2024年10月20日 第35層主街区ミーシェ ソウテンの自宅
「テン。話がある」
青眼の悪魔を倒した翌日。自宅で寛いでいた、ソウテンの前にキリトが姿を見せる
彼の隣にはアスナが並び立ち、手を絡め合うように繋いでいる
「…………まあ、言わねぇでも分かるけど。言ってみ」
「昨日、お前とミトが帰った後にアスナと一緒に生きることを約束したんだ」
「ふぅん……ギルドはどうするんよ?」
「今日、そのことも含めて、《血盟騎士団》に行くつもりだ。其れと………俺も少し、攻略から離れようと思う。勿論、ギルドを抜けようなんて事は思ってない。《
「私も……テンくんとミトに……ううん、《
真剣な表情のキリトと微笑気味に問いかけるアスナ。二人の表情にソウテンは不敵に笑い、ミトも優しく微笑んだ
「祝福しないはずねぇだろ?せっかく、親友が幸せになろうとしてんだ。祝ってやるさ、盛大にな」
「そうよ。《
「ええっ…!?お、大袈裟だよぉ。ミトってば」
「ふふっ、そんなことないわ。テンが言ったように親友が幸せになるのを祝福しない訳にはいかないわ。だから、お祝いをさせて?アスナ」
「うん…ありがとう、ミト」
親友の幸せを喜ぶミトは心の底からの笑顔を浮かべる。二年前、デスゲームにログインした時は予想もしていなかった現状を最初は恐怖に感じた。それでも、再会することもないと思っていた、仲間たちが、親友が、支えて、勇気をくれた。その全ては今の彼女にとっては、生きる活力であり生き甲斐だ
そして、すれ違いもあったが、互いに信じることを約束し、大切な人との愛を確かめ合った。今も、その彼は自分の隣で、不敵に笑っている
「しかし、アスナ。ホントにこいつでいいんか?言っとくが、このぼっちはパスタ馬鹿だけでは飽き足らず、味覚再生エンジンが壊れるくらいの激辛ジャンキーだぞ?」
「えっと……其処も魅力だと思えば…」
「テン。愛はね、盲目なのよ?私を見れば分かるじゃない、貴方がピーナッツバター馬鹿で、迷子だからって、見捨てたりせずに、こうやって、隣にいるでしょう?其れがその証拠よ」
「迷子じゃない。ロト、なんか言ってやれ」
椅子に座り、本を読んでいたロトに声を掛けると、彼は首を傾げた後、瞳を数回瞬きさせる。そして、口を開く
「………おなかすいたー」
「テン。お前にそっくりだな、ロトは。食い意地が張ってるのなんか、瓜二つだ」
「瓜二つの使い道が違くねぇか?だいたい、俺は食い意地張ってねぇ」
「いいや、張ってる。何時も腹を空かせてるだろ」
「何を言ってんだ?それはおめぇさんじゃねぇか。ぼっち」
「はっはっはっ、言うじゃないか。この迷子」
互いに軽口を叩き合い、笑い合うソウテンとキリト。しかし、数秒の沈黙が訪れ、一時の間、静寂が支配する
「「………やんのかっ!!!」」
「「なんで喧嘩になってるのよっ!?」」
胸倉を掴み、いがみ合いを始める二人にミトとアスナが突っ込みを入れる。やがて、時間となり、キリトはソウテンを見る
「じゃあな、
「ああ、期待しないで待っててやる。だから、さっさとケリをつけて来い。
家から出る、キリトとアスナを見送り、ソウテンは身に付けていた仮面を外し、優しい笑みを浮かべる
「テン?」
「とーさん?」
「さてさて……どうなるかね。この先」
そう言った、ソウテンの瞳は何かを見通すかのようにキリトとアスナの背を見送り続けていた
同刻 第55層主街区グランザム 血盟騎士団本部
「お別れの挨拶に来ました」
血盟騎士団本部の上階、アスナの発言に、対し、四人の重役の表情は不愉快そうに歪み、ヒースクリフは苦笑を浮かべるも、落ち着いた声色で言葉を発する
「そう結論を急がなくてもいいだろう。彼と少し話をさせてくれないか」
そう言って、ヒースクリフはキリトを見据えた状態で圧力を感じさせる面持ちで、再び、口を開く
「君達とこう面と向かって話すのはいつ以来だったかな。キリト君」
「……六十七層の攻略会議で、少し」
「……ふむ、あれは厳しい戦いだったな。我々からも危うく死者を出す所だった……トップギルドなどと言われていても、戦力は常にギリギリだよ。……………だというのに君達は、我がギルドの貴重な主力プレイヤーを引き抜こうとしている。それにだ、この事を
「勿論だ。リーダーには了承を得た上で、アンタの所に足を運んだ。アスナは此処には居させない、少なくとも……あんな、ストーカーを護衛に付けるようなギルドにはな。あいつは俺の親友たちを、家族を侮辱した。例え、アンタがあいつを庇ったとしても……俺はあいつを許さない」
ストーカー、その言葉が示す存在をヒースクリフは知っている。人選に関わった訳ではないが、彼の行動は明らかに常軌を逸していた。その報告をアスナ本人から聞かされ、流石の彼も自分の落ち度を自覚せざる負えなかった
「クラディールの件は完全にこちらの落ち度だ。それについては謝罪しよう。彼は今自宅で謹慎させているし、他の団員達にも再度あの時の事は蒸し返さないように言ってある」
「あ、あぁ……」
血相を変えて何か言いかけた重役の一人を手で制し、あっさりと謝罪をするヒースクリフに、キリトは勿論ながら、アスナも面を食らった
「だが、それとこれでは話が別だ。我々としてもサブリーダーを引き抜かれて、はい、そうですかと、引き下がる訳にはいかないのだよ。―――キリト君」
刹那、ヒースクリフの纏う空気が、一瞬で変わる。真鍮色の双眸はキリトに据え、彼を試すかのように口を開いた
「彼女が欲しければ剣で……二刀流で奪いたまえ。私と戦い、勝てばアスナ君を連れていくといい。だが、負けたら……君が血盟騎士団に入るのだ」
「団長、私は別にギルドを辞めたい訳ではありません!ただ少しだけ離れて……考えたい事があるんです!それに!キリトくんを引き抜くのなら、彼のギルドのリーダーであるソウテンくんは勿論、仲間のミト達にも了解を得るべきです!」
「………そうだな、アスナの言う通りだ。俺はあくまでも《
「そうだな……。では、意見を聞かせてもらえるかな?ソウテン君」
ヒースクリフが微笑を浮かべ、部屋の入り口付近に呼び掛けた。その先に佇むのは、不敵な笑みを携え、仮面を冠った一人の少年。青いマフラーと青いコートが彼の不敵さを一層、強調している
「剣で語る……大いに結構じゃねぇの。やってみな、キリト」
「テン……いや、了解だ。リーダー」
「男って……ホントにバカね。ミトの気持ちが分かる気がする……はぁ…」
アスナはため息を吐き、ヒースクリフは表情を変えずに、三度、口を開く
「第75層《コリニア》の闘技場に明日の朝10時だ」
「望むところだ」
「ソウテン君の実力も見たい所だが……君も一戦どうかね?」
「嫌です」
まさかの即答にヒースクリフは眼を見開く。如何やら、断られる事を予期していなかったらしく、流石の彼も面を喰らったようだ
「………………何故かね?理由を聞いても?」
「いや、普通に考えて、一杯どうかね?みたいなノリで言われたから、断ったんだけど。そもそも、キリトが闘うのにはメリットあるけど、俺が闘うことでのメリットは存在しねぇし。なのに、アンタみたいなのと闘うなんて、自分から晒し者になるみてぇじゃんか。俺は一応、
「…………彼は何を言ってるんだね。キリト君」
理解不能な言動にヒースクリフは、キリトの方を見る。彼はアスナと見つめ合っていたが、我に返り、彼の方を見る
「すまん。バカなんだ、気にしないでやってくれ」
「誰がバカだ、ぼっちめ」
「残念だったな。俺にはアスナがいるから、ぼっちじゃない」
「可哀想に……遂にぼっちを自覚出来ない境地まで達したのか」
「やかましい。傍迷惑迷子」
「んだとコラァ!」
「やんのかっ!」
「やめなさいっ!みっともない!!」
「「ぐもっ!?」」
キリトとソウテンの頭上にアスナの空手チョップが叩き込まれる
「ミトに叱ってもらいます、二人は」
「「………あい」」
アスナに引き摺られ、血盟騎士団本部を後にしたキリトとソウテン。斯くして、キリトVSヒースクリフの決闘が決まったのであった
アスナを得るために剣を抜くキリト、その相手はヒースクリフ。果たして、キリトは勝てるのか?
NEXTヒント 闘技場
もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…
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ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
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キリトとアスナが司会の正規の雰囲気