2024年6月24日 第50層主街区アルゲード
『遭難した、助けに来い。その間に俺はお前たちの為に包丁を研いでおこう、無論……理由は言わなくても分かるな?』
突然、
「………よし、見なかったことにしよう」
「いやいや、助けに行きなさいよ。仲間でしょ」
「えー……だって、包丁研いでるんよ?絶対に
「貴方ねぇ……仮にもリーダーなんだから、少しはリーダーらしいことしなさいよ。職人が居ないと、私たちも困るのよ?そこの所を理解してるの?」
「そりゃあ…そうなんだけどねぇ」
煮え切らない態度のソウテン、彼にジト目で見るミト。その時だ、ギルドホームの扉が開き、見知ったプレイヤーが現れた
「テーン!少し構わないか?」
その男、ディアベルは扉を開け放つと足早に中へ入り、ソウテンに呼び掛ける
「おろ?誰かと思えば、ベルさんじゃねぇの。どしたんよ?今日は」
「依頼だよ。其れも俺たちに纏わるね」
「ふむ…俺たちに関係ありか。ソイツは気になるねぇ。話してもらえねぇか?ベルさん」
「ちょっと待ってくれよ。おーい、入ってきてくれー」
ディアベルが呼ぶとピンク色のふわふわしたショートヘアが特徴的な一人の少女が入って来た。ソウテンが疑問符を浮かべている中、ミトが目を見開く
「リズ……?リズベットよね!久しぶりぃ〜!」
リズベットと呼ばれた少女は名を呼ばれ、ミトの方に視線を向けた
「もしかして……ミト?うっそ!アンタのギルドだったの!?ここ!久しぶりねー!ホント!何時以来よ!」
「まだ駆け出しの時に鎌を作ってもらってからだから……二年振りかな?」
「二年かぁ……そんなになるのねぇ。って!懐かしい気分に浸ってる場合じゃないわ!一大事なのよ!」
久しぶりの再会をミトと喜び合っていたリズベットであったが、唐突に我に返ったかと思えば、彼女はミトに詰め寄る
「このディアベルって人に言われたのよ、依頼があるなら、リーダーに直に話してほしいって。で?リーダーさんは何処にいるのかしら?」
「いるじゃない。目の前に」
「は……?も、もしかして……この胡散臭い仮面付けたヤツのこと?」
「……胡散臭くて悪かったねぇ」
仮面越しではあるが苦笑を浮かべるソウテンに対し、リズベットは警戒心剥き出しの状態で睨む
「ホントに……アンタがリーダーなの…?」
「正真正銘のリーダーだ、名はソウテン。巷では
「
「そういう呼ばれ方もされてるねぇ。そいで?リズベットさん、依頼ってのを教えてもらえねぇか?そろそろ」
ソウテンが促すと、リズベットは暫く考え込んだ後に口を開く
「人を…探して欲しいのよ」
「人って……あっ、お客さんとか?」
「ううん、違うわ。探して欲しいのはあたしと同じ鍛治職人のプレイヤーよ。二ヶ月くらい前にレア素材を探しに行ったきり、帰ってこないのよ」
「……二ヶ月前?ねぇ、テン?私、知り合いが同じ理由で雪山に出かけて行ったような気がするんだけど…」
「偶然だねぇ…俺もそんな気がする…」
冷汗を掻きながら、ソウテンとミトは顔を見合わせる。そして、遡ること二ヶ月前に圏内事件で武器を破壊し、アマツに会った事が二人の脳裏を過ぎった
「リズ?もしかしてよ?もしかしたらだけど……その鍛治職人の名前って……アマツって名前だったりしない?」
「ちょっと待って。ミト、どうしてアマツを知ってるのよ?あいつは鍛治職人の中でもかなりの変わり者なのよ?そう簡単に知り合えるヤツじゃない筈よ」
「知り合いというか……
「そうだったの。なら話は早いわ!お願い!アマツを探して!」
「えぇっ〜……」
リズベットからの依頼にソウテンが不満気な声を洩らした。如何やら、彼にとってのアマツは優先順位の低い存在のようだ
「って!なんで、そんなに嫌そうなのよ!?」
「だって…アイツ、包丁片手に追ってくるし…」
「うっ!た、確かに……アイツのあの行動は正気の沙汰じゃないのは認めるけど…。それでも!見つけて欲しいのよ!」
「……まさかだけど、リズ。アマツと
「……はぁぁぁぁぁ!?違うわよっ!!誰が!あんな変人と!!!」
「ふぅん?なるほどねぇ…」
「だから違うってば!」
「いいのよ、隠さなくても。という訳だから…テン。キリトとグリスを連れて、アマツを探して来るのよ」
「了解!リーダー!……って!リーダーは俺ェ!何で、ミトが指示してるんよ!?」
一度、ミトの指示に従い掛けたが直ぐに我に返り、ソウテンが異議を申し立てる
「やかましいっ!早く行きなさい!」
「ぐぼっ!!」
ミトに御約束を見舞われ、ソウテンは気乗りしない状態でキリト、グリスを連れ、第55層の雪山へと向かった
「大丈夫なの……アイツは」
「安心して。テンは基本、頭の中は空だけど……」
「だけど?」
「守るべきモノが何かを知ってる」
「信じてんのね。ソウテンのこと」
リズベットの言葉にミトはゆっくり、首を動かし、頷いた
「当然よ。だって、私が惚れた人だもの」
第55層 氷雪地帯雪山
本来であれば、人一人寄り付かず、吹雪に閉ざされた地に三つの影が降り立った。普段の装備の上に外套を羽織り、防寒対策は万全の状態であるが肌を撫でる風は強烈な寒さを感じさせる
「………キリト。やけに寒そうだねぇ?これくらいで震えるなんて、日頃の鍛錬が足りてねぇんじゃねぇか?」
「そ、そういうテンも震えてるじゃないか。我慢しなくてもいいぞ?寒いなら、寒いと言ったらどうだ」
「はっはっはっ、揃いも揃ってだらしがねぇ。俺にとってはこんぐれぇの寒さは痛くも痒くもねぇぜ」
「ゴリラには聞いとらん」
「全くだねぇ。グリスみたいなゴリラとは一緒にされたくねぇな、流石に」
「んだとゴラァ!!」
一人だけ元気なグリスを弄りつつ、雪山を彼等は登っていく。上層付近に進むにつれ、振りゆく雪は一層、激しさを増す
「いやぁ、仮面があると雪が目に入らないから助かるねぇ」
「そうか。なら、その仮面を捨ててやろう」
「させるわけねぇじゃないの、そんなこと」
「……ん?おっ!見ろ!あれ!」
「おろ?どしたんよ、グリス」
キリトと言い争っていたソウテンだったが、グリスの声に気付き、彼の方を振り向いた。その先にあった幻想的な光景に度肝を抜かれ、呆然と立ち尽くす
見渡す限りのクリスタル。現実世界では見た事のない光景はソウテンの眼に焼き付くように、その眩いばかりの輝きを放っていた
「こりゃあ、すげぇ」
「ああ、幻想的だな」
「食えねぇのが残念だぜ」
「グリス。だから、お前はゴリラなんだ」
「そうそう……おやぁ?招かれざる客が来たみたいだ」
ソウテンの目付きが変わる。不敵な笑みに変化は見られないが、彼の両眼はある一点を見据えている
「グォォォォォ‼」
「さてと……やるか」
「「オーケー!リーダー!」」
ドラゴンの咆哮が響くと同時にソウテンの指示が飛ぶ。其々の得物を構え、追随しようとするが普段とは異なる雪山での戦闘に慣れず、足を取られ、上手く立ち回る事が出来ないソウテンにドラゴンの鋭い鉤爪が襲い掛かる
「……っ!ちょいとやばいねぇ…こりゃ」
「テン!くそっ!」
「キリト!俺のハンマーに乗れ!そうすりゃあ、雪の中でもやり合える筈だ!」
「分かっ---っ!?」
グリスのハンマーへキリトが飛び乗ろうとした瞬間、ドラゴンは一際高く舞い上がり両の翼を大きく広げた
「「「あああああーーー!!!」」」
しかし、其れに気付いた時は既に遅し、前方の穴の上に放り出され、瞬く間にソウテン達は穴の底へ消えた
もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…
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ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
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キリトとアスナが司会の正規の雰囲気