ミト誕生日記念 私の愛した家族たちへ ミトからの手紙
私の名前は兎沢深澄。今日は私が初めて知った誰かを愛する気持ちについての話をしたいと思う
『深澄。母さん、今日は仕事だから、夕飯は一人で食べてね』
『深澄。ゲームばかりしていないで、勉強にも目を向けろ』
私の両親は家庭よりも仕事を優先する仕事人間、娘の私を愛してくれたことなんか一度もなかった。誰かと同じ席でご飯を食べたことなんて、数えるくらいしかなかった。世間体を気にしてなのか、離婚はせずに、互いに別々の部屋で、別々の暮らしを送る毎日。そのくせに娘の私には自分たちの理想を押し付ける
『一人でゲームか?ガキはガキらしく、元気に遊べ』
そんな時だ、私の世界に土足で彼が踏み込んできたのは。今でも覚えている、青いメッシュ入りの黒髪を無造作に掻き乱し、不敵に笑う彼は別世界からきた異邦人のように映った
『私は兎沢深澄だよ。気軽にミトって呼んでね』
『なっ!いきなり顔を近づけんな!俺のことはテンで良い、よろしくな…ミト』
出会ったばかりなのに不思議と放っておけない彼に私は普通に名乗っていた。それから、彼と行動する中で彼の闇、想い、優しさ、生き様を知って行く中で、彼と居るのが当たり前になり、心地良さを感じ、初めて誰かと囲む食卓は不思議と私を笑顔にしてくれた
『ゲームやるか?ミト』
私にそう言って、笑いかける姿は年相応で、負けまいと必死に足掻く姿は無邪気で、彼の側に居る時が一番の安らぎを感じられた
『……離せ』
『いや…』
『離せ』
『いやったら、いや!』
『離せって言ってんだろ!!』
すれ違って、彼の本心が理解出来ずに悩んだりもした。それでも私に生きる楽しさを教えてくれた人を私は嫌いになれなかった。だから、あの日、暴れる彼を必死に止めた。今、思えば、あの時の私は涙で顔が歪んでいたと思う
『いや!絶対に離さない!!こんなの間違ってる!キリトとテンが戦って、何の意味があるのよ!二人は仲間でしょ!!お願いよ……お願いだから……私に…声を…聞かせてよ…天哉…』
それでも、想いを告げずにはいられなかった。元々、付き合ってはいたけれど、言葉にしてきた訳じゃなく、それでも当たり前が当たり前にならなくなった。あの時、彼を止めなければ、私はずっと後悔して、彼も闇を歩き、別々の道を歩んでいたに違いない
『すまんかったな…ミト……。許してくれとは言わねぇし……言うつもりない……でも、これだけは知っててほしい……愛してる。この世界中の誰よりも、お前を愛してる。だから、泣かんでくれねぇか?
『私も……私も愛してるわ。何度、貴方が手を振り払っても、私はその度にまた手を伸ばす。だから、これからも私の側に居て…。
あの日、あの時、触れ合った唇の感触は今でも鮮明に覚えている。想いを確かめるように何度も何度も重ね合い、互いの存在理由を確認した
『とーさん!かーさん!』
次に私に誰かを愛することを教えてくれたのは、彼と瓜二つの少年。彼の呑気な一面を体現したかのように無邪気で人懐っこい小さな少年。その子を私と彼は実の息子のように可愛がり、本当の親子のような時を過ごした
『どうして……!どうして、元は同じなのに!!
その子もまた闇を抱えていた。彼の中にある闇が形を変え、具現化した姿。本能のままに彼と刃を交え、ぶつかり合った
『泣かないで、かーさん。僕の大好きなかーさんはとーさんの馬鹿みたいな行動に笑う笑顔のかーさんなんだ、この世で一番かーさんに似合うのは笑顔だよ。だからさ?笑ってよ。それに、とーさん。素敵な名前をありがとう、僕は《Prototype-MHCP000》って形式的な名前はあるけど、他のメンタルヘルスケアプログラミングAIみたいな固有名は持ってなかった…、でもね、とーさんがくれた名前は僕のお気に入りだよ、この名前は唯のプログラムの一環にしか過ぎなかった僕を、とーさんとかーさんの息子にしてくれた、僕に愛する喜びを、誰かを愛する気持ちを、教えてくれたよ。だから、ありがとう』
そう言われた時、この子は私と彼を本当に親のように思ってくれていた。あの時間は、あの日々は、私にとっても、あの子にとっても大切な時間だったんだと感じた
『ロト……貴方なのね?』
『おろ?………かーさん?』
『
『おやまあ、とーさんも。久しぶりだねぇ』
だからこそ、再会した時は本当に嬉しかった。気の抜けるような挨拶、彼に似た間の抜けた表情、あの瞬間を私は何があろうと忘れはしない。大好きな人、義理の息子、犬だと思うペット、ちょっと変な義妹、優しい親友にクセのある仲間たち。その全てが私には宝物だ
「うわぁ………
とある邸宅のリビング、毛先に入れた
「おやまぁ、何を読んでるんかと思えば……かーさんの日記とは珍しいもんを見つけたもんだねぇ」
それに応えた
「てか、アミーゴが
「マジもマジ、大マジ。懐かしいなぁ〜」
昔を懐かしみ、笑い飛ばす勢いで話す彼に少女は開いた口が塞がらない
「親と斬り合うとかえぐっ!グランパとパーパの喧嘩みてぇなもん?」
「やははー。そんな可愛いもんでないよ?ガチの斬り合いだった」
「うわぁ……我が家のヤバさはおやまぁの一言では片付けらんないね」
「だからこそ、いーんだよ。ああいう両親だからこそ、僕たちは普通に笑い合えるんよ」
「そういうもんなのかなぁ?プルーはどう思う?」
「ぷぷ〜ん」
疑問符を浮かべつつ、足元で小刻みに震える愛犬を抱き抱える少女。深緑の瞳を数回に渡り、瞬きさせる
「おろ?見ねぇと思ったら、此処にいたんか?我が子たち。早くしねぇとパーリィに遅れちまうから、三十秒で支度しろよ」
扉を開け、姿を見せたのは顔に仮面を冠った黒髪の男性。その腕の中には辺りを見回す黒髪の幼児が抱かれている
「とーさん、そのネタは今の子どもには通じんよ?せめて、宇宙刑事の蒸着くらいは待ってもらわんとねぇ」
「はっはっはっ、息子よ。それだと更に短くなっちまうじゃねぇの」
「おろ?言われてみれば……いやぁ、歳は取りたくないねぇ、まさかボケに悩まされる日が来ようとは思わなんだ」
「アミーゴはAIなんだから、ボケたりしなくね?」
「おろ?言われてみりゃあ、そうだ。コイツは一本取られたねぇ?とーさん」
「うむ、かーさん譲りのツッコミだ。流石は我が娘」
母譲りのツッコミスキルの高さを見せつける娘に納得する男性と青年。刹那、再び、扉が開き、特徴的な
「なにをバカなことをしてるの?揃いも揃って」
呆れた表情の彼女はため息を吐きながらも問いを投げかけ、他愛もない会話に花を咲かせる三人に視線を向け、男性の腕の中にいた幼児を抱き抱える
「マーマ!」
「かーさん」
「ミト」
その声と視線に気付いた三人、娘と息子、夫は彼女を其々の呼び方で呼び、不敵な笑みを浮かべる
「「「
愛する家族から贈られたその言葉に彼女は妖艶な笑みで笑い掛け、四人と一匹を抱き締める
「
これは少しだけ先の未来の話。兎沢深澄という少女が手にした幸せな未来の話だ
ミトファンの皆様へ、これから先も共にミトを応援していきましょう。原作や映画では違う世界を歩んだ彼女の未来が幸せであることを自分はこの作品の作者として、ミトファンの一人として、何よりもSAOを愛する一人の読者として、願っております。それでは次は本編で、今宵はこの辺りで幕引きと致しましょう
もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…
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ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
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キリトとアスナが司会の正規の雰囲気