2024年10月20日 第75層主街区コリニア コロシアム控室前
「ソウテン君。君に依頼をしたいのだが、構わないかね?」
キリトの控室に向かっていたソウテンを呼び止めたのはヒースクリフ、彼は微笑にも似た笑みを浮かべている
「依頼ってのが、どういう内容かによるが……大抵の場合は断らわんから、言ってみ」
「今回の決闘が大規模な開催になってしまった以上、司会をもうけた方が良いという話になってね。急で申し訳ないのだが、探してもらえないだろうか」
「ふむ…司会か。条件はあるか?」
「条件か……強いて言えば、性別は女性にしてもらえると助かる」
「なるほど、なるほど…。あいよ、承った」
「頼んだよ」
ヒースクリフが去るのを確認し、ソウテンはキリトの控室に向かいながら、司会の心当たりを考える
「うーむ…この決闘は言わば、《血盟騎士団》と《
不敵な笑みに妖しげな企み、代名詞とも呼べる最大の武器を発揮させるソウテンの姿は正に
「テン。なーに企んでるのよ?いつにも増して、極悪面よ」
「おお、ミト。いやさ、ヒースクリフに司会を探してくれって頼まれたんよ」
「司会……ふぅん、それで?」
「主催が《血盟騎士団》側な訳だからよ。司会は《
「なるほど……。なら、人気がある人に心当たりがあるわよ?私」
「おろ?そんなヤツが居んのか?うちに」
疑問符が飛び交うソウテンに対し、ミトは悪戯っぽい笑みを浮かべ、彼を見ている
「シリカちゃんよ」
「レディ〜〜〜〜ス!ア〜〜〜ンド!ジェントルメ〜〜〜〜ン!!!いよいよ、今日!最強の対決が幕を開けるっ!!皆様は歴史的瞬間の目撃者となる訳です!!!」
闘技場の中心で、マイクパフォーマンスを行うのは一人の少女。特徴的な両側のショートテールを揺らし、黒いミニスカートから覗く健康的な脚は軽快なステップを踏む
円形状の闘技場を囲む階段状の観客席からは盛大な拍手と歓声が挙がる
『シリカちゃーーーーん』
「はーい!司会進行を務めますは、あたし!三大トップギルド《
『かわいいーーーー!!!』
「そして、そして!解説を務めてくれるのはーーー!!!その無表情は何のため?焼き鳥を愛し、ヤキトリに愛されたブーメラン使い!あたしのダーリンであり!《
「こんにちは」
『引っ込めっ!焼き鳥チビ!!』
「チビじゃない」
「そして、その他は《
「「「「「扱い雑すぎだろっ!!!」」」」」
ヒイロと違い、簡素な紹介をされた他のメンバーからの突っ込みがシリカに飛ぶ。その光景に観客席のリズベットが隣に座るアマツを見る
「アンタは参加しなくていいの?アマツ」
「奴等の賑やかなノリには付いていけん」
「うむ、職人殿の気持ち分かるぞ。どうだ?君もバナナを食べんか?」
「有り難く頂こう、コーバッツさん」
「誰よっ!?このゴリラみたいなオッさんは!!」
「私か?私はコーバッツ、見ての通りのバナナ農家だ。グリス少年とはバナナフレンドでな、共に日々バナナの在り方についての未来を話し合っている」
「いやっ!どんな自己紹介よっ!?ていうか!バナナフレンドってなに!?」
「バナナのおじさん」
「おおっ!テン少年のところのロトくんか!久しぶりだな!バナナを食べたまえ!」
「ありがとー」
「おっ、始まるみたいだな」
「なにっ!?まだ、メイリンさんが来てねぇだろ!」
「いや、俺に怒るなよ」
「あっ!あれ!メイリンさんじゃない?」
メイリンの姿が無い事に怒り顔のクラインにエギルが苦笑気味に突っ込む。すると、アスナが観客席の間を彷徨く影を発見した
「おおっ!メイリンさーーーん!こっちっすよ!こっち!!」
「あら、クラインさん。席を取っておいてくれたんですか?」
「ええ、俺は貴女の侍ですから」
「あらぁ、ありがとうございます。クラインさん」
最高のキメ顔を見せるクライン、そんな彼に笑いかけるメイリン。その姿を見守るアスナ達という謎の構図が出来上がった
「何でかしら……すっごいムカつくわ。あのクライン」
「嫉妬か、醜いな。リズベット」
「うるさいわねっ!このトンチキ職人!誰がクラインに嫉妬すんのよっ!少しは考えてから物を言いなさいよねっ!」
「む…何故、怒る」
「職人……鈍感もほどほどにな」
「リズも大変だね…」
親友にアスナが同情していると、闘技場全体がどよめいた。その先に佇むのは、赤地のサーコートを羽織り、左手に持った巨大な純白の十字盾を装備した、一人の男。盾の裏側に隠された十字を象った柄が突出しているのが分かる
「この男の強さは最早、語るまでもない!!並外れた剣技と!卓越した統率力で!《血盟騎士団》を最大規模のギルドに導いた最強にして、最高の剣士!神の名は伊達じゃない!神聖剣のヒース……クリフーーーーー!!!」
「ふっ……やはり、ソウテン君に頼んで正解だったな。催しはこうでなくてはね、君もそう思うだろう?キリトくん」
ヒースクリフに問いかけられ、背に装備した二対の剣を触るキリト。彼は嬉しそうに笑みを浮かべ、強敵との決闘に心を躍らせていた
「対するは!その背に背負う
シリカの実況と共にキリトは親友を彷彿とさせる不敵な笑みを浮かべた
「勝つぜ、アンタに。
「いや、負けるのは君だ。明日からは正式に我がギルドに入団してもらうよ」
刹那、ヒースクリフから笑みが消える。圧倒的なまでの威圧感にも似た気合いが、キリトの体を撫でる
目の前に現れたデュエルメッセージの文字、迷い無く、初撃決着モードを選び、カウントダウンが始まる
「レディーーーーファイト!!!」
シリカの号令と共にカウントがゼロとなり、キリトは背中の二対の愛剣を抜き放ち、ヒースクリフも盾の裏から細身の長剣を抜き、構え、同時に地を蹴る
「最初に仕掛けたのはキリトだぁ!沈み込んだ体制から、ヒースクリフの直前で体を捻り右手の剣を左斜め下から叩きつけたぁ!しかーし!ヒースクリフも負けていない!十字盾で防御!これをどう見ますか?解説の皆さん」
「焼き鳥が食べたくなる試合だと思います、非常に」
「全くだぜ!バナナが美味え試合だな!」
「このくらいはキリトさんにとっては朝飯前……いえ!カレー時前でしょうね」
「そうね、鍋が煮える温度よりも低温なことだわ。キリトからすれば」
「ああ、このバームクーヘンが焼き上がる頃にはキリトが勝利してるだろうな」
「なるほど、参考にならない意見をありがとうございます。リーダーさんはどう思いますか?」
全く参考にならないメンバーとは裏腹に試合から目を逸らそうとしないソウテンへ、シリカは問いかけた
「確かにキリトは強い……でも、勝てんだろうな。今のアイツでは」
「と言いますと?」
「見てみな。一見すると、二刀流の蓮撃を放てるキリトが優勢に見えるが、ヒースクリフはその全てをガードし、受け流している。ダメージを喰らってはいるが、微々たるもんで決定打にはなってねぇ」
「な、なるほど……おおっと!ここでキリトが仕掛けたっ!」
ソウテンの冷静な解説に、僅かに面を喰らうシリカ。すると、キリトとヒースクリフが更なる動きを見せる
双方のHPバーが削られ始め、剣撃戦が白熱し始めた時だった
「らぁぁぁぁぁ!!」
全ての防御を捨て去り、二刀流上位剣技《スターバースト・ストリーム》を放つ。その眩いばかりの迸る閃光に誰もが勝利を確信した
「なっ!?」
しかし、最後の一撃が弾かれた。其処にある筈のない盾が瞬間的に移動し、決定打を弾き返したのだ
「…………ふぅん?なーるほど」
「しょ……勝者!ヒースクリフ!!!」
勝敗を告げるブザーが鳴り響き、シリカの声が響き渡る。敗北したキリトを見下し、微笑するヒースクリフの前に、その道化師は、ゆっくりと降り立つ
「ヒースクリフのダンナ。悪ぃがキリトは其方さんに入団させらねぇな」
「ふむ。何故かは分からないが、其れは契約違反ではないかね?」
「安心しな、入団させねぇと言っただけだ。どうだ?
不敵な笑みを浮かべ、最大の武器である情報を手に新たな契約を持ち掛けるソウテンに、ヒースクリフは頷く
「良かろう。だが……後悔することになるぞ?私に契約を持ちかけたことを、
「そりゃあ、勿論だ。其れでは皆々様、今日はこれにて幕引きと致しましょう」
決め台詞と共に深々と頭を下げるソウテン。こうして、キリトvsヒースクリフの決闘は幕を下ろしたのであった
出向という形でキリトが血盟騎士団に行く間、何時ものように馬鹿騒ぎをする《
NEXTヒント テニス
もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…
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ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
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キリトとアスナが司会の正規の雰囲気