2024年10月23日 第50層主街区アルゲード
「ああ?結婚式だぁ?」
リビングで寛いでいたグリスが気怠そうに声を掛ける先には、ティーカップを片手にトレードマークの眼鏡をくいっと上げるヴェルデの姿があった
「そうです。リーダーとミトさん、更にキリトさんとアスナさんというビッグカップルが結婚したことを踏まえ、結婚式を行なってはどうかと、思いまして」
「ヴェルデの提案に賛成。リーダー達を喜ばせたい」
「だね!リーダーさんには何時もお世話になってるから、盛大にお祝いしてあげないとっ!」
「なら、シリカは司会をやれよ。得意だろ?おめぇ」
「うぇっ!?ま、またですか!?無理ですよ!!結婚式の司会なんてしたことありませんよっ!あたし!」
「シリカさん。こちら、マイクです」
「…………………」
慌てふためくシリカに対し、ヴェルデがマイクを手渡すと、彼女はマイクを手に沈黙した後、軽快なステップを踏む
「何してるんですかっ!さっさと結婚式のセッティングをしますよっ!!!」
「変わり身早ぇなっ!?」
「やかましいです、ゴリラは黙っててください」
「なんでだよっ!?」
「料理はメイリンさんにお願いしましょう。彼女なら、リーダー達の好みを把握していますし、我々の好物も把握してくれていますからね」
「デザートは俺が担当しようっ!最高のバームクーヘンを振る舞おう!」
「ディアベルさんは騎士なんじゃなかった?」
「騎士だよ?バームクーヘン好きの」
「迷走してきましたね……貴方も」
次第に《
「しかし、結婚式か。出席するのは久しぶりだな」
「なんだ、オッさんは経験者なのか?」
「うむ、リアルで何度かな。特に泣きそうになったのは長年の友人が結婚した時だ」
「ほう、そんなに涙が出る結婚式だったんですか?コーバッツさん」
「ああ、涙無しには語れない。今でも目を閉じれば、鮮明に思い出す………美味かったな、あのバナナは」
『結局バナナかよっ!!!』
「さすがはオッさん!良いバナナを食べたんだなっ!」
『食い付いたっ!?』
結婚式の話をするかと思えば、バナナしか覚えていないコーバッツに突っ込みが飛ぶ中、グリスは腕を組み、共感するように頷く
「場所はどうするつもりだ?ヴェルデ」
「場所なら、決まっていますよ。皆さんが良く知る我々の思い出が詰まる、あの場所です」
「なるほど……彼処なら、リーダー達も喜ぶね」
「そうだね。彼処はあたし達の最初の家だもんね」
「懐かしいな!今はテンのヤツが家にしてっけど、元々は俺たち全員の家だからな!彼処は!」
「ほう、そんな場所があるのか。新参者の私は知らんな」
「そうか、コーバッツさんは最近だったな。でも気にいると思うよ?あの場所は」
その場所を知らないコーバッツに対し、ディアベルが笑顔で応える
「決まりだな。リズベット、直ぐに手配をしろ」
「なんで、あたしがやんのよっ!?」
2024年10月26日 第35層主街区ミーシェ ソウテンの自宅
「どーなってるんよ?これ」
依頼を受け、留守にしていたソウテンが帰宅し、目にしたのは飾りつけられた自宅。隣に立つミトも両眼を瞬きさせ、固まっている
「丁度よかった、テン。どーなってるんだ?これは。お前の家が前に増して、妖しくなってるぞ」
「そりゃあ、俺が聞きたいよ。というか、誰の家が妖しいだって?鼻に唐辛子詰めたろか」
「残念でしたー、俺は辛いものには耐性があるんですー」
「はいはい、キリトくんもテンくんも喧嘩しない。あと、ミトはさっさと帰ってこようね」
「…………はっ!私は誰!?ここは何処っ!?」
アスナに呼ばれ、ミトは我に返り、辺りを見回す。目の前には見慣れない姿に彩られた我が家の姿、現状に理解出来ないでいると、扉が開いた
『おかえりっ!!』
何時もは誰も居ないはずの家から、出てきたのは、《
「なして、いるんよ?おめぇさんらが」
「リーダー達をお祝いする為に決まってるじゃありませんか」
「お祝い………?なんのだ?」
「結婚したでしょ。リーダーはミトさん、キリトさんはアスナさんと」
「だから、皆んなでお祝いしようって話になったんです」
「おめでとー」
「実にめでたいな!」
「全くだぜ!」
「さあ、パーティの始まりだ!派手に行くぞ!野郎どもっ!!!」
ディアベルの号令を皮切りに、結婚式は幕を開ける。テーブルには、メイリンの用意した料理が並び、更にはディアベル手製のバームクーヘン、コーバッツ印のバナナ、エギルが持参した飲料などのラインナップが立ち並ぶ
「美味え……美味えっす!メイリンさん!特にこのパイナップルご飯!」
「あらぁ、ありがとうございます。クラインさん」
「どうだ、ヒイロ。美味いだろ、このピーナッツバターを掛けた焼き鳥は」
「すごいや、リーダー。焼き鳥を犬の餌に昇華できるなんて」
「しばいたろか、焼き鳥ちび」
「全く馬鹿だな、テンは。どうだ?ヴェルデ、俺が持参した辛そうで辛くない辣油をふんだんに使用したブラック麻婆パスタは。美味いだろ」
「ええ、口の中が焼け爛れそうで汗と震えが止まりませんが美味です」
「料理の感想じゃないわよっ!?ていうか!キリトくん!何を食べさせてるのよっ!バカなのっ!?」
「ああ、パスタ馬鹿だ」
「認めたっ!?」
「結婚式って……なんだっけ。あ、鍋が煮えたわ」
例によって、馬鹿騒ぎを始める面々を見ながら、ミトは遠い目をするが彼女の前には鍋が置かれている
「ディアベルさん!チーズケーキ風のバームクーヘンって最強だと思いませんか?あたし、思ったんです。チーズケーキは世界最強なんじゃないかって」
「シリカ。君はまだバームクーヘンの本来の味を知らないみたいだな?いいかい、バームクーヘンは世界最強にして至高の食べ物だ。そして、何よりも俺が焼き上げるバームクーヘンは美味い」
「何を言うかと思えば…。分かってないのは、貴方ですよ?ディアベルさん。良いですか?チーズケーキは美味しいだけじゃなく、栄養価も高いんです。そんなことも知らないんですか?」
「なんか訳の分からない喧嘩をしてるわね……って!アマツ!?アンタは何やってんのよ!?」
「なんだ、そんなことも理解できんのか?」
「理解したくもないわっ!!何処の世界に結婚式で包丁を研ぐヤツがいんのよっ!!!」
「此処に居るだろう」
「はぁ……全く…アンタは…」
アマツの行動に呆れ、リズベットがため息を吐く。その隣では、言うまでもなく、彼等が皿に並ぶバナナに目を輝かせる
「オッさん!見ろよ!バナナがよりどりみどりだぜ!」
「うむ!喜ばしいな!これにより、私のユニークスキルであるバナナ農家も更なる発展を遂げる!」
「オッさん、ユニークスキル持ちだったんかっ!?というかバナナ農家がユニークスキルってなにっ!?」
「スゲェな!オッさん!!」
「戦いに役立つの?其れは」
「役立ちませんね」
「あたし、チーズケーキ屋のユニークスキルが欲しいです」
「じゃあ、私は鍋奉行」
「俺はイケメン商人で」
「私は料理人かしらぁ」
ユニークスキルという言葉に反応を示し、ミト達が存在するかも不明なモノを並び立てる
「メイリンさんなら、なれますよ!美人っすから!」
「ふむ、俺は要らんな。既に職人という肩書を持つからな」
「あたしも要らないわ。ユニークスキルとか柄じゃないし」
「リズは鍛冶屋に相応しいユニークスキル持ってんじゃん」
「は?なによ、それ?テン」
「鍛冶屋馬鹿」
「誰がよっ!!!」
「ごばっ!?」
ソウテンの顔面にリズベットの右フックが決まる。しかしながら、彼女の怒りは収まっていない
「殴るわよっ!」
『いや既に殴ってるし!!!』
「
「期待してるわ。大好きよ、テン」
『いや!前途真っ暗だろ!!!どう見てもっ!!!』
騒がしくも賑やかな結婚式は幕を降ろす。変わらない日常に新たな祝福の
第22層にログハウスを買い、アスナと暮らし始めたキリト。しかしながら、彼の日常には平穏などありえない!騒がしいバカ達が幸せな新婚生活に殴り込みをかける!
NEXTヒント 新婚
もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…
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ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
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キリトとアスナが司会の正規の雰囲気