2024年10月30日 第22層南西エリア南岸
「ね、ねぇ…?キリトくん。本当にこの森に入るの?」
「なんだ、アスナ。まだビビってるのか?あんなのは噂だよ」
「だって!ミトがそう言ってたんだよっ!?こ、ここには幽霊が出るって!!」
現在、キリトとアスナが歩くのは自宅から僅かに離れた先にある森林の中。二人が何故、こんな場所に居るのかと言うと、話は数時間前に遡る
『ねぇ?アスナ』
遊びに来ていたミトに呼び掛けられ、紅茶をテーブルに置き、彼女は対面する様にソファに腰掛ける
『どうしたの?ミト』
『実はアスナに聞いてもらいたい話があるのよ。聞いてくれる?』
『もちろん』
『そっか、そっか。実はね?この森、出るみたいなのよ』
優しい笑みで、そう告げるミト。刹那、アスナの顔から、ゆっくりと血の気が引いた
『で、出る……?えっと…レア装備的なモノがってことよね?それは』
『ううん、幽霊。一週間くらい前に
『そそりませんっ!!!』
此れが数時間前のやり取り。同じようにソウテンから、その話を聞いたキリトが帰宅早々に怖がるアスナを連れ出し、現在に至る
「でも、見当たらないな。直ぐに見つかると思ったのに」
「やっぱり居ないんだよ、ミトとテンくんがわたしとキミを驚かす為に作った作り話よ。きっと」
「それは考え難いな。確かにテンはバカで、迷子なヤツだけど、嘘は吐かない。其れはミトも同じだ」
「そうかなぁ……ん?」
キリトの言葉に疑い気味の表情で、首を何度も捻るアスナ。その時、視界に妙な物が映り込む。その妙な物もとい仮面の道化師は木にペースト状の何かを塗りたくっていた
「キリトくん、帰りましょう。この森怖いわ、木にピーナッツバター塗りたくってたわよ」
「気にするな、妖精だ。ああやって森を守ってるんだよ」
「でも明らかに見覚えのある人だったわよ、わたし達の知り合いだったわよ。仮面冠ってたもの、間違いないわ、あれはまごう事なき迷子よ」
「なら、妖怪迷子仮面バカピーナッツだ。ああやって、ピーナッツバターを守ってるんだよ」
「いや、どういうこと?ピーナッツバターを守るって意味が………」
更に道を進め、歩くとまたしてもアスナの視界に妙な物が映り込んだ。その妙な物もとい青年は二本の木の間に枝を突き刺し、生地を巻きつけていた
「キリトくん。やっぱり怖いわ、この森。バームクーヘン作ってたわよ」
「気にするな、妖怪
「でも明らかに見たことある人だったわよ。騎士よ、騎士だったわ」
「じゃあ、妖怪騎士道だ。何時も、気持ち的に騎士をやりながら、バームクーヘンを焼いてるんだよ」
「いや、聞いたことないんだけど?そんな妖怪……」
更に歩みを進めると三度、アスナの視界に妙な物が映り込んだ。妙な物もといその二匹は上半身裸でバナナを体に括り付け、仁王立ちしている
「キリトくん、この森は既にバカ達の巣窟みたいだわ。だって、ゴリラがバナナを食べずに体に括り付けてるわ」
「気にするな、あれはゴリラの妖精ゴリラブラザーズだ。ああやって、ゴリラを守ってるんだ」
「いや、ゴリラを守るってなに……」
森の中を歩き、バカ達の所業に頭を悩ませるアスナの視界に追い討ちをかけるように妙な三人組が映り込む。一人は木にカレーを塗りたくり、もう一人は地面に焼き鳥を刺し、最後の一人はチーズケーキを地面に置き、何かを待ち構えている
「キリトくん。わたし、最近思うの。ゲームクリアは無理なんじゃないかって」
「諦めるな、アスナ。きっとクリア出来るさ」
「ホントに?キミがそう思うなら……」
希望を取り戻し掛けたアスナの視界に映り込んだのは、見覚えのある薄紫のポニーテール。その親友は木の前に座り、鍋が煮えるのを只管に待っていた
「やっぱり、無理よ。ゲームクリアは諦めましょう」
「落ち着けよ、アスナ。あのバカ達は無視しよう」
「ちょっと待ちなさいよ。私を馬鹿呼ばわりしないでくれる?今もこうして、大事な作戦を遂行中なのが見て分からないの?」
「分かるわけあるか。分かるのは、お前が馬鹿ってことだけだ」
「全く私の作戦を理解できないなんて…。これだから、ぼっちは」
「誰がぼっちだ、鍋女」
「おやまあ、随分と騒がしいじゃねぇの」
騒ぎを聞き付け、キリト達の元に《
最早、その光景に呆れ果てたアスナは全てを諦めたような視線で空を見上げる
「キリトにアスナじゃねぇか!」
「こんなところで何をしているのかね?」
「何をしてるって、体にバナナ括り付けた人に言われたくない。お前らこそ、何やってんだよ」
「質問に質問で返すとは何事だね、キリト少年。質問をしているのは私だ、先ずは私の質問に答え給え」
「なんでだよ、どうやったら、体にバナナ括り付けた状態で普通に質問できるんだよ。どういうメンタルしてんだよ」
「気にするな、キリト。ほら、バームクーヘンだ。食べな」
「アンタもだぞ、ベルさん。森の中でバームクーヘンを焼くな。家でやれ」
「家は駄目だ、今日はアウトドアで作るバームクーヘンだから。家は駄目だ」
真顔で否定するディアベルにキリトは呆れながらも、くわっ、と両目を見開き、更に親友へと突っ込みの矛先を変える
「知らんわっ!だいたい、ピーナッツバターを木に塗りたくってる其処のバカは何がしたいんだよ!」
「決まってんだろ。幽霊探しだ」
「テン?幽霊はピーナッツバターでは探せないって言ったはずよ、ここは私の鍋大作戦で行きましょう」
「何を言うんです。僕のカレー大作戦の方が確実です」
「いや、俺の焼き鳥プロジェクトの方が適任」
「違うよ、あたしのチーズケーキストラテジーの方が名案だよ」
「いや、ここはミッション・オブ・バナナで行くべきだ」
「その通りだ。よく言った、グリス少年!」
「何を言う、俺のアウトドアバームクーヘンに敵うわけないだろう」
「全くお前らは……其れなら、俺がパスタで誘き寄せる!!」
「キミまで何を言ってるのよっ!?…………えっ?ちょっと!アレ!!!」
キリトまでもが参戦しようとした時だった、何かに気付いたアスナが叫んだ
その視線の先には、白いワンピースを纏った幼い少女が無言で佇み、ソウテン達を見ていた。そして、次の瞬間、少女はゆっくりと、崩れ落ちる
『あ……あれは……!』
「………かくれんぼ中の子ども?」
『幽霊だろっ!どう見てもっ!バカリーダー!!!』
ソウテンの発言に全員の突っ込みが飛ぶ。一先ずは少女を連れて帰ることになり、騒動は終結したかに思えた
しかし、其れは歯車がまた回り始めた予兆であった。そう……ゲームクリアという目標に向けての歯車が
少女を連れて帰り、面倒を見ることにしたキリトとアスナ。その一方でソウテンとミトの前から、ロトが姿を消した
一体、彼は何処に?そして、隠された真実とは……!?
NEXTヒント 正体
もしも、そーどあーと・おふらいんを書くなら…
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ソウテンとミトが司会の賑やかな雰囲気
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キリトとアスナが司会の正規の雰囲気