蒼の道化師は笑う。   作:田中滅

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またまたギャグ回!ですが此れが終われば、いよいよユイちゃんの参戦です!


第三十八幕 雪祭り

2024年10月28日 第50層主街区アルゲード

 

 

「レディ〜〜〜〜ス!ア〜〜〜ンド!ジェントルメ〜〜〜〜ン!!!雪が降ろうが、槍が降ろうが、どんな時も楽しむことを忘れないのが攻略組のモットーってものですっ!そーいう訳で………アインクラッド雪祭りスタートだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

雪。其れは一面を白き銀世界に彩る、天然の色彩、このアインクラッドにも季節外れの雪景色が訪れた

各層から集まった攻略組プレイヤー達の中心で、マイクを片手に軽快なステップとマイクパフォーマンスを繰り広げるシリカ。その姿に彼女のファンが声援を送る

 

『L・O・V・E!シリカ!がんばれ、がんばれ!シリカ!!』

 

「はーい!司会進行はあたし、三大トップギルド《彩りの道化(カラーズ・クラウン)》が誇る天真爛漫なビーストテイマーのシリカと!相棒のピナ、更にヤキトリでお送りしまーす!」

 

「きゅるる〜」

 

「ぴよ?ぴよぴよ」

 

『うぉぉぉぉぉ!!!』

 

「雪が降ろうがあたし達には関係ないっ!白く彩られたなら、自分たちで彩り返せばいいっ!プレイヤー諸君よ!祝え!アインクラッドに新たな祭が誕生した瞬間であるっ!!」

 

『L・O・V・E!シリカ!がんばれ、がんばれ!シリカ!!』

 

最早、恒例になったシリカの司会進行は彼女の新たな魅力を引き出し始めていた

普段は自己主張を余りしない彼女だが、マイクを持てば、まるで水を得た魚のように軽快な話術を武器に空間全てを支配する、今のこの瞬間だけは彼女が中心となっている

 

「テン、雪を持ってきたわよ」

 

「おお、ありがとよ。ミト」

 

「ゆきー。とーさんにあげる」

 

「ロトも持ってきてくれたんか。ありがとな」

 

「えへへー」

 

「よぉ、テン。おめぇらも来てたのか」

 

雪像作りに励むソウテン、ミト、ロトの三人に声を掛けてきたのはクライン。側には誰も居らず、今回は一人で行動しているようだ

 

「なんだ、クライン。生きてたんか」

 

「あったりめぇよ!んで?お前らは何を作ってんだ?」

 

「俺たちか?俺たちはこれだ」

 

クラインの問いに応えるように、ソウテンが自分の背後を指差す。其処には台座の上に聳え立つ巨大な剣があった

 

「なんだこれ……」

 

「見て分からんか?アレだよ、サイクロントルネードハリケーンサイクロンブレードだ」

 

「どれも竜巻の呼び名じゃねぇかよっ!?だいたい、そんな変な名前の剣がある訳ねぇだろ!!つーか!サイクロン二回出たよな!?今!」

 

「失礼ね。じゃあ何?クラインは、テンが嘘を吐いてるとでも言うの?だったら、間違いよ。テンはね、確かに迷子で、バカで、アホで、更にピーナッツバターに頭を支配されてるどうしようもない人だけど、嘘だけは吐かないのよ」

 

「ねぇ?ちょいと、ミトさん?褒めてんの?それは。明らかに貶してない?」

 

「そんなことないわ。私が大好きなテンはその全部が長所になるくらいのカッコいい人よ」

 

「………えっと、ど……ども…」

 

人目を気にせず、にっこりと笑い、自分を褒めるミトに対し、褒められ慣れてないソウテンが珍しく、顔を赤くし、素直に礼を述べる

 

「くぅっ!!人の目の前でイチャイチャしやがって!このバカップル!!」

 

「あらぁ?騒がしいと思ったら、テンちゃん達だったのね?やっぱり。其れにクラインさんも」

 

「め、メイリンさん!?こんなゴミ溜めで貴女に会えるなんて!ご機嫌麗しゅう御座います!良いお天気ですね!」

 

「良いお天気……って雪だぞ、今日は」

 

「駄目よ、テン。クラインはメイリンさんを狙ってるから、話題を考えようと必死なのよ。だから、今は突っ込まないであげるのが友達としての気遣いってものよ」

 

「なるほど、そうなんか」

 

「ふっ…おめぇには分からねぇだろうな。俺の溢れんばかりのダンディズムが」

 

「……どうだ、メイリンさん。スゲェだろ」

 

「って!話聞けやコラァ!!」

 

キメ顔ですかして見せるクラインであったが、微塵も興味を示さないソウテンはメイリンに自分が作成した力作を披露していた

 

「まぁ、これはサイクロントルネードハリケーンサイクロンブレードじゃないの。完成度たっけぇな、オイ」

 

「えぇぇぇぇぇ!?何で知ってるんすか!?あるのマジで!?マジであんの!?これ!俺だけ知らねぇのか!?」

 

「アインクラッドがまだ地上にあった頃、主要な100の都市とその周辺の地帯が円形に切り抜いてしまった大地切断の発端とも言われてる伝説の剣だわ」

 

「なにっ!?こんな変な剣でアインクラッドは作られたのかっ!?」

 

「そーいや、メイリンさんも参加者か?」

 

「私は違うわ。キーくんやグゥちゃん達はそう見たいだけど」

 

「来てたのね、やっぱり」

 

「好きだからな。あいつらも」

 

「よっしゃぁぁぁぁ!優勝はいただきだぜ!なっ!オッさん!」

 

「うむ!そうだな!」

 

突如、響いた聞き覚えのある元気な声に周辺を見回すと、雪像の前でバナナを剥くグリスとコーバッツが目に入る

 

「噂をすればだ。見てみようぜ、グリスとオッさんの作品」

 

「そうね。ロトー、行くわよ」

 

「はーい!」

 

ミトとロトを連れ、彼等の方まで歩いていく。すると、気付いたらしく、グリスが手を振る

 

「よぉ!テンにミトじゃねぇか!」

 

「おお!君たちも来ていたのか!」

 

「元気だなぁ、二人は。そいで?おめぇさんらは何を作ってるんよ」

 

「俺たちか?聞いて驚くんじゃねぇぞ……なんとな!新作のバナナだ!名付けて、アルゲードバナナ!!!」

 

「見た目、艶、味の全てが最高品質の高品質レアのバナナだ!今日はそのバナナの御披露目も兼ね、ここに雪像を作らせてもらった訳だ」

 

「バナナ……ねぇ?気のせいかしら?テン。このバナナ、羽が生えてるように見えるんだけど….」

 

「奇遇だな、俺もだ」

 

「すげぇだろ?アインクラッドじゃ、これが普通らしいぜ」

 

「「ねぇよ、こんなバナナ!!」」

 

声を揃えながら、グリスとコーバッツの力作に、ソウテンとミトは飛び蹴りを放つ

 

「ぎゃぁぁぁぁ!!バナナがっ!俺たちのバナナが!」

 

「何をするかぁ!私とグリス少年の力作に対しての冒涜!許さんぞ!」

 

「そうだコラァ!だいたい、人のを破壊して、おめぇらは何を作ったんだ!」

 

「アレだ」

 

「あん……なっ!」

 

「こ、此れは…!!」

 

ソウテンの指差す先にある剣の雪像を見た瞬間、グリスとコーバッツに衝撃が走った

 

「「サイクロントルネードハリケーンサイクロンブレードじゃねぇか。完成度たっけぇな、オイ」」

 

「ゴリラブラザーズ、おめぇらも知ってんのか」

 

「ああ、別名は「バナナブレード」。その昔、バナナ農家ときゅうり農家が戦をしていた時代に伝説のバナナ農家が振るったとされる剣だ……って!誰がゴリラだコラァ!!!」

 

「その切れ味は正に魔剣、どんなバナナも切り裂き、どんなバナナも皿に盛り付けられるような適度な大きさに切れると言われている万能調理器具だ」

 

「さっきと全然違う説明になってんぞ?ていうか、二人で違う説明すんな!ややこしいだろ!」

 

「おや…何やら騒がしい方々が居ると思えば、リーダー達ではありませんか」

 

「楽しそうだね、相変わらず」

 

剣の正体が何なのかも理解出来ないクラインが呆れていると、騒ぎを聞き付けたヴェルデとヒイロが声を掛けてきた

 

「ヴェルデにヒイロ。二人も参加してんのか?」

 

「ええ、ベルさんにアマツさんも一緒ですよ」

 

「リーダー達も参加してるの?」

 

「まあな。これが俺たちの力作だ」

 

「拝見します……これは!」

 

ソウテンが指差す先に目を向けたヴェルデが目を見開き、驚いたような声を挙げる

 

「サイクロントルネードハリケーンサイクロンブレードではないですか、完成度たっけぇな、オイ」

 

「確か、中世の時代に連続殺人鬼が使っていた凶器だよね。さすがはリーダー、目の付け所が違う」

 

「最早、何なんだよ…。サイクロントルネードハリケーンサイクロンブレードってのは……」

 

「では我々の雪像もお見せしましょう、此方です」

 

ヴェルデに案内され、彼等の場所に向かう。其処にはディアベルとアマツが居り、雪像の仕上げをしていた

 

「ふぅ…こんなものかな」

 

「ふむ、中々の出来だ」

 

「ああ、巨大なバームクーヘンの完成だ」

 

「焼き鳥も刺さってるよ」

 

「この部分、カレー粉をイメージしているのが分かりますか?リーダー」

 

「バカだ、バカがいる」

 

「バームクーヘンに頭毒されてきてるわね……ベルさん」

 

「ふはははは!哀れだな!道化師(クラウン)!」

 

「お、お前はっ!!!」

 

ディアベル達に呆れ果てていると、背後から笑い声が聞こえ、振り返る。その先には白い鎧に耳を包んだ一人の男が立っていた

 

「………………誰だ?」

 

「クラディールだっ!!!」

 

「ああ、アスナのストーカーか」

 

「そうだ、そのストーカーのクラディールだ」

 

「認めたわよ、遂に」

 

「開き直ってる」

 

「そっとしておいてあげましょう。きっと、そうすることでしか、愛を表現できない哀れな方なんです」

 

「ふっ……これを見ても、そんなことが言えるかっ!見よっ!私の力作を!!」

 

クラディールが示す先に、其処に立つのは雪で作られた女性の雪像。見覚えのある姿にミトが固まる

 

「……………」

 

「なんてこった、アンタが変な雪像を見せるから、ウチのミトちゃんが固まったじゃねぇの。どうしてくれるんよ?」

 

「くれるんよ」

 

「ふっ、アスナ様の崇高なる御姿を再現した雪像だ。この魅惑的な美脚、引き締まる腰、たわわな胸部、全てがアスナ様を物語っている、素晴らしいだろう」

 

「あら、アスナからメッセージが」

 

『ミト、もしもクラディールがわたしの雪像を作ってたら、破壊しておいて。絶対に』

 

「よし、テン。仕事よ」

 

「ほいきた」

 

「きた」

 

アスナからのメッセージで、ミトが鎌を片手に告げるとソウテンとロトがスコップを片手に彼女の側に立つ

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!私の力作がぁぁぁぁ!!!」

 

「よし、ミッションコンプリートね」

 

「舐めるなっ!!貴様らのも破壊してくれるわっ!!」

 

「なにっ!?大変だ!ミト!俺とミトが作ったサイクロントルネードハリケーンサイクロンブレードを破壊するつもりだ!あんにゃろう!」

 

「なんですって!?許さない、許せないわ!!私とテンの愛の力作を破壊なんてさせるもんですかっ!!」

 

「バナナの恨みだコラァ!!!」

 

「喰らえ!」

 

「なっ!?バームクーヘンが!!」

 

「………貴様ら、死にたいらしいな。斬り刻んでくれるわっ!!!」

 

「僕が作り上げた作品を破壊するとは…!許しませんっ!!」

 

「焼き鳥のうらみ」

 

何時もの騒がしい風景により一層の騒ぎを加え、雪像大会は激化を始める

 

「ふんっ、やっぱりすごいな。俺は美術の天才だったらしい」

 

「くたばれぇぇぇぇ!!」

 

「なめんなぁぁぁぁぁ!!」

 

「あああああ!!!俺のペペロンチーノの雪像がぁぁぁぁ!!!こんのバカテン!!許さんぞ!!!」

 

「知らんわっ!!!つーか、いたんか!?お前!!!」

 

キリトまでもが参加し、雪像大会が雪合戦に変わっていく。その光景に遅れて、到着したアスナは苦笑する

 

「シリカちゃん?今日って、雪合戦大会だっけ……?」

 

「いえ、お祭りですね。どちらかと言うと」




第22層の森、幽霊が出るという噂を聞き、森の中に足を踏み入れたキリトとアスナが見たのは……怪しい行動を見せるソウテン達だった

そして、森の奥深くで彼女に出会う

NEXTヒント 朝露

もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…

  • ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
  • キリトとアスナが司会の正規の雰囲気
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