というかキリトさんのキャラが崩壊してね?と思う今日この頃
「何処だ……ここ」
SAOがデスゲームとなって3週間。ミトを探す為にキリト達と一方的に分かれたソウテンであったが、彼は森を彷徨っていた
《森の秘薬》というクエストを受け、《胚珠》を手に入れ、第3層の終盤まで使用可能な《アニールランス》と交換したまでは問題無かった。然し、武器を試そうと森に足を踏み入れたのが誤算だった
「そもそも三週間も経つのにミトを見つけられてねぇし…」
元々の身体能力が高く、ゲームセンターを寝ぐらにしている甲斐もあり、SAOに順応するには時間が掛からなかった。レベル上げは順調、武器も手に入れ、全てが順風満帆に行っている……とは言い難い。森で迷子状態、更には当初の目的であるミト探しも捗っていない
「来たのはあっちだよな?確か。ということは逆に行けば、あの花みたいなのがいる場所に着くな」
花みたいなのとはこの森に巣食うモンスター《リトルネペント》を指す。この三週間で食い繋ぐ為に相当な数を撃退している
だが今日は何時もとは違う。新たな武器の性能を試すという目的があった
「ここを抜ければ…あり?」
生い茂る木々の間を潜り抜け、目的地の狩場に着いた……と思ったのは杞憂であった
現れたのは崖、先には何も無い。そして、勢いよく飛び出したソウテンの体は宙に放り出されていた
「…………ノォォォォ!!!」
叫び声と共に崖下へ彼は落下していった
その先で待つ大事な存在との再会に向けて…
鎌を片手に大量の《リトルネペント》を相手にする女性プレイヤー、彼女の名はミト。現実の友人であるアスナと共にデスゲームを生き抜こうと誓い合った
だが、彼女の現状は最悪だった。実付きの《リトルネペント》をアスナが倒してしまい、実が割れ、煙をまき散らし、大量の《リトルネペント》を呼び寄せてしまったのだ
更にトラップにより、ミトは崖下に転落。大ダメージを受けていた
「くっ……」
既にHP回復ポーションは底を尽き、HPはレッドにまで低下。視界の左上に映るアスナのHPもレッドに落ちている
迫る自身の死、大切な友人の死の瞬間を目撃することへの恐怖がその身に纏わりつく
(ごめんね……アスナ、約束守れなくて…。ああ……こんなことなら、テンにもっと甘えとけばよかったなぁ…)
友人への後悔、更に恋人との叶わぬ再会。その二つを胸に眼を閉じ、ミトは最後の瞬間を待つ
「ぎゃぁぁぁぁ!!!」
その時だった。叫び声が聞こえたかと思えば、目の前に何かが落下してきた
砂塵が舞い、《リトルネペント》の動きが僅かに止まる。数秒が経過した後、砂塵の中に一つの人影が浮かび上がる
槍を片手に、不敵な笑みを携えたプレイヤー
「体張っただけはあったな。見つけたぜ?植物野郎!」
見覚えのある後ろ姿にミトは眼を見開いた。だがあり得ない、此処に居る筈がない。其れでも見間違えだとは思えない、この後ろ姿を彼女は知っている
「ちょっと下がってな」
「う、うん」
彼は後ろを振り返らずにミトへポーションを投げ渡す。その隙に数十体の《リトルネペント》の間を槍を手に立ち回る
その姿はまるで流れる水のように美しく、荒々しくも見えた、その様子に見惚れていたミトだったが我に返った彼女の眼に飛び込んだのはポリゴンになって消える最後の《リトルネペント》の姿だった
「ありがとう、助かったわ。迷子くん」
「気にすんなって……ん?って!誰が迷子だ!俺は迷子じゃない!迷子って言うヤツが迷子だ!」
「じゃあ、迷子ね。やっぱり」
「………なんだか、覚えがあんぞ?この感じ。ミトなのか……?ていうか、ミトだよな!?お前!」
「その様子だと……やっぱり、貴方なのね?テン。まさか、貴方まで…このゲームにいるなんて…」
「俺だけじゃない、アイツらも最初は一緒だったんだ。まあ…色々とあってよ、今は別行動してる。ははっ……仲間を見捨てるようじゃ、リーダー失格だな」
そのプレイヤー、ソウテンは苦笑した。彼が仲間を大事に思う性格であるのは長い付き合いの中で理解している、其れを見捨てたということは苦渋の決断だった筈だ
自分の存在がそこまで重荷になるとは思いもよらなかった
「大丈夫よ。みんなが引いちゃうくらいに泣きながら、謝れば許してくれるわ」
「そんな謝り方するかっ!」
「そう?効果的だと思うけど……。って!テンなんかをいじって場合じゃない!早くしないとアスナが!」
「なんかは余計だ!てかよ、アバシリって誰?そんなふざけた名前のヤツ聞いたこと……ぐわっ!」
「どういう耳をしてるのよ!?アスナよ、アスナ!私の大事な友達!」
鎌の反対側でソウテンの頭を殴り、ミトは急いだ。アスナの元に。坂を登り、彼女の居る崖上に着くと落ち着かない様子のアスナと彼女の周りに立つ四人のプレイヤーが視界に入る
「アスナ!」
「ミト!」
「えっ……今、あの子。ミトって言わなかったか?」
「まさか。聞き間違いだろ、水戸納豆って言ったんだろ」
「いや、水戸黄門じゃないかな」
「ミトコンドリアの可能性も捨てきれませんね」
「あのねぇ……私はミトよ」
「「「「ええっ!?」」」
「はぁ…そのノリ。そうなの?やっぱり」
アスナと抱き合い、再会を喜んでいたミトだったが周囲で繰り広げられるやり取りに覚えを感じ、名を名乗った
すると、彼らは驚いたように眼を見開いた。暫くの沈黙が流れる
「ミト!人の頭を叩いて逃げるなっ!お前は通り魔か!……げっ!」
沈黙を破ったのは崖を這い上がってきたソウテンだった。彼は怒り気味にミトへ詰め寄るが、直ぐに彼女の近くにいた四人に気付く
「………見つけたぞ。迷子リーダー」
「探したぜ?迷子野郎」
「迷子ピーナッツ」
「すっとこ迷子さん」
「……ひ、人違いですよ。私は通りすがりの風呂屋ですから。じゃ、そういうことで」
周りに集まり、黒い笑みを浮かべる彼等にあからさまな嘘を吐き、ソウテンは去ろうとする
「「「「逃がすかっ!!この迷子!!」」」」
「迷子じゃない!俺は風呂屋だ!ここには迷子に効く温泉を掘りに来ただけだ!」
「そんな効能の温泉があるか!!というか、何処の世界にフィールドを彷徨う風呂屋がいるんだ!少しは考えて言い訳しろよな!迷子ソウテン!」
「んだと!ぼっちキリト!お前は独りでかくれんぼとか鬼ごっこでもやってろ!其れで誰からも相手にされないぼっちならではの苦しみを味わえ!」
「やらんわっ!そんな寂しい遊び!!」
「はぁ…ホントにもぅ…」
「あ、あの…ミト。この人たちと知り合いなの?」
言い合うソウテンとキリトの様子にグリス、ヒイロ、ヴェルデ、ミトは呆れた様にため息を吐いた
状況が一人だけ、呑み込めないアスナは慌てながら、近くにいたミトへ問う
「リアルでちょっとね」
「ふぅん」
「ちょっとではねぇだろ。何せ、テンはミトのか--ぐぼっ!」
「グリス。次に余計なことを言ったら、体中を斬り刻むわよ」
「お、オーケー…マム」
グリスが何かを口走ろうとしたが即座に頭上へ鎌の反対側が振り下ろされた
友人の変わりようにたじろぐアスナであったが近くに立っていたヒイロが彼女の様子に気付く
「おねーさん、アスナさんだっけ?ミトさんとはどういう関係なの?」
「えっと…学校の友達」
「学校か。じゃあ知らないのも無理ないね」
「え?」
「僕たちは学校外での友人なんですよ。付き合いに関しては貴女よりも長いかと」
「そ、そうなんだ…」
「まあ、ミトさんとリーダーは友達よりも進んだ関係なんだけど…これは言わないでおこう」
「ヒイロくん?君、隠すつもりないでしょう」
「ヒイロ。少し、ミトおねーさんとオハナシしましょうか」
「………必殺、スクランブルダッシュ!!」
「逃がすかっ!」
余計なことを口走ったヒイロを追うミト。その後を追い、ソウテン達も町に続く道を走り出した
「テン」
「あ?」
隣を走るキリトに名を呼ばれ、振り向くと彼は真っ直ぐとソウテンを見ていた
「勝手に迷子になるなよ。次は絶対に許さないからな」
「………仕方ねーな。次は報告してから迷子になってやるよ」
「テン、だからお前は可哀ソウテンなんて呼ばれるんだ。自覚してるか?」
「ぼっちのくせに」
「……迷子になれ」
「「やんのかっ!!」」
「喧嘩ばっかりね…この人たち」
「バカなのよ」
「「ゲーム狂」」
「うっさい!」
「「ぐぼっ!」」
再会が更なる再会を呼び、余計に騒がしさを増した彼等の旅。其れが何を意味するかは不明だが、この日、終わりの見えない世界に語り継がれる伝説の一ページが始まった
もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…
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ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
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キリトとアスナが司会の正規の雰囲気