蒼の道化師は笑う。   作:田中滅

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シリアスです!ギャグは無し!


第二十二幕 波乱

2024年7月某日 第56層 聖竜連合本部

 

 

現在、この場には名だたる顔触れが一同に会している。ある共通の理由を前に聖竜連合と血盟騎士団、彩りの道化(カラーズ・クラウン)の三大ギルドが勢揃いし、円卓の中央には其々のリーダーが鎮座している

 

「それでは、ラフィン・コフィン討伐作戦会議を始める。幹部プレイヤーの情報を皆に回すから確認してくれ」

 

今回の議題、其れはPK(プレイヤーキル)を推奨するアインクラッド最大の犯罪者ギルド《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》の討伐作戦。目の前の資料に視線を落とし、掲載されている情報を頭に叩き込んでいく

 

「ラフィン・コフィンの根城が下層のある小さな洞窟と判明した」

 

シュミットが発した内容に辺りから、動揺の声が挙がる。その理由は彼等のアジトを探す為に、しらみ潰しの様に不動産ショップを探したが、その結果が空振りに終わっていたからだ

幾つかのオレンジギルドのアジトは発見できた。しかし、肝心の《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》の本拠地に辿り着いた者は誰一人として、存在しない

 

「見つからん筈だ。こいつは」

 

本来、ギルドという組織は主街区等の街中を拠点とするのが一般的だ。だが、《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》は違った

展開されるマップを確認する限り、彼等のアジトは街中から離れた洞窟。これでは見つかる訳も無い、故に其れは絶好の隠れ家である事を意味する

 

「あくまでも目的は討伐であって殺戮じゃない。戦力を削ぎ、最終的には奴等を《黒鉄宮》に送るという事を忘れないでくれ」

 

「……生温りぃな」

 

「え…?」

 

聖竜連合の幹部プレイヤーの言葉、誰かが呟く。その声の先には仮面を冠った一人のプレイヤーが鎮座していた

殺気を感じさせる瞳に誰もが彼を見る。その顔に普段の不敵な笑みは見られない

 

「相手は人を殺すことに何の躊躇いも持たん殺戮者だ。人を人だとも思わんヤツは人じゃねぇ……一人残らず、“処分”するんが良いと俺は思う」

 

“処分”、其れは即ち、殺す側に廻るという事を意味する。その提案に誰もが息を呑んだが、提案者であるソウテンの眼は本気だった

 

「なっ……!テン!お前!自分が何を言ってるか、分かってるのか!?」

 

PK(プレイヤーキル)なんてやり方はおめぇが一番嫌ってることだろ!!ソイツを促すなんて、どうしたんだよ!?」

 

「リーダーらしくありませんね。恐れながら、僕は反対です」

 

「俺も…。いくら、リーダーの意見でも従えない」

 

「テンの字、今のお前はリーダーらしいと思えんぞ」

 

「職人の言う通りだ。テンらしくないぞ、どうしたんだ?」

 

キリト達からの意見にソウテンは何も語ろうとしない。椅子に座り、他のギルドリーダーからの解答を待つのみだ

 

「俺は反対だぜ。テン」

 

「私も一人残らずというのには反対だ。確かに、もしもの場合としての対策の一つに、そういった事を視野に入れるべきだろう。しかし……全てを処分して、我々に何のメリットがあるというのかね?ソウテン君」

 

「メリットなんかねぇ。俺は悪を裁きたいだけだ」

 

「其れが正義だって言うのかよっ!!お前は!」

 

「犠牲のない正義は正義じゃない」

 

「ふざけんなっ!!」

 

ソウテンの胸ぐらを掴み、キリトが怒鳴る。普段とは想像の付かない彼等の姿に誰もが黙り、その様子を見る事しか出来なかった

結局、決着は付かず、会議は終了。ソウテンは仲間たちの元にはいかず、一人で何処かに消える

 

「………くそっ」

 

「キリト」

 

「ミト……」

 

「お願い…、私に……私に、教えて!テンはどうしちゃったの!?さっきのテンはまるでテンじゃないみたいだった!本当にアレは私の知ってる天哉(テン)なの…?」

 

涙を溢れさせ、感情のままに叫ぶミト。彼女の姿にキリトは数秒の沈黙後に彼女を見据える

 

「あいつは確かに天哉(テン)だ。ただ……厳密に言えば、ミト達が知るアイツじゃない」

 

「私たちの知るテンじゃない……?」

 

「ああ…あれはアイツの中にある心の闇だ。テンは“黒い衝動”って呼んでた」

 

「………あのテンに心の闇があるなんて…。そんなの!私、知らないっ!」

 

「知らなくて当たり前だよ。あのテンを知ってるのはメンバーでは俺だけだ……そう、アレはあの日、母親を失って、夜の街で只管に怒りをぶつけて、暴れていた頃のアイツだ。でも、ミトと出会って、アイツは今のアイツになれた…はずだった。少しだけ…昔話を聞いて欲しい…君の知らないテンについての、昔話を…」

 

キリトは語った。ミトが知らなかったソウテンの過去を、幼馴染である自分だからこそ知り得る限りの全てを。その全てを彼女は黙って聞いていた

やがて、全てが話し終わると、キリトは真っ直ぐにミトを見詰める

 

「ミト。今のアイツを止められるのはただ一人、お前だけだ。お願いだ……アイツを、俺の親友を救ってやってくれ」

 

そう言い、頭を下げるキリトの姿にミトは静かに佇むだけだった…。そして、二時間後、波乱の討伐作戦は幕を開ける

もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…

  • ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
  • キリトとアスナが司会の正規の雰囲気
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