蒼の道化師は笑う。   作:田中滅

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今回は終始真面目な話………こんな感じの場面で3,000文字は初めてかもしれん……なるほど、自分は真面目な話も書けたのか


第八曲 昨日の敵は今日の友!執事とメイドが電撃辞職!!

『その者、紺碧の衣を纏いし、一人の槍使い

 

その槍を振るう姿は時に美しく流れるかの如く、時に怒涛のように荒々しく、身に付けたる仮面には不敵な笑みを携え、

 

その名を、『蒼の道化師』と申す』

 

SAO議事録。かつて、世界を恐怖に陥れたデスゲームの記録が綴られた書籍。その項目でも一際目立つのが、ゲームをクリアに導いた《黒の剣士》と共に歩んだ《蒼の道化師》と銘打たれた章である。彼を知る者たちは語った、ある時は呑気に、ある時はバカみたいに、ある時は静かに、その全てを身に付けた仮面に隠した彼を形容する言葉は数あれど、代名詞と言っても過言ではない、彼を象徴する言葉が一つある、其れが『道化師』だ

 

『また、その本を読んでるの?エイジ。今日は《蒼の道化師》……へぇー!この人って、沢山の槍を操るんだぁ〜!すごいなぁ〜』

 

「ああ………そうだね…彼はすごい……すごいからこそ……嫌いだ」

 

『怒らないでよ〜、エイジ!そうだ!この本にあるエイジの事が聞きたいな』

 

《蒼の道化師》に興味を示すユナに対し、鋭二は軽蔑するかの様に眼を細めた。その姿に彼が怒ったと感じたのだろう、ユナは取り繕い、彼が出ている箇所は無いのかと問い掛ける

 

「……いないんだ、僕はこの本には出てこない……。戦えなかった僕たち(・・)は覚えてもらう価値もないのさ……」

 

そう告げた鋭二の横顔は寂しそうだった。かつての自分は誰の瞳にも映らない程に弱く、小さく、無意味な存在。故に本に記してもらえる程の価値など無い、そう告げる彼の瞳は物憂げだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶりだな、君に会うのは《ALO》の一件以来か。此度の件は私が絡んでると思っているようだね」

 

真夜中のゲームセンター“ファミリア”、薄暗い中で天哉が会話するのは白衣を棚引かせ、不敵に笑う男。この男は我々は知っている、世界を震撼させたデスゲームの首謀者、茅場明彦に他ならない

 

「アンタが残した負の遺産が元になってるんだ。絡んでないとは言わせんよ?」

 

「重村先生の独断だ、あのプログラムは既に私の手を離れていると言っても過言ではない。それを責任があると責められるのは御門違いも甚だしいね」

 

「そうだな………でもな……忘れたワケじゃねぇだろうよ。俺が最も嫌うのが何かを」

 

静かな空間に流れるのは、沈黙という名の音楽。そして、何よりも茅場は目の前に立つ蒼い衣を纏い、静かに怒りを燃やす道化師を前に彼と対峙したかつての光景を垣間見る

 

「忘れてはいないよ……さて、私は行かなければならない。失礼するよ」

 

まるで、最初から何も存在していなかった様に茅場は姿を消す。天哉は其れを気にする素振りも見せずに愛用のソファに腰掛けた

 

「テン。この一件には芳子も絡んでいたみたい……私に接触した理由は再会を喜ぶのが本来の目的じゃなかった。残念なことにね」

 

部屋の電気を点け、淹れたての紅茶を彼の前に置いた深澄は自分の友人が実は今回の件に於ける主犯格の一味であると口にする

 

「その件に関しては裏を取ってある。どうやら、エイジはSAO帰還者に接触する為に凡ゆる手段を使ってるみたいだ。身内の想いさえも利用してな」

 

「…………芳子は優しい子よ。きっと、血の繋がったエイジを見捨てられなかったに違いないわ。でないと、あの子が人を無闇に傷付けたりなんかする理由がないもの」

 

深澄の中には確かな確証があるらしく、旧友が無闇矢鱈に誰かを傷付ける様な行いをするには理由があると考えた。でなければ、優しい彼女が他人に危害を加える等という事は万が一にも有り得ないのだ

 

「僕と純平さんからも報告があります。重村教授についての重要な証言です」

 

「あのユナのモデルは聞いてビックリな人物だった。重村教授の実の娘をモデルに生み出された記憶を媒体にした人形みてぇなモンらしい……手っ取り早い話がだ、SAO帰還者(俺たち)の記憶をストリングして、自分の娘を蘇らせようとしてやがるんだ」

 

菊丸の話に続ける様に、手に入れた情報を語り始める純平。何時にない真剣な面持ちの彼に誰もが息を呑むが、彩葉は不意に疑問に思った

 

「ストリング………菊丸、大事な話なのに純平さんが間違えてる」

 

「彩葉くん。御約束に突っ込みは野暮ですよ?食べ残し程度の些細なミスは今日ぐらいは見逃してあげましょう」

 

「そうだね」

 

「その優しさが逆にいてぇわっ!!」

 

御約束とも呼べる当たり前の言い間違いを見逃そうとする菊丸と彩葉の優しさに、純平が吠えた

 

「…………それで?何時まで隠れてるつもりかを教えてもらえるかにゃ?後沢芳子(・・・・)

 

普段ならば、率先して参加する純平弄りに参加せずに天哉はゲームセンターの入り口に真っ直ぐと視線を向け、その名を呼ぶ

 

「お気付きになられておりましたのね?蒼井天哉さん。お兄さまの仰られた通り……食えない御方ですわ」

 

「芳子!?どうして…ここにっ!」

 

まさかの人物が姿を現した事に、深澄は両目を見開く。当の本人は涼しい顔で、美しい笑みを見せる

 

「悪く思わないでくださいまし、兎沢さん。誠に勝手ではありますが後を付けさせていただきましたわ」

 

「テン……どうやら、しくじったみたいだわ。ごめんなさい」

 

「気にすんな……それでだ、此処に来たからには理由とそれなりの覚悟があるんだよな?」

 

不敵な笑みは瞬きすらも許さないとばかりに、一瞬で凄みを感じさせる顔付きに変化し、威圧気味に問う。道化師のソウテンよりも場数を踏んだ蒼井天哉が其処には居た

 

「大人しくしていただけましたら、危害を加えるつもりはありませんわ。SAOの記憶を差し出していただけます?」

 

「其奴は素敵な提案だ、危害を加えずに記憶を奪い取り、おめぇさんは目的を果たせる………笑えねぇな(・・・・・)

 

穏便に済まそうとする芳子の提案に最初は丁寧な態度を見せた天哉だが、その顔からは完全に笑みが消えた

 

「笑わせるつもりはありませんわ……お行きなさい!」

 

「「お嬢様の為に!」」

 

湧き出る様に姿を見せる大量の黒服集団。彼女を守る専属ボディガードたちが天哉たちを取り囲んだ

 

「どわっ!?黒服連中!?」

 

「アレが噂に聞くSP!実物を拝見するのは初めてですね、興味深い」

 

「SP……特別なパン?」

 

「彩葉。スペシャルパンの略じゃないわよ」

 

「仕方ねぇよ、我が弟分は横文字に弱いからな」

 

危機が迫っているにも関わらず、ソファに腰掛けた状態で微動打にしようとしない天哉。大勢との戦いに関しての場数を経験しているが故に、多少の事には動じないだけの精神力を持ち合わせているのだ

 

「お戯れも大概になさってください、お嬢さま。この方々は兄の御友人ですよ」

 

「百歩譲っても友人じゃねぇけどな……然し、お嬢はボンの為にしても、黒服どもを動かすのは違うんじゃねぇか?其奴は俺のライバルってヤツでな」

 

「布里!近藤!?アナタ方が何故ここに!」

 

意外も意外、天哉たちを黒服から守ったのは見慣れた青年と少女の二人組。異なるのは、普段は見ない黒服とメイド服に身を包んでいることだ

 

「………誰だ?」

 

「毎度お馴染みの愉快な人だよ」

 

「ああ!特技が○ムチャみたいな人か!」

 

「どんな特技だっ!!」

 

「執事にメイドだったのね」

 

「兄の無礼は御容赦くださいませ。御友人の力になれるのを喜んでおります」

 

助けに入ったのも束の間、直ぐに何時もの残念なイメージに戻る近藤。然しながら、天哉は徐に立ち上がり、彼の肩に手を置く

 

「ちょいと力を貸してくれるか?コンちゃん(・・・・・)

 

「変なあだ名をつけんじゃねぇよっ!!まぁ、アレだ…主人の不始末は使用人の不始末……半分くらいなら、貸してやんよ。テン」

 

「近藤………主人に楯突くのが……何を意味するかを理解してますの?」

 

ぎろりと睨む芳子、その姿に軽くため息を吐き、近藤は懐から取り出した封筒を彼女に投げ渡す

 

「今日限りで退職させてもらいやすぜ…長い間、世話になった恩を仇で返すことになることをクソ御容赦くださいませ」




芳子率いる黒服と仲間たちが戦っている頃、和人は遂にエイジとの最終決戦に赴く。彼が二本目を抜いた時……それは終焉を斬り裂く刃とならん

NEXTヒント 失ったモノは数あれど

ソウテンたちの愉快さに笑ってもらえたら、お気に入り登録お願いしまーす。コラボとかも気軽にメッセージ飛ばしてくれたら、反応しまーす(コラボする方は事前にキャラ崩壊の承諾を願います♪シリアスな雰囲気とか書けるタイプじゃないんで♪)

もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…

  • ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
  • キリトとアスナが司会の正規の雰囲気
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