「天哉、琴音。お前たちの顔を見るのは音葉さんが亡くなって以来じゃな。元気にしとったか?なにやら、天哉の方は暴れとるようじゃが、そんなことでは立派な警官にはなれんぞ?分かっとるのか」
開口一番に説教染みた台詞を述べるのは、蒼井家の家長の立場にあり、天満の実父に相当する蒼井天之介。何を隠そう、彼こそが天哉と琴音の祖父である
「うるせぇ、グランパ。結婚記念日にファミレスで祝うようなドケチは黙ってろ」
「じいちゃんに向かって、うるせぇとは何事じゃあ!!」
「ぎゃぁぁぁぁ!!」
「大変!パパ!テンちゃんがグランパに捕まった!!」
「あ?天かすがグラタンに入った?なんの話だ」
「パパ…その耳、引きちぎるよ」
賑やかな風景、見慣れた景色ではあるが、今までに見たことがない天哉の身内とのやりとりに深澄は面を喰らっていた
「おや、どうかしたかい?深澄ちゃん」
「あ、いえ……今までに見たことがないテンを見てるみたいで…新鮮だなぁと」
名を呼ばれ、視線を向けた先に居たのはアデリタ。優しく笑う彼女の瞳は何処となく、彼女の想い人に似ていた
「はっはっはっ、そうかい。わたしから見りゃあ、昔に戻ったみたいだねぇ……昔は、ウチの人も、カルロス…天満、フェルナンドにモニカ、音葉ちゃんが居て、そりゃあ賑やかだった」
「昔のテンはどんな子どもだったんですか?」
「そうだね……家族思いで、優しい子だったよ。モニカや友だちがいじめられるとね、自分よりも強い相手にも立ち向かっていく……そういう正義感にも溢れていたねぇ」
「今の彼と変わらないですね。私が出会った時は荒んでいました……怒りを周りにぶつけて、暴れることしか知らない獣……自分のことを彼はそんな風に比喩して、態と憎まれ役を引き受けたりして……でも、そのクセに誰よりも優しくて、家族思い………だから、一緒に居るのが当たり前になって、あの笑顔を見る度に私は前に進む勇気をもらえた。初めて会った時から、好きになってたんです……一目惚れってホントにあるんですね」
「
「お義母さまはどういう方だったんですか?お義祖母さまから見て」
「本当の娘みたいに思ってたよ。ちょっと、おっちょこちょいだけど、あの子がいると周りが自然と明るくなってね」
「出来たら……会ってみたかったです」
「なーに…お前さんも家族になるんだ、これからはわたしの孫娘みたいなもんだよ」
「Gracias」
出会ってから、二日という短期間の間にアデリタと打ち解けた深澄は本当の祖母と孫のように話に花を咲かせる
「オヤジてめぇ!!今、俺の皿から肉取ったろ!!」
「あん?証拠あんのか?バカ息子。疑うのは良くねぇぞ。つーか、俺の酒は何処だ」
「わしが呑んだ。お前にはアスパラをやろう」
「いらんわっ!!よくも俺の酒を呑みやがったな!?クソオヤジ!!」
「肉かえせっ!!」
「うっさいわ!!耳元で!!」
「バカばっかりですね」
「見慣れると気にならないから、不思議だねぇ」
飲食店で親子喧嘩を始める祖父と父、双子。四人の姿に深澄は紅茶を嗜み、アデリタも軽くため息を吐く
『やははー、とーさんたちは賑やかだねぇ』
「あら、ロト。起きてたの?」
その賑やかな雰囲気に誘われ、深澄の肩に乗っていた通信プローブから、幼くも呑気な声が響く。声の主である義息子の登場に深澄は優しく問う
『というか、賑やかな雰囲気に起きたって感じかなぁ〜』
「なんだい?その肩にあるのは」
「これは通信プローブ、かいつまんで言いますとVRに居る人が現実のことを見聞き出来る道具です。それで、この中に居るのが、私とテンの大切な息子のロトです」
「息子?へぇ?なんか分からんが、わたしの曽孫ってことかい?」
普通は驚くのだが、動じる様子を見せないアデリタは通信プローブに顔を近付け、中に居るロトが曽孫であると認識した
『やははー、話が早いねぇ?ひいばあちゃんは。僕はロトだよー』
「そうかい。よろしくね、ロト」
『よろしくー』
「曽孫………わしに曽孫じゃと?どこじゃ!どこにおる!」
「うるせぇから黙ってろ。ロトは痛風なんたらかんたらにいんだよ。なぁ?天哉」
「何を言ってんだ、アンタは」
曽孫と聞いた瞬間に辺りを見回す天之介に暴言を吐く天満、その問い掛けにピーナッツバターサンドを頬張る天哉は真顔で首を傾げる
「さっきからうるさいわねぇ……ちょっと!隣の席の人!こちとら、息子の彼女を持て成してんだから、静かにしてくんない?」
「あ?なんだ、公務執行妨害か?訴えるぞ?そして勝つぞ………げっ、翠」
「うわぁ……天満……最悪……」
騒がしさに意見してきた隣の席の女性、その人物を天満は知っていた。幼馴染にして悪友でもある桐ヶ谷翠、二人は互いを認識した瞬間に嫌悪感丸出しの表情を浮かべる
「あれ?テンくんにコト。それに天満おじさんたちまで……」
「何をやってんだよ?こんなとこで」
隣の席から顔を覗かせたのは、天哉と琴音の幼馴染である和人と直葉。その姿を認識し、隣の席を覗き込む
「決まってんだろ、夕飯という名のグランパとグランマの結婚記念日だ」
「ファミレスでお祝いとか手抜きにも程があるよっ!?」
「家族総出のアホだな」
「そんなことよりもスグちゃん、僕のカレーはまだですか」
「いやなんでナチュラルにカレーを待ってるの!?きっくん!」
「深澄も参加してるんだ」
「お義祖母さまに誘われたのよ。因みに純平も参加予定だったけど、胡咲さんに拉致されたわ」
其処に何食わぬ顔で混じっていた菊丸に直葉が突っ込みを放つ中、明日奈は深澄と世間話を始める
「ゆかりん…焼き鳥はないの?」
「落ち着きなさいよ、いろはん。ファミレスに焼き鳥があるわけないじゃない。唐揚げで我慢しなさい」
「揚げ物は好きじゃない」
「アンタはまーた……んなことを……ごめんね?圭子ちゃん、こだわりが強い息子で」
「良いんですよ。そういうのもひっくるめて彩葉の魅力なんですもん」
「おやまあ、圭子じゃねぇの。ついでに彩葉とゆかりんも」
更に反対側から聞き覚えのあるが耳に入り、視線を動かした先に見えたのは赤味を帯びた茶髪の少年が同じ髪色の女性と、ショートツインの少女と談笑する姿。その少年の頭に手を置き、声を掛けた
「おはよう、リーダー」
「今は夜よ。天哉に会うのも久々ねぇ?元気にしてた?」
「元気なんは元気だ。にしても、相変わらずの美魔女だねぇ?ゆかりん」
天哉を確認するや否、素っ頓狂な挨拶を返す彩葉。それに突っ込みを放ちつつ、天哉の名を呼ぶのは彩葉の母親である緋泉紫ことゆかりんである
「とーぜん、焼き鳥小町たぁあたしのことよ」
「ゆかりんの焼き鳥が一番美味い」
「リーダーさんはまた迷子ですか」
「誰がだ。俺も絶賛食事----オヤジてめぇ!!また俺の肉を食いやがったな!?何回目だ!!」
「良いか?バカ息子、この世は弱肉強食だ。強い者が勝ち、弱きが死に絶える……これは俺の尊敬する人斬りの言葉だ」
「すいませーん!店員さん!其処のダサいコートを着た初老の頭からスピリタスぶちまけてくださーい!」
威厳も欠片が微塵も無い天満に苛立ちが頂点を迎えた哉は黒い笑みを浮かべ、店員に呼び掛ける
「すいません、お客さま。生憎ながら、スピリタスは品切れで----なっ!?蒼井天哉!?またお前かっ!!」
厨房から姿を見せた店員さ一度は申し訳なさそうに頭を下げるが、天哉を見た瞬間に両眼を見開く
「ん?おぉ〜、なんだ。コンちゃんじゃねぇの、何してんだ?」
「何してるもへったくれもあるかぁ!!お前のせいで寿司屋をクビになったんだよ!どーしてくれんだゴラァ!」
「はて?なんの話だ、カズ」
「身に覚えがないな。言い掛かりはやめろよ、コンちゃん」
「やかましいわっ!おい、布里!塩撒け!塩!」
「これはこれは皆様。我が愚兄風情が生み出した奇怪な残飯を食す為にご来店いただきまして、誠にありがとうございます」
「今日も礼儀正しい!!って!違う違う!!追い出せって言ってんだよ!」
今日も今日とて、近藤の思惑に聞く耳すら持たない布里は礼儀正しく会釈する
「いやぁ〜、この前は悪かったな。今日は大人しく----って!オヤジ!また肉を!!シバきたおすぞっ!!」
「うるせぇ!肉はやらん!!おめぇはパセリでも食ってろ!!」
「ぬおっ!?天満!!親に手を挙げるとは何事じゃあ!!」
「ぐもっ!?おいゴラァ!!バカテン!!今、皿投げたろっ!!」
「あぎゃぁぁぁぁ!!なんか目に入った!!」
「喧嘩なら混ぜろやゴラァ!!!」
「「何時の間に来やがった!!!ゴリラァァ!!!」」
矢継ぎ早に畳み掛けるように災難が災難を呼ぶ展開、戯れの喧嘩を始めるバカトリオを筆頭に段々と店内は騒がしさを増していく
圭子が今となってはかなりの値がついているであろうデビューシングル曲を歌い始め、里香と来店していたらしい茉人の包丁が飛び交い、高良や蔵田、西田の三人と飲み会をしていた阿来がパンツ一丁になっていたりと中々にカオスな光景が繰り広げられる
「純くん!腹筋が素晴らしいぞ!」
「純平さん!今日も素敵です!」
「む?琴音くん、君は帰りなさい」
「あれ?居たんですか?胡咲さん。出口は向こうですよ」
陰険な嫁姑争いを始める琴音と胡咲、二人の間には火花が散っているように見える
「うわぁ……なによこれ……無法地帯じゃないの」
「全くだぜ、少しは見習えよな……この素晴らしい尻をよ。この絶景を見ながらだと、生クリームが格別に美味いな!」
「何を言ってんだ!一番はヘソだろ!」
「最高だぜぇ〜!やっぱり、美脚といやぁ!詩乃ちゃんだよな!今日も鮭茶漬けが止まらねぇ〜!」
「やはり……脇見酒は格別の美酒だな」
生クリーム大福を頬張る勘助、天ぷらを頬張る乱二郎、白米を掻っ込む桔花、ワインを嗜む走亮。四人の額にフォークが突き刺さる
「アホかぁ!!!こんの変態
「「「「ず……ずび……ば…ぜ…ん…」」」」
「やれやれ、恥ずかしい弟だヨ」
「う〜ん………身内だと思われたくないなぁ……」
「コッヒー、あっちにドリンクバーがあるぜ?」
「美優は大人しくしてようか?お願いだから、絶対にドリンクバーに触らないで」
今日も今日とて、安定の変態集団は生きる活力剤とも呼べる冥界の死神と過ごす最高の外食を満喫していた
「お義祖母さま、あれは放置しましょう」
「そうだねぇ、触らぬバカに祟りなしだ。女連中はわたしがなんでも奢るよ」
「やん♡グランマだいすき!」
「コトは今日も現金ね」
「がめついだけだよ、深澄さん」
「お義母さん。わたしたちまで良いんですか?」
「大丈夫よ、アデリタさんは金持ちだから。あっ!大吟醸があるじゃない!ちょっと樽でお願い!」
「お母さんは遠慮しようかっ!?」
「圭子ちゃん。チーズケーキフェアがやってるみたいよ?食べましょう」
「なぬっ!チーズケーキですか!?ゆかりんさんは話せますねっ!」
最早、収集のつかない状況に項垂れた近藤は床に頭を減り込ませる
「やっぱり……嫌いだ!コイツら!!」
「ファイトですよー兄さま。何時かは天職が見つかりますよ」
新生アインクラッドのコロシアムで新たな催し物が執り行われることに……しかも、一番最初にコロシアムに入った人には特典があるとか……こうなったら、徹夜で並ぶしかねぇ!!懐かしのアインクラッド編であの話が帰ってくる!
NEXTヒント バカたちの大名行列
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