「あ〜……駄目だ、完全に二日酔いだ…。翠のヤツに合わせてテキーラとか呑むんじゃなかった……酒なんか二度と見たくねぇ…」
「蒼井警部、今はもう昼なんですけど?この時間まで二日酔いとか何次会までやったんですか、アンタは」
「あ?八次会だけど?」
「人間じゃねぇよ、お前。それはそうと店内の監視カメラと映像接続出来ましたよ」
真顔で答える蒼井に対し、上司ではあるが部下はタメ口で突っ込みを放ちつつ、パソコンを器用に操作し、立てこもり現場の監視カメラの映像を映し出す
「音声は拾えませんが、現在の人質は六人。犯人は単独犯ですが凶器を所持しているようです」
「なるほどな、六人も人質がいんのか……あ?なんか見た事ある面だな、特にこの青い羽織を着たガ………あんのクソガキっ!何してやがるっ!?」
「知り合いですか?警部の」
「まさかの噂の悪名高い息子さんとか?って、そんな訳……」
「……………」
「「ウソだろっ!?」」
店外では、その様なやり取りが行われている頃。人質にされた天哉達は未だに食べ続け、顳顬付近に銃口を突き付けられていた
「だから、食うのやめろォォォ!でないと、この銃が---ぐもっ!?」
「まあまあ、落ち着きなよ」
「そうだ。焦るのは良くねぇ、取り敢えずは座って何かを注文しやがれ」
「ふざけるなっ!この銃はな!本物なんだっ!お前らみたいなガキの命なんざ、一瞬で奪えるんだ……って!なんだコレェ!?」
銃を見せびらかすように天哉と純平に向ける強盗犯であったが、唐突に飛来したパスタが銃に刺さっていた
「なるほどな、確かに本物みたいだ。パスタが刺さりにくい」
「何しやがるっ!クソガキっ!大人を舐めんじゃ……」
「落ち着かないと脳天に串を刺す」
「座りなさい、そして頼みなさい」
「ひぃぃぃぃ!な、なんだ!お前らはっ!」
強盗である自分に物怖じしない天哉達に強盗犯は戦慄にも似た悲鳴を挙げる。しかしながら、唯一の常識人である伊緒だけは違った
「強盗さん。犯人は刺激しない方がいいぞ」
「おやまあ、誰が犯人か」
「そうだ!いつ俺たちが犯罪を犯したんだ!カイ!」
「さっきの行動と何時もやってるやり方の両方ともだよ、バカども。其れともあれが犯罪じゃないって言うのか?だったら何が犯罪かを言ってみろ」
「ふ…不平等な世の中…」
「平等じゃないのはテンの頭だ。魂胆は分かってるぞ?強盗が盗んだであろう金を上手く巻き上げて、支払いさせようとしてるんだろ」
((ぎくっ!!!))
「なんだとっ!?最低だなっ!お前っ!」
「何を言う、これはアレだ。マネーロンダリングだ」
「そんな不条理なマネーロンダリングがあってたまるか」
「ちっ……まぁいいだろ。とにかく!この七人の誰かがここの会計である10万円を払う!其れで異論はねぇはずだろっ!」
「待て!俺は頼んでないぞっ!勝手に混ぜるなっ!」
「なんだ、知らないのか?居酒屋には席に座るだけで取られるチャージ料ってのがあるんだ、ちなみにここのチャージ料は10万円だ」
「高くねっ!?」
強盗の盗品を当てにこの状況から抜け出す事を考える天哉達の表情は極悪人と変わらない。その状況に伊緒はため息を吐く
「アホらしい…俺は帰るからな」
「あっ、空飛ぶマヨネーズ」
「なにっ!!」
「焼き鳥買いに行こっと」
「しまった!彩葉のヤツ!策士かっ!!」
年少の彩葉が繰り出した見え見えな嘘に騙された事に伊緒が気付いた時には既に遅く、彼は大量の串だけを残し、消えていた
「んあ?なんだ、電話か。もしもし?」
『純くんか?お姉ちゃんだが、バナナが大量に安売りされていてな。今日はご馳走にしようと思うんだが』
「分かった。直ぐに帰るぜ、アネキ」
「あっ!純平のヤツもいねぇ!!!」
「ふむ、ゴリラの割に素早いですね。純平さんは」
気付けば、純平の姿は無く、残されたのは御土産が追加された伝票だけであった
「………げっ!オヤジがいるっ!こうしちゃいられんっ!必殺ファンタジスタダッシュ!!!」
「「待ちやがれっ!迷子!!!」」
群衆の中に刑事である父親を見つけた天哉は前方の窓硝子を蹴り割り、溜まり場のゲームセンターとは反対方向に走り去っていく。そして、残された伝票に窓硝子の弁償代が追加されていたのは言うまでもない
「くそっ!こうなったら、ここにいるお前たち三人の何方かが代金を支払うんだっ!分かったなっ!?」
「何をナチュラルに自分を候補から外してるんだよ」
「スグちゃんに言い付けますよ」
「そうだ!俺はな病気の母さんの為に治療費が必要なんだっ!この金は渡さんっ!!!俺はこの金で----ぐもっ!?」
「バカヤロウっ!!!そんな金でお母さんが喜ぶ訳あるかっ!!!いいか、金ってのはな!誠心誠意、汗水流して稼ぐから価値があるんだっ!そんな汚れた金は俺に預けて----ぐもっ!?」
金を強奪した理由を明かした強盗に力説しながらも金を巻き上げようとする和人の後頭部に凄まじい衝撃が襲う
「ほらよ、この金をやるからお母さんの治療費を払ってやんな」
「お前…さっきの……」
「なーに、俺は何も見てないし…事件にも巻き込まれてない。こいつはちょっとしたスリル体験をさせてくれた御礼だ」
「これに懲りたら、二度と馬鹿な真似をするなよ」
「やれやれ、終わりましたか」
「うぅ……ありがとう……ありがとう……」
天哉が用意した謎の金を手に、彼は警察に出頭した。こうして、昼下がりに起きた騒がしいファミレス食い逃げバトルは幕を閉じたのである
「あれ?俺の宝くじがない………あんの迷子めぇぇぇぇ!!!」
人知れず、置き去りにされた和人が目を覚ましたと同時に夕陽に叫んだのは別の話である
ミトと遊園地に来たテン、しかし其処には見た事あるバカたちの姿があって……更にはカイまでもいたりして……
NEXTヒント 遊園地は遊ぶから遊園地なんよ
ちなみにこのifでは、きっちりとミトさんも我が作品の鍋女でテンの奥様してます
もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…
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ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
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キリトとアスナが司会の正規の雰囲気