋肉質だが小猿の様に愛らしい
「ぎゃぁぁぁぁ!やめろコラァ!!!」
「私はアリシャ・ルーだヨ!
「騒がしい奴らだ」
領主と呼ぶには余りにも親しみやすいサクヤとアリシャとユウキが雑談する隣で肉を口に運んでいたユージーンが呟きにも似たぼやきを口にする
「わぁー!オジサンも領主さん?」
「むっ……俺は領主じゃない、領主は兄だ。あと……オジサンでもない」
「ぶっ……オジサン………」
「あはははは!お腹いた〜イ」
「おい」
唐突なオジサン呼ばわりに難色を示すユージーン、その背後ではサクヤとアリシャが笑い転げており、怒り心頭のドスの効いた声を出すが二人には聞こえていない
「ゴラァ!!そこの野朗共!!愛しのメイリンさんの料理を味わずに搔っ食らうとはどういう了見だ!!メイリンさん!安心してくれ!恋の警備は万全です!!」
「ありがと〜、クラインさん」
「彼奴はきっと……この先もメイリンに良いように使われるんだろうなぁ」
「おいおい、エギル。嫉妬か?この恋の奴隷である俺に」
「テン。お前の情報網で腕の良い医者を探してやれないか?俺はクラインが不憫でならない」
「諦めな…エギル。彼奴はもう手遅れだ」
好きな人にこき使われることを躊躇いもせず、喜びを感じているクラインの姿にエギルが不憫さを訴えるがソウテンは既に諦めの境地に達し、遠い目をしていた
「全く……ホントに騒がしいわね。何処でも常にお祭り騒ぎなんだから……」
「そうだな。それにしても……やっぱり、良い尻だ。この絶景を見ながらだと、生クリームが格別に美味いな!」
「何を言ってんだ!一番はヘソだろ!」
「最高だぜぇ〜!やっぱり、美脚といえばシノンちゃんだよな!鮭茶漬けが止まらねぇ〜!」
「やはり……脇見酒は格別の美酒だな」
生クリーム大福を頬張るツキシロ、天ぷらを頬張るリッパー、白米を掻っ込むキッド、ワインを嗜むクイックドロウ。四人の額に鏃が突き刺さる
「毎度毎度、何をしてんのよっ!!こんの変態
「「「「ず……ずび……ば…ぜ…ん…」」」」
「フカ。やっぱりさ、このギルドに入ったのは間違いだよ」
「そうか?私は好きだぜ?楽しいじゃん。何せ、可愛いレンちゃんを拝めるからな☆」
「……………フカが段々と毒されてるんだよなぁ」
今日も今日とて、安定の変態集団は生きる活力剤とも呼べる冥界の死神と過ごす最高のバーベキューを謳歌していた
「あの池に河童が居そうですな……ちょっと釣り上げてきますぞっ!!」
「美味い!なんだこれはっ!もしや!アスナ様の手料理かっ!?」
「いや私の焼きバナナだな」
「…………やはり不味いな」
「貴様ァァァァ!!バナナに失礼ではないかっ!!恥を知れェェェェ!!」
「全くだゴラァァァ!!バナナ舐めんなっ!!」
「ぐおっ!?」
河童が出現しそうな池を発見したニシダが走り去るのを気にせず、焼きバナナを口にしていたクラディールは最初こそは美味いを連発していたがコーバッツの手作りだと知った瞬間に、地面に叩き付けた。その行動にバナナを愛する二匹の猿妖精が雄叫びにも似た叫びを挙げ、飛び蹴りを放つ
「んまぁ!シグさまよ!」
「いやぁァァァ!シグさまァァ!」
「ひぃぃぃぃ!何でいるんだぁぁぁぁ!」
「はっはっはっは、愉快愉快」
タイコちゃんとカルゴちゃんから逃げ惑うシグルド。その様子を見ながら、サクヤはシルフ領名物風乞いダンスを踊っている
「アマツ!このブルベリージャムサンドなかなかの美味しさよ!食べなさい!というか食べろ!」
「…………奇跡的に美味いな」
「《GGO》で食ったチェリーパイよりは美味えかもな。ピーナッツバターサンドには負けるけどな」
「あら、アメリカにはブルベリージャムとピーナッツバターのサンドイッチがあるのよ?」
「ミト。良いか?ピーナッツバターはな、他の調味料と混ぜちゃ駄目なんよ。ピーナッツバターはピーナッツバターで完成されてるんだ」
「そうよ!ジャムに訳の訳からないモノを混ぜるとかありえないわ!」
「リズとは仲良くなれんな」
「あたしの台詞よ」
「バカも極めると最早……呆れたモノだ」
「ホントに…」
好物についての言い合いを始めるソウテンとリズベット、その二人を見ながら呆れた様にミトとアマツはため息を吐き、互いの恋人の馬鹿らしさを嘆く
「それにしてもすごいメンバーですよね……まぁ、アイドルのあたしが一番ですけどね!」
「もぐもぐ……美味いね、これ」
「ロトくん!食後にクッキーもありますよ!」
「お茶です。ロトさま」
「おやまあ、こいつは正に踏んだり蹴ったりだ」
「息子よ、そいつを言うんなら至れり尽くせりじゃねぇかなと父さんは思うぞ」
「あり?そうだっけ?まぁ、細かいことは気にしなさんな」
「アスナ。子育てって難しいわね」
「そうだね」
「ぷぷ〜ん」
「ぴよぴよ」
「きゅるる〜」
騒がしくも楽しいバーベキュー大会基バーカキュー大会は笑いに満ちていたのは言わずもがなである
飲み会のノリは恐ろしい、何故ならそのままのテンションに身を任せ、衝動的な行動に出られるのだから……!
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ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
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キリトとアスナが司会の正規の雰囲気