2024年4月11日 第59層《ダナク》
現在、最前線となっているこの層では多くの《攻略組》が迷宮区の攻略に挑んでいる
然しながら、その中に
故にそのリーダーである
「テーン。ピーナッツバターサンドあるわよー」
下から聞こえた声に視線を動かすと、紙袋を手に持ったミトの姿が見えた
「おっ、そいつはありがてぇ。俺は一日一回はピーナッツバターを摂取しないとイライラするんでね」
「……あれ?そう言えば、キリト達は?さっき50層のギルドホームを覗いた時にはヒイロとシリカちゃんしか居なかったけど」
「あー、グリスはレベリングで、ヴェルデはベルさんのとこだよ」
木から飛び降り、ミトの持つ紙袋からピーナッツバターサンドを取り出しながら彼女の疑問に答える
「ふぅん。で、キリトは?」
「居るだろ?そこに」
ソウテンが指差す先には芝生の上で寝転がる黒い装備に身を包んだ少年の姿があった
「よくもまぁ…寝れるわね」
「今日の天気は一年で最高の気象設定なんだとよ」
「確かに迷宮に籠るには勿体ないくらいに良い天気ね。でも、睡眠PKとかも出てきてるんだから油断は禁物よ」
《アンチクリミナルコード有効圏内》、通称《圏内》において、プレイヤーは他のプレイヤーにダメージを与えることは基本的不可能である。プレイヤーにソードスキルを叩き込もうとしてもシステムによって阻まれるがデュエル中はダメージが通る。それを利用して寝ている相手の指を動かして、《完全決着モード》のデュエルを受けさせ、嬲り殺しにすることを睡眠PKと呼ぶ
「承知しておりますとも。だからこそ、さっきみたいに木の上で見張りをしてたんよ」
「見張りだったんだ?私はてっきり、テンがバカだから木の上に居たのかと思ったわ」
「おいコラ、そいつはどういう意味だ。怒らないから言ってみな」
「バカと煙は高い所が好きって言うでしょ?だから、テンもそうなのかなって」
「はっはっはっ。その鎌、だいぶ傷んでるな?貸してみな、手入れしてやるから」
「いや」
笑顔で拒絶するミトに対し、両手をわきわきとしながら彼女へソウテンは詰め寄る。その時、一通のメッセージが届いた
「おろ?ヴェルデからメールだ」
「なんて?」
「えっーと、『黄金林檎なるギルドをご存知ありませんか?そのリーダーだった方の遺品の指輪を探してほしいと依頼されたのですが、僕は交友関係が広い方では無いので、リーダーにもご協力願いたいのです』だとよ」
「黄金林檎……?聞いたことないわね」
「確か、聖竜連合のシュミットが元々は其処に居た筈だ」
「相変わらず、情報通ね。何時の間に仕入れたのよ」
「細かいことは気にしなさんな。んじゃ、俺はちょいと行くとこがあるから、キリトをよろしくな」
「待ちなさい、一人だと迷子になるわよ。私も行くわ」
「ええっー……キリトはどうするんよ?」
「大丈夫よ。ほら」
ミトの指差す方向に視線を動かすと、寝ているキリトの側に一人のプレイヤーが立っている。栗色の髪に白と赤の配色の装備を身につけた少女の名はアスナ、ミトの親友だ
「なんだ、アンタか。こんな所で何してるんだ?」
「アナタこそ、こんな所で何してるのよ?こんな所でサボって、少しは真面目に攻略に取り掛かったらどうなの!こんなことしてる間にも、現実での私たちの時間はどんどん失われていくのよ!」
「それでも、今はここが俺たちにとっての現実だ。俺たちが生きてるのは、ここ《アインクラッド》だ」
刹那、風が吹き、アスナの頬を撫でる
「ほら、良い風に、良い日差し。……最高だ」
「………天気なんて、いつも一緒でしょ」
「アンタも寝て見ればわかるよ」
キリトが寝息を立て始め、アスナも彼の横に寝転がる
((仲良いな))
その様子を見ていたソウテンとミトは密かに思うのであった
夕方になり、用事を済ませたソウテンがミトと共に丘へ戻ると低い石垣で黄昏れるキリトを見つける
「よぉ、起きてたか。
「ああ、お陰さまでな。よく眠れたよ……
「くしゅん!」
小さなくしゃみが耳に入り、背後を振り向くとアスナが目を覚ましていた
彼女は覚醒しきっていない頭で辺りを見回した後、ミトの姿を見つける
「うにゅ……ミト…。今、何時ぃ…?」
「夕方よ。ぐっすりだったみたいね」
「夕方……はっ!」
数秒の沈黙の後、アスナは現状に気づき、顔を羞恥で紅潮させたかと思えば、苦慮に青ざめ、最終的に激怒で真っ赤になった。やがて、腰の細剣に手を伸ばし、柄を掴む
「なっ!?」
その光景にキリトは驚き、石垣に隠れるが攻撃は飛んでこない。ソウテンはというと呑気に頭を掻き、欠伸をしている
「………一回」
「……え?」
「ご飯、一回だけなんでも好きな物いくらでも奢る。それでチャラ。どう?」
アスナはキリトが自分の、自分たちの傍を離れなかったのは睡眠PKによる殺害を防ぐ為の護衛をしていたと理解。更には日ごろの精神疲労を回復させるために、好きなだけ寝させていたことも。故に寝起きの顔を見られたという羞恥と激怒を抑え込み、提案した
「57層の主街区に、いいレストランがある。NPCの店にしてはそこそこイケるんだ」
「なら、そこに行きましょう」
「よし、決まりだ。ヒイロの焼き鳥パーティーに行くよりもそっちの方が魅力的だ」
「そうね。グリスのバナナ祭りよりも絶対にそっちの方が良いわ」
「全くだ。ヴェルデのカレーフェスティバルよりもアスナの奢りの方が最高だ」
「焼き鳥パーティーにバナナ祭り?あとカレーフェスティバルってなによ…相変わらず楽しそうね、アンタ達は…。って!奢るのは彼にだけよ!テンくんにミトは自分で払いなさい!」
「ケチ」
「ドケチ」
「こらこら、二人とも奢って貰うんだろ?なら、その態度はよせ。確かにこの人はケチで攻略の鬼だけど、最後には奢ってくれる人だぞ?だから、いくらケチでもこういう時はおだててだな…ふごぉ!?」
何かを言いかけたキリトの頭に空手チョップが叩き込まれ、彼は倒れた
「何か言った?」
「「言ってません」」
伸びるキリトを引き摺り、三人は57層へと向かった
もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…
-
ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
-
キリトとアスナが司会の正規の雰囲気