2024年10月21日 第50層主街区アルゲード
「出向とはいえ……この服装はどうにかならないのか?アスナ」
「だ、大丈夫だよ。似合ってるから…ねっ?皆」
深紅の縁取りが特徴的な純白なロングコート。普段は正反対な色合いの服装に身を包むキリトがアスナに問うと、彼女は苦笑いしつつも、寛いでいたソウテン達に同意を促すように背後を振り返る
「に、似合ってるわよ……ね、ねぇ?シリカちゃん」
「ええっ!?あ、あたしに振りますか!?に、似合ってると思いますよっ!だよね!ヒイロ!」
「似合ってる、似合ってる。白を着てる時点でヴェルデとのキャラ被りが気になるけど」
「ご安心ください、ヒイロくん。僕にはキリトさんとは違い、眼鏡という更なるアイテムがあります。故にキリトさんよりも白を着こなしていると自負しています。ああ、でも僕には劣りますがキリトさんもお似合いですよ」
「すんげぇ、似合ってんぞ。なぁ?テン」
「だねぇ。一瞬、何処の騎士様かと思っちまったよ」
「逆に痛いわっ!変な気遣いをするくらいなら、普通に言えっ!」
『すげぇ似合ってない』
言葉を濁していた時とは異なり、声を揃え、打ち合わせでもしたかのような見事な満場一致の意見をソウテン達が放つ
「はっきりし過ぎだろっ!!!全く……アスナ、行こう。このバカどもに付き合ってられない」
「うん。またね、ミト」
「キリトをよろしくね。アスナ」
「お前は俺の母さんかっ!!」
「うんうん、ギルドの任務に熱心なんは良いことだ。其れじゃあ、俺たちも出かけるか」
キリト、アスナを見送った後、ソウテンはミト達に声を掛けた
「ん?何処にだよ?オッさんのバナナ農園か?」
「図書館が良いですね、僕は」
「焼き鳥屋」
「チーズケーキのある店にしましょう。今日はチーズケーキの日だと、今さっき決めました」
「ちょっと、夕飯の鍋に使う食材を集める為に付き合ってくれる約束はどうしたのよ」
「まあ、そう焦りなさんな。今日は……テニスでダブルスの試合をする」
『ちょっと待て!バカリーダー!!!』
何の脈絡も無く、放たれたソウテンの発言にメンバー全員が突っ込を入れる。其れもその筈、この《ソードアート・オンライン》は剣の世界でありテニスは微塵も関係しない、にも関わらず、ソウテンは『テニスをする』という理解不能な発言をしたのだ
「なんでテニスなんだよっ!?」
「剣の世界でテニス……意味がわからない」
「リーダーさんはアホなんですか?いや、アホでしたね」
「リーダー。失礼ながら、その理由をお聞かせ願えますか?」
「そうよ、テン。私たちにも分かるように説明してもらわないと納得出来ないわ」
「まあ落ち着きなよ。ダブルスってのに意味があるんよ、俺たちはギルドであり家族、そしてチームでもある。時には互いの信頼感を育むべきだと思わねぇか?」
不敵な笑みと共に放たれた最もな意見にミト達に電撃にも似た衝撃が走る
「な、なるほど…!一理あるぜ!」
「うん。頭の浅いリーダーにしては深い考え」
「其れでリーダー。建前抜きの本音はどうなんです?」
裏があると睨んだヴェルデが冷静な態度で問う。すると、彼は仮面越しに不敵な笑みを浮かべ、手招きした
「賞金目的だ。結局は色々あって、ミトにプロポーズ出来てねぇから、その費用に充てたい。勿論、半分はお前らにも分ける」
「なるほど……お任せください!このヴェルデが一肌脱ぎましょう!」
「なにっ!まさか、ヴェルデ!おめぇはテニス経験者なのかっ!」
「いえ、違います」
『違うんかいっ!!!』
グリスの問いに食い気味で即答するヴェルデへ全員の突っ込みが飛ぶ
「安心してください、僕はテニス漫画を読破しています。更に言えば、テニススクールのパンフレットを持っています。これは勝利確定……所謂、カチカクです」
『不安しかねぇわっ!!!』
同刻 第55層主街区グランザム テニスコート
「うむ!スポーツをすると聞いてきたが、私以外の経験者はいるのか?」
「其れがいねぇんだよ、オッさん。ん?オッさんは経験者なのか?」
「うむ、こー見えてもボクシングの通信教育を受けていた」
「関係ありませんよねっ!?明らかに!」
「なにっ!?今日はボクシングではないのかっ!?」
驚くコーバッツにグリス以外の誰もが呆れた視線を送る。当の本人は何事も無かったかのように、バナナを食べている
すると、テニスコートに対戦相手であろうプレイヤー達が姿を見せる
「久しぶりだな!
「…………………こしょこしょこしょ」
その中の一人である男性がソウテンを名指しするが、彼は首を傾げ、隣に立つヒイロに何かを耳打ちする
「どちらさんでしたっけ?ってリーダーが言ってる」
「私を忘れたのかっ!?クラディールだ!!!」
「………………こしょこしょこしょ」
「まさか、第一層で相見えたお前に再会するとはな。久しぶりだなって言ってる」
「誰の話だぁぁぁぁぁ!!!」
最早、クラディールの事など、頭に無いソウテン。首を何度も捻り、その末に答えに行き着く
「確か、血盟騎士団にいたアスナのスニーカー!!」
「いや、スモーカーじゃなかったか?」
「スーファミよ」
「スーパーカー」
「スージーQではありませんか?」
「スノボーじゃない?」
「バナナブリーダーではないか?それを言うなら」
「バームクーヘン食べるかい?」
「ええぃ!どれも違う!ストーカーだ!!!」
『うわぁ……自分で言うとか、マジ引くわー』
声を揃え、打ち合わせでもしたかのような見事な満場一致の意見をソウテン達が言い放つ
「やめないか、クラディール。今日は友好的にする約束だろう。今日は全てを水に流し、汗を流そうではないか!」
突如として、現れたのは巻毛の大男。名をゴドフリー、血盟騎士団の前衛の指揮を執っているプレイヤーだ
「ゴリラだ、ゴリラがいる」
「いけませんよ、ヒイロくん。人を指差しては」
「そうだよ、ヒイロ。あの人はゴリラじゃないよ。ゴリラはグリスさんだよ」
「俺は人間だ!」
「「「えっ」」」
「真顔で驚いてんじゃねぇっ!!チビどもっ!!!」
真顔で驚愕するヴェルデ、ヒイロ、シリカにグリスの突っ込みが飛ぶ。暫くするとゴドフリー、クラディールに遅れ、数人の男達が姿を見せる
「最初は俺とオッさんだな!」
「うむ!バナナパワー全開で行こう!グリス少年!」
「バナナパワーってなに?」
「バナナを食べると身につくパワーでしょう、恐らくは。実に興味深い」
「よし、シリカ。司会は頼んだ」
「うぇっ!?あ、あたしには無理です!司会なんて!昨日のはノリでやっただけで!!」
「はい、シリカちゃん。マイクよ」
「…………………」
慌てふためくシリカに対し、ミトがマイクを手渡すと、彼女はマイクを手に沈黙した後、テニスコートの壁に上がり、軽快なステップを踏む
「さぁ!始まりました!!ダブルステニス大会!!初戦は《血盟騎士団》の男性二人に!バナナをこよなく愛するバナナフレンドのコーバッツ!ゴリラと呼ばれ、ゴリラとして生き抜き、ハンマー片手に全てを薙ぎ倒す!《野猿》のグリス!」
「ゴリラじゃねぇ!!!」
突っ込みを入れながらも、パワーを主体にしたプレイスタイルで相手を翻弄するグリスとコーバッツ。試合は彼等の圧勝に終わる
「勝者はグリス・コーバッツチーム!!いやぁ、実に見事な試合でしたね!解説のミトさん!」
「そうですね。きっと日頃の食べ物が良いんでしょう、特に鍋物を食べてるようですね。鍋を作っている美人なプレイヤーさんが居るんだと思います、是非会ってみたいものです」
「自画自賛してんじゃねぇよ!!鍋女っ!!ごぶっ!?」
グリスの頭上に御約束が叩き込まれ、彼は倒れる
「何か言った?」
『言ってません』
「さぁ!気を取り直して!次は!クラディール・ゴドフリーチーム!そして、最強にして最大級の迷子!我がギルドを率いる傍迷惑迷子の道化師!!ソウテン!そして、あたしのダーリンにして、最大級の無表情!ヒイロ!!!」
「「扱いの差がおかしいっ!!!」」
「ねぇ、何でヒイロは褒められてんのに俺は迷子呼ばわりされてんの?」
「愛の差」
「しばいたろか、焼き鳥チビ。其れにだ、愛の差なら、俺とミトも負けてねぇ」
「歳下と張り合うなっ!」
顔を真っ赤にしたミトがソウテンの頭上に鎌を振り下ろす。しかしながら、いつものようには喰らわず、ソウテンはゆっくりとテニスコートに降り立つ
「んじゃ、ヒイロ。派手に行くか」
「うん。了解、リーダー」
「試合開始です!おっと先に仕掛けたのはヒイロ!彼の放った球が急角度でバウンドしたぁ!一体これはなんなんだぁ!!!」
「ツイストサーブですね」
「ボクシングで言うと右フックだな」
「全く違うぞ、コーバッツさん。あれは野球で言うチェンジアップだ」
「さすがはベルさん。その通りです」
「更に更にクラディール・ゴドフリーチームが放った珠は全て、ソウテンの方に引き寄せられていく!どう言う仕掛けだ!?これは!!!」
「あれはボールを打つ前にリーダーが特殊な回転を掛け、相手のボールを自分に引き寄せているのでしょう。名付けるならば!迷子ゾーン!」
「普通にソウテンゾーンでいいわっ!!!」
テニスとは言い難い技を連発したソウテンとヒイロは圧勝し、続くディアベルとヴェルデもデータを主体にしたテニスと曲がる軌道を武器に圧勝。テニス勝負は《
「賞金はいただきだぜっ!」
「よし、一旦預けろ。後で倍にしてやるから」
「ふざけんなっ!迷子!!こいつは俺がバナナ栽培の費用に充てんだよっ!」
「いえ、僕が預かります。欲しい本があるので」
「焼き鳥買う」
「チーズケーキ屋を作る資金にしましょう」
「バームクーヘンを作るためのかまどが欲しいんだ。俺に預からせてくれ」
「テン少年。バナナの種を買わないか?今なら、アインクラッドバナナが旬だぞ」
「却下だ!これはミトにプロポーズするための資金にすんだよっ!!!」
「えっ…………?プロ……ポーズ……?」
「あっ!?しまった!」
大金を前に暴走する面々を前に本音を口にしたソウテン。その発言を聞いたミトは顔を真っ赤にし、恥ずかしそうに俯く
「えっと………あの……今のは……ホント?テン」
「あーーーーまあ、ホントだ。ムードは無いかもしれんが………結婚してくれねぇか?ミト。勿論、指輪は後で買うからよ……」
「はいっ!喜んでっ!」
祝福の鐘の代わりに拍手が鳴り響く。ここに最強の夫婦が誕生した、後に世界を揺るがす最強の夫婦が
遂に結婚を果たしたソウテンとミト、 更にキリトとアスナ。彼等の為に仲間たちはある計画を企てる…
NEXTヒント 結婚式
ていうか……こいつら、まだ結婚してなかったのか
もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…
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ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
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キリトとアスナが司会の正規の雰囲気