蒼の道化師は笑う。   作:田中滅

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遂にオーディナルスケール編も最終回!星空の下で騒ぐバカたちのオーケストラを御覧に入れましょう♪


第十五曲 瞬く星とバカたちのオーケストラ

「本当に綺麗………約束を守ってくれて、Gracias.和人くん」

 

「当然だろ?俺が約束を破ったことがあったかよ、今までに。この景色を誰かと見るのが俺の夢だったんだ。だからさ、こちらこそGracias.明日奈」

 

「「んっ……ちゅっ……んっ…」」

 

星が瞬く空の下、そっと口が触れ合い、約束が守られた事に二人は安堵する。その二人が仮想世界に名を轟かす剣士たちである等、誰も思わない

 

「現実世界でも夜空の下で鍋を囲むことになるとはな……世紀末ですな、これは」

 

「大丈夫よ。テンみたいな傍迷惑迷子野朗が野放しになっている時点から既に世紀末どころか世界破滅の一歩手前よ」

 

「誰が世界の破壊者だこのヤロー。訴えるよ?そして勝つよ」

 

「残念だったわね。私はヤローじゃなく、女よ」

 

「何を勝ち誇ってんだ!?」

 

『あっはっはっはっー、とーさんとかーさんは今日も賑やかだねぇ』

 

今日も今日とて、平常運転な天哉と深澄。それを《通信プローブ》越しに見守るロトは嬉しそうに笑う

 

「あっ!流れ星だよ!彩葉!」

 

「お願いごとしないとだ」

 

(シンデレラガール!シンデレラガール!シンデレラガール!)

 

(一生ナイトでいたい!一生ナイトでいたい!一生ナイトでいたい!)

 

(バナナが主食になりますように!バナナが主食になりますように!バナナが主食になりますように!)

 

(焼き鳥をお腹いっぱい、焼き鳥をお腹いっぱい、焼き鳥をお腹いっぱい)

 

(ナン用のかまどを我が家に!ナン用のかまどを我が家に!ナン用のかまどを我が家に!)

 

(バナナ食いたい!バナナ食いたい!バナナ食いたい!)

 

(新品の包丁、新品の包丁、新品の包丁)

 

(ずっと純平さんと一緒に…ずっと一緒に…ずっと…)

 

(試食コーナーにご飯の持ち込みが認められますように!試食コーナーにご飯の持ち込みが認められますように!試食コーナーにご飯の持ち込みが認められますように!)

 

(新しいバイクが欲しい!新しいバイクが欲しい!新しいバイクが欲しい!)

 

(鍋料理の普及!鍋料理の普及!鍋料理の普及!)

 

(焼き落花生流行!焼き落花生流行!焼き落花生流行!)

 

「やっぱりロクな願い事が無いっ!!」

 

「何でいるのっ!?みんながっ!」

 

流れ星に願いをかける天哉たち。当然のように姿を見せた彼等を前に明日奈は突っ込みを放つ

 

「安心して?明日奈。別に何も見てないし、聞いてないわ…あっ、録画を切らないと」

 

「ねぇ?深澄?録画ってなに?何をしてたの?怒らないから、教えて」

 

「このビデオカメラ……解像度が荒め、安物は良くない。でも大丈夫か、カズさんはバカだし」

 

「そうだよ、和人さんはバカだから気付かないよ、バカだからね」

 

「彩葉くーん?圭子ちゃーん?本人がいるのによくもまぁ、ぬけぬけとそういうことが言えるよなぁ?お前等は」

 

「「………居たんだ」」

 

「居たわっ!!!」

 

「どんまい、元気出せよ。カズ」

 

「慰めるなっ!バカテン!!だいたい!お前等こそ、何時からいたっ!というか!どっから沸きやがった!!」

 

知らぬ間にバカたちの桃源郷と化していた星空のスポット。矢継ぎ早に姿を見せた親友たちに明日奈と和人は其々ではあるが反応を見せる

 

「何時からと言われると何時からだっけ?深澄さんや」

 

「そうね、何時からだったかしら?忘れちゃったわ。でもまぁ……些細なことよ」

 

「うむ、その通りですな」

 

「些細じゃねぇよ。なんだ?お前等は人の幸せをぶち壊さないと気が済まないのか?俺に安寧秩序はないのか?事と次第によっては次は法廷で会うことになるぞ」

 

「あっはっはっはっ、ジョーダンは芳子さんと言うだろ?此処は穏便に行こうや」

 

「芳子はともかくとして、ジョーダンって誰だよっ!?」

 

「ジョーダンは俺が赤ん坊の時に住んでたメキシコのばあちゃん家の隣に住んでた陽気なマリアッチのオッさんが飼ってたおバカなシベリアンハスキーの名前だ。そんなんも知らんのか」

 

「知ってるワケあるかあっ!!」

 

「ぐもっ!?」

 

遂には我慢の限界に達した和人の右ストレートが天哉の顔面に放たれ、彼は御決まりの叫びと共に吹っ飛ぶ

 

「ふっ…高良先生!俺のナイトランスとベイバトルだ!」

 

「良かろう……我がストーンモンブランで返り討ちにしてくれる!」

 

「良い歳をした大人が世代を問わずに愛される有名駒玩具をしているとは世も末だ」

 

夜空の下、有名玩具遊びに興じる二人の大人を前に茉人は呆れたようにため息を吐き、夜空を仰ぎ見る

 

「前々から思ってたんだけど、なんであんなのが担任と副担任なのよ。うちの学校はアホしかいないの?」

 

「里香……それに関しては今更だよ」

 

「そうよ、類は友を呼ぶって言うじゃない。テンを見てみなさい?周りにバカしかいないじゃない」

 

「テンちゃんの周りに真面な人がいたことなんか一度たりともないよね」

 

「深澄とコトはなに?俺が嫌いなの?ちょっと話をしようか?今後の蒼井家に関わる大事な案件だから、拒否権はない」

 

身内からも散々な言われように天哉が物申すが、恋人と妹は当たり前のように聞く耳すら持たずに笑顔で右から左に受け流す

 

「取り敢えず、何時も通りに鍋でも囲みましょう?丁度今しがた煮えたわ」

 

「深澄が相変わらず過ぎて……突っ込む気にもならないよ……」

 

「ふふっ……でも退屈しないでしょ?」

 

「そうだね……退屈はしないかな?悪い意味でだけど…」

 

鍋の前に正座しながら微笑む親友の姿に軽くため息を吐きながらも、夜空を仰ぎ見る。あの世界で見上げ空よりも遥かに綺麗な星空を、大切な恋人や娘、其れを取り巻く頼もしくも騒がしい家族たち、見慣れた光景に彼女は優しく笑う。そして、道化師は最高の家族たちにに深々と頭を下げる

 

「仮想世界と現実世界を繋ぐ慌ただしくも騒がしい爆音演奏劇……お楽しみいただけましたか?皆様の御眼鏡に称う日々を彩れておりましたら、拍手御喝采の程、御願い申し上げます。其れでは、今宵の舞台は……此れにて、幕引きと致しましょう。また会う日まで、暫しのお別れに御座います、Adiós(さよなら)

 

此れは仮想世界を艶やかな色彩で、己の色に彩りし、十四人の勇士たちの物語

 

一癖も二癖もある者たちを率いるは、仮面から覗く蒼き眼で万物を見透かし、不敵な笑みを携えし、槍使い

 

その名を、『蒼の道化師』と申す

 




此度の爆音演奏劇をお楽しみいただき誠にありがとうございます。次回からは、暫くは幕間挟んでいこうかと思います。其れでは今宵はこの辺りで幕引きと致しましょう、Adiós(さよなら)

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